電子書籍 (2): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2011年06月18日

「電子書籍の衝撃」で伝えたかった事は何だろう?『電子書籍の衝撃(佐々木俊尚著)』


電子書籍の衝撃
  • 佐々木俊尚
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 1155円
Amazonで購入


今回は佐々木俊尚さんの『電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)』を取り上げました。

電子書籍に関する本は以前から興味がある分野であり、タイトルも”衝撃”的でしたので「どんな内容だろう?」と興味を持っておりました。
正直申し上げて、読むのに苦労しました。タイトルと伝えたいことが何か別のところにあるように感じたからです。「”電子書籍の衝撃”というタイトルではあるが、電子書籍の衝撃”そのもの”よりも、電子書籍の衝撃に付随する”何か別のこと”を伝えたいのではないか?」と思うようになりました。

自分なりの解釈ではありますが、今回、読んでみた結果を踏まえ、【本書のポイント】【本書のポイントからの考察】【本書の感想】という点からレビュー記事を書きたいと思います。


【本書のポイント】
本書を読んで「ポイントとなる」と思ったところを以下に記載します。

■決め手はプラットフォーム
本書では、電子書籍に求められるプラットフォームについて、以下のように述べています。
多くの人気書籍をラインナップできている。
読みたいと思う本、あるいは本人は知らないけれども読めばきっと楽しめる本をきちんと送り届けられる。
そうした本をすぐに、しかも簡単な方法で入手できて、その時々に最適なデバイスを使い、気持ちよい環境で本が楽しめる。
(本書より)

本書の中ではプラットフォーム戦争として、アマゾンのキンドルとアップルのiPad の争いが事例として書かれていますが、最終的な決め手は「本を取り巻く環境を、最もよいかたちで提供できるところが最終的に電子ブックリーダーの戦争に勝つということなのです。その購読環境さえ素晴らしければ、リーダーの製品そのものの完成度などはっきり言って重要ではありません」(本書より)と言っています。

■本の「アンビエント」化
本書は音楽業界を例に、本の「アンビエント」化を説明しております。

「アンビエント」とは「私たちを取り巻いて、あたり一面にただよっている状態」(本書より)のことです。

音楽の「アンビエント」化とはどういうことか?
それは、「いつでも聞きたい音楽をダウンロードすれば、手軽に聞くことができる!CDを持ち出したり、セットする必要なんていらない!」という状態を指します。

音楽のアンビエント化はiPod、iTunes、iTunes ストアによってもたらされました。

その結果どうなったか?音楽の流通構造は大きく変わりました。

本の世界においても、電子書籍によって「いつでも好きなときにダウンロードすれば読みたい本を読むことができる」という「本のアンビエント化」が起こることを指摘しています。

■コンテキストの共有
本書ではケータイ小説ブームの背景に「コンテキスト(文脈)の共有がある」と述べております。
これは、SNSが注目されている理由と符号します。

著者は以下のように述べております。
アンビエント化によって引き起こされるリパッケージは、コンテキストの流れる圏域にまでミニマム(最小)化させる。そしてこのようなミニマム化した情報圏域は、いまや日本の社会にも大きくひろがっています。
それがソーシャルメディアです
(本書より)

つまり、書き手と読み手のコンテキストの共有と、それをつなぐ媒体として働くソーシャルメディアが電子書籍時代の成否カギを握るということです。

■日本の出版文化がダメになった理由
健全な出版文化とは本書では以下のように定義しております。
健全な出版文化とは、マニアックな本、特定分野に特化した本、全員に読まれる必要はないけれどもある層の人たちにはちゃんと読まれたい本、そういう本がきちんと読者のもとに送り届けられるような構造をいいます
(本書より)

しかし著者は「プラットフォームの劣化と出版文化の弱体がすべてを台無しにしているのが実態」(本書より)と述べております。

特に「再販制」と「委託制」の制度を問題視しております。
本書では「壮大なる自転車操業と本の”ニセ金化”」と呼んでいますが、具体的な内容はこちらを参照願います。

電子書籍には、現在の本を取り巻く環境を破壊する力があります。また、商業出版ではかなわなかった「難病に関する本」など、ごく少数の方に伝えるべき本も出版することが可能です。

「電子書籍によって理想とする本の環境を創造すること、そしてそれを阻害している現在の本を取り巻く悪しき環境を破壊することが可能である」と考えているのではないかと思いました。(考えすぎかなあ?)


