経済/ビジネス (4): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2012年12月09日

「和の共創費」が経済活動に影響を及ぼす「祭りのハタ」『ソーシャルエコノミー』(阿久津聡/谷内宏行/金田育子/鷲尾恒平)



ソーシャルエコノミー 和をしかける経済を読んでみました。

本書のご紹介に当たって、今回は、【本書のポイント】【感想】【関連書籍】の構成で書いていきたいと思います。
※今回はマインドマップはございません。


【本書のポイント】

本書のポイントを以下に掲載いたします。


■エコノミーのカタチも変わりゆく

本書ではエコノミーの変遷を『経験経済―エクスペリエンス・エコノミー』(B・J・パインU/H・ギルモア著)をもとに説明しております。

・第一の経済:農業経済
・第二の経済:産業経済
・第三の経済:サービス経済
・第四の経済:経験経済


ゼロ年代に主流となった「経験経済」(エクスペリエンス・エコノミー)について、本書では以下のように書いております。

 第四の経済は「経験経済」だった。
スターバックスを象徴とする「エクスペリエンス・エコノミー」の隆盛。サービスの発展形として、今までと違う「上質な体験価値」を提供物とする経済だ。その経済価値は演劇に例えられる。趣向を凝らした舞台セットにさまざまな小道具が用意され、利用者は劇の観客のように舞台に招かれる。ホストとなる企業側は、練習を重ねて、高い表現力を備えるようになった従業員を配して、完成された劇のようなサービスを披露する。観客はその世界に引き込まれ、感動し、貴重な体験をしたと胸に刻みこむ。その体験は、谷は代えがたい価値となり、高い対価を支払ってでも手に入れたい対象となる。
(中略)
 ところが数年もすると、どの居酒屋に行っても同じような経験が提供されるようになった。間接照明に、作務衣の店員、手書き風の和風メニュー。このようなエクスペリエンス・フォーマットのコピー&ペーストにより、同じような店が世の中にあふれていった。チェーンの和風居酒屋も、十分に洗練されていった。もともと日本人には得意だったのだろう。猫も杓子もこじゃれた接客になっていった。喫茶店も同様。あちこちが「スターバックスもどき」だらけになった。経験による差別化が、すでに難しくなっていった。
(本書より P59〜P61)


そして、「エクスペリエンス・エコノミーの飽和が原点回帰に向かう気分を助長させた」と本書では述べております。


■ソーシャルエコノミー

飽和となった「エクスペリエンス・エコノミー」に代わる経済が「ソーシャルエコノミー」と本書では述べております。

 ソーシャルエコノミー。
 第五の経済のカタチは、「共創費経済」となっていくだろう。「お互いがサービスしあうこと」を提供物とする経済だ。
(中略)
 与えられる一方だった立場から、完成度や画質は二の次でいいから、安価に始められ、自分たちで共につくり、共に育て、共に騒ぎ、共に消費するタイプの楽しみ方のほうが、手応えとして魅力的になった。鍵となるのは「みんなで共に作り・騒ぎ・育て・消費する」ことへの目覚めだ。Wiiや動画共有サイトの人気が示すように、コンテンツ自体のクオリティの高さやサービス品質だけで、人が集まる時ではなくなってきている。それよりも、みんなでコンテンツを楽しんだり、みんながプロセスに参加して、人とつながって消費することが新たな魅力となりはじめたのだ。
(本書より P65〜P66)


ソーシャルメディアそしてスマートフォンが「みんなで共に作り・騒ぎ・育て・消費する」ことへの目覚めさせた大きな立役者であることは、恐らく異論はないでしょう。


■ソーシャルメディアで大繁盛する「同好コミュニティ」

 同好コミュニティは、都市的であり、ムラ的でもある。
 参加・不参加が自由で人の動きが流動的など、エントリー面では都市的ソサエティに近い。にもかかわらず、趣味や目的によっては参加者を強く惹きつけ、高い一体感をもたらす点ではムラ的である。ただし、ニッチで濃い趣味や目的の活動ほど対象者も限定される。コミュニティの規模としては広がりにくい。
(中略)
 そこへソーシャルメディアがやってきた。
 公民館へ行かなくても、ネットで「手打ちうどん愛好会」と入力すれば、グーグル先生が日本中のうどん好きたちをつなげてくれる。「うどん」に引っかかって「うどん県」なるものまで存在していることを知る。
 インターネットの波に乗り、同好コミュニティの数と種類と規模が、飛躍的に発展したのである。コミュニティづくりの大革命が起きたと言っていいだろう。
(本書より P97〜P99)


