企業論/組織論 (2): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2011年12月10日

【マインドマップ付き】経営者の「心」や「姿勢」が景気を超越する!『日本でいちばん大切にしたい会社3』(坂本光司著)


日本でいちばん大切にしたい会社3
  • 坂本光司
  • あさ出版
  • 1470円
Amazonで購入


日本でいちばん大切にしたい会社3が最近発売となりました。私も好きなシリーズであり、発売を心待ちにしておりました。

今回登場する企業も、素晴らしい企業ばかり。登場する企業および経営者の姿勢は、『日本でいちばん大切にしたい会社』『日本でいちばん大切にしたい会社2』と同様、読者に感動を与えます。

今回も、その感動をブログを通じてお伝えしたく、記事をかきました。

今回は、【本書のポイント】【感想】【マインドマップ】【関連書籍】の構成で書いてまいります。


【本書のポイント】


■「五人」に対する経営者の責任

本書は「経営者は五人に対する責任を果たすべきだ」と述べております。その五人とは
1)従業員とその家族
2)社外社員とその家族
3)現在顧客と未来顧客
4)障がい者や高齢者などの社会的弱者
5)出資者・支援者

です。特に最も大切にすべきは「1)従業員とその家族」と述べています。

なぜ「1)従業員とその家族を大切にすべき」と述べているのか?その詳しい理由は『日本でいちばん大切にしたい会社』や、以下の記事をご覧になっていただきたいと思います。

「日本で一番大切にしたい会社」とはどんな会社か?『日本でいちばん大切にしたい会社(坂本光司著)』(前編)


■重要な「人間尊重の経営」

「人間尊重の経営の重要さ」について、著者は以下のように述べております。
 私はこれまでおよそ四○年間、全国各地の約六五○○社の中小企業を訪問し、その経営の現場をただひたすら見てきました。そしてそのうちのおよそ一割の企業は、好不況にかかわらず、その業績がほとんどぶれていないことに気がつきました。
(中略)
 それらの企業は、景気を超越し、景気を創造していたのです。
 そこで、こうした企業をハード面・ソフト面から詳細に調査研究をしてみると、いくつかの共通する特徴があることがわかります。
 その最たる共通項とは、「人間尊重経営」「人本経営」、つまり人を大切にする、人のしあわせを念じた経営が貫かれていることでした。
 これらの企業は、社員へのリストラはもとより、仕入先・外注企業などに理不尽なコストダウン要求をしたことが一度もありません。顧客のリピーター率もきわめて高く、お客が全国各地からわざわざ追いかけてくる状態です。また、障がい者や高齢者も多数雇用し、彼ら、彼女らが、健常者と一緒に元気に働いている企業でした。
 これらの企業は、人間尊重の経営、どこまでも人を大切にする経営を追求してきた結果として、高い、ぶれない利益を生み出してきていたのです。
(本書より)


■今回登場する企業

今回登場する企業は以下の通りです。

徳武産業株式会社
 もともとは靴の素人だった徳武産業は、「お年寄り向けの、転ばない靴づくり」にチャレンジすることになります。多くの高齢者の悩みを聞いたところ、「左右サイズの違う靴を売ってほしい」「軽く、明るい色のものがいい」など、それまっで考えたこともなかったニーズが。多くは、業界での「非常識」で、販売ルートも皆無です。そこで社長は−
(本書より)

中央タクシー株式会社
 中途採用が多く、サービスの質がなかなか上がらないタクシー業界。そのなかで、「理想のタクシー会社をつくる」と決心し、「お客様第一」「タクシーの仕事は人の人生にふれる仕事」の理念に基づいて、数多くのファンを得ているのが中央タクシーです。「私、乗って幸せを感じます」と言ってもらえる経営とは−
(本書より)

株式会社日本レーザー
 多くの子会社は、人事も給料も、親会社の意向通りに決めなければなりません。しかし日本レーザーは、それでは本当に社員のためになる経営はできないと、M&Aの手法のひとつであるMEBOという形で独立を果たしました。社長の考え方の根底には、「会社は社員のものであり、お客さまのものである」との理念があります。
(本書より)

