経済/ビジネス: ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2014年07月17日

セオリーを逸脱しながらも愚直に顧客の期待に答え続けたスーパー!それが成城石井!『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』(上阪徹著)



※献本ありがとうございます

成城石井の店舗数は、2014年3月時点で112店。10年前の2004年は30店舗、1994年は4店舗しかなかったこと、そして、この20年が日本はデフレ不況に見舞われているを考えると、出店ペースだけみても驚異的な数字である。しかも店舗形態は多彩。サイズも20坪の小型店から190坪の大型店まである。なぜ成城石井は、こんなに多彩に展開することができたのであろうか?本書成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?は、首都圏を中心に展開している成城石井が、驚異的に成長を遂げることができた理由、顧客から支持されている理由が詳細に書かれている。

では、スーパーがこれほど出店か加速的に伸びていることから、他のスーパーと同じように「業務のマニュアル化、効率化を進めてまいり、成長してきた」かというと決してそんなことはない。むしろ真逆である。例えば、レジでは顧客自らが買った商品を袋に詰めるのが一般的なスーパーの光景であるが、成城石井ではこのような光景は見られない。なぜなら、袋を詰めるのはレジ係2人のうちの1人が行なうことになっているから。このような光景を見ると、「なんて非効率なことをやっているのだろう?セオリーを逸脱しているのではないか?」と思うかもしれない。しかし、そうではない。顧客のためになることだったら非効率でもやる!というのが成城石井のスタンスなのだ。時代とは逆行したスタンスだからこそ、顧客はそこを評価し、支持をしてきた。

  バブル崩壊以降の二〇数年、IT化なども手伝って、 日本企業は徹底的に効率化を推し進めてきた。規模の論理によるM&Aなども加速した。
 成城石井がやってきたのは、こうした流れとは、まさに逆行したものだったのではなかったか。社長の原氏はいう。
「成城石井の成長が現在加速していて、好業績をいただけているのは、むしろ逆行が評価されたんだと思っています」
 効率化が悪く、面倒なことばかりやってきた。大量生産品を売るのではなく、少量多品種にこだわってきた。きっとこういうものを求めている顧客がいるに違いない、と尖った品揃えをした。効率良く儲けようとするのではなく、不器用に、愚直に、とにかくひたすら顧客が求めているものに向き合ってきた……。
「ビジネスの常識からすれば、変わったことをやってきたと思うんです。でも、ベースにあったのは、本当においしいものをお客様に届けたい、という気持ちだけでした。その気持ちを、より多くの方に理解していただける時代になったんだと思っています」
 高級品が当たり前のように売れた好況期のバブル時代に大きな成長を遂げたのなら、話はわかりやすい。だが、むしろ逆なのだ。成城石井は、日本の不況期、デフレ期に入ってから、成長していったのだ。
(中略)
 たしかに成城石井には、高価格の高級品も少なくない。しかし、ただ高級なものが置かれている、と成城石井を捉えたら間違える。顧客が求めているものを追及し続けてきたのが、成城石井なのだ。
 その意味では、成城石井のスタンスは過去とまったく変わっていない。変わったのは、世の中のほうである。その価値に気づくことができる人が増えていったということだ。
 そして、周囲の小売業は簡単には追いつけないだろう。いいものは、簡単には仕入れられないからである。
(本書より P119〜P122)


成城石井が顧客の支持を集めている大きな理由は、バイヤーが日本各地、そして世界各地から集めた独自の食材が極めて多いなど、その独自の品揃えのユニークさ、「基本の四つ」の徹底によって保たれてきたクオリティの高さ、サービスへのこだわりと高いレベルにある。顧客は、このような成城石井のスタンスを評価し、繰り返して成城石井で買い物を行い、そしてファンが増えていった。成城石井で一度買い物をしたことがある方にとっては、あの独自の雰囲気、そしてクオリティの高さには満足してしまう。そして、他のスーパーには行きたくなくなってしまう。そんな魅力が成城石井にはあるのだ。