そして本書では「コミュニティづくり」のプロセスを以下のように提示しております。

1.まず「共有のネタ」を放つ。
2.「同好コミュニティ」活性化のため、「宴」を催し続ける。
3.コミュニティに「和」が生まれたら、「祭りのハタ」を掲げ、「同好リーグ」化を導く。
4.祭りの後に「裾野ソサエティ」を広め、ソーシャルエコノミーの発動を促す。



■B-1グランプリ

ソーシャルエコノミーの代表例の一つとして本書は「B-1グランプリ」をあげております。

1.B-1グランプリとは、B級グルメの祭典ではない
2.B-1グランプリには、飲食店だけでは参加できない
3.B-1グランプリとは、順位を競うことが主目的ではない

 「だったら何でB-1グランプリっていうのよ!?」と言いたくなるぐらい、根本から否定された感じだった。
 B-1グランプリは、「富士宮やきそば的町おこし」に引きよせられた互助会(=愛Bリーグ)の共同PRイベントであるというのが本来の姿だった。それをメディアウケするために「B-1グランプリ」と称しているらしい。
 この渡邊さんというのが、すこぶるメディアウケに長けている。
 そもそもが「やきそばG麺」でメディアを惹きつけられた感触からか、その後も「天下分け麺の戦い」「三者麺談」「やぶさ麺まつり」という名称のイベントを手がけ、次第に集まった仲間たち(熱い麺々?)とチャレンジしたのがB-1グランプリだった。
 よくいえば、サービス精神あふれている。悪くいえば、ダジャレすぎ。それもこれもみんな、地元のテレビ局や新聞社へのメディアウケを狙って、確信犯的に行われたことであった。
だいたいこの辺の取り組みを初期の原動力とし、各地の猛者を吸引しながら、B-1グランプリは発展していく。
(本書より P174〜P175)


今はテレビのニュースとして取り上げられるほど大きな祭りとなった「B-1グランプリ」!誕生のきっかけは「富士宮やきそば」の成功、そして富士宮やきそばの成功を参考にした「八戸せんべい汁」の出会いでした。

 各地に富士宮チルドレンが広まった頃、八戸の木村さんが言い出した。
 「この輪をもっと全国にひろめたいなあ。ご当地B級グルメのみんなが集まって、もっと話題作りをしたらどうだろう?グランプリ形式にして取り上げてもらいやすくするとか?」
 みんなが、乗り気になった。K-1やM-1が流行っていた頃だったから、おもいきって「B-1グランプリ」と大きく名づけた。
 2006年のことだった。日本一といっても、参加したのは10団体。今から思えばたったの10だが、当時はこれでも画期的なことだった。第1回大会は、八戸で開催された。来場者数は1万7000人。手探り状態にしては大健闘だった。しかし、その翌年からがすごかった。第二回大会は、富士宮で開催。一挙に規模が拡大した。前年の二倍以上の21団体が参加し、来場者は25万人に膨れ上がった。2011年には63団体、51万5000人の来場者となるまでになっている。
(中略)
 B-1グランプリというハタが揚がった。最初は、冗談半分の日本一だった。
 和気あいあいから、みんなが主役になれる環境が生まれていった。
 いつしか「祭りのハタ」が、日本一にふさわしくなった。
(本書より P180〜P183)



【感想】

ソーシャルエコノミー 和をしかける経済』というタイトルを目にしたとき、「これはTwitterやFacebookといったソーシャルメディアを使い、つながりが生まれる中で派生する経済について書かれている内容なのかな?」と思いました。しかし、その予想は「つながりが生まれる中で派生する経済について書かれている」という点については当たってはおりましたが、「TwiiterやFacebookといったソーシャルメディアを使い」という部分については外れておりました。

