小室淑恵: ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2011年05月21日

”ワーク・ライフシナジー”が人生を充実させる!『ラクに勝ち続ける働き方(小室淑恵著)』



本書のタイトルとなっている『ラクに勝ち続ける働き方』とはどのような意味でしょうか?

これは決して「手を抜いてのんびり仕事をする!」という意味ではありません。
むしろ、「時間や気力、体力を仕事ばかりで”大量消費”していると、一時的な評価は得られるかもしれませんがだんだん疲労がたまり、将来への自己投資や家庭生活にしわ寄せがきます。人間関係は職場中心で狭くなり、入ってくる情報は偏り、価値観にも歪みが生じてきます。結局、人生そのものがジリ貧になってくる」(本書より)ので、エネルギーの浪費を回避し、長期間でも成果を出し続けていく働き方をしようという考え方です。

長い間、日本では「モーレツに働くことがよいこと」という価値観に支えられてきました。そして、それが日本を戦後の廃墟から世界有数の経済大国に押し上げました。
しかし、近年はそのような働き方がいろいろな問題を引き起こしております。近年、増加している「メンタル不全」も、その一例でしょう。

従って、長期間で成果を出し続けるためにも「短い勤務時間でも成果を出す」働き方が求められています。

このために重要なスキルは”時間あたりのアウトプットを高める「効率化スキル」”です。

本書では、
 ・課題設定力
 ・プレゼンテーション力
 ・段取り力
 ・情報収集力
について、具体的な方法が紹介されています。

とはいえ、これらのスキルは簡単に身につくものではありません。テーマを決め、まずは一つにターゲットを絞り、練習することにより、スキルは身についていくと思います。

そして、『ラクに勝ち続ける働き方』を考える上での本書の重要なキーワードが「ワーク・ライフシナジー」です。

そもそも、”ワーク・ライフシナジー”とは、どのようなことなのか?
一言で言うと、「ワーク」と「ライフ」の相乗効果(本書より抜粋)ということです。
ただ、これでは分かりづらいので、以下に具体例を示しながら説明します。

現在のような変化の激しい時代となると、ひとつの知識やスキルで何年も仕事で結果を出し続けることは、ほとんど不可能です。このため、新しい知識やスキルを吸収することが求められます。
では、いつやるのか?業務中にできないのであれば、プライベートの時間にやる以外にありません。逆に、新しい知識やスキルを学ぶことにより、それを業務で活かすことができれば、それは大きなアドバンテージとなります。

また、自分の仕事のあり方やキャリアを考える上でも、プライベートの時間は有効です。特に長期の休みでなければ、このようなことは考えられないでしょう。

プライベートの時間で得た貴重な経験を仕事で活かす!これが”ワーク・ライフシナジー”の基本的な考え方です。

「プライベートの時間でも仕事のことを考えるの?」と思うかもしれませんが、キャリアや仕事のスキルアップのための方法などは、プライベートのときだからこそ考えられるのです。

それを的確に表現している文章が、佐藤可士和さんの『佐藤可士和のクリエイティブシンキング』書かれている以下の言葉です。

「多忙な日常を離れて心身ともにリラックスすると、疲れがとれて非常に元気になるため、自然とポジティブな活力湧いてきます。気持ちに余裕が出て、俯瞰して物事を見つめられるようになるからでしょうか、目の前の仕事ではなく、長期的なビジョンについて考えてみようという気持ちに移行しやすくなるのです」
(『佐藤可士和のクリエイティブシンキング』より)

このように、プライベートな時のようにリラックスできるからこそ自然に活力が湧いてくる!そして、その活力が物事を俯瞰して見ることができ、そこで得た内容が、今すぐではなくても仕事に活かされるのではないでしょうか?

「ワーク」と「ライフ」を無理に分けるのではなく、「ワーク」と「ライフ」をリンクさせながら、相乗効果で人生を充実させていく。「ワーク・ライフシナジー」は、はじめは小さな効果かもしれませんが、どんどん大きくなることにより、人生に変化をもたらすかもしれません。

ラクに勝ち続ける働き方

1)本の内容
 序章 :これからの自分のために働き方を変えよう!
 第1章:「ラクに勝つ」ために「発想転換」から始めよう
 第2章:時間あたりのアウトプットを高める「効率化スキル」
 第3章:10年後も余裕で走り続ける「体調とメンタル」のコントロール
 第4章:「家庭マネジメント力」で仕事と人生をよりハッピーに
 第5章:「ラクに勝ち続ける働き方」について

2)この本から学んだこと
・”ラクに勝ち続ける働き方”は「手を抜く働き方」ではなく「長期に渡り成果を出し続けるための働き方」である
・”ラクに勝ち続ける働き方”に必要なスキルは「時間当たりの効率化」スキルである
・”ワーク・ライフシナジー”が人生をより充実させる


