ビジョナリー・カンパニー (4): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2010年12月14日

ビジョナリー・カンパニー2(ジェームズ・C・コリンズ)(前編)


1)本の内容(取り上げた内容)
・第1章:時代を超えた成功の法則
     −良好は偉大の敵−
・第2章:野心は会社のために
     −第五水準のリーダーシップ−
・第3章:だれをバスに乗せるか
     −最初に人を選び、その後に目標を選ぶ−

2)この本から学んだこと
・良い企業から偉大な企業に飛躍した例はある
・良い企業から偉大な企業に飛躍した企業の
 キーワードは”第五水準のリーダーシップ”
・第五水準のリーダーは適切な人をバスに乗せる

ビジョナリー・カンパニー・シリーズはビジネス書としても隠れたベストセラーとして注目を集めているシリーズです。近年は2010年7月に”ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階”が出版されました。また、本ブログでも”ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則”を以前に取り上げてました。


今回取り上げた”ビジョナリー・カンパニー2”は、「飛躍の法則」という副題がついております。
これは、「”ビジョナリー・カンパニー”で取り上げた企業は初めから偉大な企業である。しかし大半の企業はそうではない。良い企業から偉大な企業になるにはどうすればいいのか?」という問いに答える形で書かれております。

そして、”ビジョナリー・カンパニー”と同様に、良い企業から偉大な企業へ飛躍した企業と、そうならなかった企業の違いについて本書では述べられております。

本書の中でキーワードとなってくるのが第五水準のリーダーシップという言葉です。この第五水準のリーダーシップを持ったリーダーに率いられた企業こそ、良い企業から偉大な企業に飛躍していることが着目すべき点と考えます。

それでは、第五水準とは一体何なのでしょうか?

本書では企業組織で働く人を第一水準から第五水準まで表しております。

【第五水準までの段階】※本書より抜粋
●第一水準:有能な個人
 才能、知識、スキル、勤勉さによって生産的な仕事をする

●第二水準:組織に寄与する個人
 組織目標の達成のために自分の能力を発揮し、組織の中で他の人たちとうまく強力する

●第三水準:有能な管理者
 人と資源を組織化し、決められた目標を効率的に効果的に追求する

●第四水準:有能な経営者
 明確で説得力のあるビジョンへの支持と、ビジョンの実現に向けた努力を生み出し、これまでより高い水準の業績を達成するよう組織に刺激を与える

●第五水準:第五水準の経営者
 個人としての謙虚と職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業を作り上げる

一般的に「飛躍する企業は、リーダーの強力なリーダーシップのもと、大きく成長するもの」と考えられがちです。実際、そのような企業も多く存在しているため、間違いではないと思います。

しかし、これらの企業のリーダーは”第四水準のリーダー”です。
第四水準のリーダーの場合、能力のある自己中心的なリーダーが多いのが特徴です。能力があり、しかも強烈な個性によるリーダーシップのため、組織は引き締まる傾向がありますが、やがて「周りはイエスマンばかり」など弊害も多く出ます。そのため、そのリーダーが去ってしまうと組織として立ち行かなくなり、やがて凋落の道を歩むことになります。

逆に第五水準のリーダーは自尊心の対象を偉大な企業を作るという大きな目標に向けられている。信じられないほど大きな野心をもっているのだが、その野心はなによりも組織にむけられていて、自分自身には向けられていない(本書より)というのが特徴です。なにより、人を、そして組織を残すに精力を注ぎます。このため、リーダーが去った後も残った組織で企業を運営し、永続していくのです。

では、第五水準のリーダーは、まず初めに何をしているのでしょうか?
彼らは「まず、はじめに適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、つぎにどこに向かうべきかを決めている(本書より)」ということをしています。

この内容は、読む人にとっては厳しいものと感じる人はいるのではないでしょうか?
つまり、「適切な人材を採用し、不適切な人材にやめてもらう」ということを意味しております。
”不適切な人材”といっても他の企業では優秀な人材であるケースが多いのです。しかし、その企業にとっては求める能力が違うため、”合わない人材”と判断されてしまいます。
つまり、採用する基準が厳格であるということが言えます。