本書を読む前に私が予想した「ソーシャルメディア」は各々のネットワークの飛躍的な拡大に貢献をしてはおりますが、それは一つの要素に過ぎません。むしろ本書の主題は、「B-1グランプリ」「ニコニコ超会議」「AKB総選挙」を用いながら「共益のネタ」を放ち、コミュニティを形成し、「祭りのハタ」を立ち上げ、仕掛けていくか?というところにあるように思えます。そしてその結果、これらのイベントは大きな盛り上がりを見せ、新たに多くの人々を巻き込み、裾野を広げながら更に大きなイベントとなって成長しております。

そのことを端的に表現した動画が本書で紹介されております。『裸の男とリーダーシップ』という動画です。
この動画は、裸で踊っている男をフォローする人が一人、二人と現れ、それがキッカケで大きなムーブメントになる!そのことを示しております。



そしてこのような大きなムーブメントが経済的に大きな波及効果を生んでいく。そのような経済現象を本書では「ソーシャルエコノミー」と呼んでいるのでしょう。

ただ、本書を読んで、このような理解に至るまでにかなりの時間がかかりました。「祭り」、「ネット」、「ソーシャル」が混在し、かつ内容が冗長化した形で書かれているため、焦点が「ソーシャル」にあるのか、「エコノミー」」にあるのか?イマイチ分かりづらいためです。また、第6章の「ソーシャルエコノミー・クエスト」で示されている図も何を訴えたかったのかがイマイチよく分かりませんでした。この点は読み手にフラストレーションを与えるのではないでしょうか?

とはいえ、「コミュニティ化が経済に影響を与えつつある」ことは、途上とはいえ多くの方(特にネット住人)は感じていると思います。そういう意味で「コミュニティ化→祭りのハタ→裾野ソサエティ→和の共創費」とつながるプロセスを示す本書は、現在起こりつつある経済事象の変化を捉える参考となるのではないかと思います。


【関連書籍】



ソーシャルエコノミー 和をしかける経済

1)本書の内容
 序章  和のソーシャル
 第1章 新経済へのヒフ感覚
 第2章 ソーシャルエコノミーの時代
 第3章 コミュニティづくりの大革命
 第4章 コミュニティを和にする技術
 第5章 「祭りのハタ」への高まり方
 第6章 ソーシャルエコノミー・クエスト 頭に地図を広げよう
 終章  「和」のなる方へ

2)本書から学んだこと
 ・「エクスペリエンス・エコノミー」から「ソーシャルエコノミー」へ?
 ・「和の共創費」が経済活動に影響を及ぼす



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2012年11月03日

【マインドマップ付き】日本人に違った見方と勇気を与える日本経済の本!『なぜ日本経済は世界最強と言われるのか』(ぐっちーさん著)



なぜ日本経済は世界最強と言われるのかを読んでみました。

著者のぐっちーさんはプロの投資銀行家。有料メルマガも人気があり、投資の世界では注目を集めている方です。そのぐっちーさんの初の著書となったのが本書です。日本悲観論が蔓延する中で本書が注目を集めている同書を読んでみました。

本書のご紹介に当たって、今回は、【本書のポイント】【感想】【マインドマップ】【関連書籍】の構成で書いていきたいと思います。
※当初はマインドマップを掲載する予定ではなかったのですが、本書の概要を示したいと思い、追記することにいたしました。


【本書のポイント】

本書のポイントを以下に掲載いたします。


■日本救世主論

 今年(2012年)の春先にシアトルでビル・ゲイツの寄付金を運用するファウンデーションや、ITベンチャーの経営者連中などと、連日さまざまなミーティングを致しました。アメリカにおける日本に対する評価の問題です。
 いったい誰がバイアスをかけているのか極めて不明確なのですが、要するに日本経済のことをだめだとか、債務が多くて倒産しそうで終わっている国などと思っている人は誰もいないのですよ。アメリカは。
(中略)
 「財政赤字を減らさないと日本の信用がなくなる・・・・なんて誰がいいだしている冗談なのか」とビルのファウンデーションの連中はいうわけです。倒産するとすれば間違いなくアメリカが先だと。「だって、だから円が高いんだろ」・・・・はい、その通り(笑)。冷静に考えればわかることですが、リーマンショックでアメリカが飛びかけて、そのあと欧州危機があり、中国がよたよたし始めたこの時代にアンカーになっているのは日本なのです。
(本書より P14〜P16)