株式会社ラグーナ出版
 企業に、「障がい者を雇用する場合、どの種別の方を受け入れますか」というアンケートを取ると、身体が75パーセント、知的が13パーセント、精神障がい者に至っては1.3パーセントにすぎません。精神疾患の患者は、病気の苦しみと社会からの疎外による二重の苦しみを味わっています。患者の方々の、世の中への「出口」をつくりたい−そんな思いから設立されたのが、ラグーナ出版です。
(本書より)

株式会社大谷
 子供の頃からお母さんの「はんこ屋さん」の手伝い、障がい者の師匠のもとで修行、生死をかける大病と。そして幼い娘の事故−。大谷は、さまざまな苦節と逆境を乗り越えて、障がい者雇用に努め、同時に日本でいちばん大きな売り上げを誇る「はんこ屋さん」に成長してきました。障がい者や高齢者のための老人ホームを創設する、という夢も、もうすぐ実現可能です。
(本書より)

島根電工株式会社
 電気設備工事などの業界は、もともと公共事業への依存度が高く、公共投資の減少とともに業績も落ちる、というパターンが一般的です。しかし島根電工では、お客さまの感動を求めて地域の人々の小口の受注を取る「おたすけ隊」をスタート、逆に売り上げを大きく伸ばしています。その背景には、どこまでも社員を愛する経営者の心があります。
(本書より)

株式会社清月記
 3月11日の東日本大震災−大混乱の最中にあるその日の夕方、清月記の社長は、長年取引のある四国の棺メーカーに急きょ1,000本の棺を依頼しました。入社したばかりの社員まで参加しての仮埋葬、掘り起こし、そして被災者の方々への、ミニ仏壇1,500のプレゼント。葬儀社としての原点に立ち返っての、身を捨てての活動でした。「ノーと言わない究極のサービス」を目指す姿勢が、東北No.1の会社をつくったのです。
(本書より)


どの企業も素晴らしい企業ばかりです。詳しくは本書にてどうぞ!


【感想】

今回も素晴らしい企業や経営者が登場いたしました。本書を読むと、経営者の「心」や「姿勢」に本当に感動します。

今回、本書を読んでポイントと思われたことが2点ありました。

1つ目は「障がい者雇用に対する重要性を以前にも増して強調している」と思われたこと。
2つ目は「経営者の心や姿勢によって会社とは大きく変わるもの」と思われたことです。
いずれも著者の言う「人間尊重の経営」に大きく関わってくる部分です。

1つ目の「障がい者雇用に対する重要性を以前にも増して強調している」のは、現在の障がい者雇用に対する状況があまり芳しい状況にないことに対する著者の強い意思が表れているような気がします。

本書の著者である坂本光司先生と(株)アイエスエフネット社長・渡邉幸義さんの共著『会社は家族、社長は親 』よると、障がい者雇用の厳しい現実が書かれています。

同書によると、法律では「1.8%の障がい者雇用」を義務付けられているのですが、平均雇用率は1.68%。逆に半数以上の企業が法定要件を満たしていないというのが実態です。法定要件を満たしていない企業には納付金を支払わなければならないのですが、本書によると「納付金を支払ったほうがいい」という企業が多数存在しているというのが現状です。

私は『会社は家族、社長は親 』の出版記念講演会にて坂本先生のお話を伺う機会を得ましたが、障がい者雇用に対する現状に対して「多くの企業は認識を間違えている」と強調されておりました。障がい者雇用に対する多くの企業に対し、中央タクシー株式会社の障がい者の方への対応、株式会社ラグーナ出版や株式会社大谷の障がい者雇用に対する取り組み、そして障がい者が職を通じて生き生きと働いている姿を本書で伝えることによって、多くの経営者が持っている「障がい者雇用に対する認識を少しでも改めてもらいたい」との思いが込められているような気がいたしました。

2つ目の「経営者の心や姿勢によって会社とは大きく変わるもの」は、会社の雰囲気に、そして従業員の心に大きな影響を与えます。それを表す例が中央タクシー株式会社のある従業員のメッセージに表れております。
 入社して半年たちました。実は気楽な稼業だと思って入社しました。一歩外に出ればうるさい上司はいないし、お客さまのほどんどは無口で、気を使う必要がないからです。ところが、向上心をもって働かないと、仲間から置いていかれることに気がつきました。今は緊張感をもちながら仕事をやっております。そのおかげで、私はだらしのない生活をすることから回避できました。ありがとうございます。
(本書より)