【本書のポイントからの考察】
【本書のポイント】から、「考察すべき点」と思ったところ、そして自分なりに考察した結果を以下に記載します。

■「電子書籍の衝撃」とは一体何なのか?
これは既に想像がついていると思います。
一言で言うと「本を取り巻く環境の激変」です。

具体的に言うと
 ・いつでもどこでも見たい本が見れる「アンビエント」化
 ・取次制からダウンロードサイトからのダウンロード形式による流通の変化
 ・「委託制」「返品による返金」の決済方式からダウンロード数による課金制度への変化
 ・「自分が出したい本を誰もが出版できる」環境、そして出版社の「中抜き」
 ・上記の変化に伴う出版ビジネスそのもののビジネスモデルの変化

など....

電子書籍の進展は出版の環境を大きく変えることになるため、著者は「衝撃」と呼んだのだと思います。

■「電子書籍」は普及するのか?
2010年が「電子書籍元年」と呼ばれましたが、今年に入ってあまり聞かなくなりました。
アメリカに比べると、動きは遅いように思われます。

しかし、騒がれては困る背景もありそうです。

先に「本を取り巻く環境の激変」と書きましたが、これは出版関係者の多くのプレイヤーにとっては「ありがたくない話」だと思うからです。特に取次会社にとっては死活問題だと思います。

従って、「電子書籍をあまり普及させたくない」というのが本音でしょう。

とはいえ、スマートフォンなどのプラットフォームが普及しつつあります。従って、あとは「コンテンツが流通するかどうか?」にかかっております。

普及の動きの一端を担いそうなのが、ベストセラー作家の動きです。
実際、電子書籍のメリットは作者にとっても大きいものです。

例えば、印税。
通常、本を出版すると定価の10%が印税として作者の手元に入ります。しかし、電子書籍の場合ですと、最大60%の印税が入ります。無論、電子書籍の場合は通常の出版に比べ経費がかからないため、定価はかなり落ちるのですが、印税の額でみた場合、通常の出版に比べて魅力があります。

そして、電子書籍を普及させる「キープレイヤー」と考えているのがdocomoやソフトバンクなどの「携帯キャリア」とサイバーエージェントやDeNAなどの「ウェブコンテンツ会社」だと考えております。彼らは出版に関しては新規プレイヤーであるため、しがらみがありません。そして業界の勢力地図を変える力をもっております。

そう、かつて音楽業界の勢力図をアップルや着うた配信が変えたように....

実際、本の出版の前に「電子書籍で先行公開」という動きが出ております。
また、村上龍さんのように自分で電子書籍の会社を作ってしまうケースも出てきております。

あとは認知をどのようにさせるか....このとき、大きな影響を持ってくるのがブロガーであり、ソーシャルメディアの存在だと思っております。

このような状況を考えると、「早晩、電子書籍の普及は必至」だと考えております。

■書店はどのような対応をすればよいのか?
出版業界の人間ではないので「これだ!」ということはあまり言えないのですが....

利用者の立場で言うと「長時間いても退屈しない場所」であってほしいと思います。
そして、本の中身をゆっくりと閲覧できる場所であってほしい....

いくら電子書籍が普及したからといっても、紙の書籍がなくなるとは誰しも思っておりません。
そして、なんだかんだ言っても、ついつい足を運びたくなる場所です。

そんなときに、落ち着いていられる空間であれば、リピーターが必ず増えると思うのです。

そして、そんな場所に「本のおすすめポイントを紹介してくれるメッセージやコンシェルジュがいたらいいな」と思っております。

コミュニケーションが取れる場は、電子書店では真似ができません。

「電子書店では真似ができない空間を作る」抽象的ですが、これが書店が生き残るカギではないかと思います。

■本書で伝えたかったことは何か?
当然のことながら読み手によって違うのですが、私は
「電子書籍による”現在の本を取り巻く環境の破壊”と”理想とする本のあるべき姿の創造”への願い」を伝えたかったのではないか?
と思います。

第3章で書かれた「日本の出版の現状」に対する文章と、終章で書かれた「理想の円環」の文章を読み、全体を整理すると、「これが一番伝えたいことなのかな?」と思いました。

【本書の感想】
正直言って、「タイトルの割には、あまりインパクトがなかったな?」というのは率直な感想でした。そして、「本はいかに崩壊し、いかに復活するか?」という副題が、「本文のどこと結びついているのだろう?」と疑問に思ったのも事実です。また、内容が拡散していたため、読んだ後にポイントを整理するのも一苦労でした。