■日本は相対的に美人

 前述のように金利差とか成長率の差など、全く当てにならないことは過去が証明しています。むかしは日米金利差3%以上ならドル高とかよくいったわけですが世界の為替のトレーダーはそんなものは見ていません。為替とはなにかを突き詰めると、結局美人投票でしかないのです。
 となると、誰がいま一番美人かを突き詰める方がはるかに有益でしょう??
 私がここ数年「ドル安円高」といっているのはまさにそういうことなのです。美人度から見たときにどうも日本が相対的にきれいに見えますね。
(中略)
 よく考えていただきたいのですが、スイス・フランが戦後あの低金利であれだけの強さを保ったのは預けたカネの氏素性が絶対にばれない・・・・・・という極めてダークな理由が原因だったわけです。
 それに比べれば日本はずいぶんと「上品」で、真実の価値を産み出し(現在価値)、今後も産み出し続けるという期待値が極めて高く(国民性、教育水準など)、借金も全部自分で賄っているわけですから、どう見てもこの国の通貨が弱くなる理由がありません。
 心配なのは政治力。
(本書より P50〜P54)



■新聞記事に騙されるな

 2012年2月2日の朝日新聞1面に以下のような記事が掲載されました。これが1面ですよ。

 銀行最大手の三菱東京UFJ銀行が日本国債の価格急落に備えた「危機管理計画」を初めて作ったことがわかった。数年後に価格が急落(金利が急騰)して金利が数%にはね上がり、損を少なくするために短期間に数兆円の国債を売らざるを得なくなることもある、としている。国債の有力な買い手がいよいよ「急落シナリオ」を想定し始めた。
 日本政府の借金総額は約1千兆円あり、このうち国債を発行して投資家から借りているのは約750兆円(昨年9月末時点、日本銀行調べ)。国債の9割兆は国内で買われ、4割を銀行が持っている。とくに三菱東京UFJ銀行はゆうちょ銀行を除いて最大の42兆円を持ち、国債を売買する債券市場への影響力が大きい。
 計画は昨年末にまとまった。日本の経済成長率や経常収支、為替など30指標をチェックし国債急落につながる変化があれば損失を軽くするために売却などの対応をとる。


 結論から申し上げると、これは極めて「筋の悪い」記事です。
 まず、何兆円も国債を保有している日本の大手銀行が、金利が上昇したときの対処法、リスクシナリオを想定するのは当たり前で、そんなことは何十年も前からやっているに決まっているではないですか。
 もしそうでなければ毎年やっている金融庁検査というのは、なにを見ているのでしょうか。
(中略)
 どう見ても、前後して発表されることになった「政府債務の金額が巨額である」ということを強調し、「消費税を上げないと大変なことになるぞ。大銀行でさえ急落シナリオに備えている!」という、誰かに指示されたマッチポンプ記事であることは明らかで、まあ「誰かに書かされた」記事といえるでしょう。
(本書より P126〜P128)



■日本崩壊の「神話」

本書の最終章では「日本はうまくいっている」ということを『2012年1月14日 ニューヨークタイムズ』に掲載された記事を用いて紹介しております。

 多少の楽観的な数字はあるものの、高失業率の継続など、この国(アメリカ)の行き詰まり感は明らかだ。
 繰り返し、なにが正しい道筋かという議論はあるものの、アメリカ人たちは日本を経済運営に失敗した悪しき前例だと、しばしば教えられる。例えばCNNのディヴィッド・グリーンなどが「日本はすでに脱落した国で、状況はどんどん悪くなっている」などと表現している。
 しかし、私にいわせると、それはまさに「伝説」の世界だ。ありとあらゆる尺度で見て日本軽罪は所謂「失われた10年」といわれる期間でさえ大変よくやってきたし、それは1990年の所謂「バブル崩壊」から見てもそうだ。むしろ最重要な尺度だけ見るなら、日本はアメリカよりも極めてよくいわざるを得ない。
 日本はリーマンショック以降でさえ、極めて裕福な生活水準を提供することに成功してきた。そしてすべての時代において、この期間(時代)は特筆すべき成功した期間として捉えられるだろう。
(本書より P243〜P244)



【感想】

暗いニュースが飛び交う中、話題の著書なぜ日本経済は世界最強と言われるのかを読んでみました。

著者のぐっちーさんはベアー・スターンズにてCDO(Collateralized Debt Obligation)を担当しております。CDOというと、サブプライムローン問題で一躍有名になったデリバティブ商品です。その組成には原資となるローン、債券、ソブリン債、クレジット・デリバティブなどを取り巻く状況(経済、政治等)を把握し、リスク算定した上で組み込むことが必要となります。それを考慮した上で組成されたCDOは3つのクラスに分けられ、販売されます。
 ・シニア債(安全性は高いが、利回りは低い)
 ・メザニン債(シニア債とジュニア債の中間ぐらい)
 ・ジュニア債(安全性は低いが、利回りは高い)
もっとも、リーマンショック以降は死んだも同然の商品なのですが....

