企業論/組織論 (3): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2011年09月25日

【マインドマップ付き】“障がい者”、“高齢者”そして“女性”の活用が成長のカギ!「社員は家族 社長は親(坂本光司/渡邉幸義著)」


会社は家族、社長は親
  • 坂本光司_::_渡邉幸義
  • PHP研究所
  • 1470円
Amazonで購入


今回紹介する『会社は家族、社長は親』は、『日本でいちばん大切にしたい会社』の著者である坂本光司・法政大学大学院教授と、『社長のメモ』の著者であるアイエスエフネットグループ社長・渡邉幸義さんの対話に近い形で編集されております。

「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」が発表された後に発刊されたので、内容も「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」に話の中心に行くのかと思いきや、以外にも”人財”というところに中心をおいた内容となっております。

今回は【本書のポイント】【感想】【マインドマップ】【関連書籍】の構成でレビュー記事を書きたいと思います。


【本書のポイント】

今回は、ポイントとなる個所を本書から抜粋し、紹介したいと思います。


■「日本でいちばん大切な企業大賞」設立の意義

「日本でいちばん大切な企業大賞」は、ベストセラーとなった『日本でいちばん大切な会社』(あさ出版)で提唱された理念を実践している企業に対し表彰を行うというものです。

ホームページには応募資格が掲載されておりましたが、その項目は本当に厳しいものです。
このような厳しい審査基準を設けているのは、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の設立の意義が、「日本の企業がまっとうな方向に進んでほしい」という主催者側の思いからです。

以下に、応募資格を掲載いたします。
1)黒字経営を維持している
2)人員整理を行っていない
3)障害者雇用率が2%以上
4)下請企業、仕入先への一方的なコストダウンを行っていない
5)顧客のリピーター率が業界平均を大幅に上回っている
6)法令を遵守している
7)社会貢献活動を継続している
の7項目中5つ以上該当する企業が応募資格となっております。
(『第1回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 表彰式・記念講演会』より)

上記項目の中で、特に”3)障害者雇用率が2%以上”という項目は本当にハードルが高く、「ほとんどの企業は応募資格すらないのではないか?」と思えるほとです。

障がい者雇用については、現状、厳しいものがあると言わざるをえません。
本書によると、法律では「1.8%の障がい者雇用」を義務付けられているのですが、平均雇用率は1.68%。逆に半数以上の企業が法定要件を満たしていないというのが実態です。法定要件を満たしていない企業には納付金を支払わなければならないのですが、本書によると「納付金を支払ったほうがいい」という企業も多数存在します。

そして、これは”2)人員整理を行っていない”、”4)下請企業、仕入先への一方的なコストダウンを行っていない”という項目についても、現状は残念な状況にあることを本書では示唆しております。

このような状況であるからこそ、第2回、第3回と回を重ねるにつれ、「日本でいちばん大切な企業大賞」の受賞が企業にとって名誉であることを今以上に世間に認知されるようになり、各企業が「日本でいちばん大切な企業大賞」の受賞を目指し、『日本でいちばん大切な会社』で提唱している方向に進むことを主催者側も願っているものと思います。


■経済産業大臣賞となった未来工業のすごさ!

第1回「日本でいちばん大切な企業大賞」の最高の賞である”経済産業大臣賞”は、未来工業株式会社(敬称略)に与えられました。

受賞した未来工業株式会社は「本当にすごい企業」だと思います。

未来工業株式会社の特徴を一言で言うと「日本一休みの多い会社」ということです。
しかし、休みが多いにも関わらず、利益を捻出するための「人員整理」や「取引先に無理なコストダウンを要求」を行わずして、創業以来一度の赤字を出したことがない企業です。未来工業株式会社は昭和40年創業の会社です(私の年齢よりも上です)。これだけ長い期間を先の応募要件を満たしながら利益を計上してきたということは、本当にすごいことだと思います。しかも、770人もいる企業で、近年の不況の中で一度も「人員整理」を行ったことがないのは驚きです。

本書を読んでいく中で、未来工業株式会社がこれだけ長い期間、利益をあげることができた秘密は、「社長と従業員が深い絆で結ばれ、従業員が高い意識を持って働いている」というところにある気がいたします。

従業員が高い意識を持って働くためには、社長自らが従業員の意見を真摯に受け止め、取り組んできた結果です。その結果、従業員も「この社長のために応えよう」という意欲を持って働く!そしてそれが顧客サービスにつながり、顧客との信頼関係が深まる。このような好循環を生み出しているからこそ、長期にわたって利益を計上し続けているのだと思います。


