ビジョナリー・カンパニー (3): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2011年02月17日

ビジョナリー・ピープル(ジェリー・ポラス/スチュワート・エメリー/マーク・トンプソン著)(その1)




今回は『ビジョナリー・ピープル』を取り上げます。


そもそも”ビジョナリー・ピープル”とは何か?
本書では「新しい時代を切り拓き、世界に衝撃を与え続ける人々」という意味で使われております。『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』の表現を使うならば”時計を作る人”です。

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』の著者であるジェリー・ポラス氏をはじめとする3人の著者が、なぜ
ビジョナリー・ピープル』を描いたのか?それは、序章にある以下の言葉に表れております。

「自分とはいったい誰なのか。どんな意味を背負っているのか。目的は何か。この混沌とした先の見えない世界で、どのように自分なりの意識を維持していけばよいのか。自らの生活や仕事にどのようにして意味を与えればよいのか。どうすれば、常に新しい自分を生み出し、情熱を燃やし続け、懸命に生きる自分でいられるのだろうか」(本書より)

「自分とはいったい誰なのか。どんな意味を背負っているのか。目的は何か。・・・・」という問いは、誰しも思う疑問です。

この問いに対し、先日、レビュー記事を書いた『創造と変革の志士たちへ』の著者であるグロービス経営大学院学長の堀義人さんは以下のように述べております。

「どんな職業であっても、必ず社会に貢献しているものである。その職業の中身がどのように社会に役立っているのか。そして、その恩恵を受けている方々の喜ぶ姿を思い浮かべることができると、至上の喜びを得られることがある。
 もしかしたら、その役割こそが、自分の任務かもしれない。その任務をもう少し拡張して考えていくと、もっと大きな社会貢献ができるかもしれない。そこに自分の成長を組み込み、自己実現欲求を満たすことができ、しかも人生をかけてその仕事をしてもいいと思えるならば、その役割は、自分の任務である可能性が高いのである。」
(『創造と変革の志士たちへ』より抜粋)

私がこの本を手に取ったのは、先の問いに対し「『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』の著者はどのような結論を導いているのだろうか?」...著者の回答に興味をもったのはこのことからです。

本書は世界中の200人以上のインタビューをもとに見えてきた「ビジョナリー・ピープルとは何か?」と教示する内容となっております。(このあたりは『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』と同じ手法をとっています)

インタビューを通じて見えてきたビジョナリー・ピープルの本質的な3要素が
 ・意義
 ・行動スタイル
 ・思考スタイル

であり、この3要素の整合性がとれたときこそ、ビジョナリー・ピープルは成功し続けることができるとしております。そして、ビジョナリー・ピープルの根底には「仕事そのものが楽しい」という気持ちがあります。

では、この3要素(”意義”、”行動スタイル”、”思考スタイル”)とは具体的にどのような内容なのか?

これについては、今後3回にわたり、記事を書いていきたいと思います。



ビジョナリー・ピープル

1)本の内容
・序章:ビジョナリー・カンパニーから、ビジョナリー・ピープルへ
・第1章:改めて成功を定義する

PART1 意義 −彼らは、なぜ成功し続けられるのか
・第2章:情熱と意義を追求する
・第3章:情熱はひとつだけではない
・第4章:誠実な姿勢をつらぬく

PART2 思考スタイル −究極の変身は頭の中から始まる
・第5章:静かな叫びに耳を傾ける
・第6章:カリスマは大義に宿る
・第7章:失敗を糧にする
・第8章:弱点を受け入れる

PART3 行動スタイル −生きがいのある人生を紡ぐ
・第9章:思いがけない幸運に備える
・第10章:論争を盛り上げる
・第11章:すべてを終結させる

2)この本から学んだこと
・ビジョナリー・ピープルとは「新しい時代を切り拓き、世界に衝撃を与え続ける人々」である
・ビジョナリー・ピープルが成功をし続けるのは以下の本質的な3要素の整合性が取れた時である。
  ・意義
  ・行動スタイル
  ・思考スタイル
・ビジョナリー・ピープルの根底には「仕事そのものが楽しい」という気持ちがある