そのような金融商品であるCDOの組成する中で政治・経済を見てきたぐっちーさんが書いた本書には
 ・世界最強通貨・円(YEN)
 ・世界一安全な日本国債
 ・韓国経済を生かすも殺すも日本次第
など、理路整然と「日本経済世界最強」論が書かれております。

例えば本書では「iPodの部品の40%が日本製だとか、ボーイング787の部品の45%が日本製だというのはアメリカではかなり常識的な知識として通っています」(本書より P15)とあります。半導体メーカーである東京エレクトロンのCMは、それを表す一例とも言えるでしょう。

・東京エレクトロン CM 「井戸端世界会議」篇


また、本書の最終章でも『2012年1月14日 ニューヨークタイムズ』に掲載された記事を用いて日本の立ち位置を紹介しております。

 日本の現在の圧倒的優位な立場を語るうえでは、その主要な競合相手であるドイツ、韓国、台湾そしてもちろん中国が、日本抜きでは存在できないことを見ればより明らかだろう。世界はこの20年間においては、東アジアにおける工業の革命的急成長のおかげで存在したといっても過言ではない。そして日本はそれらのなかで、いまだに貿易収支の黒字を増加させている。
 つまり日本はお手本として捉えられるべき存在であって、決して警告などと捉えられるべき存在ではない。もしある国が日本のようにあらゆる意志を統合する方向に導くならば、どんな絶望的な状況も有利な状況に変革することが可能なはずだ。
(本書より P253〜P254)


それを支えているのが「日本的価値観」です。本書に述べられている例をあげると
 ・1円1銭も間違えない
 ・丁寧な接客
 ・納期を守る気持ち
など。これらは日本人にとっては当たり前のことですが、「このような日本文化の支えがあるからこそ、世界がわざわざお金を出して買ってもらえる」と本書で述べているのをみると、日本人として誇らしく思えます。

ところが、日本のマスコミが流す情報を見ると「日本悲観論」一色です。

昨日(2012年11月1日)、シャープ、ソニー、パナソニックの決算発表が大きなニュースとなりました。特にシャープとパナソニックの巨額の赤字、パナソニックの株価がストップ安というニュースは、暗いニュースが多い中で「日本の製造業はもうダメなのか?」という印象を与えました。しかし、先のシャープ、パナソニックのような製造業を代表する企業が大赤字である一方で、JR東日本などの内需関連企業は健闘を見せております。

★決算集計(10月29日-30日発表分)

★決算集計(10月31日発表分)

だが、こういった情報はマスコミからはなかなか流れてまいりません。そのため、ますます暗い気持ちが蔓延してまいります。だが、本当に日本は悲観的な状況なのか?ぐっちーさんの見方は違います。本書の「あとがき」には以下のように書いております。

 毎日さまざまな経済ニュースが出てまいりますが、皆さま状況をしっかり把握されているでしょうか?
 本書を読み終えられたいま、メディアに対する見方がかなり変わったのではないではなかなと期待しております。
 さらに申し上げますと、日本人の強みを一番知らないのが日本人というのが、海外の共通認識です。皆さんが勝手に悲観論になっているだけで、アメリカにしても中国にしても、日本人の評判はものすごくよいのです。
 不幸なことに震災ではっきりしましたが、いまや日本経済なしに立ちゆく企業は世界中にないのです。
 世界中の債権の大多数を保有し、にもかかわらずどこかの国のように恫喝したりなにかを強制したりしない日本。一方では「あほ」といわれるかもしれませんが、この世知辛い世界にそういう国が1つっくらいあってもいいのではないでしょうか。
 そういう国の国民であることに誇りを持ち、毎日楽しく暮らせばよいことです。
(本書より P261)


本書が話題になり、ベストセラーとなっているのも「日本人に今までとは見方を示してくれる本」であると同時に、「日本人に勇気を与えてくれる本」だからではないでしょうか?

