ビジョナリー・カンパニー: ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2011年03月13日

ビジョナリーカンパニー3(ジェームズ・C・コリンズ著)(その3)




今回も前回に引き続き『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』を取り上げます。

今回でこのシリーズも終わりとなります。


今回は”衰退の五段階”のうち、第四段階〜第五段階、そして希望について、事例を交えて見てみたいと思います。


【衰退の5段階】※本書より抜粋
 第四段階 一発逆転策の追及
  ・一発逆転策にすがろうとする
   (カリスマ的な指導者、大胆だが実績のない戦略、劇的な企業文化の変革など)
   ⇒当初は業績が良くなったように見えるが、長続きしない

 第五段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅
  ・財務力が衰え、士気が低下し、経営者は偉大な将来を築く望みを全て放棄する


 第四段階の対応の例として本書で比較しているのが、ヒューレッド・パッカードとIBMです。

 ヒューレッド・パッカードは1999年、ちょうどインターネットバブルの中、期待されていた収益をあげられない状況いありました。当時のCEOだったルー・プラットの辞任後、後任のCEOとして就任したのが、カーリー・フィオリーナでした。
 カーリー・フィオリーナは、当時、ルーセント・テクノロジーズの幹部。そして、「実業界でとにかくパワフルな女性」として知られていました。

 就任後、就任直後、各種マスコミのインタビューに応え、力強いメッセージを発して社内を鼓舞しました。彼女はマーケティング的興奮とリーダーシップによって局面を打開しようとしたのです。

彼女の本書に載っていた戦略の言葉で印象的なものは以下のものです。

 「リーダーシップはパフォーマンスだ」

 具体的な施策では、事業の売却、そして買収による事業再構築です。その中で今でも印象に残っているのは「コンパックの買収」です。

 しかし、彼女の奮闘はむなしく、2002年には株式公開から45年で初めて赤字となり、そして、2005年に解任されてしまいました。


 これに対極的な施策をとったのはIBMです。

 IBMは1993年に経営危機に陥りました。そのときCEOに招聘したのがガースナーです。

 ガースナーは就任直後、足元を固める堅実な方法を取りました。そして、「既存の強みを活かす」ことを基本として「大量の定量分析」を行いました。IBMの状況を完全に理解するのに3ヶ月間かけております。そして、その上で施策を打っています。

 ガースナーの基本施策は以下の通りです。

 ・適切な人材を主要なポストに配置する
 ・IBMの状況を理解し、その後にビジョンや戦略を決める


 この規律ある姿勢がIBMを再生していったのです。


 この事例を見ると、大事になるのが「特効薬を探すのではなく、原点に立ち戻ること。そして規律ある姿勢」ということだと分かります。遠回りに見えても、それが再生につながるのだと本書で指摘しております。

 
 最後に、本書に書かれていた以下の言葉で締めたいと思います。

「失敗とは外的な状態ではなく、心の状態である。成功とは、倒れても倒れても起き上がる動きを果てしなく続けることである。」
ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』より。


ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階

1)本の内容
・第一章:静かに忍び寄る危機
・第二章:衰退の五段階
・第三章:第一段階 成功から生まれる傲慢
・第四章:第二段階 規律なき拡大路線
・第五章:第三段階 リスクと問題の否認
・第六章:第四段階 一発逆転の要求
・第七章:第五段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅
・第八章:充分に根拠のある希望

2)この本から学んだこと
・一発逆転策に頼らない。
・遠回りに見えても、原点に立ち戻り、主要なポストに適材を人材を配置して行動する。
・失敗とは心の状態である。成功は何度でも立ち上がる動きを続けることである。



本書のキーワードをFreeMindでマインドマップにまとめました。
ビジョナリーカンパニー3.png
また、以下のリンクをクリックすると、拡大表示されます。
ビジョナリーカンパニー3.html

ブログランキングに参加しております。よろしかったらクリックをお願いいたします。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

レビュープラスもどうぞ!!





posted by まなたけ(@manatake_o) at 17:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ビジョナリー・カンパニー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月09日

ビジョナリーカンパニー3(ジェームズ・C・コリンズ著)(その2)