■「障がい者、高齢者、女性活用」がカギを握る

本書によると「障がい者、高齢者、女性を上手く活用している企業は業績がよい」そうです。

本書の中に、その一端を示す事例があります。
坂本教授の教え子が書いた「障がい者雇用と企業の業績」という修士論文です。この論文の結論は「障がい者の雇用に尽力している会社は業績が高い」あるいは「障がい者の雇用に尽力していない会社は業績が低い、もしくは成長していない」という相関関係が、見事に成立している ということです。

実は、これはある意味、当然の結果かもしれません。

先にも記載した通り、 障がい者雇用を積極的に活用している会社は、障がい者が活躍できるように、弱点をフォローし、強みを生かす ことをしています。弱点をフォローし、強みを活かすためには、「何が強みなのだろう?」という観察と、実現するための創意工夫が必要です。観察と創意工夫が上手く行っているからこそ、障がい者の方も自分の力を発揮できる環境が整うわけです。

そして、この観察と創意工夫は、「お客様を喜ばせるためには何が必要か?」という点においても生かされているように思います。そして、その結果、期待以上の商品やサービスにお客様は喜ぶ!こうなると、リピーターが増えるのは当然です!
それとは別に、高齢者や女性の活用は「多用な視点を持つ」効果を生み出しているように思われます。特に、サービスといった五感に訴えるような仕事は、男性ではなかなか気がつかない「女性の視点」というのが必要になります。

そして、三者をうまく活用している会社は、「自分がこの仕事において役に立っている」と誇りを持つことができる!その結果、もっと頑張り、力を発揮しようとする!

こうした好循環を作り出しているがゆえに、それが業績として結びついているということが、本書から読み取ることができます。


【感想】

本書は『日本でいちばん大切にしたい会社』の著者である坂本光司・法政大学大学院教授と、障がい者雇用に積極的な会社・アイエスエフネットグループの社長である渡邉幸義さんの共著であるため、「一体、どんな内容になるだろう?」と楽しみにしながらページを開いていきました。

そして読み終えたとき、「ダイバーシティを考える上で、参考になる“考え方”が書かれている本だな!」という印象を持ました。

破壊と創造の人事』など、人事戦略に関する本が、最近、注目を集めています。逆の見方をすれば、各企業とも人事戦略については、うまくいっていないところが多いことの表れのような気がいたします。

なぜうまくいっていないのか?その一つの原因に思いこみがあるような気がいたします。

例えば、障がい者の活用を考えた場合、私も含め、我々は「障がい者を戦力とすることが難しい」という考えはないでしょうか?しかし、本書を読むと、日本理化学工業の事例を見てもわかるとおり、「障がい者の方の弱みを補い、強みを活かすことで十分に戦力になりうる」ということが示されています。

本書の中で”適材適所”という言葉が何度か使われておりますが、「”適材適所”を実現するためには、その人の強みを”思いこみを取っ払った目”で見つめ、どうすれば活かすことができるのかを考える必要がある」ということが重要なポイントのような気がいたします。

これは自分の反省も含めてですが、”思いこみを取っ払う”ことが如何に重要か!ということを、本書では示しているような気がいたしました。

※2011-09-28追記
【マインドマップ】

本書の概要を表したマインドマップを以下に記載します。

image.png
拡大表示は以下のリンクをクリック!
会社は家族 社長は親.html

※追記ここまで


【関連書籍】


日本でいちばん大切にしたい会社
  • 坂本光司
  • あさ出版
  • 1470円
Amazonで購入
書評



社員みんながやさしくなった
  • 渡邉幸義
  • かんき出版
  • 1470円
Amazonで購入
書評



破壊と創造の人事
  • 楠田祐_::_大島由起子
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 1890円
Amazonで購入


会社は家族、社長は親

1)本書の内容
 第1章:「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の会社のすごさ
 第2章:障がい者は会社の戦力にできる
 第3章:高齢者・女性の活用が企業戦略のカギを握る
 第4章:「社員は家族」というマネジメント

2)本書から学んだこと
 ・ダイバーシティのポイントは”思いこみを取り払う”ことである!