「なぜ日本国債は世界一安全なのか?」など書いている内容によっては金融マーケットや金融商品の知識がないと読み解くことが難しい個所もありますが、今までとは違った経済の見方を得ることができる面白い本だと思います。

(追伸)
「日本国債暴落」について、参考として以下のリンクを掲載いたします。識者によって見方が違うことがよく分かると思います。

村上龍が聞く金融経済スペシャリストからの回答
Q.1280
 ギリシャの債務危機以来、日本国債暴落のリスクが語られることが多くなった気がします。そもそも長期金利がどのくらい上昇すれば、「暴落」なのでしょか。またどんな状況において、「暴落」が起こると考えられるのでしょうか。


※2012-11-04追記
【マインドマップ】

image.png
拡大表示は以下のリンクをクリック!
なお、スマホでは綺麗に表示できないかもしれませんが、ご勘弁を(^^;)
なぜ日本経済は世界最強と言われるのか.html

そして、スマホの方は以下のリンクをクリック!マインドマップの内容を階層構造で表しました。
なぜ日本経済は世界最強と言われるのか.mm.html

※追記ここまで


【関連書籍】



なぜ日本経済は世界最強と言われるのか

1)本書の内容
 第1章 2013年、日はまた昇る
 第2章 世界最強通貨・円(YEN)
 第3章 世界一安全な日本国債の威力
 第4章 日本の投信、年金、株の真実とマスコミの嘘
 第5章 中国バブル崩壊 韓国の生殺与奪権
 第6章 日本神話、いまだ健在

2)本書から学んだこと
 ・円は現在「世界最強通貨」!
 ・日本神話、いまだ健在!
 ・マスコミ情報には注意が必要!



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2012年05月04日

【マインドマップ付き】「成長志向のマインドセット」が現状打破のキッカケになる!『小さく賭けろ!』(ピーター・シムズ著)


小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密
  • ピーター・シムズ
  • 日経BP社
  • 1680円
Amazonで購入


小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密を読んでみました。

本書の訳者は滑川海彦さん、高橋信夫さん、そして編集者は中川ヒロミさんと、「インターネットに関する本の中でも歴史に残る1冊」と評した『フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)』と同じトリオなのです。『フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)』は厚い本にも関わらず、非常に読みやすい本でした。その理由の一つとして、翻訳の文章が素晴らしいことがあげられます。

今回の『小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密』も非常に読みやすく、かつ我々にとってなじみの深いと思われる内容の本でした。(詳しい感想は後ほど書きます!)

本書のご紹介に当たって、今回は、【本書のポイント】【感想】【マインドマップ】【関連書籍】の構成で書いていきたいと思います。


【本書のポイント】

本書のポイントを以下に記述します。


■概念的イノベーターと実験的イノベーター

 クリス・ロック、グーグルーの創立者、ジェフ・ベゾス−彼らはいずれもシカゴ大学のエコノミストのデビッド・ガレイソンが「実験的イノベーター」と名づけたグループに属する。彼らは「小さな賭け」の原則に従い、非連続なイノベーションによって問題を解決してきた。
(中略)
実験的イノベーターはその名の通り、実験を好む。彼らのアプローチは試行錯誤を繰り返す中で徐々にブレークスルーを発見していくというものだ。実験的なイノベーターはゴールに向かって進む際に、失敗や挫折を恐れず執拗に努力する。
(本書より)



■「小さな賭け」の原則

 私は創造的な人々が仕事に取り組む方法には驚くほどに共通性があることを発見した。ピクサーの映画製作、ジェフ・ベゾスのような練達のCEOが新し市場を発見してチャンスを拡大していく過程、フランク・ゲーリーにような建築家のビルのデザイン、軍の司令官による対武装勢力戦略の立案と部隊の訓練、コメディアンの新しい演し物の稽古など、一見してかけ離れたところによく似た試行錯誤の思考過程と手法が繰り返し現れるのだ。
 ただし、試行錯誤といってもスパゲッティーの玉を壁に投げつけてどうなるかを見る、というような行き当たりばったりのやり方でないのは確かだ。もっとも創造的で生産性の高い人々ないしチームの思考はきわめて厳格で、分析的であり、戦略的であり、現実的だ。しかし彼らの行動は、決まった既知のパターンには従わない。だから本書でこれから詳しく紹介する思考や行動の手法を、便利な処方箋やプロトコルのようなものと考えてはならない。段階を追って順次模倣できるようなレシピではないのだ。本書が紹介するのはむしろ、創造的に生産性を高め、心を自由に解き放つための強力な手助けとなる方法だ。われわれがこの方法の本質を体得すれば、直面するさまざまな状況に応用していけるようになる。
(本書より)