そして、成城石井で買い物をしたことがある方は、きっと本書に書いていることが分かるはずだ。そして、「なんと!こんなところまでこだわっていたのか?」と、逆に成城石井の素晴らしさを改めて認識し、そして本書を楽しみながら読むことであろう。ちなみに、私は本書を読み終えたあと、思わず成城石井に出かけてしまった。本書に書かれている成城石井の素晴らしさを改めて確認したいと思ったからだ。そして、行ってみて、「やはり成城石井のクオリティは高いなあ!」と思ってしまった。

成城石井の店舗が近くにない方も、本書を通じて成城石井の素晴らしさ知った方は、是非、オンラインショップを参照してほしい。きっと、オンラインショップを通じても、成城石井の素晴らしさを感じとることができるはずだ。

●【成城石井】公式オンラインストア




【本書のポイント】

■店が重視する四つのこと

 そしてもうひとつ、印象的だったのが、社長の原氏が強調していたことだ。それは「基本の四つ」の徹底挨拶、クリンリネス、欠品防止、鮮度管理である。
 この四つは、顧客との接点の基本中の基本。これこそが、最大の経営方針であり、成長戦略であるかのようだった。取材でこのことについて質問すると、原氏はこう語った。
「基本こそが大事なんです。これができて初めて次のアクションだと思っていますから。どんなにいい商品を仕入れても、お客様にきちんとした気持ちのいい挨拶ができていなければ決して良い評価を得ることはできません。成城石井にしかない商品も多いですから、それは他の店にないから成城石井に来てくださっているわけです。なのに、気持ち良く買い物が出来ない、などという状況を絶対に作ってはならない」
 成城石井が顧客から高い支持を得ている、もうひとつの理由。それが接客をはじめとしたサービスへのこだわりとレベルの高さだ。
(本書より P47〜P48)


■時代が成城石井に追いついてきた

 バブル崩壊以降の二〇数年、IT化なども手伝って、 日本企業は徹底的に効率化を推し進めてきた。規模の論理によるM&Aなども加速した。
 成城石井がやってきたのは、こうした流れとは、まさに逆行したものだったのではなかったか。社長の原氏はいう。
「成城石井の成長が現在加速していて、好業績をいただけているのは、むしろ逆行が評価されたんだと思っています」
 効率化が悪く、面倒なことばかりやってきた。大量生産品を売るのではなく、少量多品種にこだわってきた。きっとこういうものを求めている顧客がいるに違いない、と尖った品揃えをした。効率良く儲けようとするのではなく、不器用に、愚直に、とにかくひたすら顧客が求めているものに向き合ってきた……。
「ビジネスの常識からすれば、変わったことをやってきたと思うんです。でも、ベースにあったのは、本当においしいものをお客様に届けたい、という気持ちだけでした。その気持ちを、より多くの方に理解していただける時代になったんだと思っています」
 高級品が当たり前のように売れた好況期のバブル時代に大きな成長を遂げたのなら、話はわかりやすい。だが、むしろ逆なのだ。成城石井は、日本の不況期、デフレ期に入ってから、成長していったのだ。
(中略)
 たしかに成城石井には、高価格の高級品も少なくない。しかし、ただ高級なものが置かれている、と成城石井を捉えたら間違える。顧客が求めているものを追及し続けてきたのが、成城石井なのだ。
 その意味では、成城石井のスタンスは過去とまったく変わっていない。変わったのは、世の中のほうである。その価値に気づくことができる人が増えていったということだ。
 そして、周囲の小売業は簡単には追いつけないだろう。いいものは、簡単には仕入れられないからである。
(本書より P119〜P122)


