人材育成: ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2014年03月02日

「自分の力で稼げる食える部下」を育てる!これが花まる流の部下の育て方!『部下は徹底的に可愛がれ! 花まる流! 稼げる部下の育て方』(高濱正伸著)



※献本ありがとうございます

本書部下は徹底的に可愛がれ! 花まる流! 稼げる部下の育て方は部下育成について書かれた本だ。著者の高濱正伸さんは、人気学習教室「花まる学習会」の代表。会社が個人商店からチームへ変貌する中で、会社を支える部下の力があったからこそ成長を遂げることができたと本書の「はじめに」にて述べている。成長を支えてくれた部下をどのように育成してきたのか?「花まる流部下育成法」とも言うべき独自のノウハウが本書に書かれている。

本書のテーマを一言でいうと、
・「自分の力で稼げる部下」を育てる
である。

一般的に「会社の売上の8割は、2割の優秀な社員によってつくられる」と言われている。逆の言い方をすると、「会社の売上の2割しか稼げない」となる。会社の8割の社員が売上全体の2割しか稼げないとなると、一人ひとりを売上ベースで給料がきまるという独立採算のシステムで考えた場合、「8割の売上を上げている2割の社員は食っていけるが、2割の売上しかあげていない8割の社員は食っていけない」ということになる。だが、会社としてはそれでは困る。会社としては売上をあげて利益を稼がなくては企業として成り立たなくなる。著者の根底には「自分たちの食い扶持は自分たちで稼がなければいけない」(本書より P25)という考え方があり、「残り8割の人にも自分たちの食い扶持を稼いでもらわないといけない」という思いをもっている。そして、著者はそれを目指して部下の育成・指導に取り組んできた。

 部下が育たないのは、ある種「時代的な病」・・・・・・。
 そうは言っても、売上をあげて利益を稼がなければ企業としては成り立ちません。自分たちの食い扶持は自分たちで稼がなければいけないのです。
 20年前、私が「花まる学習会」を設立したとき、「メシが食える力をつける」「メシが食える大人にする」ことが教育・指導理念として考えました。
 この「メシが食える」という言葉の重みは、今の時代、ますます大きくなってきているのかもしれません。
「メシが食える」とは、一人の大人として経済的、精神的に自立・自活して生活できるということ。
 しかし、世の中を見渡すと、本当の意味でメシが食える大人は少なくなっているのではないでしょうか。
 単に売上をあげる、利益をあげるという金銭的な意味での「稼げる人」ということだけではないのです。自分の頭で考えられること、自立していること、人としての強さをもっていること−こういう力こそが欠かせないのです。
 私は、部下たちにもそういう力を身につけて欲しいと思い、育成・指導に取り組んできたつもりです。
 誰かに指示されたことをやればいいという時代は終わりました。これから先は、自分で考え、思考錯誤し、道を切り開いていける人、自分の食い扶持は自分で稼げる人、「一人でメシが食える人」でなければ生き残っていけない時代です。
 そういう力をもった人がどれだけいるかで企業の力が決まる。そういっても過言ではないと思います。
(本書より P25〜P26)


そんな「花まる流部下育成法」の骨子は以下の2点である。
・可愛がる
・育てるしくみをつくる


最初に記載した「可愛がる」は、「部下を可愛がること、それがあなたの仕事です」(本書より P44)と言い切るほど根幹をなしている。しかし、当然のことながら「可愛がる」といっても「甘やかす」という意味ではない。むしろ本書の内容は「愛のムチ」とも言っていいほど一言ひとことが厳しい。それは「徹底的に鍛え上げる」と言ってもよい。それは本書の第4章「花まる流!よくある悩みの処方箋」の回答を見てもよく分かる。

Q:新人じゃないのに、ここまでいわなければいけないの?
A:「こんなことも?」は「老化の兆候」。あなたの頭も柔らかく、柔らかく

Q:何を言っても動かない!危機感の足りない部下
A:危機感テイカは生命の危機。寝たきりになる前に「命の力」を引き出す体験をさせるべき

Q:「次は何をすればいいですか?」指示待ち部下
A:可愛い部下ほど旅させよ。「守るべきもの」があると部下は強くなる

Q:プライドの高くて素直に指導を受け入れてくれない
A:「ナメられちゃいけねえ」。時には不良少年のような覚悟を決めたタイマンを

先にも書いた通り、本書のテーマは「稼げる部下を育てる」ことである。それは、「稼ぐ力を身につける」ということは「生きる力を身につける」ということに言い換えてもよい。本書に書かれている以下の「花まる流!稼げる部下を育てる5つの基本」は、会社で生きていくためのヒントが書かれていると思う。