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2011年09月13日

【マインドマップ付き】企業の再生は原点回帰から「スターバックス再生物語(ハワード・シュルツ著)」


スターバックス再生物語 つながりを育む経営
  • ハワード・シュルツ_::_ジョアンヌ・ゴードン
  • 徳間書店
  • 1785円
Amazonで購入


前回の記事『中小企業の精神を持った大企業「スターバックス成功物語」』では、ハワード・シュルツがコーヒーと出会い、スターバックスの経営に参画、買収、株式公開の成長の過程を見てまいりました。

ハワードは2000年にCEOを辞して会長に就任。経営をオーリン・スミスに任せ、海外戦略に力を入れるようになります。

シュルツの跡を継いだCEOたちも後もスターバックスは売上・利益を順調に増大し続けていきました。しかし、その一方で成長の過程の中で綻びも見えるようになりました。

その綻びに気づいたハワードは再度CEOに就任!

スターバックス再生物語 つながりを育む経営』はハワードが再度CEOに就任するまでの経緯、そして再生までの取り組みを描いた物語です。

今回の記事は【本書のあらすじ】【本書のポイント】【感想】【マインドマップ】【関連書籍】の構成でレビュー記事を書いていきたいと思います。


【本書の概要】

2000年、ハワード・シュルツはCEOを辞して会長に就任。後任のCEOにはオーリン・スミスが就任した。オーリンはハワードのビジョンを理解し、CEOとしての手腕を発揮した。オーリンがCEOを務めた5年間に、スターバックスは一気に拡大し、店舗数はおよそ3倍の9000店舗に達した。そして、CSR活動にも力を入れ、環境保護活動なども邁進した。その結果、オーリンがCEOを辞した時には、スターバックスの時価総額は72億ドルから200億ドルになった。

オーリンの後任には、ジム・ドナルドが就任した。しかしジムのCEO就任後、ハワードとジムの関係は複雑になった。成長のみを追求するジムの考え方に、ハワードは疑問を抱いたのである(ただ、そのような考え方が育った一因にはハワード自身にあったことを認めている)。そして、それは長年スターバックスで働いてきたパートナーに不安を抱いた。そして、経営基盤にヒビが入り始めた。

2006年にはスターバックスの業績が低下し始めた。そして、2007年には来店客数は過去にないほど落ち込み、株価は42%も下落した。

さらに急ピッチの拡大のツケは更に続く!焙煎工場や物流設備などの供給は追い付かず、店舗ではお客のスターバックス体験の質の低下が顕著になった。

このような状況に対し、ハワードは苛立ちを募らせていった。特にスターバックスの伝統を逸脱しているとハワードが感じていたのは“ブレックファースト・サンドイッチ”だった。チーズの臭いが店内に立ち込めている状況は、「スターバックスの体験を台無しにしている」とハワードは感じていた。

そして、問題は”ブレックファースト・サンドイッチ“だけではなかった。2007年11月15日のウォールストリートジャーナルには「スターバックス、多すぎ、急ぎすぎ?」という記事がおどった。「商品開発に遅れを取り、ブレックファースト・サンドイッチも好材料にならなかった」ことを指摘した記事だ。そして、既存店の売上高もこれまでにないほど落ち込んでいた。

取締役会も改革の必要性を感じる中、ハワードはCEOへの復帰を決意した。新しいビジョンを実現するためにはチームが必要だ。ジム・フィンガロス、モリー・モース、ジェレミー・フィールディング、チェット・クチナード、ワンダと再生のためのチームが出来上がった!

そして、2008年1月7日に、ハワードはCEOに復帰した!そして、それは再生への道のスタートだった!
(続きは本書で)


【本書のポイント】

■「規律なき拡大路線」から生まれる衰退の芽

【本書のあらすじ】にも書いた通り、ハワードがCEOを辞した後もスターバックスは店舗は急拡大し、売上・利益も一気に増加しました。数字だけを見ると「成長しているように見える」でしょう!

しかし、流通施設が追い付かない、多くの新メニューや新しいパートナーに対する研修不足よる品質の低下、店舗での体験の質の低下など、「急ぎすぎた拡大は、企業の体力を奪う」結果となったのです。


■成功の基礎的要因を見失う

カウンター越しでのパートナーと顧客の会話。クオリティが高いコーヒーの提供、シャレた店舗でのくつろぎの時間....