本書の「はじめに」には、「小さな賭け」の原則として以下の項目が記載されております。

●「小さな賭け」の原則
・実験する
・遊ぶ
・没頭する
・明確化する
・出直す
・繰り返す



■固定的なマインドセットと成長志向のマインドセット

本書では「小さな賭け」の原則に必要なマインドセットとして「成長志向のマインドセット」をあげております。そして「成長志向のマインドセット」の対極的なマインドセットに「固定的マインドセット」があります。それぞれの違いは以下の通りです。

●成長志向のマインドセット
・知識は成長できる
・学ぶ意欲が強く・・・・
・挑戦
  新たな問題に挑戦する意思が高い
・困難
  困難に直面してもくじけない
・努力
  努力を成功への過程と考える
・批判
  批判から学ぶ
・他人の成功
  他人の成功から教訓とインスピレーションを得る
その結果、さらに高いレベルの成功を達成する

●固定的マインドセット
・知性は静的
・頭が良いと見られたいという欲望が強く・・・・
・挑戦
  新たな問題への挑戦避ける
・困難
  困難に直面すると簡単にあきらめる
・努力
  努力を無駄と考えやすい
・批判
  批判その他のネガティブな情報への脅威と見る
・他人の成功
  他人の成功を自分の地位への脅威と見る
その結果、成長が頭打ちになる。潜在能力をフルに生かすことが困難
(本書より)



■素早い失敗、素早い学習

「素早く学ぶために素早く間違える」(本書より)ことは、前に進むための効果的な戦略として多くの起業家が用いた戦略でもあります。

『ファインディング・ニモ』や『ウォーリー』で監督を務めたアンドルー・スタントンは以下のように述べております。

 「我々の戦略は昔から決まっている−間違うならできるだけ素早く間違えろ。言い換えれば、『われわれは誰でも間違える。さっさとそれを認めればよい』ということだ。間違えることを恐れてはならない。早く間違えれば、それだけ正しい解答を得るのも早くなる。思春期を過ぎずに大人になることはできない。私は最初から正しいやり方をすることは、できないかもしれない。しかし、非常に早い時期に、間違ったやり方をすることはできる。
(本書より)



【感想】

本書の感想に移る前に、先日、大手電機メーカーの業績予想の発表について触れたいと思います。
先日報道されたニュースによると、ソニーは5200億円の赤字の見通し、シャープの赤字が3800億円に拡大するという予想です。パナソニックも既に7800億円の赤字予想となっているため、家電大手3社は総崩れの状況です。私はこのニュースにショックを受けました。

●ソニーとシャープ、12年3月期の業績予想を下方修正(ロイター・ニュース 2012年4月10日より)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE83900Q20120410?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0

このニュースで注目したのはシャープの業績悪化の要因。「モバイル端末向けの中小型液晶の出荷の遅れ」と「液晶テレビ事業の不振」という文字を見たとき、「製品ライフサイクルの短さ」「市場への製品投入にスピードが求められる」ことを改めて感じてしまいます。

現代のこのような状況下で求められるアプローチは「大きなプロジェクト計画を全て机上で計画し、それを計画通りに着実に実行する」アプローチではなく、「アイデアを小さな段階で実践し、顧客の声やニーズを反映させながら方向転換を図る」アプローチです。エリック・リース氏が提唱するリーン・スタートアップが注目されているのも、現代に適合したモデルであるからです。


さて、本書の感想に移ります。

本書を読んで最初に感じたことは「非常に読みやすい本」ということでした!