[その1]言葉にする力を伸ばす
[その2]可愛がれる力を教え込む
[その3]想い浮かべる力を鍛える
[その4]会社の常識、文化を徹底する
[その5]日々やる、習慣化させる



【本書のポイント】

■しくみがあれば「残念な人」も育つ

 世間では「2:6:2」といって、2割のデキる人たちが、残りの8割(6割:普通の人+2割:困った人)の分も稼ぐ、と言われていますが、当社では、他の会社には行ったら「残りの8割」に入ってしまうかもしれな人でも、楽しく、イキイキと働きながら、成果を残していると自負しています。
 学校の勉強ができる人でなくても、スキルや智識をもっていなくても、しっかり育つ。
 みんなで戦いながら、このようなしくみをつくりあげてきました。それは、自信をもって言えることです。
 部下が育たないのは、優秀じゃないから、スキルがないからではありません。
 もちろん、人に愛されるかどうか、可愛げがあるかどうかという基本条件は必要です。そのうえで、上司がどのように向き合うか、どのようなしくみで育てるか−「残念な人」が稼げる人になるか、それともずっと「残念」なままでいるかの違いは、そこにあるのです。
(本書より P40〜P42)


■部下を可愛がることが、あなたのはじめの仕事です

 部下をもつというのは、本当に大変な仕事です。
 基本的に、上司は部下を選べません。採用にノータッチの場合もあるでしょう、それなのに、どんな人が来ても(たとえ、アルマジロくんのような部下でも)、稼げる部下に育てることが求めれれているのですから。
 もちろん、「なんでこんなことまで・・・・・・」と腹が立つこともあると思います。人間ですから、そう思っても当然です。
 それでも、ここでハッキリと言います。
 部下を可愛がること、それがあなたの仕事です。
 これは、当社ではじめて部下をもつことになった社員に対して伝えていることです。単に自分の成果を追い求めればいいプレイヤーから、部下を育て、チームで成果を出す側に回ったら、まずこの姿勢・覚悟が欠かせません。
 たとえ腹が立っても、どれだけムカついても、です。
 この覚悟がなければ、今の時代、稼げる部下を育てるのは難しいと言ってもいい。私はそう考えます。
 だから、本当になんとかしたいと思うのなら、「部下は徹底的に可愛がろう」と、まずは覚悟を決めるべきです。それが稼げる部下を育てるためのスタートラインに立つということです。
(本書より P43〜P44)


■「言葉にすること」は「自分の頭で考えること」

 「言葉にする」とは、他人が言っていることや書かれていることをちゃんと理解してポイントをつかめるようになること。それから、自分の考えをわかりやすく相手に伝えることです。
 「そんなの簡単だ」「誰でもできる」と思うかもしれませんが、実際、圧倒的多数の人が身につけられていません。またたくできていないという人よりも、言語化が「甘い」人がとても多いのです。
「私は今〜だから困っている」と問題点がハッキリつかめた時には実はもうほぼ解決できている、というのは実際によくある話。一方で、何かに悩んでいる時、問題が解決しない時、たいていは言語化が甘いのです。
 また、自分の心と頭を通りぬけた自分だけの言葉ではなく、ありがちな枠組み・物の見方の中で、どこかで聞いたことがあるような「借りてきた言葉」を使っているうちは、問題の本当の姿は見えません。
 日々、生活し、仕事をする中で「ん?」と感じたことを、「それはどういうことなんだろう」「なぜそうなんだろう」と一つひとつ掘り下げて考えていく。これこそが、自分の頭で考えるということです。
 そして、自分の頭で考えたことを、他人に伝えられるように言葉にするのです。
 この言葉にする力ー感じて、考えて、言葉にする力−が身につくと「会った瞬間に認められる人」になります。一流の人、すごい人の言葉には重みがあります。ほんの短い言葉の中にも哲学があり、何を考えているのかがスッと入ってくる、知ったかぶりではなく信頼できる、説得力がある−それは、借りてきた言葉ではなく、本当に「自分の言葉」を話しているからです。
 自分の言葉か、虚勢を張った借りてきた言葉かは、一流の人ほど即座に見抜きます。
 仕事は、言葉と言葉でやりとりをすることです。言葉を使いこなす力がなければ、上にはいけません。
(本書より P52〜P54)