今回も前回に引き続き『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』を取り上げます。


今回は”衰退の五段階”のうち、第一段階〜第三段階について、事例を交えて見てみたいと思います。


【衰退の5段階】※本書より抜粋
 第一段階 成功から生まれる傲慢
・傲慢になり、成功を続けるのは自分達の当然の権利かのように考える
・成功をもたらした基礎的要因を見失う

 第二段階 規律なき拡大路線
・規律ある想像性から逸脱し、偉大な業績をあげられない分野に規律なき形で進出する
・卓越性を維持しながら達成できる以上のペースで成長する
・この両者を同時に行う

 第三段階 リスクと問題の否認
  ・悪いデータを小さく見せ、良いデータを強調し、曖昧なデータは良く解釈する
  ・議論は低調になるか、まったく見られなくなる
  ・リスクを取ったときの結果を考えずに行動する

 
 本書にあがっている例として、”サーキット・シティ”を取り上げます。

 サーキット・シティは大型家電量販店として成功し、1995年頃には年20%以上の成長を続けるのです。しかし、どの市場においても永続的な成長というのはあり得ず、いずれ市場は成熟状態になります。このため、新たな成長のため、「新しい市場の開拓」を行うことになります。

 サーキット・シティも例外ではありません。しかし、CEOの「じっとしていて、自分の事業が競争に圧倒されるのを待つつもりはない」と、自動車販売、金融分野進出など異業種に進出し、多角化を行っていきます。

 そして、1998年にウォール・ストリート・トランスクリプトのインタビューのとき、インタビュアーは「投資家がサーキット・シティについて心配すべき点は何か」と質問したとき、CEOはこう答えております。

 「投資家は当社の経営能力にまったく安心していられる」(本書より)と...

 しかし、多角化は失敗。そして、ライバルのベスト・バイに2001年に売上を抜かれ、その後はジリ貧状態となります。

 そして2008年11月にサーキット・シティは破産法の適用を受けることになります。


 この教訓は何を教えてくれるのか?

 本書では、以下の2点を指摘しております。

 ・1990年代後半にはベスト・バイの脅威をきちんと認識していない
 ・創造力を新規事業に振り向けるようになり、本業を改善する努力を怠るようになる



 本書を読んで思ったことは「新規事業に進出している方が見栄えがよく見えるが実際は逆で、原点を忘れず、本業を絶えず改善している企業が成長している」という事実です。また、「小さな実験を繰り返さず、いきなり新規事業を開始させるのは企業の体力を奪い、いずれ転落する」ということも感じました。


 本書を読むと「なぜ、この会社は失敗したのか?そして、成功した企業はなぜ成功したのか?」という点が見えてきます。そのため、『ビジョナリーカンパニーシリーズは名著』といわれる所以なのでしょう。

次回は、第四段階、第五段階、そして再生と回復を、もう少し詳細に見ていきたいと思います。

最後に、本書に書かれていた以下の言葉で締めたいと思います。

「衰退の各段階をみていく旅のなかでは、さあまざまな形の傲慢にぶつかることになる。世界一になれない分野への規律なき進出という形の傲慢さにぶつかる。卓越性を維持しながら達成できる以上の成長を追及するという形の傲慢さにぶつかる。矛盾しあったデータやみずからの誤りを示す事実を無視して大胆で高リスクの決定を行うという形の傲慢さにぶつかる。外部からの脅威や内部の堕落のために企業が危険な状態になりうる可能性すら否定するという形の傲慢さにぶつかる。そして
、とりわけ危険な形の傲慢さとして、傲慢な無視にぶつかる」

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』より


ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階

1)本の内容
・第一章:静かに忍び寄る危機
・第二章:衰退の五段階
・第三章:第一段階 成功から生まれる傲慢
・第四章:第二段階 規律なき拡大路線
・第五章:第三段階 リスクと問題の否認
・第六章:第四段階 一発逆転の要求
・第七章:第五段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅
・第八章:充分に根拠のある希望

2)この本から学んだこと
・最初の危機は”成功ゆえの傲慢”から生まれる
・企業の卓越性を維持する以上の成長を求め始めたとき、衰退への道が始まる
・とりわけ危険な傲慢は”傲慢さの無視”という傲慢である



ブログランキングに参加しております。よろしかったらクリックをお願いいたします。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

レビュープラスもどうぞ!!