スターバックスの成功要因は「スターバックス体験」と呼ばれる独特の体験をスターバックスの店舗で味わえることでした。それが、熱烈なファンを生み、口コミで広まり成長に寄与してきました。そして、それを支えたのは間違いなく「勤労意欲の高いパートナー」でした。

しかし、急激な拡大は「シフトは非効率で一人に負担が集中する」など、現場に負担を強いたのです。その結果、パートナーたちは勤労意欲を奪われ、離職率が高まる結果となりました。そして、それは顧客に提供する商品の品質の低下、顧客離れ、そして売上の低下という形で表れたのです。

スターバックスが順調に成長していたときは、従業員満足度も高く、離職率が低かっただけに皮肉な結果です。


■再生への道は原点回帰から

ハワードが取り組んだのは「パートナーたち、特にバリスタや店長たちに自信を持って、意欲に満ちて働いてもらうための環境を用意し、パートナーとの信頼関係を取り戻す」こと。そして「高品質の商品と、”スターバックス体験”のできる店舗を再び提供する」ことでした。原点への回帰です。

その一例が、全米7100店舗を全て一時的に閉鎖し、13万5000人にのぼるバリスタの再教育を実施したことです。全ては美味しいエスプレッソを提供するため、そしてバリスタが自信を持ってお客様にコーヒーをお出しするために!

その結果、スターバックスのコーヒーの質は改善され、お客様との楽しい会話が戻ってまいりました。

原点に回帰したスターバックスは、少しずつではあるが、お客様との信頼関係を取り戻していったのです。そして、2009年にはレストランガイド、ザガット・サーベイの評価において、コーヒー部門で1番と評価されたのです。この結果は業績にも現れ、2009年の営業利益率は13.4%と急伸したのです。

ハワードはこの結果を以下のように述べています。
最も重要な、何万という店長とバリスタたちが店舗に、そしてお客様に対してスターバックス体験を提供しようとする献身や心配りや才能。ウォール街の皮肉屋は、貢献を測ることが難しい、あるいは不可能な活動や無形の資産を軽視するが、わたしは、スターバックスが過去1年半の重荷に耐え続けることができたのは こうしたもののおかげだと思っている。
(本書より)


【感想】

私は、最初のスターバックスが苦境に陥る話を読んだとき、とある本の内容を思い起こしました。その本とは『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』です。

ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』では「繁栄していた企業が、どのように衰退していったのか?」ということを、以下の衰退の5段階をもって説いている本です。

以下に衰退の5段階を掲載いたします。
衰退の5段階

第一段階 成功から生まれる傲慢
・傲慢になり、成功を続けるのは自分達の当然の権利かのように考える
・成功をもたらした基礎的要因を見失う

第二段階 規律なき拡大路線
・規律ある想像性から逸脱し、偉大な業績をあげられない分野に規律なき形で進出する
・卓越性を維持しながら達成できる以上のペースで成長する
・この両者を同時に行う

第三段階 リスクと問題の否認
・悪いデータを小さく見せ、良いデータを強調し、曖昧なデータは良く解釈する
・議論は低調になるか、まったく見られなくなる
・リスクを取ったときの結果を考えずに行動する
 
第四段階 一発逆転策の追及
・一発逆転策にすがろうとする
(カリスマ的な指導者、大胆だが実績のない戦略、劇的な企業文化の変革など)
⇒当初は業績が良くなったように見えるが、長続きしない

第五段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅
・財務力が衰え、士気が低下し、経営者は偉大な将来を築く望みを全て放棄する
(『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』より)

今回、『スターバックス再生物語 つながりを育む経営』を見ていく中で、スターバックスが転落していく様子が「衰退の5段階」の道を歩んでいるように見えました。

ハワードの跡を継いだCEOたちも売上・利益ともに増大させました。しかし、その中でスターバックスは原点を忘れ、数字を追求するようになり、企業内に綻びを見せるようになったのです。『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』の言葉を借りるなら、以下のような状態といえます。
 組織は外形をみれば強力だと思えても、内部では病が進行していて、急速な衰退に向かう瀬戸際の危うい状態になっている場合がある(『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』より)

ハワードは、第二段階の「卓越性を維持しながら達成できる以上のペースで成長する」状況の中でスターバックスという企業の問題点を見つけ、対処する決意をし、CEOに復帰したと私は捉えています。もし、問題を放置していた状態であったなら、そして、”原点回帰”という形で改革を進めていなかったら、もしかしたら、スターバックスという企業は、今頃、存在しなかったかもしれません。