中央タクシー株式会社は「お客さまが先、利益は後」の経営方針のもと、お客様へのサービス向上のために未経験者のみの採用に切り替え、徹底的に社員教育を行ってまいりました。そしてその姿勢がお客さまに感動を与え、お客さまの感動が従業員に感動を与える。感動の循環がリピーターを増やし、売上という結果に表れる。それは創業した宇都宮さんの「理想のタクシー会社を作る」という「思い」と「姿勢」の結果として業績という形で現れました。

紹介されている他の企業も好業績の会社ばかりですが、それは、経営者の「心」と「姿勢」が従業員に伝わり、会社の雰囲気を作り出し、それがお客さまに感動を与え、業績に結びついています。経営者の「心」と「姿勢」は重要な要素だと本書を読んで改めて思いました。

まだまだ不景気の色が濃い世の中ではありますが、本書が日本の経営者の心に影響を与え、少しでも明るい方向に向かうことを願って止みません。


※2011-12-30追記
【マインドマップ】

image.png
拡大表示は以下のリンクをクリック!
なお、スマホでは綺麗に表示できないかもしれませんが、ご勘弁を(^^;)
日本でいちばん大切にしたい会社3.html

そして、スマホの方は以下のリンクをクリック!マインドマップの内容を階層構造で表しました。
日本でいちばん大切にしたい会社3.mm.html

※追記ここまで


【関連書籍】


会社は家族、社長は親
  • 坂本光司_::_渡邉幸義
  • PHP研究所
  • 1470円
Amazonで購入
書評


日本でいちばん大切にしたい会社3

1)本書の内容
 プロローグ 心を打たれた三通のメール
 1.高齢者の方々の無数の「ありがとう」をいただく奇跡の靴メーカー
   徳武産業株式会社(香川県さぬき市)
 2.理想を求めて「しあわせを乗せる」タクシー会社をつくりあげる
   中央タクシー株式会社(長野県長野市)
 3.MEBOで親会社から完全独立。会社の理念は「すべては社員のために」
   株式会社日本レーザー(東京都新宿区)
 4.精神障がい者の方々と働く場との「つながり」をつくる
   株式会社ラグーナ出版(鹿児島県鹿児島市)
 5.障がい者の雇用に力を注ぐ、日本でいちばん大きなはんこ屋さん
   株式会社大谷(新潟県新潟市)
 6.社員、地域、お客さまにやさしい会社は不況下でも高成長
   島根電工株式会社(島根県松江市)
 7.東日本大震災−ご遺体の仮埋葬・掘り起こしで人間の尊厳を守りぬいた葬儀社
   株式会社清月記(宮城県仙台市)

2)本書から学んだこと
 ・「五人」を大切にする事が経営者の責務!
 ・経営者の「心」と「姿勢」が景気を超越する!



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2011年10月17日

【マインドマップ付き】教科書に書かれている“経営の定石”を知ることが、思い切った経営判断に踏み切れる!「星野リゾートの教科書」(中沢康彦著)


星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則
  • 中沢康彦
  • 日経BP出版センター
  • 1575円
Amazonで購入


何度かこのブログでもご紹介させて頂いた日経BPマーケティング様のフェア「素敵な明日を作るための『イノベーション』を起こそう!」に、『星野リゾートの事件簿 なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?』について書いた私のレビュー記事がPOPとして有隣堂ヨドバシAKIBA店様に登場しております。

まなたけPOP_akiba.jpg
※上記の写真は、日経BPマーケティング様にて撮影したものを、転載させて頂いております。

しかし関連書籍である星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則を、まだ読んだことがない!ということもあり、今回、星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則を読んでみました。

「星野リゾートの経営がどのように行われているのか?ということについて書かれた本」という予想はついていたのですが、“教科書”という意味が予想とは全く違っていました。今回は、この点を踏まえながらレビュー記事を書いていきたいと思います。

今回は【本書のポイント】【感想】【マインドマップ】【関連書籍】の構成で書いております。


【本書のポイント】

■なぜ“教科書通り”に行うのか?