しかし、書いている内容には共感しました。とくに「アンビエント化」という言葉は「うまいことを言うなあ」と思いました。実際、「マニアックな本、特定分野に特化した本、全員に読まれる必要はないけれどもある層の人たちにはちゃんと読まれたい本」を届けるためには商業化した本では難しく、電子書籍でなければ届けられないと思います。そういった本も周りにあり、いつでもダウンロードすれば読むことができるのが理想だと思います。

「電子書籍による”現在の本を取り巻く環境の破壊”と”理想とする本のあるべき姿の創造”への願い」を伝えたかったのではないか?と書きましたが、そのように捉えると「本はいかに崩壊し、いかに復活するか?」という副題の意味が、おぼろげながら見えてくるような感じがします。

電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)』といった”出版業界のビジネスモデルの破壊を表す”ような著書は、取次にしがらみのない直販出版社であるディスカバーさんでなければ出せない著書だと思いました。実際、ディスカバーさんもボイジャー社のシステムを使って電子書籍に対応しているようです。(あとはAndroidに対応してくれるとうれしいのですが....)

電子書籍の行方は私にとっても気になるところです。今後の行方をチェックしていきたいと思います。

電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)

1)本の内容
 第1章:iPadとキンドルは、何を変えるのか?
 第2章:電子ブック・プラットフォーム戦争
 第3章:セルフパブリッシング時代へ
 第4章:日本の出版文化はなぜダメになったのか
 終章 :本の未来

2)この本から学んだこと
 ・電子書籍は「アンビエント化」をもたらす!
 ・いつでも、どこでも読みたい本が読める「プラットフォーム」の提供がカギ!
 ・「電子書籍の衝撃」とは「本を取り巻く環境の激変」!
  現在のビジネスモデルに依存している出版関係者にとっては死活問題!
 ・環境は整いつつある!遅かれ早かれ電子書籍の時代到来?


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2011年03月06日

電子書籍奮戦記(萩野正昭著)




今回は萩野正昭さんの著書『電子書籍奮戦記』を取り上げます。


萩野正昭さんは、電子書籍普及に尽力をし続けているボイジャーの代表取締役社長です。そして、日本の電子書籍の黎明期から現在まで電子書籍に携わってまいりました。

巷では萩野さんのことを”Mr.電子書籍”と呼んでいます。

本書は電子書籍の黎明期から携わってきた萩野さんが
 ・なぜ電子書籍に携わるようになったか(東映時代、パイオニアLCD時代)
 ・ボイジャー・ジャパンのスタート
 ・アメリカ・ボイジャー分裂後のボイジャー・ジャパンの取り組み、そして苦労
 ・電子書籍の現状/課題
について、書かれております。

萩野さんが電子書籍に携わるようになったのは、ボイジャーを創設したボブ・スタインとの出会いが大きくかかわっています。出会ったのは1984年。出会ったとき、ボブが発した「映画がはじめて本になるかもしれない」という一言が、萩野さんの運命を大きく変えていきます。この意味は「映画の再生のスピードを変えるレバーがあれば(つまり、コマ送りなどで調節できるようになれば)、文字を画面で読めるようになる」というように私は解釈しました。

1984年にボブ・スタインはボイジャーをスタートさせます。ボイジャー・ジャパンがスタートするのはその8年後の1992年。キッカケはボブ・スタインからパイオニアに対して提携依頼をしたのですが、パイオニアは無視する結果となったこと。そして、萩野さんは「飛び降りる覚悟」(本書より)でボイジャー・ジャパンの設立を決意いたします。

1992年、ボイジャー・ジャパンがスタート。その後、電子書籍の歴史に残る出来事を発表していきます。
 ・電子書籍形式”.book”の発表
 ・電子書籍ビューワー”T-Time”の発表
 ・”青空文庫”の開始
 ・電子書店”理想書店”の開始
など。この内容を見ると、「まさに日本の電子書籍の歴史を支えてきた」という内容です。

しかし、このボイジャーも順調にきた訳ではありません。
 ・アメリカ・ボイジャーの分裂。そしてボイジャー・ジャパンの一人航海開始
 ・2007年まで実質的な利益なでない状態が続いたこと
  (出版社、そして創業の同士に助けられたことも)
といったように苦しい経営状態が続きました。

それでも「電子書籍を止めようと思ったことは一度もない」と萩野さんは言います。それを支えたものは「必要性」をもった人々に”読むを送る”という思いからです。

本を出版する場合、一般的には
 1)出版社に企画を通して出版する
 2)自費出版する
という方法があります。

しかし、出版社で出版する場合は、最低でも1千部、普通は1万部以上の売れ行きが見込めなければ出版できません。(出版社もビジネスなので、仕方がないことです)
自費出版の場合も1千部から引き受けるのが大半なので、相当なお金がかかります。