本書は、企業の原点を忘れた企業がどのような状況に陥るのか?そして、再生を果たすためには何が必要かを示した物語ではないかと思います。


※2011-09-16追記
【マインドマップ】

本書の概要を表したマインドマップを以下に記載します。

image.png
拡大表示は以下のリンクをクリック!
スターバックス再生物語.html

※追記ここまで


【関連図書】


スターバックス成功物語
  • ハワードシュルツ_::_ドリー・ジョーンズヤング
  • 日経BP社
  • 1890円
Amazonで購入



ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階
  • ジェームズ・C・コリンズ(JamesC.Collins)
  • 日経BP社
  • 2310円
Amazonで購入


スターバックス再生物語 つながりを育む経営

1)本書の内容
 第1部 愛−Love
 第2部 信頼−Confidence
 第3部 痛み−Pain
 第4部 希望−Hope
 第5部 勇気−Courage

2)本書から学んだこと
 ・企業は数字のみの追求に陥ったとき、一見成功しているように見えても綻びが出る
 ・企業の再生には特効薬はない!原点回帰で着実に再生を進める!


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2011年09月11日

【マインドマップ付き】中小企業の精神をもった大企業!「スターバックス成功物語(ハワード・シュルツ/ドリー・ジョーンズ・ヤング著)」


スターバックス成功物語
  • ハワードシュルツ_::_ドリー・ジョーンズヤング
  • 日経BP社
  • 1890円
Amazonで購入


スターバックスのCEOであるハワード・シュルツに興味をもったのは、2011年7月に行われたイベント「ジョブズ流を自分に」に参加したときです。

講演の中で、ハワード・シュルツがインタビューを受けている映像が流されましたが、このインタビューの内容は面白いものでした。

087.JPG

インタビュアーはハワード・シュルツにスターバックスのコーヒーについて聞きたがっているのですが、シュルツは一切コーヒーについて語りません。語ったのは、ただ「スターバックスは人々を結びつき、一緒になれるコミュニティーである」と....

このインタビューの映像を見たとき、ハワード・シュルツという人物に興味を持ちました。

その時から、しばらく経ってしまいましたが、ようやくスターバックスに関する2冊の本を読み終えたので、レビュー記事にまとめたいと思います。

1冊目は『スターバックス成功物語』です。これは、ハワードがスターバックスとの出会いから、株式上場後の1997年頃までの成長過程を、ハワードの経営哲学を織り交ぜながら描かれた内容となっております。

そして、もう1冊が『スターバックス再生物語 つながりを育む経営』です。これは、2007年の経営悪化の状態から、2010年度の会計年度に過去最高益を出すまでの過程を描いた内容となっております。

この2冊を読みとおすことによって、我々の身近にあるスターバックスという企業がどんな哲学をもった企業なのか?を理解することができました。でも、私はスタバよりタリーズを利用することが多いけど....(^^;

今回は『スターバックス成功物語』を取り上げ、レビュー記事を書きました。
今回のレビュー記事は【本書の概要】【本書のポイント】【感想】【マインドマップ】【関連書籍】の構成となっております。


【本書の概要】

 ハワード・シュルツはニューヨークのブルックリンの貧しい家庭に生まれる。フットボール奨学金の受給生といてノーザンミシガン大学に入学。しかし、大学にフットボールをやめ、融資を受け、アルバイトをしながら大学を卒業。卒業後はゼロックスに入社。その後、ハマーブラスト社のアメリカ営業本部長として働く。シアトル出張のときにスターバックスと出会い、コーヒーの魅力に取りつかれる。

 その後、スターバックス社に入社し、マーケティング部長に就任。仕事で訪問したイタリア・ミラノでエスプレッソと出会い、そしてイタリアのカフェが「顧客との絆を紡ぐ場」となっていることに気づく。アメリカに戻った後、「これをスターバックスにもちこんだら?」と会社に提案されるも却下され、スターバックスを退社。イタリアのエスプレッソ文化を伝えるコーヒーショップ「イル・ジョナーレ」を設立。資金集めに苦労しながらも、店は軌道に乗る。一方、スターバックスはピーツコーヒー&ティー社の買収時の借金が重くのしかかり、スターバックスの店と焙煎工場、商標を売却することを決意。ハワードは資金をかき集め、1987年にスターバックスを買収、そしてCEOに就任。