■基本がやり切れているかどうかが組織のレベルを決める

 以前、社内でこういう話をしたとき、ある管理職から
「自分ができていないことを、部下に言うのは、はばかれるのですが・・・・・・」
という相談を受けたことがありました。
 結論からいうと、上司自身がやれていないことでも、部下には堂々と言い切らなければいけません。どんな時でも、「ダメなものはダメ」と言い続けるのは上司の役割です。
 しかし、現実には、部下の側も上司の行動を見ているものです。だから、できていないことに対しては「○○課長だってやってないじゃん」と言われるでしょうし、説得力がないことも確かです。
「うまくいっている職場ほどあいさつがしっかりできている」
「整理整とんが行き届いている」
「受付にゴミが一つも落ちていない」
 そう言われますが、そういう基本中の基本、ルール、常識がどれだけ守られているかは、組織のレベルを決めるものではないでしょうか。
 もし上司の側がルールを守れていないのだとしたら、その組織は「その程度」なのです。
 また、こういう基本の”キ”にモレがなくなると、社内の文化が変わっていくものです。
(本書より P114〜P115)


【関連書籍】



部下は徹底的に可愛がれ! 花まる流! 稼げる部下の育て方

1)本書の内容
 
 はじめに
 第1章 部下は徹底的に可愛がれ!  稼げる部下を育てるために本当に必要なこと
 第2章 花まる流!稼げる部下を育てる5つの基本
 第3章 花まる流!稼げる部下を育てる勘どころ
 第4章 花まる流!よくある悩みの処方箋

2)本書から学んだこと
 ・「稼ぐ力」を身につけることは、「生きる力」を身につけることにつながる!
 ・「やる、試す、やりきる」のサイクルで物事に取り組む、取り組ませる!
 ・基本の”キ”にモレがなくなると、社内の文化は変わっていく!



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2013年09月16日

「核となるメッセージ」を「適切な言葉」で伝えたとき、成長を促すキッカケとなる!『部下を育てるリーダーのレトリック』(中竹竜二著)



「レトリック」
この言葉を目にしたとき、どんなイメージを持ったであろうか?

「言葉巧みに操っている」といった、ネガティブなイメージを持っている方が多いのではなかろうか?実は私もその一人である。そのため、今回取り上げた本書部下を育てる リーダーのレトリックの表題を読んだとき、「なぜレトリックという言葉をタイトルに用いたのだろう?」と思ってしまった。

しかし、それは本書のプロローグを読んだとき、自分の浅はかな考えだと気が付いた。本書のプロローグ「レトリックはリーダーの必須科目である」には以下のように書かれている。

 「レトリック(rhetoric)とは、古代ギリシアに始まった効果的な言語表現の技術であり、日本では「修辞学」と呼ばれる。歴史を振り返れば、皇帝、武将などが必ず学ぶ教養科目の1つであった。側近の部下はもちろん、時に民衆や一兵卒にもわかりやすく物事を伝え、納得させ、人を動かすことが重要だった彼らにとって、必須のスキルだったのである。
 しかし、近代には衰退し、今やレトリックという言葉は単に表現に技巧を凝らすこと、あるいはよりネガティブに、人を言葉で煙に巻くといった意味合いで使われることがある。ビジネスの現場では特に、「雄弁は銀、沈黙は金」「背中を見て学べ」というように、言葉を巧みに操り、語ることを軽視する傾向にある。むしろ、今やレトリックはリーダーの必須科目だと私は思う。
(本書より P4)


本書のタイトルになぜ「レトリック」という言葉を用いたのか?それは「言葉を尽くしてメンバーを納得させ、心と体を動かしていくのがリーダーの役割」(本書より P6)であり、そのことを象徴的に表す言葉が「レトリック」であるからだ。

「言葉を尽くしてメンバーを納得させ、心と体を動かしていくのがリーダーの役割」と先に書いたが、その重要性は我々の日常を考えると想像に難くない。

例えば、上司が「xxの件に関するレポートをまとめておいてくれ」とその一言だけで部下に指示をしたとする。部下は自分なりに解釈をし、作成をしたレポートを上司に提出した。しかし、上司はそのレポートに対して「俺が求めているものと違う!書き直し!」と作成したレポートを突き返してしまった.....一つの例としてあげたが、これに似たような光景はよくあると思う。