電子書籍の場合は自分の手間さえかければ、1冊から出版することができます。「1冊から出版できる」という意義は、「例え読み手が少なくとも、必要ある人に届けることができる」ということです。本書では、『水頭病ガイドブック』を例に用いて、電子書籍の意義を説明しております。この『水頭病ガイドブック』は、特殊な病気であるがゆえに読み手が少ない。そのため、紙の本では絶対に誕生しなかった本です。しかし、病気になった方、およびご家族にとっては絶対必要な本です。著者の手間をかければ、電子書籍なら出版することができます。この例を見ても、電子書籍の意義を汲み取ることができると思います。


特に最近注目を集めている電子書籍ですが、課題がないわけでもありません。一番の課題は何度も取り上げているようにフォーマットの問題です。WebのようにHTMLという標準の規格があれば、例えブラウザが”インターネット・エクスプローラー”であろうと、”Firefox”だろうと、”Safari”だろうと、”クローム”だろうと、Webページを見ることができます。しかし、電子書籍の場合、フォーマットが違うと見ることができません。

萩野さんも指摘している通り、一番の課題はフォーマットの統一であり、その統一に一番近い立場にいるフォーマットが”EPUB”だろうと思います。だが、フォーマットの統一は各プレイヤーの思惑もあり簡単ではありません。また、日本語表示においても「縦書きに対応できない」など、現在のままでは問題もあります。しかし、フォーマットが統一されることにより、ユーザーのメリットは計り知れないものがあります。ボイジャーはEPUBを規格しているIDPFのEGLSワーキンググループのメンバーとして参加しております。ボイジャーにはEPUBの拡張、そして、フォーマット統一に向け、頑張っていただきたいと思っております。

最後に、本書と同じように、『書物について―その形而下学と形而上学』(清水徹著)の帯に書かれていた言葉で締めたいと思います。

「本とは・・・・・、ほんとうにただものではない!」


電子書籍奮戦記

1)本の内容
・T てんやわんやの毎日
・U 異聞マルチメディア誕生期
・V メディアを我々の手に
・W 本ではなく、読むを送る
・X ハードに翻弄される
・Y 電子出版の未来

2)この本から学んだこと
・「どのように電子書籍が生まれたのか?」を知ることができた
・電子書籍の歴史に残る出来事がどのように生まれたのかを知ることができた
・萩野さんが感じている”電子書籍の課題”を知ることができた



本書のキーワードをFreeMindでマインドマップにまとめました。
電子書籍奮戦記.png
また、以下のリンクをクリックすると、拡大表示されます。
電子書籍奮戦記.html


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2011年02月25日

電子書籍で生き残る技術(川崎堅二/土岐義恵著)




今回は川崎堅二さん、土岐義恵さんの共書『電子書籍で生き残る技術?紙との差、規格の差を乗り越える?』を取り上げます。


本書の内容を大きく分けると
 1)電子書籍の歴史
 2)電子書籍の現在の状況
 3)電子書籍の技術
という内容となっています。

以前、ご紹介した『電子書籍の作り方、売り方 iPad/Kindle/PDF対応版』は「どのように電子書籍をつくるか?」という”How to”にフォーカスが当たっておりますが、本書は『電子書籍で生き残る技術?紙との差、規格の差を乗り越える?』というタイトルになっているものの電子書籍の歴史や現在の状況を踏まえた内容になっているため、「電子書籍の経緯や現在の状況が俯瞰して分かる内容」となっています。


実は、私が本書で興味を持ったのも
 1)日本の出版業界の状況と電子書籍ビジネスモデルの影響
 2)日本における電子書籍の現在の状況
です。

本書のレビューは、この点を中心に行っていきたいと思います。


1)日本の出版業界の状況と電子書籍ビジネスモデルの影響
 日本の出版業界のビジネスモデルの特徴としては取次の存在があげられます。
 ご存知の方も多いと思いますが、取次とは「出版社と書店をつなぐ卸のような存在」です。
 ほとんどの出版社は、直接、書店に本を卸すことはせず、取次を通じて、本を本屋に卸しております。

 取次を通すメリット、それは、「資金回収を早めることができる」という点です。

 ”活字離れ”に象徴されるよう、出版業界は景況はあまりよくありません。特に中小の出版社は”自転車商業状態”のところが多いと聞きます。中小の出版社は取次に本を卸すことにより、本が売れるが売れまいがかかわりなく、出版にかかった資金の一部を回収できます。この資金により、経営をつなぐ出版社も多いようです。

 
 では、これが電子書籍になったら、どのようにビジネスモデルが変わるのでしょうか?