 以降、CEOとして経営手腕を発揮。社員との信頼関係強化に配慮しながら経営を行う。その一例が同社は社員のみならずパートタイマーやアルバイトを含む週20時間の労働者に健康保険を適用(これはアメリカのサービス業では異例のこと)。そしてに努めながら、「どの店も高い品質のコーヒーを出せるように」と社員への教育に力を入れる。こうした努力が実り、アメリカにテイクアウトスタイルのコーヒー文化が根付き、店舗も急拡大。そして1992年にナスダックに上場。世界にも目を向け、日本をはじめとした多くの国に進出。成功企業として名を馳せた。


【本書のポイント】

本書を見ていると、「スターバックスというのは、独自の企業文化を持った会社なんだ」ということが分かります。
自分なりのポイントと思った個所を以下に掲載いたします。


■社員は経営の道具ではない!

 スターバックスは「社員を大切にする会社」です。先に述べた員のみならずパートタイマーやアルバイトを含む週20時間の労働者に健康保険を適用しているのも、同社の見せる姿勢の表れでしょう。なぜ、社員をこれまで大切にするのか?それはハワードの生い立ちに関わってくるところが大きいようです。

 アメリカのビジネス社会において、解雇することは簡単。しかし、職を失った人間は人間としての尊厳を失っていく様子はアメリカでも社会問題になりました。ハワードの父も貧しい労働者階級であり、職を転々としながら家計を支えていたのです。

 ハワードはスターバックスの経営が軌道に乗せるにつれ、社員の不満の矛先が自分に向けられていることに気づきます。かつて父が経営者に不満をいだいたように。先に述べた健康保険の適用もそうですが、社員のことを「パートナー」と同社では呼んでいるのもその表れでしょう。そして、パートナーに会社の使命に共鳴し、誇りをもって欲しいと「ミッション・ステートメント」を打ち出します。ミッション・ステートメントは経営者が作ったものでなく、50名以上の社員が3カ月にわたってつくったものです。そこには、同社の姿勢がうかがえます。
 ・働きやすい環境を提供し、社員が互いに尊敬と威厳をもって接する。
 ・事業運営上の不可欠な要素そてい多様性を積極的に取り入れる。
 ・コーヒーの調達・焙煎・流通において、常に最高級のレベルを目指す。
 ・顧客が心から満足するサービスを提供する。
 ・地域社会や環境保護に積極的に貢献する。
 ・将来の繁栄には利益率の向上が不可欠であることを認識する。

(本書より)


■単に「コーヒーを売る店」ではない!

 スターバックスのコンセプトとして「第三の場所」というものがあります。これは、「職場でもない、家庭でもない場所」に「人々が安心して集える場所」という意味です。ヨーロッパでは、フランスやイタリアにはカフェ、ドイツにはビアホール、イギリスにはパブの文化があります。しかし、当時のアメリカにはそのような場所がなかったのです。ハワードは「スターバックスを”第三の場所”となれるように!」努力したのです。

 店やカップのデザイン、装飾、音楽、あらゆる店舗空間に工夫を凝らしてきたのです。そしてスターバックスという空間で過ごした時間は、やがて「スターバックス体験」と呼ばれるようになってきました。

 この同社の姿勢はハワード・ビーハーの言葉にも表れています。
 われわれはコーヒーを売るために商売をしているのではない。人々を喜ばせたいと思い、その手段としてコーヒーを扱っているにすぎない。
(本書より)


■中小企業の利点を保持した大企業

 企業は大きくなるにつれ、「組織の硬直化」「進取の精神を奪われ、創造性が失われる」「マニュアル化による人間味のない企業文化」といった”大企業病”に侵されがちになります。硬直化のために、かつての栄光を失い、没落した企業も数多くあります。

 スターバックスは「小さなコーヒーショップだった創業時の精神」を忘れず、そして中小企業の利点を保持しながら経営に取り組んできた”異色の”企業です。

 かつて小さな企業だったスターバックスは、ハワードの部屋には誰もが入ることができ、意見を交換することができました。そして、ハロウィンでは社員でパイ投げコンテストに興じたり。そんな中で、社員とのつながりを保持し、価値観を共有しながら成長をしてきたのです。

 だが、25,000人もの社員が中小企業時代のように会社に親近感を抱きながら働いてもらうにはどうすればよいのか?ハワードはこの問題に真剣に取り組んできました。

 行なったことを簡単にまとめると以下のようなことです。
  ・全社員へのストック・オプションの付与
  ・時給が業界平均よりも高くなるようにする
  ・福利厚生制度の整備
  ・ミッション・レビューカードで寄せられるコメントへの返答
  ・オープンフォーラムに直接意見交換できるようにする