従来の組織では「そこまで言わなくても分かるだろう」という暗黙知がまかり通っていた。しかし、団塊の世代、バブル世代、氷河期世代とそれぞれが就職した時代の背景に伴い、また時を経るにつれ、価値観が多様化した。当然、世代間における考え方も違う。そのようなときであるからこそ「明確な言葉で伝えること」が必要とされる。特にリーダーにおいてはそのことが強く求められている。

本書は「自分の伝えたいことを整理し、飾り立ての言葉ではなく『適切な言葉』でメッセージとして部下に伝える」ためにはどうすればいいのか?を著者の経験を交えながら書かれた本である。いざ、「適切な言葉でメッセージを伝える」となると本当に難しい。その言葉がその状況において適切であるかどうか、また、他に適切な言葉はないだろうか?と真剣に考えないといけないからだ。そのため、本書に書かれている内容が必ずしも適切であるとは限らない。だが、「早稲田大学ラグビー部史上、最もオーラがない監督」と評されながらも同部を率いて2度の日本一に導いた著者が「助けてくれた」と言っているのが「言葉」であり「レトリック」である。恐らく、同部で監督として率いていたときは選手との対話の繰り返しであったであろう。最初は対話しても選手から反発があったものの、対話の繰り返しの中で自分の伝えたいことを「核となるメッセージ」として言葉を研ぎ澄ませ、何度も伝えることによってチームが形成され、大学日本一という結果になったのだと本書の文章から想像される。

また、著者は「フォロワーシップが大事」と常々言っているように、リーダーよりもその周りを支える人の重要性を説いている。そして、リーダーの役目は「周りの人を生かすこと」であるとも言っている。そのために必要なのが「部下に伝えたいメッセージ」であり「適切な言葉」である。そして、そのために「レトリック」という技術を磨く必要がある。このように書くと「言葉巧みに部下を操る」と思われるが、本書で伝えたいことはそういうことではない。相手と対話するなかで自分で考えるヒントを与え、放っておいても成長するためにはどうすればいいのか?それは相手の懐に入り、対話を通じて心が触れ合うなかで成長すると著者は述べている。著者の経験した状況から行なった対話が学生たちにどのように伝わったのか?本書を通じてそのことに触れることにより、「自分だけのレトリック」を生み出すヒントになるのではないかと思う。


【本書のポイント】


■苦手なことはやらなくていい

 部下がなかなか成長しない。頑張りが足りない。そんなふうに、フラストレーションを感じる上司は少なくないだろう。どんなに「頑張れ」と言ったところで、部下は簡単には変わらない。部下にしてみれば、すでに「十分頑張っている」と思う。だから、「頑張れ」という言葉は意味を持たない。それ以上どう頑張っていいのかわからない。そんな部下に、上司は新たな気づきを与える言葉をかけるべきだ。
 そもそも、部下に成長のきっかけを与えようとするとき、上司の側に「営業はこれ」「経理ならばこれ」「エンジニアだったらこう」というステレオタイプな「理想像」が刷り込まれてはいないだろうか。上司にそうした刷り込みがあると、部下もその期待に応えることが自分の務めだと思い込むようになる。
(中略)
「苦手なことはやらなくていい」。これが、部下を思い込みから解放する呪文になる。
 部下の成長を思えば、苦手なことを克服させようと思うのも親心には違いない。しかし、今の若者は「ゆとり」と言われる教育の中で、「個性の発揮」を常に求められてきた。いじめ問題の影響もあるかもしれない。人前で苦手なことをすることに、極端な拒否反応を示す人が上の世代より多いのは間違いない。
 「君が持つ『らしさ』、スタイルを生かして頑張れ」。そう激励するだけで、彼らは大きなストレスから解放され、ポシティブに仕事や役割に向かうようになる。
(本書より P20〜P23)



