スティーブ・ジョブズ (3): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2010年11月28日

スティーブ・ジョブスの王国(マイケル・モーリッツ著)(後編)


1)本の内容(取り上げた範囲)
・増補版エピローグ

2)この本から学んだこと
・異なる業界からのCEO招聘はリスクを伴う
 (ビジョナリーカンパニーの記載を思いだした)
・執念を持つことが大事
・しかし、余計な”執着”を解き放つことが必要
 そうすれば、新しい視点が生まれる

話はアップル・コンピュータとIBMとの戦い、とジョブスとアップル・コンピュータの苦境、そしてジョブスとアップル・コンピュータの復活へと話はつながっていきます。

この本がもともと出版されたのは1985年で、そのときは「アメリカン・ドリーム―企業急成長の秘訣
」というタイトルで出版されております。

それから25年たち、アップル・コンピュータにとっては紆余曲折がありました。

まずはマイケル・スコットのCEO退任に伴う後任のCEO探し。
当時、ジョブスはCEOになるにはまだ未熟とみなされていたし、また、社内にもふさわしい人材がいなかったのです。そして、CEOを外部から招聘することになったのでした。

長いCEO探しの結果、当時ペプシコの社長だったジョン・スカリーを引き抜き、アップル・コンピュータのCEOに就任させたのでした。

しかし、この人事が後にアップル・コンピュータとジョブスを混迷の道に陥れることになります。

ジョン・スカリーはペプシコーラのような東海岸の規律正しい大企業の中で育った人物であり、日々変化するコンピュータ業界の中では異質の人物でした。このため、スカリーとジョブスは日々対立することになっていきます。

その結果、スカリーはジョブスを解任してしまいました。

その後、アップルはIBMとマイクロソフトの容赦ない攻撃にさらされてしまいます。
マイクロソフトはIBMのOSである”MS-DOS”を希望する企業にライセンス供与しはじめました。その結果、「IBM互換機」なるものが登場しました。

その結果、アップルは徐々に先駆性を失い、見込みあるアイディアを魅力的な製品にする能力が徐々に失われていったのです。

結局、1993年にジョン・スカリーは解任されてしまいました。
しかし、ジョン・スカリーが解任された当時のアップルは、取締役会の機能不全、優秀なエンジニアがマイクロソフトなどに転職するなど危機的な状況になってしまいました。

一方、スカリーに解任されたジョブスも困難な道をたどっておりました。

アップルを去ったジョブスはネクスト・コンピュータを立ち上げました。
しかし、ネクストは企業向けワークステーションメーカーという、いままでジョブスが経験したことのない分野に進出せざるを得なかったのでした。結局、ハードウェア事業は失敗し、ソフトウェア分野に転換したのでした。

1996年頃になると、アップルもネクストも疲弊した状況になってしまったのでした。

その後、アップルが次期OSを外部に求めて元アップル取締役が起こした企業”Be”を買収するとのうわさをジョブスが聞き、ジョブスは当時アップルのCEOだったギル・アメリオに「ネクストを買収すべきだ」と迫りました。その後、Beとの争いに勝って、ネクストはアップルに買収されると同時にジョブスもアップルに復帰することになったのでした。

ジョブスはその後、アメリオから経営を引き継ぐのでした。
が、ジョブスが引き継いだときのアップルは資金も底をついた危機的状況でした。

そのような状況からアップルが脱出したのは全く別の分野に進出したことがきっかけでした。

まず、iMovieというビデオ管理・編集を支援するソフトウェアを提供しました。
このソフトの提供をきっかけにiPodが構想され、市場に提供しました。当時はソニーのウォークマンが市場を席巻していたのでしたが、iPodはウォークマンを凌駕する勢いで売れていきました。

そして、それに伴い直営ショップであるアップルストアを立ち上げました。アップルストアは消費者の心をつかみ、iPodと共に大成功を収めたのでした。

その後のアップルの快進撃は言わずもがな。今年は時価総額もマイクロソフトを抜いて業界第1位になりました。

アップルの事例を見てみると、窮地に陥ったきっかけはCEOの交代でした。”ビジョナリー・カンパニー”でも触れられておりますが、外部のCEOを招聘するときはリスクを伴うものです。なぜなら、異なる業界で成功を収めたとしても、別の分野では商慣習や会社の風習等がことなるため、同じ手法が通用しないケースが多いからです。