小さな企業のときとは異なりますが、「パートナーに親近感をもって働いてもらう」という点において、様々な工夫をしております。

特に「多様性」への取り組みには配慮し、力を入れております。これを担当したのがシャロン・エリオット。才能あふれたアフリカ系アメリカ人であるシャロンは、人種、性別の問題のみならず、社員の年齢、身体的障害の有無、性格、学習スタイルなどにおいても多様性をもたらすよう、そして、彼女は「社員同士が率直に話し合い、相互信頼を養うことを奨励した」(本書より)など、努力をしてまいりました。特に、1996年にミッション・ステートメントに「多様性」に関する一文を加えられましたが、これは彼女の功績の一つです。


【感想】

本書を読み終えたときに最初に感じたことは、「この本に書かれていることは『日本でいちばん大切にしたい会社』に込められたメッセージと共通のものがあるな!」ということです。

日本でいちばん大切にしたい会社』では「五人に対する使命と責任」を強調してメッセージとして発しています。その五人とは「従業員・取引先・顧客・地域社会・株主」です。特に「従業員を第一に大切にすることにより、従業員のやる気を引き出し、それが顧客サービスとなって表れる」ことを説いています。

本書を通じて、スターバックスは創業からパートナー(従業員)のことを大切にし、「パートナーに満足しても働いてもらうためにはどうすればよいか?」ということに腐心してきた企業だということが分かりました。そして、パートナーが満足して働いてもらうことにより、「店と顧客の絆を確認できる」つながりを生み、独特の空間で、おししいコーヒーを楽しむことができる「スターバックス体験」を生み出すことにつながっていったのです。このことは、スターバックスは、大企業ながらも『日本でいちばん大切にしたい会社』に登場する企業と”共通の理念”を持つ会社だということを表しています。私は、本書を読んでいく中で「従業員が満足して働く環境を作り出すかが経営の責務であり、それが企業が成功するための重要な要素である」ということをスターバックスの企業文化を通じて再認識をいたしました。

それ以外にも「社員と率直な意見交換をできる環境を整える」「進取の精神を阻害しない」「巨大な広告費をなどをかけずにブランドを確立する」などが本書を通じて分かったことです。それは、スターバックスは大企業でありながら中小企業の精神を持った会社だということを表しています。

残念ながら、大企業は一般的に”大企業病”に侵されているところが多く、スターバックスのような文化を持つ企業はアメリカでも「独特の文化を持つ企業」と”異色”な企業の捉えられ方をされています。しかし、本書や『日本でいちばん大切にしたい会社』を通じて、「従業員満足度のさらなる向上」に企業がより一層取り組むことを願ってやみません。


このような企業文化をもっていたスターバックスも、2000年にハワードがCEOを辞めて会長となってからは企業文化が変質し迷走してしまいます。そして、その結果、2007年にはスターバックスにとって危機を迎えます。そうした中、ハワードはスターバックスを再生するために、CEOに復帰するのです。このあたりの話については、『スターバックス再生物語 つながりを育む経営』を見ながら、レビュー記事を書きたいと思います。


※2011-09-15追記

【マインドマップ】

本書の概要を表したマインドマップを以下に記載します。

image.png
拡大表示は以下のリンクをクリック!
スターバックス成功物語.html

※追記ここまで


【関連図書】


スターバックス再生物語 つながりを育む経営
  • ハワード・シュルツ_::_ジョアンヌ・ゴードン
  • 徳間書店
  • 1785円
Amazonで購入



日本でいちばん大切にしたい会社
  • 坂本光司
  • あさ出版
  • 1470円
Amazonで購入
書評


スターバックス成功物語

1)本書の内容
 Part1 コーヒーとの出会い −1987年以前
 Part2 新しいコーヒーを目指して −株式公開以前(1987-1992)
 Part3 起業家精神の見直し −株式公開以降(1982-1997)

2)本書から学んだこと
 ・従業員が満足して働ける環境をつくることは経営の責務である
 ・従業員が満足して働くことができたとき、企業の成長につながる
 ・店と顧客のつながりが熱烈なファンを生み、ブランドにつながる


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posted by まなたけ(@manatake_o) at 12:35 | Comment(0) | TrackBack(1) | 企業論/組織論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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