■”高級スーパー”とは呼ばれたくない

 取材中、実は興味深い言葉に何度も出会っていた。それは高級スーパーとは呼ばれたくない」だ。近年、”高級スーパー”と呼ばれている、いくつかのスーパーとひとまとめに、成城石井はカテゴライズされることがある。
 一般の消費者も、置かれている商品の価格帯を考えると成城石井を”高級スーパー”と思っている人も多いかもしれない。また、そう呼ばれることは決して悪くないのではないか、と。
 ところが、成城石井はそうではないというのである。
「ライバルはどこですか、という質問をよく受けるんですが、ライバルのお店はないんです。あるとすれば、お客様のトレンドであり、お客様のニーズです」
 成城石井が扱っているのは、顧客が求めているもの。いいものであり、おいしいもの。それがたまたま高級品であったり、一流品であったりするに過ぎない。最初から高級品や一流品を扱おうとしてきたわけではない。また、だからこそバランスの良い価格での販売を目指してきた。高級なものが高値で売られている店ではない、ということだ。目指している土俵がそもそも違うのである。
(本書より P205〜P206)


【関連書籍】



成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?

1)本書の内容
 
 はじめに
 第1章 熱狂的に支持されるスーパー-「商品へのこだわり」
 第2章 お客様主義で「基本」を大切にする-「サービスへのこだわり」
 第3章 なぜ、独自の品揃えができるのか-「強い購買とセントラルキッチン」
 第4章 どんな場所にも出店できるスーパー-「経営と店舗開発」
 第5章 転機となった買収-「事業への思いと誇り」
 第6章 人が店を作っている自覚-「人材教育へのこだわり」
 第7章 “高級スーパー”と呼ばれたくない-「成功の本質と挑戦」
 おわりに

2)本書から学んだこと
 ・不器用に、そして愚直に「顧客が何を求めているか?」を追求することが、成長につながる!


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2014年06月19日

フィロソフィあってこそのアメーバ経営!『全員で稼ぐ組織』(森田直行著)



※献本ありがとうございます

本書全員で稼ぐ組織 JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書は、ひと言で言うと、「アメーバ経営の教科書」

では、アメーバ経営とは何かと言うと、京セラの創業者である稲盛和夫名誉会長が編み出した経営管理手法である。だが、その根底には「京セラフィロソフィ」という京セラの哲学がある。実は、「京セラフィロソフィ」という哲学が、京セラのアメーバ経営を支えている。そのため、本書にも単に「アメーバ経営」の手法のみに言及しているのではなく、「アメーバ経営」の言及と同じくらい、「京セラフィロソフィ」についても言及している。

JALの再生で一躍注目を集めた「アメーバ経営」ではあるが、本書によると、最初は社員の「フィロソフィによる意識改革」からスタートをしている。この根底には「人生と仕事の結果は、考え方と熱意と能力のかけ算で決まる」という考え方がある。この考え方が面白いので以下に紹介したい。

 人生と仕事の結果は、考え方(マイナス100〜プラス100)と熱意(0〜100)と能力(0〜100)のかけ算で決まると1章で解説しました。この三つの中で最も重要な要素は考え方です。なぜなら考え方だけは変数がマイナスの場合があり得るからです。
 能力が高く熱意もある人材がそろっているJALがなぜ経営破綻したのか。それは考え方がマイナスだったからです。能力と熱意がいかに高くても、考え方がマイナスであれば、結果はマイナスです。フィロソフィは、考え方の部分を根本から変える処方箋で、ここがプラスになれば、もともと能力と熱意はあるので、劇的にすばらしい結果が出るはずだと確信していました。
(本書より P88)


詳しくは本書を見ていただきたいが、著者の森田さんは、当初、JALの考え方はマイナスと考えていた。そのため、フィロソフィ教育による意識改革が第一と見ていた。そして京セラ流の社内コンパや勉強会などで稲盛さんと議論しながらフィロソフィ教育を進めていった。その結果、生まれたのが「JALフィロソフィ」だ。

 やがてメンバーの間から、「JALの企業理念を作り直そう」という声があがりはじめました。そこで当時の大西賢社長(現会長)が中心となり、幹部社員を選出して、JALの企業理念とJALフィロソフィの策定に取りかかりました。 現在のJALグループの企業理念は
  JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
  一、お客様に最高のサービスを提供します。
  一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。
となっています
(本書より P90〜P91)