次回は、第四章、第五章、第六章をとりあげます。

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則


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2010年11月21日

ビジョナリー・カンパニー(ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス著)(後編)


1)本の内容
・第1章:最高のなかの最高
・第2章:時を告げるのではなく、時計をつくる
・第3章:利益を超えて
・第4章:基本理念を維持し、進歩を促す
・第5章:社運をかけた大胆な目標
・第6章:カルトのような文化
・第7章:大量のものを試して、
     うまくいったものを残す
・第8章:生え抜きの経営陣
・第9章:決して満足しない
・第10章:はじまりの終わり

2)この本から学んだこと
・ビジョナリー・カンパニーは明確な目標を掲げている
・ビジョナリー・カンパニーは小さなチャンスを掴みとり、
 少しずつ進歩を遂げてきた
・ビジョナリー・カンパニーが働きやすい職場かどうかは
 個々によって違う

後編は、ビジョナリー・カンパニーは
 ・理念をどのように掲げていったのか?
 ・ターニングポイントはどこにあったのか?
 ・比較対象企業との違いはどこにあったのか?
を中心にビジョナリー・カンパニーの詳細を本書からレビューしたいと思います。


●理念をどのように掲げていったのか?

ビジョナリー・カンパニーは”明確な”目標を掲げます。
これを筆者は”BHAG(Big Hairy Audacious Goals):ビーハグ”と読んでいます。
BHAGを「進歩を促す強力な仕組み」として本書では以下の通り述べております。

「BHAGは人々の意欲を引き出す。人々の心に訴え、心を動かす。具体的で、わくわくさせられ、焦点が絞られている。だれでもすぐ理解でき、くどくど説明する必要がない。」

人々の心を動かす明確な目標を掲げると、人々はワクワクし、「実現しよう」と行動に現れます。
BHAGにもそのような効果があったものと思われます。

そのためか本書の中でGEを例に以下のように述べております。

『ジャック・ウェルチはゼネラル・エレクトリック(GE)がぶつかった課題について、こう述べている。第一のステップとして、なによりもまず取り組むべきは、「会社が目指す方向を、幅広くはあるが明快な言葉で示すことである。会社全体にとって意味のあるメッセージ、大きな方向を指し示すが単純でわかりやすいメッセージが必要だ」』と。

そして、ビジョナリー・カンパニーは時には”大胆な”目標を掲げます。

例えばボーイング社は1952年に民間航空会社向けの大型ジェット機を開発する決断をしました。しかも開発費用は『プロトタイプの開発に1500万ドルの自己資金を賭ける必要がある(本書より)』ほどの巨額なプロジェクトです。もちろん失敗すれば会社は倒産するかもしれない...それを承知でボーイング社は「民間航空機市場で大手になる」という目標を掲げジェット機をつくったのでした。

当時は「ボーイングは爆撃機をつくればよい」という風潮でした。しかし、ジェット旅客機の市場があることに興味を示したライバル会社もありませんでした。例えばダグラス社は「旅客機市場では今後もプロペラ機の時代が続く」と見ていたのです。

しかし、ボーイング社はジェット機で民間航空機市場で圧倒的な地位を築くことになります。ダグラス社がDC8でボーイングを追うも時すでに遅し。

ボーイングが”大胆な”目標を掲げ、実行することによって、今の地位を築いたのです。


●ターニングポイントはどこにあったのか?

ビジョナリー・カンパニーは「初めから明確なビジョンを持った企業であるか?」というとそうでない企業が多いようです。

例えばアメリカン・エキスプレス(アメックス)。
名前の通り最初は金融業を営んでいたわけではなく、1850年に地域小荷物の輸送会社として発足しております。

ターニングポイントはどこにあったのか?
1882年、元来からやってきた現金輸送サービスの需要が落ちてきたことを端に、アメックスは自社の送金為替”エキスプレス・マネー・オーダー”を作ったのです。これが予想外にヒットし、徐々に金融サービス会社として変身していったのでした。

そして劇的な変身は、1892年。J・C・ファーゴ社長がヨーロッパに旅行に出かけたとき、信用状を現金に換えるのが難しいことに気づいたのです。これを何とか打開するために、今のT/Cの原型である「アメリカン・エキスプレス旅行小切手」を作り出したのでした。

アメリカン・エキスプレスの場合は初めは全く違う業態の会社でしたが、小さな変革のステップを積み重ねることにより変身し、今では金融業でもトップクラスの会社になったのです。

このようにビジョナリー・カンパニーの多くは「小さな芽からチャンスをつかみとり、それを事業家していった会社が多い」のです。


●比較対象企業との違いはどこにあったのか?