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2011年05月18日

チーム力向上プロセスにおける゛注意点゛を考える!『6時に帰るチーム術(小室淑恵著)』



以前、小室淑恵さんの著書のレビュー記事を書いたとき、「ワークライフバランスを本当に実現するためには、仕事のやり方の見直し、及び、組織の風土改革が必要!」と指摘しました。単に人事制度を取り入れたとしても、現場はミッション達成のために動かざるを得ないケースが多く、「ワークライフバランスどころではない!」、あるいは「ワークライフバランスなんて不要!」となるケースが多いからです。

恐らく、小室さんもコンサルティングの中で現場の声を聞き、その様に感じたのではないでしょうか?それは、゛はじめに゛の 「経営層からは目標達成を求められ、人事部からはあれこれ指示され、部下は思うように動かず、あちこちでサンドイッチ状態になって疲弊していくマネジャーの現実は切実」(本書より抜粋) という言葉に表れております。

では、 「メンバー全員が、毎日残業なしで6時に帰っても、きちんと成果が上がり続ける」(本書より)という課題に対し、どうすれば良いのか?この問いに対する小室さんの方法の提案 が本書『なぜ、あの部門は「残業なし」で「好成績」なのか? 6時に帰る チーム術』の内容となっております。

本書の内容を大きく分けると、
 ・なぜ「チーム術」が必要なのか?
 ・「チーム術」を高める6ステップと25のツール
という構成で書かれております。

私が注目したのは゛6ステップ゛、特に 「1.現状を見える化する」と「2.課題とビジョンを共有する」 です。

注目した理由は後ほど書くとして、まずは本書に載っている゛6ステップ゛を以下に記載します。

【6ステップ】
 1.現状を見える化する
 2.課題とビジョンを共有する
 3.仕事の中身と分担を見直す
 4.評価ポイントを見直す
 5.仕事の進め方を変える
 6.変化を周囲に広げる

(以上、本書より抜粋)

プロセスとしてはオーソドックスなものだと思います。私もプロセスを考えるとするならば、似たようなプロセスになるでしょう。

ただ、このようなプロセスを実施し、失敗する段階のほとんどが「初期のプロセス」です。

失敗の原因はいろいろとあると思いますが、大抵は「現場のメンバーの協力が得られない!」といったところに起因するのではないでしょうか?

残業過多の現場は問題を抱えている事は事実です。しかし、顧客、あるいは社内の約束を守るために目の前のことをこなす事で精一杯です。視点が目の前しか見えず、周りが見えない状態のため、「一歩引いた目線でプロセスを遂行するリーダー」の存在が不可欠となります。

また、「6ステップを実行するにあたって゛1.現状を見える化する゛と゛2.課題とビジョンを共有する゛に注目する」と述べましたが、 この段階で負荷のかかる作業を強要すると、「現場のメンバーにソッポを向かれる」 可能性が高いです。

例えば、「1.現状を見える化する」のツールとして記載されている゛朝メール゛は
 ・出社から退社まで、15分単位でその日の予定を記載する
 ・本日の優先順位を記載する
フォーマット例になっております。
また、退社時に出す゛夜メール゛は
 ・予定通りにいったものを記載する
 ・今日の結果報告を記載する
 ・明日のタスクを記載する
という内容になっています。現場を預かる人間にとっては、このような報告をしてもらうことで、状況が見えるようになるのですが、現場のメンバーにとっては「ただでさえ忙しいのに、報告に相当時間が取られてしまい、冗談じゃない!」となってしまいます。

このようなチーム力を上げるための施策を行うときに思うことは
 ・リーダーが覚悟を持って臨むこと!
 ・自分なりのビジョンを描き、それを説明すること!
 ・現場の状況に適用できるよう仕組みの設計をしっかりと行う

事が必要です。
特に、 「覚悟が問われる」 場面が多くなります。

「残業ゼロ」の仕事力』の著者である吉越浩一郎さんは「毎日ノー残業デーを推し進めるには覚悟が必要!」と述べております。実際、トリンプの社長時代に推し進めた「毎日ノー残業デー」の実現に向けて、週一回のノー残業デーの実現から10年かかっております。それだけ現場の抵抗が強いということです。

私もワークライフバランスの施策は必要だと思っております。本書には、ワークライフバランス実現のため、小室さんなりの提案が盛り込まれております。しかし、吉越さんのように「推進するための”覚悟”というメッセージを盛り込んでもよかったのではないか?」と本書を読んで思ったことでした。

なぜ、あの部門は「残業なし」で「好成績」なのか? 6時に帰る チーム術

1)本の内容
 第1部:今、「チーム術」が求められている理由
 第2部:「チーム術」を実践する6ステップ・25のツール
2)この本から学んだこと
・「チーム術」を使うにあたり、導入のプロセス設計、カスタマイズ、メンバーへの説明など、現場に合わせてしっかりと考える必要がある


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2011年04月26日

ワークライフバランス推進に必要なことを考える!『ワークライフバランス 考え方と導入法』(後編)




前編では、「ワークライフバランスの導入を有効なものとするためには、”組織の風土改革”もあわせて考える」ことがポイントと述べました。

また、アスレラス製薬、花王、パナソニックなど、本書に事例として掲載されている企業も、組織の風土改革や社員の意識改革をあわせて行った結果、”脱長時間労働”、”多様性活躍の職場の実現”を成し遂げていることが読み取れます。

では、ワークライフバランス実現のために、どのような手順を踏めばよいのか?