この哲学が基盤とした上で「アメーバ経営」を導入している。

「アメーバ経営」は社員全員がコスト意識を持ち、「全員で稼ぐ」ための手法と言える。だが、手法だけではなかなか上手くいくことはなく、そこには「哲学」というものが必要だ。第3章以降では「アメーバ経営」の導入事例を中心に「アメーバ経営」に着目した形で書かれているが、著者の森田直行さんは「フィロソフィがあってこそのアメーバ経営」ということを本書を通じて伝えたかったのではないかと思う。


【本書のポイント】

■社員全員が経営に携わるために

 アメーバ経営とは、京セラの創業者である稲盛和夫名誉会長が企業経営の実体験から編み出した経営手法で、「経営は一部の経営トップのみが行うのではなく、全社員が関わって行うべきだ」という考え方が貫かれています。
 この経営手法の最大の特徴は、採算部門の組織を5?10人という小さな単位(アメーバ)に細分化し、それぞれがまるで一つの会社であるかのように独立採算で運営することです。各アメーバの売上、利益、経費などの収支は、月が終わると直ちに集計され、全社員にオープンにされます。これにより、経営者はどの部署がどのくらい儲けているか一目瞭然でわかるようになり、社員も自分がどれだけ利益に貢献できたかを知ります。その結果、社員一人ひとりが利益を意識し、それを生み出す意欲と責任を感じるようになるのです。
 各アメーバにはリーダーがいます。その人物がメンバーの知恵を結集しながら経営者のごとく収支の舵を取り、「売上を最大、経費を最小に」を合言葉にメンバー全員で経営目標を達成するー。これが、アメーバ経営が目指す全員参加の経営の姿です。
(本書より P14)


■JAL再建を打診される

 私は2010年1月から、JALの管財人代理、そして副社長として2年間、稲盛さんとともに経営に携わりました。JALという会社に入ってみての率直な感想は、素直で優秀な社員が多いな、というものでした。と同時に、「どうして優秀な社員がたくさんいるのにこんなことになってしまったんだろう」という思いがよぎりました。
 2009年12月初旬ごろ、稲盛さんは政府と企業再生支援機構から、「JALの再生を引き受けてほしい」と要請されていたようです。再生支援機構は、再建を担う経営者として、運輸関係ではなく異業種の経営者で、内外に知名度が高く創業経験があり、なおかつ大企業の経営経験があるという3条件を満たす人が適任と考えていました。そして、その三つを兼ね備えている人物といえば、稲盛さん以外には考えられなかったといいます。
 しかし、当初、稲盛さんは「航空業に関しては素人であり、私の任ではない」と断りつづけていました。12月中旬、京セラ本社で会議があり、私も出席していました。会議のあと、稲盛さんに呼び出され、「JALの再建を頼まれている。もし引き受けたらついてきてくれるか?1週間後に返事をくれ」と突然言われ仰天しました。
 京セラの業務とはまったく関係のない異業種の会社の再建など引き受けないほうがいいのではないか。私は正直そう思いました。しかし、稲盛さんが行くなら、答えは決まっています。12月下旬、私は返事をするために、京セラの東京の事務所に行き、稲盛さんと会い、こう言いました。
「名誉会長がいらっしゃるなら、お供させてください」
(中略)
 1月初旬から、再生支援機構などといろんな打ち合わせがあり、最終的に2010年1月13日、稲盛さんは「自分の力は及ばないかもしれないが、全身全霊で再建に当たりたい」と決断されました。そして、2月1日に、稲盛さんと私と、稲盛さんの秘書として長年勤めていた大田嘉仁さんの3人がJALに初めて出社し、経営再建がスタートしました。
(本書より P78〜P79)