本書ではしてはならないこととして
 ・会社を支配すること
 ・自由を与えないこと
を挙げております。

例えば、シティコープの比較対象企業としてあがっているチェース・マンハッタン。

1960年代〜1970年代にかけて、チェース・マンハッタンはデービット・ロックフェラーの支配下にありました。『支配魔とも言えるデービッド・ロックフェラーの指揮下にあった同行は、デービッドの銀行と呼ばれ、行内が恐怖政治のような雰囲気になっていた。管理職は毎日、ほとんどの時間を会議に費やし、意思決定や行動に使う時間が十分にとれなかった。(本書より)』とあります。これだけでも、いままで見てきた企業との違いが分かると思います。


最後に私がこの本を読んで最も注目したことについて書きます。

それは、「ビジョナリー・カンパニーは社会的に尊敬を集める素晴らしい企業だが、働き手が”働きやすい”かどうかは、その人によって違う」ということです。

これは”第6章:カルトのような文化”に以下の通りに書かれております。
『ビジョナリー・カンパニーは自分たちの性格、存在意義、達成すべきことをはっきりさせているので、自社の厳しい基準に合わない社員や合わせようとしない社員が働ける余地は少なくなる傾向がある。(本書より)』

この文章を読んだとき、私はビジョナリー・カンパニーに取り上げられているとある外資系企業を思い出し、「確かにがの傾向にあるな」を思ったのでした。

「ビジョナリー・カンパニー」を読んで、企業というものについていろいろと考えさせられる点が多かったです。ロングセラーの本というのもうなずけます。

しかし、本書は内容が濃く、このブログの中では伝えきれないものがいっぱいあります。(今回もかなり長文になってしまいましたが、まだまだ書き足りないくらいです。)

企業というものを考えるにあたって、一度は読んでみていただきたい一冊です。


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posted by まなたけ(@manatake_o) at 15:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ビジョナリー・カンパニー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月20日

ビジョナリー・カンパニー(ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス著)(前編)


1)本の内容
・第1章:最高のなかの最高
・第2章:時を告げるのではなく、時計をつくる
・第3章:利益を超えて
・第4章:基本理念を維持し、進歩を促す
・第5章:社運をかけた大胆な目標
・第6章:カルトのような文化
・第7章:大量のものを試して、
     うまくいったものを残す
・第8章:生え抜きの経営陣
・第9章:決して満足しない
・第10章:はじまりの終わり

2)この本から学んだこと
・ビジョナリー・カンパニーとは今まで思っていた
 ”神話”とは全くかけ離れた企業である
・ビジョナリー・カンパニーとは自ら作り上げた
 ”基本理念”を持ち、維持するためにたゆまぬ
 努力をする企業である
・ビジョナリー・カンパニーとは”基本理念”を
 継続できる「卓越した組織力」を構築した企業
 である

ビジョナリー・カンパニーはビジネス書としても隠れたベストセラーとして注目を集めているシリーズです。近年は2010年7月に”ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階”が出版されました。

ビジョナリー・カンパニーはシリーズとしてこれまで3冊出版されておりますが、今回紹介する”ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則”はビジョナリー・カンパニーシリーズの中で1995年に出版されたシリーズの一番最初の本になります。

今回は第1章〜第4章を中心にレビューをしたいと思います。

本書ではどのような企業を”ビジョナリー・カンパニー”としてとりあげられているのでしょうか?
本書では”ビジョナリー・カンパニー”と”比較対象企業”を取り上げております。

   (例1)ビジョナリー・カンパニー:3M
       比較対象企業:ノートン
   (例2)ビジョナリー・カンパニー:GE
       比較対象企業:ウエスチンハウス
   (例3)ビジョナリー・カンパニー:ソニー
       比較対象企業:ケンウッド
    ※日本企業ではソニーのみ。