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2010年12月16日

ビジョナリー・カンパニー2(ジェームズ・C・コリンズ)(後編)


1)本の内容(取り上げた内容)
・第7章:新技術にふりまわされない
     −促進剤としての技術−
・第8章:劇的な転換はゆっくり進む
     −弾み車と悪循環−
・第9章:ビジョナリー・カンパニーへの道

2)この本から学んだこと
・偉大な企業は新しい技術に振り回されない
・偉大な企業は”針鼠の原則”に基づき、ゆっくりと
 変わってきた
・BHAGには”良いBHAG”と”悪いBHAG”がある

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則』も今回でいよいよ最終回。今回は第七章、第八章、第九章をとりあげます。

 今回のシリーズの冒頭で「キーワードは第五水準のリーダーシップ」と書きましたが、本書を読み進めていくうちに、もう一つのキーワードが出てまいりました。それは中編で取り上げた針鼠の概念です。この言葉が本書の中間から後半にかけ、重要な意味を持ってきます。

 それは、今回取り上げる第7章、第8章、第9章においても同様です。

 本書で取り上げられている企業は針鼠の概念に基づき行動しております。

 それは新技術が登場したときも同様であり、「まず、自社にどのように適用すればよいのか?」ということを見極めたうえで適用し、飛躍をもたらしています。
 その一つの例が”ジレット”。カミソリ刃のメーカーとして日本でもおなじみの企業です。
 この企業は「レーザー溶接技術を髭剃り製品の大量生産に応用(本書より)」し、現在の地位を築いています。しかし、ここで紹介した技術は「通常、心臓用ペースメーカーなど、高度で高価な製品に使われているもの(本書より)」です。このように偉大な企業は”針鼠の概念”に相当する部分に対し投資し、高い技術を利用してまいりました。

 では、技術はこれら偉大な企業の飛躍の要因になったのかというと、確かに技術は成長の促進剤になったのは確かではありますが、決定的な要因かと言うと決してそうではありません。
 比較企業の中にも偉大な企業と技術的に比較しても負けず劣らずのところが多いのも事実です。決定的な要因となったのは何か?それは”経営の規律”であり、”高い理想を純粋に追い求める気持ち”です。それに対し、本書で凡庸な企業と評されている企業は”取り残されることへの恐怖”が先に出てしまい、道を見失って失速するケースが多いように感じました。

 しかし、このような”高い理想を追い求める企業”であるからこそ、花開くまでの道のりが長いものです。本書ではこれを”劇的な転換はゆっくり進む”と題しております。
 
 前回とりあげた”スコット・ペーパー”と”キンバリー・クラーク”の事例。
 ”プロクター&ギャンブル”の紙製品市場への参入に真っ向から立ち向かった”キンバリー・クラーク”。当時、この決定に対する世間の評価は冷ややかなものでした。「なんと馬鹿げたことをかんがえるのだろう」と...
 それから「あの決定は賢明な考えだった」と世間の評価が変わるまで、どれくらいの期間が必要だったのでしょうか?なんと21年です。
 その間何か特別なことをやっていたのでしょうか?「何か特別なことをやっているという感覚すらなかった(本書より)」ということでした。ただ純粋に理想を追い求めていただけなのでしょう。
 そして準備段階を経て、一気に突破段階へと移行していき、ブレイクしたのではないでしょうか?

 最後にBHAGについて取り上げます。
 BHAGは本書の前著である”ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則”の中で「ビジョナリー・カンパニーが取り入れていた要因」として紹介されております。
 しかし、本書の中ではBHAGについて、少しとらえ方が変わってきております。それは「BHAGには良いBHAGと悪いBHAGがある」ということです。BHAGが全て良いというわけではないということです。

 ではそれぞれの違いは何か?「良いBHAGは”針鼠の概念”から作られたものであり、理解によって設定されている。それに対し、悪いBHAGは”虚勢によって設定されたもの”である」ということです。