この読みやすさは、やはり翻訳された滑川海彦さん、高橋信夫さんの翻訳の力、そして編集を担当された中川ヒロミさんの編集の力が大きいと思います。このような専門性の高いビジネス書になると、読みづらと感じる本も多いのも事実なのですが、そうならないのは、三者の見識の広さ、本書に関連した分野の専門性の高さによるところが大きいと思います。これは『フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)』でも感じたことなのですが、本書でも改めて感じました。

本書の内容も魅力的でした。

本書は、先に述べたようなスピードが求められる現代において、多くのイノベーターや成功した組織がどのようなアプローチで事業を成長させていったのか?その核心を解き明かした内容となっております。

その本書の中で私が押さえておきたいポイントとして感じたのが、
 ・成長志向のマインド
 ・失敗は学習と成長の機会と捉える
 ・素早く失敗し、素早く学習する
 ・小さな勝利を積み重ねる

です。

本書にはスターバックスの創業者であるハワード・シュルツやアマゾンCEOのジェフ・ベゾスなどが登場しますが、「彼らのような『実験的イノベーター』は、失敗を繰り返しながらもそれを糧として成長していくマインドを持っていたんだ!」を、本書を読んで気づかされました。

特に「失敗は学習と成長の機会と捉える」というのは重要だと思います。

「失敗」というと、我々はネガティブなイメージを持ちがちです。

しかし、「失敗は次につながる成長の機会」と捉えると、精神的にも安心感をもたらします。そして、そのような精神的な安心感がゆとりをもたらし、発想を自由にし、次につながるアイデアをもたらすものと感じます。

とはいえ、アイデアを見える形にしないと本当に有効なものなのかどうかは分からない!そのために有効な手法は「プロトタイプの活用」です。しかも本書では「ガムテープと段ボール箱で作った5分もいじっていたらバラバラになってしまうようなプロトタイプ」(本書より)が有効であると述べております。なぜなら「本音を言うようになる」からです。このように「素早く失敗し、素早く学習する」ことで、初期の段階で「なぜ失敗したのか?」ということをフィードバックさせることができます。


とはいえ、上記のやり方の原点は日本の製造業にあります。

本書に登場するピクサーのキャットムル氏が興味を持ち学んだやり方はトヨタ自動車のやり方であり、アジャイル開発手法の一つである「スクラム」の根幹には日本の製造業の戦略が用いられております。『小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密』で書かれている内容は、本来、我々日本人にとってはなじみの深いアプローチのはずです。そういう意味で、私も「うんうん!」と頷きながら読んだ個所が多々ありました。

そのことは、本書の「訳者あとがき」にて滑川海彦さんが的確に記述しております。
今回の記事は、滑川海彦さんの以下の言葉にて締めたいと思います。

 日本を代表する企業が軒並み巨額赤字決算を公表するなど、我が国の将来に懸念を抱かせるようなニュースが続いている。今の日本に求められているのは、「少数の優れたアイデア」や「ひと握りの優良企業」ではなく、無数の小さなアイデアを無数の「小さな賭け」によって大きく育てていく気構え、本書の用語でいうなら「成長志向のマインドセット」ではないだろうか。これは本来、日本が得意とするところであったはずだ。本書が「小さな賭け」によるイノベーションを起こす何らかのきっかけになるように祈りたい。
(本書より)



【マインドマップ】

image.png
拡大表示は以下のリンクをクリック!
なお、スマホでは綺麗に表示できないかもしれませんが、ご勘弁を(^^;)
小さく賭けろ.html

そして、スマホの方は以下のリンクをクリック!マインドマップの内容を階層構造で表しました。
小さく賭けろ.mm.html


【関連書籍】


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小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密

1)本書の内容
 第1章 「大きな賭け」対「小さな賭け」
 第2章 成長志向のマインドセット
 第3章 素早い失敗、素早い学習
 第4章 遊びの天才
 第5章 問題は新しい答え
 第6章 質問は新しい答え
 第7章 大から小を学ぶ
 第8章 小から大を学ぶ
 第9章 小さな勝利
 第10章 あなたの「小さな賭け」

2)本書から学んだこと
 ・「実験的イノベーター」たちは「失敗か」ら素早く学習して道を作ってきた!
 ・「小さな賭け!」の原則には「成功志向のマインド」が必要!
 ・「成功志向のマインド」は、本来、我々日本人が得意としてきたマインドである!



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タグ:ビジネス
posted by まなたけ(@manatake_o) at 16:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経済/ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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