■瞬間の強みを成果に変えるのが上司の役割

 仕事でも、同じことが言えるはずだ。企画案を作るのは苦手だが、人脈やITを駆使した情報収集能力だけは、他の誰にも負けない。契約の詰めは甘いが、顧客の懐に入るのがうまい。会議での発言は少ないが、結論に導く大事な一言を発する−
 これらは組織にとっても、本人にとっても十分な強みになり得る。「具体的な成果に結びついていない」という反論もあるだろう。もちろん、ただ瞬間、瞬間の強みを見つけただけで成果にはなり得ない。それを成果に結びつけていくのが上司の役割だ。
(中略)
 ポイントを整理してみよう。
 上司の役割とは、まず「瞬間」を切り取って、強みを自覚させること。それには本人に「『俺ってイケてる』って思える瞬間は何か?」と問いかけること。そのうえで、仕事ぶりを振り返ってもらい、「その瞬間こそ、本当に自分の強みだ」と腹に落とすこと。
 「瞬間芸」に終わらせず、どうしたら成果に結びつけることができるのか、同じような強みを持つ人の活躍の例を探してきたり、その生かし方を一緒に考えたりすることも大事だ。そして、その強みを生かせるようなアサインをする。
 情報収集能力だけは、他の誰にも負けないという部下であれば、企画書がうまく作れる人と組ませ、プレゼン資料に落とす。部署全体のパフォーマンスは上がる。そして、ともに仕事をすれば、お互いのスキルを学び合い、それぞれが成長する。組織の力を最大化する掛け算の妙とは、部下一人ひとりの「瞬間芸」が見えてこそ実現できるものだ。
(本書より P30〜P31)



■スキルは「点」、スタイルは「線」

 仕事で突き抜けようと思ったとき、企画であれば情報収集のためのネットワークを作る、営業でセールストークを磨くといったスキルアップに目を奪われがちだ。しかし、現実にはスキル以上に習慣や基本的な立ち居振る舞いが大切だと私が思う。
 私はよくスキルは「点」であると説明している。点のスキルは、そのスキルが発揮できる瞬間にしか役に立たない。逆に第1章で問いた「スタイル」は「線」だ。スキルを含めた点が線で結ばれたとき、初めてどんな場面でも力を発揮できるようになる。
 言い換えれば、勝てる組織が持っているのは勝てるスタイルであり、成果が出せる人が持っているのも、成果が出せるスタイルだ。
「仕事のなかで突き抜けた成果を出そうと思ったとき、どんな考え方、習慣、振る舞いが大切なのかを考えよう」と部下を促すといい。「成果を出せる自分」は、どんなあいさつをするだろう。会議前にはどんな準備をするだろう。会議ではどんな発言をするだろう。似をしようということでは決してない。人によってスタイルは必ず異なる。
 おとなしいが、いつも礼儀正しく、人のことを気遣うコミュニケーションによって成績を伸ばす営業マンがいる。がむしゃらで言っていることはめちゃくちゃだけれど、人を巻き込んで面白いモノを作っていく企画マンもいる。個性はまったく異なるが、その人なりのスタイルを持っているのだ。
(中略)
 成果を出せる、その人らしい振る舞いをいかに引き出すか。それも上司の腕の見せどころである。
(本書より P100〜P101)



■ピカピカの才能はなくても、誰もが個性を持っている

 仕事でも、ピカピカの才能を持った人に出会うことがある。会議などをしていて、泉のように新しいアイデアが湧いてくる人。多くの人を巻き込み、行動に駆り立てるリーダーシップを持つ人。こうした人に会うと、一流のオーラに圧倒される。
 しかし、三流の人も確実に輝くことができる。一流の人のようなピカピカの才能ではないけれど、他の人にはない個性を必ず持っているからだ。その個性を生かすゴール設定をすれば、どんどん磨かれていく。
 爆発的には売れないけれど、コンスタントに売れる商品を開発しよう。絶対ミスをしない経理マンになろう−。現実的な目標設定の方法はいくらでもある。
 同じ部署のなかに一流のプレーヤーがいると、他の部下が「俺とあいつは出来が違うから」と腐ってしまうことがある。そんなとき、上司が「君も頑張ればあいつのように活躍できる」などと言っても無意味だ。部下それぞれの強みや個性を発見し、それに磨きをかけるストーリーを描くことが上司の役割である。
(本書より P143)



■未来の自分と話をしよう

 失敗を振り返る目的は、未来をいかによくするかを考えることにあるはずである。しかし、実際には「振り返り」というと、「ああすればよかった」「こうすればよかった」と過去にやってしまったことの回顧だけになりがちだ。これは最悪である。未来の話をするにしても「次はこうしたほうがいいよね」というレベルで止まっては、意味がない。そこに欠けているものは何か。未来のゴールと失敗した今をつなぐ視点である。
(中略)
 大口顧客を競合に取られた。そのとき、「ああすればよかった」「次はこうしよう」で終わらせてはいけない。もう一度顧客を取り戻す、別の顧客を獲得する自分をイメージさせ、そのために「今、何をすべきか」を明らかにする。そこまでして初めて、失敗を具体的な学びに落とし込むことができる。
(本書より P148〜P149)