後編では、「導入するためには、どのような手順を踏んで行けばいいのか?また、考慮すべき点は?」というテーマで書いてみたいを思います。

本書に書かれている手順は以下の通りです。


【ワークライフバランスを導入する8ステップ】
ステップ1 プロジェクトチームを作る
プロジェクトを担うメンバーを選び、プロジェクトチームを構成する。

ステップ2 スケジュールを組む
ワークライフバランス導入についてのおおまかなスケジュールを立てる。

ステップ3 社内ニーズを把握する
インタビューやアンケートにより、現場のニーズについての情報を集め、分析する。

ステップ4 導入プランを策定する
現場のニーズに基づき、自社に適したワークライフバランスの導入プランを作る。

ステップ5 経営層の理解と承認を得る
導入プランを経営層に示し、実施のための承認を得る。

ステップ6 計画を実行し、告知する
導入プランを実行し、社内に新制度や新たな仕組みを告知する。

ステップ7 マネジメント層の協力を得る
導入の鍵を握る現場マネジメント層の理解を促し、協力を得る。

ステップ8 チェック&フォローを行う
スケジュールを一通り回し、修正すべき点を確認して新たな計画を立てる。
(以上、本書より抜粋)

この流れの中で「ここが重要だな!」と思ったことを以下に記載いたします。

【ワークライフバランス導入のための重要事項】
1.トップの”本気度”を示すメッセージを伝える
ワークライフバランスを推進するためにはトップの後押しが必要です。そのトップがワークライフバランスを推進する意義を理解し、「本気で推進する!」というメッセージを伝えなければ、尻つぼみになってしまいます。

2.プロジェクトメンバーには先任者を
これは本書にかいてある通りです。兼任では、業務が忙しくなった場合、本業に時間を取られがちになります。こうなると、ワークライフバランスの推進がおぼつかなくなります。また、先任者が一人の場合も、先任者の負荷が重くなります。専任者2人以上が望ましいでしょう。

3.現場マネージャーの理解が必要
現場マネージャーは当然のことながら、現場を預かる責任者です。業務を円滑に進める責任があります。そのマネージャーが恐れることは、ワークライフバランスを推進することで業務が滞ること。ワークライフバランスを推進するためには、現場のマネージャーの、そして周囲の理解が必要となります。
ただし、現場でなければ解決できない問題も多くあります。したがって、いかに現場の力を借りながらワークライフバランス推進の障壁になっている問題を解決していくかがカギとなります。

4.出来ることから着実に、そして長期ビジョンで
人間というものはわずかな成果であっても見えると「よし、これならいける」と思うものです。ニーズを洗い出した際、分類をし、「すぐに取り組め、効果が高いものから着実に」行うことが重要です。しかし、「風土改革の中で解決される」難しい問題もあります。これについては、ある程度時間がかかるのを覚悟の上、長期ビジョンで出来るところから行うことが必要となります。


ワークライフバランスが定着するには時間がかかるのは、ある程度仕方がないと思っております。重要なのは「やるんだ!」というトップの覚悟と後押し!やはり現場だけでは限界があります。吉越浩一郎さんが『「残業ゼロ」の仕事力』の中で「ノー残業デーのスタートから完全ノー残業デーの実施まで10年以上かかった」と述べているように長い時間が必要です。

そして、最後に成否を分けるのは「トップの覚悟」。と、ワークライフバランスを行いながら生産性を落とさないための「現場の知恵」と思います。

労働力が低下し、介護者が増える時代の中、企業として維持していくためには、「企業は働き方の見直しに本気で取り組む必要がある」と感じております。

取り組みの結果が、企業の将来に大きな影響を及ぼすものと思います。
改訂版 ワークライフバランス -考え方と導入法-

1)本の内容
 Part1:ワークライフバランスは21世紀の経営戦略
 Part2:先進企業に見るワークライフバランスへの取り組み
 Part3:ワークライフバランスを導入する8ステップ
 Part4:ワークライフバランスの各種制度とメニュー
 Part5:実務で役立つ基本データ33

2)この本から学んだこと
・ワークライフバランスの推進には”トップの本気度”を伝えるメッセージがカギを握る
・ワークライフバランスの推進には現場のマネージャーや周囲の理解が必要
・ワークライフバランスへの取り組みは”少子高齢化”時代における企業維持のカギを握る

本書のキーワードをFreeMindでマインドマップにまとめました。
ワークライフバランス 考え方と導入法.png
また、以下のリンクをクリックすると、拡大表示されます。
ワークライフバランス 考え方と導入法.html

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タグ:小室淑恵
posted by まなたけ(@manatake_o) at 23:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小室淑恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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