星野社長は「“教科書通り”の経営を行っている」と本書で述べております。

教科書通りの経営を行うことの利点は以下の2点があります。

1)根拠や基準となる理論があれば、ぶれがなくなる
2)思いきった経営判断に踏み切れる


実際、教科書通りの経営を行っている経営者は多くはありません。

しかし、星野社長は「教科書に書かれていることは正しく、実践で使える」(本書より)と述べております。それは、星野社長のこれまでの経験から、確信を持って述べている言葉です。


■星野リゾートの教科書

では、星野社長が“教科書”としてあげている本にはどんなものがあるのか?これらの本を以下に掲載いたします。どんな場面において、なぜ、これらの本を参照したのか?この点については本書を読んでみてください。

1)戦略の教科書
競争の戦略(マイケル・E・ポーター)
コトラーのマーケティング・マネジメント 基本編(フィリップ・コトラー)
The Myth of Excellence(Fred Crawford, Ryan Mathews)
売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則(アル・ライズ、ジャック・トラウト)

2)マーケティングの教科書
いかに「サービス」を収益化するか (DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部)
真実の瞬間(ヤン・カールソン)
ONE to ONEマーケティング(ドン・ペパーズ、マーサ・ロジャーズ)
ブランド・エクイティ戦略(デービッド・A・アーサー)

3リーダーシップの教科書
ビジョナリー・カンパニー(ジェームス・C・コリンズ、ジェリー・I・ポラス)
1分間顧客サービス(ケン・ブランチャード、シェルダン・ボウルズ)
1分間エンパワーメント(ケン・ブランチャード、J・P・カルロス、A・ランドルフ)
後世への最大遺物・デンマルク国の話(内村鑑三)
代表的日本人(内村鑑三)


【感想】

星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則』というタイトルでしたので、星野リゾートで行われている経営手法について書かれている内容に関する本だとは思っていました。しかし、星野リゾートの経営が、さまざまな“教科書”に書かれていることを参考にしながら経営を行っているとは、思いもよりませんでした。“教科書”という意味は「経営の判断を行うための拠り所にした本」という意味だったのです!

以前、『星野リゾートの事件簿 なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?』を読んだときは、「社員が主役となり、星野社長は、社員を支える“アドバイザリー”的な役目」というイメージを持ちました。しかし、それも『1分間エンパワーメント』という“教科書”があってゆえの行動だったのですね!

本書は
 ・どのような課題なのか?
 ・教科書を「なぜ」、「どのように」使ったのか?
 ・ 他の分野には「どのように」活用できるのか?

ということが書かれております。この書き方によって、星野社長が「どのように教科書を活用していったのか?」を読者は理解しやすくなっているのではないかと思います。

それにしても、本書に登場する“教科書”は、定評のある経営書ばかりです。これらの“教科書”を活用するためには、一度読んだだけでは身に付かず、何度も繰り返し読み、その内容を自分のものとし、「こういうときに使えそうだ!」というイメージできるようになることが必要となってまいります。そうすることで、いざ、その場面に出会ったとき、「これはこの教科書が役立ちそうだ!」とピンと来るようになります。星野社長も1行ずつ理解し、分からない所を何度も繰り返し読むことによって、教科書を自分のモノにしてまいりました。

私は、本書に出てくる“教科書”については、読むことはあっても、実践で活用するということは殆どないと思っていました。「読んだら読みっぱなし!“自分のモノにしよう!”という意識で読んでいなかった」からです。

しかし、本書を読んで「“経営書”というのは、キチンと自分のモノにできれば活用できるものなんだな!」と本書を読んで思いました。「経営書が実践で役に立つ!」という話をあまり聞いたことがない私にとっては、本書に書かれている内容は、まさに“目から鱗”です。

そして、「本を“読みっぱなし”にせず、“実践活用をする”!」ことを自分の目標としている私にとって、本書は「実践活用するためにはどうすればよいのか?」という考え方を、事例を交えながら学ぶことが出来ました。

「経営書は難しい!役に立たない!」と思っている
方にとっては、考え方を変えるキッカケとなる本かもしれませんよ!