そして、復活の要因となったのは全く異なる分野に進出したのがきっかけだったのですが、このときのアップルには「会社を存続するためにはどうすればよいのか?」という執念から生まれた知恵でした。

執念とともに、コンピュータという”執着”から解き放たれた新たな知恵。

これがアップル復活の大きな要因かもしれません。


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posted by まなたけ(@manatake_o) at 19:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | スティーブ・ジョブズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

スティーブ・ジョブスの王国(マイケル・モーリッツ著)(中編)


1)本の内容(取り上げた範囲)
・第10章:社名はアップル・コンピュータ
・第11章:宇宙始まって以来の偉大な設計者
・第12章:社長人事
・第13章:アップルUのデビュー
・第14章:スコットとジョブスの「戦争」
・第15章:大物支援者たち
・第16章:成長の痛みと組織の歪み
・第17章:億万長者続出
・第18章:ようこそIBM、心から歓迎します。

スティーブ・ジョブスの王国(マイケル・モーリッツ著)(中編)です。
話はいよいよアップル・コンピュータの設立となります。

1976年になり、ジョブスは「プリント回路基板を作って売り出そう」とウォズニアックに言い出すようになります。といっても、ジョブスはアタリを辞める気はなく、合同会社として友人と副業をやるといった感覚でした。

会社名を”アップル・コンピュータ”と名付け、ジョブスとウォズニアック、そしてもう一人の創業者であるロイ・ウェインは”プリント回路基板”の販売をスタートさせることになったのでした。

しかし、ポール・テレルとの出会いにより状況は一変するのでした。
ジョブスがテレルにアップルの試作品を見せたところ、テレルが「30日以内に完成品のコンピュータを50台納入できたら代金を現金で支払う」と言い出したのです。このことが、アップル・コンピュータの事業と規模を変えてしまったのです。

2人のスティーブは急いで部品を確保し、ジョブスの家でコンピュータの”プリント回路基板”を組み立てたのでした。テレルが要求した”コンピュータの完成品”は届けられなかったのでしたが、テレルは約束した代金を現金で支払ったのでした。

その後、2度目の納入ではAppleTを組み立てるのにジョブスの家のガレージを使い組み立て、納入したのでした。このときのコンピュータの価格は666.66ドル。しかし、売れ行きは芳しくありませんでした。この状況を見て、ロン・ウェインはアップルの事業から手を引いたのです。

しかし、その後、アップルを支える人材を獲得していったのです。ランディ・ウィギントンとクリス・エスピノーザ、電子装置技師のフレデリック・ロドニー・ホルト。そして、アップルの経営を支えるマーク・マークラ。マークラはアップルを本格的な会社組織とするために経営責任者としてマイケル・スコットを据えたのでした。

こうして、本格的な会社組織としてスタートしたアップルはAppleUの製作に乗り出すのでした。お披露目は第1回ウェスト・コースト・コンピュータ・フェア。この準備のなかで、あのアップルの「りんごを少しかじったロゴ・マーク」がロブ・ジャノフによって製作されます。第1回ウェスト・コースト・コンピュータ・フェアでお披露目されたAppleUは大ヒットとなり、アップルに莫大な資金をもたらすのでした。そして、そののち株式公開をしたのでした。

しかし、問題がなかったわけでもありません。

ジョブスとスコットの対立。
その一例として、社員番号を付与するにあたり、スコットは1番をウォズニアックに与えたのでした。理由は創業者で、かつアップルの主力製品であるコンピュータを製作していたから。しかし、ジョブスはこの措置に不満をもち、スコットに「何で俺が1番でないんだ」と文句を言いに行ったのでした。結局、社員番号0番を与えられたというエピソードが残っております。

歪んだ組織。
創業間もないアップルは社内の組織がきちんと整っておりませんでした。そしてAppleUの成功に伴う他社からの転職者の増加。30人目の社員が入社してから31ヶ月後には、従業員1000人を超える大会社に成長したのでした。そして、このことは会社をコントロールできない状況を引き起こしたのです。そして、スコットは大量解雇を行ったのでした。この行為は”ブラック・ウェンズデー”と呼ばれるようになったのです。そして”ブラック・ウェンズデー”は結果的にスコットを社長の座から引きおろしたのです。