posted by まなたけ(@manatake_o) at 22:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ビジョナリー・カンパニー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月07日

ビジョナリーカンパニー3(ジェームズ・C・コリンズ著)(その1)




今回は『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』を取り上げます。


ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』は、これまでのビジョナリーカンパニーシリーズとは趣きが異なり、「偉大と称された企業が、なぜ没落したのか?」ということをテーマに扱っております。そして、没落した企業の中には、かつて『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』で”偉大な企業”と称された企業も含まれております。


調査方法は、基本的には『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』や『ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則』と同じで、「対象となる企業と比較対象企業との比較」により調査を行っております。ただし、今回の調査で導きだそうとする内容は「成功企業と衰退企業の違いを通して学べる点は何か?」(本書より)ということです。

その結果、衰退企業は以下の5段階を経て衰退し、最後は倒産、身売り、もしくは凡庸な企業になってしまったとしております。

その5段階というのは以下の通りです。

【衰退の5段階】※本書より抜粋
 第一段階 成功から生まれる傲慢
  ・傲慢になり、成功を続けるのは自分達の当然の権利かのように考える
  ・成功をもたらした基礎的要因を見失う

 第二段階 規律なき拡大路線
  ・規律ある想像性から逸脱し、偉大な業績をあげられない分野に規律なき形で
   進出する
  ・卓越性を維持しながら達成できる以上のペースで成長する
  ・この両者を同時に行う

 第三段階 リスクと問題の否認
  ・悪いデータを小さく見せ、良いデータを強調し、曖昧なデータは良く解釈する
  ・議論は低調になるか、まったく見られなくなる
  ・リスクを取ったときの結果を考えずに行動する
 
 第四段階 一発逆転策の追及
  ・一発逆転策にすがろうとする
   (カリスマ的な指導者、大胆だが実績のない戦略、劇的な企業文化の変革など)
   ⇒当初は業績が良くなったように見えるが、長続きしない

 第五段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅
  ・財務力が衰え、士気が低下し、経営者は偉大な将来を築く望みを全て放棄する


この流れを見ると「日本でも、かつて優良企業と評された企業においても当てはまる例は多いのではないか?」と思えてしまいます。

私がこの流れを見て、まず思ったのが「かつて栄華を誇った”銀行”」です。

例えば、”長銀”や”日債銀”といった銀行は、かつて誰もが羨むエリート銀行でした。しかし、バブル崩壊後、自律を失い、低迷し、そして外資に買い取られていきました。しかし、これらの銀行も、バブル時代は「土地さえあれば”ジャブジャブ貸し付け”をしていた」状況でした。こうしてみると、崩壊の第一歩は”栄華を誇ったバブル時代”にあったのかもしれません。上記の段階で見ると、「バブル時代が”崩壊への第一段階”」と言えると思います。

こうしてみると、「”かつて栄華を誇った企業がなぜ崩壊したのか”を上記の段階で見ることができるのではないか?」、そして「上記の階段を踏んでいる企業は、今どの段階におり、そこから脱出するにはどうすればよいのか?」という”反面教師”として使えるのではないか?と思いました。

次回は、第一段階から第三段階を、もう少し詳細に見ていきたいと思います。


今回の最後は、本書に書かれていた以下の言葉で締めたいと思います。

「組織は外形をみれば強力だと思えても、内部では病が進行していて、急速な衰退に向かう瀬戸際の危うい状態になっている場合がある」
(『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』より抜粋)


ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階

1)本の内容
・第一章:静かに忍び寄る危機
・第二章:衰退の五段階
・第三章:第一段階 成功から生まれる傲慢
・第四章:第二段階 規律なき拡大路線
・第五章:第三段階 リスクと問題の否認
・第六章:第四段階 一発逆転の要求
・第七章:第五段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅
・第八章:充分に根拠のある希望

2)この本から学んだこと
・ビジョナリーカンパニーでも衰退の危機が訪れる
・衰退は五段階のステップを踏む
・最初の危機は”成功ゆえの傲慢”から生まれる



ブログランキングに参加しております。よろしかったらクリックをお願いいたします。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

レビュープラスもどうぞ!!





posted by まなたけ(@manatake_o) at 22:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | ビジョナリー・カンパニー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。