※2011-10-23追記
【マインドマップ】

本書の概要を表したマインドマップを以下に記載します。
image.png
拡大表示は以下のリンクをクリック!
なお、スマホでは綺麗に表示できないかもしれませんが、ご勘弁を(^^;)
星野リゾートの教科書.html

※追記ここまで


【関連書籍】


星野リゾートの事件簿 なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?
  • 中沢康彦
  • 日経BP社
  • 1575円
Amazonで購入
書評


星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則

1)本書の内容
 第T部 星野社長が語る教科書の生かし方
 第U部 教科書通りの戦略
 第V部 教科書通りのマーケティング
 第W部 教科書通りのリーダーシップ
 第X部 教科書通りに人を鍛える

2)本書から学んだこと
 ・教科書に書かれていることは「経営の定石」である
 ・教科書に書かれていることは正しく、実践で使える
 ・定石となった理論を実践で使えないとすれは、それは理解不足が起因する



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posted by まなたけ(@manatake_o) at 21:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 企業論/組織論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月15日

【マインドマップ付き】“マーケティング発想”の目指す所は顧客との“エンゲージメント”の関係構築である!「会社は変われる!」(魚谷雅彦著)


会社は変われる! ドコモ1000日の挑戦
  • 魚谷雅彦
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 1575円
Amazonで購入


会社は変われる! ドコモ1000日の挑戦を見たとき、最初に思った疑問が以下のものでした。

「著者の魚谷雅彦さんはマーケティングの分野では有名な方だけど、その方がドコモの変革とどのように結びついているのだろう?」と....このとき実は、自分の中でマーケティング戦略の本当の意味を理解していなかったのです。

しかし、本書を読んだあと、「なぜ魚谷さんがドコモの変革に携わったのか?」、「マーケティング戦略と経営戦略はどのように結びついているのか?」ということを理解することができました。と同時に、自分のマーケティング戦略に対する理解が浅はかだったことも思い知らせれることに....

自分の理解を整理する意味も込めて、今回のレビュー記事を書きたいと思います。

今回は【本書のポイント】【感想】【マインドマップ】【関連書籍】の構成で書いております。


【本書のポイント】

■マーケティング改革とは?

本書の内容を一言でいうと「マーケティング改革とは経営改革に他ならない」ということです。

自分の理解も含めてもう少し具体的に言うと、マーケティングとは「お客様を起点に考え、お客様が何を欲しているのかを理解し、お客様に合った価値を提供する活動」と捉えております。言い換えれば「ブランド価値を高める活動」の訳です。

お客様に価値を届けるためには、それに見合った人や組織が必要となります。ドコモの場合は、携帯電話の企画や製造・料金プラン・ドコモショップ・コールセンター・広報活動など....これらの事柄は、全て経営戦略に結び付いてくるのです。
著者の魚谷さんは以下のように述べております。
僕の考えるマーケティングとは、会社の大きな経営戦略の柱として企業全体で取り組むものであり、その活動を通じて無形資産であるブランドを高めることは、企業価値そのものを高めることになるものです。
(本書より)


■経営者が、組織が変わる

ドコモの変革がうまくいった理由の1つとして「お客様起点で物事を考えられるようになった」ということがあげられます。”お客様起点”とは「お客様から見たらそれってどうなの?」という発想です。その逆の発想が「組織の論理」ということになります。

かつでのドコモは成功体験があったためにそこにしがみつき、硬直化しておりました。硬直化した組織は「組織の論理」に走りがちです。ドコモも例外ではありませんでした。

ドコモが変わった最大の要因は、変革のための会議や合宿を通じて、経営陣自らが「お客様起点の重要さ」を認識したことに他なりません。いや、一人一人は気づいていたのかもしれませんが、「組織の論理」に縛られていたために会社として機能していなかったというのが正しいかもしれません。

変わったことを示すために経営者自らが現場に行き、現場の人間の声を聞き、それを経営に活かす!
現場と経営者の距離が近づいたことも、ドコモが変わった大きな要因の一つだと思います。


■CSよりもCEを目指せ!

本書の問いの一つに「いいお客様とはどんなお客様か?」があります。

本書によると、議論を通じて出た結論として、ドコモにとっていいお客様とは以下のお客様を指すと言っております。
いいお客さまとは、ドコモの携帯サービスに対して満足度が高く、愛着をもってくださり、長く使ってくださるお客さま。ドコモが大好きで、会社に対してパートナーのような存在になり、まわりの人にドコモを勧めてくださるお客さま。
(本書より)

CS(カスタマー・サティスファクション)という言葉は以前から使われておりましたが、本書では「満足してもらって終わるのではなく、積極的につながり、新しい関係をつくりあげる”CE(カスタマー・エンゲージメント)”が重要である」と述べております。
満足したらそれで終わってしまうのです。
そうではなくて、そこからブランドとつながる新しい関係が始まるものでなければなりません。

(本書より)