■アメーバ経営で生きている会社になった

 航空事業というのは、季節によって売上の変動が大きく、7?9月の旅行シーズンで大きく稼ぎます。逆に底となるのが2月です。JALでも創業以来、2月は黒字になったことがない。そこで私は、「2011年の2月は黒字にできないかもしれないけれども、2012年の2月は黒字にしよう」と言ったのです。それを聞いたある部長は、「森田さん、そんなことができたら奇跡ですよ」と言いました。ところが、アメーバ経営で組織改革を実施した直後の2011年2月に、黒字を達成することができました。奇跡が起こったのです。
(中略)
 JALにおけるアメーバ経営の導入で何が変わったのかということについて、JALの大西会長が2013年2月22日の日本経済新聞のインタビューに次のように答えています。
 会長の大西賢はアメーバを「収支管理を徹底させるための仕組み」と見ていたが、導入してみてその威力に驚いた。
 「キミたち実は勝っていたよ、と2カ月後に試合結果を教えられても、ちっとも燃えない。3万人の団体戦では自分が貢献できたかどうかもわからない。しかし10人のチームで毎月、勝敗がわかると、『やったあ』『残念だった』と社員が一喜一憂する。かつてJALは泣きも笑いもしない組織だったが、アメーバ経営で生きている会社になった。」
 JALの経営改革の成功は、フィロソフィとアメーバ経営の実践によりもたらされました。稲盛さんを筆頭にJALの全社員が経営に関心を持ち、利益とサービスの向上を目指し、それぞれの持ち場で改善・改革に取り組んだ小さな結果の積み重ねが大きな成果として結実しました。まさに全員参加の経営が、JALを大きく変革したのです。
(本書より P114〜P116)


【関連書籍】



全員で稼ぐ組織 JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書

1)本書の内容
 
 はじめに
 第1章 アメーバ経営とはどんな経営手法なのか
 第2章 JAL再生
 第3章 導入事例に学ぶアメーバ経営
 第4章 アメーバ経営は業界の枠を超える
 第5章 世界に広がるアメーバ経営
 おわりに
 アメーバ経営用語集

2)本書から学んだこと
 ・「見えるひと言」が相手を動かす!
 ・理想は「エスカレーター・ピッチ」!
 ・多くの意味を短くいい切るからこそ、言葉は強くなる!



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2014年02月01日

「スペシャリテ」を持つこと!これが全ての出発点!『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』(氏家健治著)



片手に乗るくらいの大きさのガトーショコラが1個3,000円と聞いて驚かれる方も多いと思う。しかし、この特撰ガトーショコラが大人気なのだ。『食べログ』が選出した「ベストスイーツ2013」において、チョコレート店全国ランキング第1位となったのが「ケンズカフェ東京」、そう、冒頭で紹介した1個3,000円の特撰ガトーショコラを販売しているお店だ。

ケンズカフェ東京の特撰ガトーショコラ.jpg

「ケンズカフェ東京」のガトーショコラは高級感あふれる箱に包まれている。開けてみると、そこには美味しそうなガトーショコラが!実際に食べてみると、控え目な甘さと、しっかしとしたチョコレートの甘さがほどよく調和した味わい。非常においしい....ってグルメレポートか(^^;)

さて、本題に戻して、1個3,000円のガトーショコラを販売している「ケンズカフェ東京」のオーナーシェフ・氏家健治さんが
・ガトーショコラを販売する経緯
・ブランディング戦略
・マーケティング戦略
について述べられた本が、本書1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケである。

本書で注目したいのは、「なぜ、氏家さんが1個3,000円の特撰ガトーショコラ1本で勝負する考えに至ったのか?そして、『食べログ』のチョコレート部門で全国第1位を取るほどまでになったのか?」という点である。

実は、ケンズカフェ東京で扱っている商品は1個3,000円の特撰ガトーショコラのみ!「取り扱っている商品が特撰ガトーショコラのみ!」と聞いて、驚く方も多いのではなかろうか?「ガトーショコラ1つで本当に大丈夫?」と考えるのが一般的であろう。しかし、氏家さんの考え方は逆だ。「一つに集中するからこそ最高の商品を提供できる」のだ。