■チャンスとピンチは解釈の違いだ

 競合に大きな仕事を取られてしまった。あと1週間で期末なのに、目標に対してまだ8割しか売り上げが立っていない−。
 こうした状況は、組織にとってピンチだと思うかもしれない。そして、メンバーが浮足立ったり、モチベーションを下げたり、ともするとパニックに陥って冷静さを書いたりしてしまうかもしれない。
 しかし、本当にピンチはピンチだろうか。
 サッカーのゴール前のフリーキック。守る側にとって明らかにはピンチなのに、ゴールキーパーが不敵な笑みを浮かべていることがある。その瞬間、「ああ、このキーパーはゴールを阻止するな」と思うとそうなる。見ている側にとってはピンチでも、彼にとっては決してピンチではないのだ。むしろ、ゲームのムードを変えるチャンスと思っているかもしれない。
(中略)
 競合に顧客を取られそうだ→競合を徹底的に研究するチャンスだ
 1週間であと1億円売らなければならない→商品とサービスを見直すチャンスだ。
 チャンスへの変えようはいくらでもある。「ピンチとチャンスは解釈の違いにすぎない」と部下を鼓舞することによって、モチベーションダウンや浮足だった空気を防ぐことができる。
(本書より P196〜P199)



【関連書籍】



部下を育てる リーダーのレトリック

1)本書の内容
 
 プロローグ レトリックはリーダーの必修科目である
 第1章 気づきを与える言葉
 第2章 部下の成長を促す言葉
 第3章 チーム力を高める言葉
 おわりに

2)本書から学んだこと
 ・「レトリック」はリーダーの必須科目!
 ・伝えたいメッセージを「適切な言葉」で発したとき、相手に”気づき”を与える!
 ・「自分だけのレトリックを生み出す」習慣をつくることが重要!



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2013年05月17日

女性の活用が、必ずやってくる大問題を克服するカギとなる!『女性を活用できる上司になる』(古川裕倫著)



本書女性を活用できる上司になるは、男性の著者が「女性活躍推進のためになすべきこと」を主に男性管理職に向けて書かれた本である。

著者の古川裕倫さんは、女性活躍推進ための教育などを行っている(株)Woomaxのエクゼクティブ・アドバイザーを務められている。いわば、その道のプロである。その著者が
・「男性管理職の心理」
・「女性活躍推進が必要な社会的な要因」
・「女性活躍推進の現状」
・「女性活躍推進に必要なこと」
・「家庭で必要なこと」
など、女性を活用に必要な要素を幅広く取り上げて書かれている。

私の中では、これまでの女性活躍推進に関連する本というと女性の著者が、女性の読者をメインターゲットにしたアドバイスや激励の内容で書かれた本が多い印象がある。

だが、現実を見ると、男性管理職が「女性社員に仕事を振るのは難しい」と感じている方が多いように思う。そのため、「女性活躍推進を進めるためには、男性管理職をいかに巻き込むか」がポイントになる。本書はそのことを意識して書かれた本と推察する。

では、なぜ今、女性活躍推進が必要なのか?
本書では大きな理由として2点あげている。

1)労働人口の減少が進む中、働き手を支えるためには女性の活用が必要不可欠
2)優秀な女性が多い中、活躍する機会が少ないのは社会的損失


特に1)については急速な高齢化が進むなか、また、日本の社会が成熟期迎えて女性の目線がより必要とされるなか、企業の成長を支えるためには女性の活躍が必要不可欠の要素となりつつある。

だが、そのような現状においても女性活躍推進が進まない業種や企業も多い。そのような企業に対して著者は「ただ、意識が低いだけです。自分のこととして考えずに、今それに取り組む必要性を認識していないだけです。」と厳しい言葉を投げ掛けている。「問題が顕在化してからでは遅い!やるなら今でしょ!」ということだ。

その一方で、女性に対しては「一生仕事を辞めない覚悟を持つ」ことを強調している。そして「人生設計の意味」を説きながら「志を大きく持ち、幸せに働いて欲しい」と語っている。厳しい言葉が書かれている箇所もあるが、「女性活躍推進を他人事に捉えず、ご自分の娘さんが将来会社で活躍できるような文化を醸成することにご協力いただきたいと思います」という言葉に表れているように、その心境は「娘を持つ親」の気持ちではなかろうか?