【感想】

「docomoが変わった!」という印象はロゴが変わり、製品ラインナップが変わった辺りから持っていました。特に“電池交換無料サービス”のようなユーザーにとってメリットのあるサービスは、CIが変わる以前のdocomoでは考えられませんでした。Docomoからdocomoに変わるために、トップをはじめ、社員 が一丸となって努力されてきたことが、本書を通じて読み手の私に伝わってまいりました。

本書には“マーケティング発想”という言葉が盛んに出てまいります。そして、“マーケティング発想”という具体的内容が『MARKETING EYE』という個所に書かれております。この『MARKETING EYE』の内容を見て、「マーケティング発想の会社とは、この会社のことを指すんだろうな!」と思い浮かべた会社があります。それは、本書の出版元である“株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン”です。

“マーケティング発想”の目指す所は、「顧客と会社が“エンゲージメント”の関係を結ぶ」ことだと思っています。そのために必要なことは「トップ自らがファンに対してメッセージを発する」こと、そして「会社とファンが“つながり”を感じさせる場を作る」ことだと思います。ディスカヴァー・トゥエンティワンは、そのことを実践している会社であるため、「それゆえ、ディスカヴァー・トゥエンティワンという会社に対するファンが多いのではないか?」と思うのです。

「トップ自らがファンに対してメッセージを発する」という点を申し上げますと、干場社長は『ディスカヴァー社長室blog』、そしてTwitterやfacebookを通じて、常にファンに対して新鮮なメッセージを発信し続けております。藤田晋さんなどITベンチャー企業のトップ自らがTwitterやfacebookを通じてファンと交流する例は珍しくありません。しかし、こと出版業界に関して言うと、コンテンツ単位や社員が“個別に”ファンと交流する例はあっても、トップ自らが積極的にファンと交流し、メッセージを発信しているのは干場社長くらいではないでしょうか?

そして「会社とファンが“つながり”を感じさせる場を作る」という意味では、具体的には“ディスカヴァーブッククラブ・イベント”を継続して行っていることがあげられます。このイベントの凄いところは「単発に終わらず、継続して行っている」ことです。

ファンにとって、著者、出版社の編集者や社員の方と直に交流の持てる場は、やはりうれしいものです。しかし、単発のイベントでは「楽しかった」という思いは生まれても、“エンゲージメント”は生まれません!繰り返し行い、何度も交流を持つことで、その会社に対する“エンゲージメント”は生まれてくるものだと思うのです。イベントの開催は、それなりの費用が発生します。しかし、ディスカヴァーブッククラブで、それを継続して行っているのは「“ファンに対して投資を行っている”という会社の考えの表れ」に他なりません。

先に述べたことを継続して行っているからこそ、「ディスカヴァー・トゥエンティワンという会社は、ファンと“エンゲージメント”の関係を結ぶことができるのではないか!」と思うのです。

“本の感想”というよりは、“会社に対する感想”となってしまいましたが、本書を読んで真っ先に結びついたのが“ディスカヴァー・トゥエンティワンという会社”でした。

「ディスカヴァートェンティーワンという会社が行っていることを見てみることにより、“マーケティング発想とは何なのか?”」ということが、よりイメージしやすくなるのではないかと思います。


※2011-10-23追記
【マインドマップ】

本書の概要を表したマインドマップを以下に記載します。

image.png
拡大表示は以下のリンクをクリック!
なお、スマホでは綺麗に表示できないかもしれませんが、ご勘弁を(^^;)
会社は変われる.html

※追記ここまで


【関連書籍】


こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる
  • 魚谷雅彦
  • ダイヤモンド社
  • 1575円
Amazonで購入


会社は変われる! ドコモ1000日の挑戦

1)本書の内容
 プロローグ わたしたちは変わらなければならない!
 フェーズ1 お客さま起点の会社になろう!
 フェーズ2 わたしたちのあるべき姿はこれだ!
 フェーズ3 お客様との絆をつくろう!
 フェーズ4 社員の心を動かすインターナル・マーケティング
 フェーズ5 つねにメッセージを送りつづける
 エピローグ ドコモはなぜ変われたのか?

2)本書から学んだこと
 ・”マーケティング変革”とは”経営変革そのもの”である!
 ・常に”お客様起点の発想”が大事!
 ・トップ自らが社内外に発信し続ける!
 ・大事なのは”CS”よりも”CE”!



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