だが、集中したからといって簡単に特撰ガトーショコラ1本で勝負できるものではない。氏家さんが特撰ガトーショコラ1本で勝負できるように「特撰ガトーショコラを育て上げた」と言ってもいい。そのキーワードを一言で言うと「ブランディング」である。ブランドが確立したからこそ、特撰ガトーショコラは1個3,000円で販売でき、「ブランド」として確立した。

「ブランディング」と書くと、何か「本人が輝くために行なうもの」というイメージがあるが、氏家さんのブランディングは、あくまで「商品が輝くために行なうもの」という考え方で行なっている。その前提となっているのが「スペシャリテを持つこと」である。そんな本書に書かれている氏家さんの「スペシャリテ」に対するこだわりは並大抵のものではない。スペシャリテを極めていったからこそ『食べログ』のチョコレート部門で全国第1位を取ったのだ。「スペシャリテ」を持つこと......ここに成長し、継続するための基本が集約されているような気がしてならない。ブランディングもマーケティングも全て「スペシャリテ」があるからこそ成立する。

個人的には本書を読みながら『成功できる人の営業思考』(太田彩子著)を内容を思い起こしていた。成功できる人にはある共通の「思考のくせ」がある。それが太田さんがいう「営業思考」である。本書に書かれている思考は、まさに「営業思考」と共通する。その太田彩子さんが特撰ガトーショコラを「スペシャリテ」として氏家さんに提案したという話も興味深い。

本書に書かれていることは、「ビジネスとして成立し、成長させるためにはどうすればよいか?」というキモである。それは、飲食業界に限った話ではない。どの業界においても、ひいて言えば「個人」においても適用できる。興味がある方は是非ご一読を!


●「ケンズカフェ東京」公式ページ
http://www.kenscafe.jp/


【本書のポイント】

■評判の店が自滅するパターン

 ブレイクの予感がすると同時に、不安も頭をもたげてきました。
 「このまま1500円で売っていたら、いつか立ち行かなくなる。評判のラーメン店が潰れるパターンに陥るかもしれないぞ」と思ったのです。
 美味しいと評判で行列ができるラーメン店が潰れることがあります。
 たとえば、780円で美味しいと評判になったラーメン店があるとします。そして、なにかのきっかけでブレイク。お客さんが殺到して行列ができる人気店になったとしましょう。
 行列してまで食べたいという通をうならせるラーメンを作り続けるためには、それなりのコストがかかります。お客様が飽きないように味をどんどん進化させる必要もありますし、味を真似するライバルが出てきてもそれを一蹴するような仕掛けも準備しなくてはなりません。いずれにしても確立した味と評判を守るためにはお金がかかるのです。
 ところが、ブレイクしてからだと値上げはしづらいもの。最高のラーメンを提供するために850円に値上げしても「ちょっと売れるようになったら、儲けに走るのか」とあらぬ誤解を受けないとも限らないのです。
 かといってコストを抑えるために材料を落とすと味が落ち、ファンになってくれたお客様がは離れていきます。「あの店は昔は美味しかったけど、最近は味が落ちたからダメだね」という話、よく耳にしますよね。
 こうして人気が出たばかりに潰れてしまう飲食店は少なくないのです。
(本書より P27〜P28)


■ブランド化の大前提は他が真似できないクオリティ

 ブランド化やコーポレートアイデンティティなどと大げさに構えてしまうと、ロゴから作ることからはじまると誤解している人もいるようですが、真っ先に取り組むべきは商品力の強化です。
 多くのお客様からトップブランドとして認められるためには、なによりも商品力が高くなくてはなりません。
 商品力、すなわちクオリティこそ、ブランド力を育てる大前提となります。
 世のなかには無名でもクオリティの高いものはあります。トップブランドのみが高いクオリティを誇るわけではありませんが、クオリティの低いトップブランドは世の中には存在しません。
 私のガトーショコラは、他が真似できないダントツのクオリティの高さにこだわりました。他よりも「ちょっと美味しい」ではダメなのです。「ダントツに美味しい!」と感動してもらえないとトップブランドとはい呼べないと思うのです。
(本書より P55〜P56)