ビジョナリー・カンパニーはどのような企業でしょうか?
本書では以下の定義をしております。
 ・業界で卓越した企業
 ・広く尊敬されている
 ・この世界に消えることのない足跡を残している
 ・五十年を超える歴史がある
 ・CEOが世代交代している
 ・製品やサービスのライフ・サイクルをいくつか繰り返している

本書では、まずはMBAなどで「成功企業の大きな要因」とされてきた以下の12の神話を打ち消すところから始まります。

神話1:すばらしい会社をはじめるには、すばらしいアイデアが必要である。
⇒ 具体的なアイデアは全くない。しかしウサギとカメのようにスタートでは
  出遅れるが長距離レースで勝っている。

神話2:ビジョナリーカンパニーには、ビジョンを持った偉大なカリスマ的な
  指導者が必要である。
⇒ 特に注目を集めるようなカリスマ的指導者はいない。

神話3:とくに成功している企業は、利益の追求を最大の目的としている。
⇒ 株主とか利益は目的にも原動力にもしていない。しかし結果として利益を
  上げることに成功している。

神話4:ビジョナリーカンパニーには、共通した「正しい」基本的価値観がある。
⇒ 基本的価値観に「正解」と言えるものはない。理念の内容ではなく、いかに
  深く一貫として信じているかがポイントである。

神話5:変わらない点は、変わり続けることだけである。
⇒ 基本的価値観は揺るぎなく、時代の流れや流行に左右されることはない。

神話6:優良企業は危険をおかさない。
⇒ 社運を賭けた大胆な目標に挑んでいる。

神話7:ビジョナリーカンパニーは、だれにとってもすばらしい職場である。
⇒ ぴったりと合う者にとっては素晴らしい職場だが、そうでない者はばい菌の
  ように追い払われるカルトのような職場である。

神話8:大きく成功している企業は、綿密で複雑な戦略を立てて、最善の動きをとる。
⇒ 試行錯誤、臨機応変に大量のものを試し、偶然うまくいったものを残している。

神話9:根本的な変化を促すには、社外からCEOを迎えるべきだ。
⇒ まったくその逆で経営陣は生え抜きである。

神話10:もっとも成功している企業は、競争に勝つことを第一に考えている。
⇒ 自らに勝つことを第一に考えている。

神話11:二つの相反することは、同時に獲得することはできない。
⇒ どちらが良いかという二者択一のORを拒否しANDの才能を大切にしている。

神話12:ビジョナリーカンパニーになるのは主に、経営者が先見的な発言を
   しているからだ。
⇒ 経営理念が明確なことはほんの第一歩である。すみずみまで行き渡っており、
  代々引き継がれている。

どうですか?上記の神話を見ていると「ビジョナリー・カンパニーは上記の神話を満たす企業だ」と思いませんか?本書に書かれている内容を見ると「ビジョナリー・カンパニーは実際には上記神話を打ち消す企業」ということです。

例えば「神話9:根本的な変化を促すには、社外からCEOを迎えるべきだ。」という点。
この本が出版された1995年時点でビジョナリー・カンパニーでCEOを社外から迎え入れたのはウォルト・ディズニーとIBMのみです。あのジャック・ウェルチもGEの生え抜きです。

こうしてみると「今まで神話にあった内容が素晴らしい企業の条件でない」ということが本書では示されております。

では、”ビジョナリー・カンパニーにとって重要なもの”は何か!?

それは
 ・企業としての理念を持ち、その理念が本物であり、企業がその理念を貫き通す
 ・企業としての基本理念は変わらずに進歩を促し続ける
ことです。

そして、ビジョナリー・カンパニーは
 ・理念を継続的に貫き通すために、卓越した組織を作り上げた企業
 (本書では”時計をつくる”と表現)
ということを本書では強調しております。

では、ビジョナリー・カンパニーは
 ・理念をどのように掲げていったのか?
 ・ターニングポイントはどこにあったのか?
 ・比較対象企業との違いはどこにあったのか?
など、次回はビジョナリー・カンパニーの詳細を見てみたいと思います。


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