先の繰り返しになるが、少子高齢化の影響で生産労働人口の激減は必ずやってくる。いつまでも今いる社員の献身的な残業でカバーをするだけでは支えきれなくなる。そのような状況において、会社は自社の成長のために優秀な女性を確保し、彼女たちが活躍できるような環境を整えることが大きな課題となるはずだ。

とはいえ、本書にも書かれている通り、現状は「総論賛成、各論“様子見”」「急がず遅れず」が多くの会社の姿勢であろう。重要性は分かっていても従来のやり方から脱却できない....本書の帯の裏に書かれているように「本当に読んでほしい“頭の固いオジサン”が本書を手に取らないのが、最大の問題点」なのかもしれない。


【本書のポイント】


■なぜ今ダイバーシティか

 なぜ今、ダイバーシティが必要か。それは、労働人口の如実な減少が大きな理由です。
 江戸末期には約3000万の人口であったのが、140年間で約4倍の1億2800万の人口に増加しました。これは「生めよ、増やせよ」という掛け声があったからではなく、実際にそれだけの人口を支えることができる経済成長をしたからです。
 ところが、現在1億2800万人(うち、生産労働人口8150万人)の人口はすでに減少を始め、2030年には1億1500万人(うち、生産労働人口6740万人)、2050年には8990万人(うち、生産労働人口4560万人)と見込まれています。
 65歳以上人口は、それぞれ2960万人、3670万人、3650万人と増加はすれども大きな減少はしません。しかし生産労働人口はほぼ半減してしまうのです。
 日本経済の衰退を少しでも支えるには、働き手が必要となります。これまで成人男性が主力であった労働人口は、近い将来、それ以外の多様な人材を活用しなければなりません。
 人数的にいうと、女性、シニア、外国人の労働力が期待できますが、私はそのうちシニアや外国人は現実的に厳しいと思っています。
 65歳をすぎて働く意欲があっても、職場は限られています。知恵や経験を継承できるといってもたくさんの職場がシニアを求めているわけではありません。現実は、40歳後半から50歳前半にセカンドキャリア研修が始まり、多くの企業は若返りを目指しています。
 給料を下げても、年を取ると多くの人は(私のように)わがままになるので使いにくい。社長より年上は使いにくい、というのが、本音ではないでしょうか。
 最近は外国人が増えたといっても、日本における移民や外国人労働者は、他国に比較して断然少ない。オーストラリアは労働人口のうち25%,
 アメリカは16%、ドイツは9%、イギリスは6%が外国人であるのに対して、日本の外国人労働者は、総労働人口の1%以下です(「世界の厚生労働2010」厚生労働省。オーストラリアは『90分解説TPP入門』日本経済新聞社。)
 今後、多少は緩和されていくでしょうが、日本は外国人になかなか労働ビザを発行せず、国内労働者を守ろうとする現状は、急激には変わらないと思います。実際、海外のナースを入れると、医療のクオリティが下がると露骨な発言をする医師会の人たちもいます。また、外国人の増加は、犯罪増加につながるという妄想があることも否めません。
 説明が長くなりましたが、だからこれから女性が職場で活躍するときがくるのです。
(本書より P36〜P38)



■女性活躍推進のリスクはほぼない

 女性を登用することに、リスクはほとんどありません。
 少なくとも会社の生命線に触れることもない。女性活躍推進を目指したので倒産したということにはならないでしょう。大きな設備投資のようなリスクもない。
 そうはいってもIMFは何の保証もしてくれない、と言いますか?成果が保証されている投資などありえません。何ごとにも不確定要素があるなか、意思決定を行い、事業を進めていきます。
 それとも、男性は、心底日本女性を見下げていて、女性など仕事場に出てこなくていいと思っていますか?俺の目の黒いうちは、女性を一人も管理職につけないぞと固く誓っていますか?そんなバカげたことはないと思います。
 ただ、意識が低いだけです。自分のこととして考えずに、今それに取り組む必要性を認識していないだけです。
(中略)
 確かに、女性自身が腰掛け気分で働き、仕事や昇進に興味が涌かない人もいるのでしょう。前にも言いましたが、そうした女性には「専業主婦になれる人は少数派だ」と伝えてください。一生働く覚悟をしてくれれば、仕事ぶりも変わると思います。
 いずれにせよ、総合職をこなせる能力があるのに、事務職レベルの仕事にしかつけていなければ人材活用ができているとはいえないし、そのなかでも優秀な女性が幹部に抜擢されていないのなら、もったいない話です。そういう女性部下を育てて、登用していただきたいと思います。
(本書より P77〜P79)