■スペシャリテがないと凋落する

 1品ビジネスで成功させるには、その商品が他にはないダントツの魅力を持つスペシャリテ(看板商品)である必要があります。
 1品ビジネスで限らずとも、企業が生き延びるためにはヒット商品が求められます。トヨタ自動車なら『プリウス』、アップルなら『アイフォーン』、またユニクロなら『フリース』『ヒートテック』というヒット商品を持っています。
 そんなヒット商品を私はスペシャリテと呼んでいるのです。
 スペシャリテを出せない企業は凋落します。私が大好きだったソニーは『ウォークマン』や『プレイステーション』といったスペシャリテを出しながら、それに続くヒット作が出ないゆえに凋落を続けています。
(本書より P114〜P115)


■忘れられないようにカンフル剤を打ち続ける

 SNSやメルマガを通じてこれらの地道な活動は、「カンフル剤」だと思っています。メディアに出て一時的に話題を集めたとしても、「そういえばあの店どうなったの?」と消費者から忘れられるお店や商品は無数にあります。
 それを防ぐために欠かせないのがソーシャルメディアやメルマガを通じたカンフル剤。ブログ・マーケティングもその一助になります。
 私がフェイスブックで近況報告をつぶやくと、それがきっかけとなり静かな小石を投げ込むと波紋が広がるようにケンズカフェ東京や特撰ガトーショコラに関するつぶやきが増えてきます。
 もしも恋人や子どもの誕生日が近づいているとしたら「プレゼントはガトーショコラでいいじゃない。ネットで1本注文しておこう」という人も出てくるでしょう。でも、それは副次的な効果。「カンフル剤」の狙いはあくまで覚え続けてもらい、思いだしてもらうことにあります。
(本書より P154)


■逃げ道を用意しつつのチャレンジ

 私は壁にぶつかって悩んでいる飲食店のオーナーさんから相談を受けることがありますが、そんなときは必ずこういう話をします。
 「『資金が心配だ』『人手が足りない』とか言い訳をして現状維持に苛まれていると、業績はどんどん右肩下がりになります。市場には常時、新規参入がありますし、ひとの心は新しい刺激を求めているからです」
 壁にぶつかっているなら勇気を持って変革の一歩を踏み出さないと、なにもはじませんし、なにも変わりません。走りながら頭をフル回転させて考えて、走りながら修正する人だけが、チャンスをものにして”化ける”ことができる。これは飲食業界に限らず、ビジネス全般に共通する原理ではないかと思います。
(中略)
「ひとつが失敗したらすべてが終わり」という一か八かのチャレンジは、ただの無謀になりかねません。きちんと逃げ道を作っておき、戻れる場所を用意しつつ、変革してみるべきです。もとよりアイデアがあるのに、リスクを恐れるがためにチャレンジしないのはもったいないです。
(本書より P184〜P186)


【関連書籍】



1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ 4倍値上げしても売れる仕組みの作り方 (SB新書)

1)本書の内容
 
 第1章 なぜ4倍値上げしてもお客が増えるのか?
 第2章 今より高く売る! ブランドの育て方
 第3章 ブランド力の伝え方
 第4章 “ありがたみ"を形にするサービスブランディング
 第5章 究極の1品ビジネス
 第6章 スペシャリテ(看板商品)の磨き方
 第7章 ダントツのネット活用術
 第8章 どん底だから勝機は見えてくる
 第9章 正しいチャレンジのしかた

2)本書から学んだこと
 ・「スペシャリテ」があるからこそビジネスは継続する!
 ・ブランディングもマーケティングも「スペシャリテ」が出発点!
 ・逃げ道を用意しつつ、チャレンジを!



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