 私はこの中で”虚勢”という言葉に引っかかりました。”虚勢”という言葉が指すものは「自己の名誉」なのか?「名声」なのか?それとも別のものなのか?いずれにせよ「”偉大さ”とは別のもの」であることは確かなようです。

 では”偉大さ”とは何か?この本を読んだ中ではピンときた答えは見つかりませんでした。
 ”偉大さ”とは、「理想を追求した結果に与えられるもの」なのかなという思いがしてはおりますが、私のはるか上のレベルの話のためか「今の自分にはピンときていない」のが実際のところです。
このあたりは、今後、もう少し追及をしていきたいと思います。

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則


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posted by まなたけ(@manatake_o) at 17:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | ビジョナリー・カンパニー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月15日

ビジョナリー・カンパニー2(ジェームズ・C・コリンズ)(中編)


1)本の内容(取り上げた内容)
・第4章:最後にはかならず勝つ
     −厳しい現実を直視する−
・第5章:単純明快な戦略
     −針鼠の概念−
・第6章:人ではなく、システムを管理する
     −規律の文化−

2)この本から学んだこと
・偉大な企業は厳しい現実を直視し、対応した
 歴史を持つ
・偉大な企業は”針鼠の原則”を徹底的に守って
 きた

今回は”第4章”、”第5章”、”第6章”を取り上げます。

飛躍した企業は「厳しい現実に直視し、見直してきた」という事実があります。そして「厳しい現実のなかで勝利への確信を失わなかった」という意思をもっておりました。

本書の中で取り上げられているのは”スコット・ペーパー”と”キンバリー・クラーク”の事例。
”キンバリー・クラーク”は”クリネックス”の名称でティッシュペーパーが知られる消費者向け紙製品メーカーです。
 1960年代に市場トップだったのは”スコット・ペーパー”。しかし、1960年代後半になると状況が変わってまいります。日本でもおなじみの”プロクター&ギャンブル”の紙製品市場への参入です。これに対する両者の対応は全く違ったものでした。

 ”スコット・ペーパー”は”プロクター&ギャンブル”との競争を避けて守りの姿勢をとり、多角化への道を探り始めたのでした。

 一方の”キンバリー・クラーク”は”プロクター&ギャンブル”との戦いを機会ととらえ、挑んだのでした。そのときの”キンバリー・クラーク”の逸話が本書には書かれております。
 『社内のある会議で、ダーウィン・スミスが立ち上がり、こう切り出した。「全員立ち上がって、黙祷してほしい」。みな、何があったのかと周囲を見回し、なぜ黙祷するのかといぶかった。だれかが死んだのだろうか。一瞬ためらった後、全員が立ち上がって自分の靴を眺めて黙祷した。しばしの間をおいて、スミスは顔をあげ、重々しい口調で語った。「いまのはプロクター&ギャンブルへの黙祷だ」。全員が沸き立った。』(本書より)
 この逸話を読んだとき、どのように思ったでしょうか?私は気力がわきました。

 結局どうなったのか?”

 ”キンバリー・クラーク”は世界的なメーカーとして、そして”プロクター&ギャンブル”のライバルとして君臨しております。
 一方の”スコット・ペーパー”はどうなったのか?1995年に”キンバリー・クラーク”に吸収合併されてしまいます。
 
 上記の例を見ても分かるとおり、厳しい現実に直面したとき、偉大な企業は強くなり士気が高くなるが、現実を避けた企業は弱くなり、士気が落ちてしまったのです。

 ところで、偉大な企業はどのような概念の戦略をとったのでしょうか?
 いたって簡単な概念です。本書では、針鼠の概念として紹介されております。

 針鼠の概念は、以下の3つの部分が重なり合う部分を指します。

【針鼠の概念】
1.自社が世界一になれる部分はどこか?
2.経済的原動力になるのは何か?
3.情熱をもって取り組めるのは何か?

 そして、偉大な企業は針鼠の概念を守るために規律を設け、針鼠の概念に合わないものはやらないという原則を徹底して守ってきたのでした。

次回は『ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則』の最終回、第七章、第八章、第九章をとりあげます。

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則


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