■会社の強い意思表示と中間管理職の理解が大切

 先に日本企業がやろうと思えば、女性活躍推進はすぐにできると言いましたが、取るべき地道なステップは取らねばなりません。
 まず、トップの強いメッセージが必要です。
 次に、中間管理職の理解。繰り返しますが、制度はあっても、休みを取りにくい雰囲気であったり、時短などに積極的に協力する姿勢がなかったりでは、女性も大変です。精神的に参ってしまいます。
 女性に対しても、研修は必要でしょうが、その上の男性管理職に対する研修も必要です。会社での研修であれば、堂々と反論する人はまずいないでしょうが、なにせ文化や価値観を見直してもらう必要があるので、一部の面従腹背は避けがたいものです。
(中略)
 長くなりましたが、会社の何割か、特にトップ20%とミドル60%をまず変えるということが大切だと思います。
 そして、中間管理職と女性とでじっくり話をさせるなどの機会をつくることも必要です。前向きに仕事に取り組む重要性を理解させ、本書で説明してきた甘えに対する考え方も変えさせる必要があります。
 つまり、一朝一夕には文化や価値観を変えることができないので、中長期的な取り組みをしっかりやっていくことが必要だと思います。
(本書より P88〜P90)



■仕事を任されることが最大のモチベーション

 女性の成長を妨げている原因のひとつに男性が女性に仕事を振らないことがあります。
講演や研修のとき、「課長であるあなたは、新規案件がきたとき、男性部下と女性部下か、どちらに案件をふりますか?」という質問に、99%が男性社員に振ると答えます。
 会社に入るまでは優秀な女性が、勤めて何年もすると男性に抜かれている。よく聞く話です。それは、新しいことを覚える気も、やる気もなく「ハコに入っている女性」が女性の平均点を下げていることがひとつ。もう一つが、これです。チャンスがないことです。
 出来の悪い男性が新しい案件をどんどんこなしていき、地頭がいい女性が新しい案件に取り組む機会がなければ、数年たてばどうなるか。男性は育ち、女性は伸びないということになります。
 だから、男性上司は、新しい案件を男女の区別なく両方に振ることです。
(本書より P132)



■人生設計の意味

 一度しかない人生ゆえ、人生設計するのもいいかもしれません。
 元東京帝国大学教授で「日本の公園の父」と呼ばれた本多静六は、多くの書籍を残しましたが、なかに『人生計画の立て方』(実業之日本社)という本があります。
(中略)
 申し上げたい点は、今や人生80年であり、出産・育児に本当に手がかかる時期は、ほんのわずかな時期であるということです。
 そのために、女性は築き上げてきたキャリアや経験を放棄することはないということです。優秀な女性であれば、それなりの職場で、価値の高い仕事を続けるべきだと思います。いわゆるパートの仕事も社会には必要ですが、価値を生める人はそちらに貢献すべきだと思います。先にも述べましたが、ご自身の娘さん(やお孫さん)のこととして考えていただきたいと思います。
(本書より P156〜P157)



【関連書籍】



女性を活用できる上司になる

1)本書の内容
 
 第1章 女性活躍推進に対する男の「本音」を見つめ直そう
 第2章 女性活躍推進には、どのようなメリットがあるか
 第3章 なぜ日本で女性の登用推進が進まないのか
 第4章 女性を恐れず甘やかさず、活用できる会社に変える
 第5章 女性を活用できる上司になるために
 第6章 女性の長所、男性との差異を理解して伸ばす
 第7章 ビジネスパーソンの人生設計
 第8章 男親のなすべきこと

2)本書から学んだこと
 ・女性が生き生きと働く企業は利益率が高い!
・生産労働人口激減が見えるなか、女性の活躍が必要となる
・もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になる。



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posted by まなたけ(@manatake_o) at 20:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 人材育成 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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