 電子書籍になると、現在の取次に相当するのが、電子書籍を配信する”プラットフォーム”という存在になります。プラットフォームは、ダウンロード数に応じて、代金を出版社側に支払うビジネスモデルに代わります。こうなると、今まで取次に卸すことによって得た資金が確保できなくなります。従って、”自転車操業状態”の出版社は、電子書籍のビジネスモデルでは倒産するところも出てまいります。

 このことを考えると、出版業界は「電子書籍に対してあまり積極的でない」のも納得がいく気がします。


 2)日本における電子書籍の現在の状況
 日本ではiPadの発売に伴い、にわかに電子書籍が注目され始めたのですが、実は電子書籍のマーケットは日本の方が大きいのです(これは私も本書を読んで、初めてしりました)。日本の電子書籍マーケットは、現在の所、携帯小説、成人用コミック、ボーイズラブなどが占めております。「日本のポップカルチャーは世界の先端を走っている」とよく言われますが、こういった面にも現れております。

 ただ、iPadの発売は、いわば”黒船”のような存在で「いずれ電子書籍の時代が来る」と出版関係者に衝撃を与えたのも事実です。このため、今、電子書籍に対して積極的なのは、実は”印刷会社”なのです。

 印刷会社は「いずれ紙が電子にとってかわる存在になる」と予測していたためか、電子書籍リーダーのメーカーや通信キャリアと連合を組んで、”プラットフォーム作り”に積極的です。例えば、凸版印刷は、ソニー、KDDIと連合を組んで、事業企画会社を設立しました。また、大日本印刷は、NTTドコモと組んで事業を展開しようとしています。

 これとは別に、著者の中にも、出版社を通さずに、直接、プラットフォームから自身の著書を配信する例が出てまいりました。2010年7月に村上龍さんの小説『歌うクジラ』が出版社を通すことなくiPadの電子書籍として発売されました。この事実は出版社に”中抜き”できることを示す事例となり、出版社に対し衝撃を与えています。


このように、日本においても電子書籍についてはいろいろな動きが出てきております。

しかし、問題もあるのも事実です。一番の問題は”規格”でしょう。


別の記事でも書いたとおり、現在、電子書籍のフォーマットには
 ・PDF
 ・AZW
 ・EPUB
 ・.book
 ・XMDF
などがあります。しかし、どれも一長一短です。

現在、シェアとして高いのはAZWだが、アマゾンのkindleしかサポートしてない上、日本語対応がされていないなどの問題がある。本命視されているEPUBはiPadを始めサポート機種が多く、webとの親和性は高いが日本語の縦書き表示ができない。.bookやXMDFは日本語の表現が多様であるが、世界の流れから見ると外れている。PDFは最も普及しているフォーマットだが、リフローできない。

とはいうものの、今後は世界標準であるEPUBが仕様拡張に伴い普及していくのではないかと私は考えています。


本書を見ながら電子書籍の動向について述べてまいりましたが、本書を読むことにより、特に日本の電子書籍の経緯が現在の動向を把握することができました。これは私にとっても大きな収穫です。

また、本書を読んで思ったことは
 ・電子書籍は現在は”カオス”の状態。今後の動向を注視。
 ・電子書籍が普及するにつれ、出版業界のビジネスモデルは大きく変わる。
ということです。

電子書籍には個人的にも興味があるので、今後の動向を注視しながら、また別の本のレビュー記事を書きたいと思います。


電子書籍で生き残る技術?紙との差、規格の差を乗り越える?

1)本の内容
・第1章:電子書籍、群雄割拠時代の到来
・第2章:電子書籍がたどってきた道
・第3章:電子書籍で利用されている技術
・第4章:電子書籍で生き残るための技術

2)この本から学んだこと
・電子書籍の歴史は意外と古い。
・日本は電子書籍大国。とはいえ、本格的な普及はこれから。
・電子書籍は群雄割拠の時代。今後の動向を注視する必要あり。
・電子書籍の普及は出版関係のビジネスモデルを大きく変える!


本書のキーワードをFreeMindでマインドマップにまとめました。
電子書籍で生き残る技術.png
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電子書籍で生き残る技術.html

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