アップル・コンピュータの成功は大手コンピュータベンダーも動かしたのでした。
特に”アーモンク巨人”と呼ばれたIBMはアップルの成功を見て、パーソナルコンピューター市場への参入してきたのでした。IBMはマイクロソフトにOSを作らせ、Apple用のワードプロセッサソフトもIBM用に作り変えさえ、部品も全て外部メーカーから調達したのでした。また、販売ルートも販売店を通して発売すると発表したのです。今までは”自前主義”をとってきたIBMにとっては考えられない行動でした。

アップルはIBMの参入に対し「ようこそIBM、心から歓迎します」と広告を打ったのでした。

しかし、この”巨人”が、その後、アップルを窮地に追い込むのです。

このあたりの話は、またこの次にしたいと思います。


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posted by まなたけ(@manatake_o) at 02:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | スティーブ・ジョブズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月27日

スティーブ・ジョブスの王国(マイケル・モーリッツ著)(前編)


1)本の内容(取り上げた範囲)
・第1章:1950年代のシリコンバレー
・第2章:スティーブ・ウォズニアックの少年時代
・第3章:スティーブ・ジョブスの少年時代
・第4章:クリームソーダ・コンピュータ
・第5章:ジョブスの初恋
・第6章:電話狂時代
・第7章:インド行きとアタリへの就職
・第8章:ホームブリュー・クラブの活況
・第9章:マイクロプロセッサの誕生


みなさんはアップル・コンピュータというと何を思いうべますか?

iPhone?iPad?

私は古い人間なので1980年代にヒットしたMacintoshを思い浮かべます。

この本は、アップルの設立に関わる2人の重要な人物の生い立ちからアップル・コンピュータの創業を描いた復刻版です。

その重要な人物とは、1人はもちろんスティーブ・ジョブス。
そしてもう一人は”ウォズの魔法使い”とよばれ、ジョブスとともにアップルを創業したスティーブ・ウォズニアックです。

この2人スティーブが生まれた頃の様子から本書は始まります。

スティーブ・ウォズニアックは1950年生まれ。サンフランシスコ近郊のクパチーノという所で育ちました。このあたりを含めた、後にシリコンバレーと呼ばれるサンタクララバレーの一体は、当時はのどかな田園風景とのことです。

父がロッキード社のエンジニアだったこと、そして近くにはロッキード社があったこともあり、ウォズニアック家の近所はエンジニアが多く、幼少のころからエレクトロニクスの機器に触れることも多かったようです。

そして徐々に2進法にも精通するようになり、「ザ・テン・ビット・パラレル・アダー・サブトラクター」(10ビット加減算器)を自作で作るなど、エンジニアとしての素養が磨かれていくのでした。
ちなみにこのときつくった「ザ・テン・ビット・パラレル・アダー・サブトラクター」をウォズニアックはクパチーノ学区科学展に出展し、見事一等賞を獲得しております。

その後、ウォズニアックは大学生になり、不合格部品をあさり、コンピュータの回路の設計図をよみ、コンピュータの設計にふけるようになります。


一方、スティーブ・ジョブスは生まれた直後にポール・ジョブズ、クラリス・ジョブズ夫婦に引き取られます。その後、クパチーノ学区に住むようになり、そこで生活をしていきます。

ジョブスは機械には興味があったものの、ウォズニアックのように機械だけに夢中になることはなく、他にも楽しみはあったようです。ただ、同級生はジョブスのことを変人扱いをし、相手にすることはなかったようです。ただ一人、ビル・フェルナンデスを除いては...

このビル・フェルナンデスがスティーブ・ジョブスとスティーブ・ウォズニアックとの間を取り持つキーパーソンとなります。

2人のスティーブが知り合ったのは、スティーブ・ウォズニアックがインターンでHPにて働いていた時でした。スティーブ・ウォズニアックが自作のコンピュータを作り、完成間近になったとき、フェルナンデスがジョブスを連れていったことがきっかけです。

性格はウォズニアックが”堅物”なのに対しジョブスは”奔放”な性格でした。とくにジョブスはアタリで働いていたころ、長髪で風呂に入らず不潔であり、しかもサンダルか裸足でうろつくといった素行をしておりました。しかし、2人は認め合うようになり、コンピュータの話題で語り合うようになります。

そして、ウォズニアックが自作でパーソナル・コンピュータを作ったことから、紆余曲折を経てアップル・コンピュータの創業に繋がっていくわけです。

アップル・コンピュータの創業からの話は後編で書きたいと思います。


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posted by まなたけ(@manatake_o) at 00:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | スティーブ・ジョブズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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