表現/プレゼンテーション (4): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2011年04月19日

”ラーニングバー”って何だろう?『知がめぐり、人がつながる場のデザイン』(前編)




”ラーニングバー”って聞いたことがありますか?

「”ラーニング”という言葉があるから、何か学ぶことができるバーなのかな?」と思ったあなた!

鋭いですね〜。実は私も本書を読むまで言葉すらも全く知らない状態でした。

本書によると、”ラーニングバー”とは以下のように定義されております。

【ラーニングバー】※本書より抜粋
ラーニングバーとは<働く大人>と<組織>と<学習・成長>という三つの領域に関心のある人々が、それ
らにまつわる最先端のテーマをもとにディスカッションする場である

”ディスカッション”と書くといかにも「喧々諤々と議論をする!」というイメージがありますが、そうではなく、むしろ”ダイアログ”(対話する)という方が適切かもしれません。


恐らくイメージが沸かないと思うので、本書に書かれている事例をもとにラーニングバーとはどういうものかを見てみましょう。

【ラーニングバーの事例】
本書に書かれている例は、2010年9月29日に東京大学・福武ラーニングシアター行われた、この年3回目のラーニングバーです。

ラーニングバーの会場のカウンターには、おにぎり、和食惣菜、パンケーキ、和菓子などの食べ物が、そして、お茶、ワイン、ビールなどの飲み物が添えてあります。

参加者は受付を済ませ、BGMが鳴り響く中、カウンターからウェルカムドリンクや食べ物を手にとり各自席に着きます。そして、前後左右の方と名刺交換が始まります。最初はぎこちなかった参加者も徐々にほぐれていき、そして空気も和やかになります。

開始前に行うイントロダクション。著者の重要な役目です。このイントロダクションでは
 ・ラーニングバーの概要とコンセプトの説明
 ・当日の参加人数
 ・対話のルール
 ・テーマと講師の紹介
を行います。

この日のテーマは「成長する『しかけ』を創る、経営成果につながる人材マネジメントのあり方とは?−挑戦と安心の間で」というものでした。そして講師の方の講演が行われます。この日の講演は「パートT」と「パートU」の2部構成でした。

通常の講演会では、参加者は一方的に話を聞くだけ、そして限られた人による数分間の質疑応答があるだけで、大半の参加者は”受身”になるのですが、ラーニングバーは違います。「パートT」と「パートU」の間に、”ある”仕掛けが用意されていたのです。

その”仕掛け”とは「ゆるゆるネットワーキング」というものです。

「ゆるゆるネットワーキング」とは参加者同士が決められたテーマにしたがってバーカウンターでダイアログを行うというものです。参加者にはあらかじめ”赤”・”青”・”黄色”のうち、どれか一色のカードを持っております。そして、色別に指定されたバーカウンターに行きます。バーカウンターには、それぞれ決められたテーマが書かれております。参加者は、指定されたテーマについて、食べ物や飲み物を口にしながら”対話”するのです。

そして、ダイアログはそれだけではありません。「パートU」の後に、30分の「リフレクティブ・ダイアログ」を設けております。それは特に指定されず、立食パーティー感覚で”対話”が行われるものです。

最後に”Q&Aタイム”を20分間行い、参加者があらかじめ書いた紙に対し質問に対し講師が答えるという形で行われます。

そしてフィナーレを迎えます。

※以上、本書を参考に記述。


どうですか?イメージできましたか?

ラーニングバーの特徴は「単なる講演会では終わらず、講演を通じて得た参加者の気づきを他の参加者との”ダイアログ”を通じて”気づきを得る”」というところです。「対話を通じて気づきを得る」という考え方は”ワールドカフェ”と同じものです。私も本書を読んだときに「ワールドカフェに似ているな」と感じました。違いは”講演がある”ということと、”お酒が出る”というところでしょうか?(^^;)

「対話を通じて気づきを得る」のは日常においてもよくあることです。そして、これを”学びの場”に取り入れる手法は”ワールドカフェ”を始め、様々なところで用いられてきております。これらの手法で共通する重要なポイントは「参加者がリラックスした雰囲気で、知がめぐる場”を作ることができるか」ということです。そのような雰囲気を作り出すためには「場をいかに作るか」を考える準備段階の設計が重要となってまいります。このため、プロデューサーの手腕を求められることになります。

ラーニングバーの概要についてはイメージをつかめましたか?

では、なぜ著者がラーニングバーを行おうと考えたのか?そして、ラーニングバーから変化とは?
それについては次回に書きたいと思います。

知がめぐり、人がつながる場のデザイン―働く大人が学び続ける”ラーニングバー”というしくみ

1)本の内容
 第一章:【ルポ】ラーニングバー・エクスペリエンス
 第二章:ラーニングバーの誕生前夜
 第三章:メイキング・オブ・ラーニングバー 当日までになすべきこと
 第四章:メイキング・オブ・ラーニングバー 開催当日
 第五章:ラーニングバーから生まれた変化
 第六章:他社から見たラーニングバー
 最終章:学ぶことの意味、そして未来へ

2)この本から学んだこと
・ラーニングバーとは「社会人が学ぶための”知をめぐる場”」である
・ラーニングバーは「対話を通じて気づきを得る”場”」である
・ラーニングバーが心地よい対話の場所とするには、準備段階の設計が重要である



ブログランキングに参加しております。よろしかったらクリックをお願いいたします。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

レビュープラスもどうぞ!!




タグ:ダイアログ
posted by まなたけ(@manatake_o) at 22:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 表現/プレゼンテーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月07日

決めない会議(香取一昭/大川恒著)


決めない会議―たったこれだけで、創造的な場になる10の法則

決めない会議―たったこれだけで、創造的な場になる10の法則

  • 作者: 香取 一昭
  • 出版社/メーカー: ビジネス社
  • 発売日: 2009/04/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



1)本の内容
・ポシティブな問いを立てる−言葉が未来を創造する−
・マイクロコズム(小宇宙)を作る−多様な関係者を巻き込む−
・安全な場を確保する−関係の質を高める−
・もてなしの空間を演出する−コーヒーブレイクの効果を会議に活かす−
・自律的なプロセスがアクションを動かす−主体性を発揮する−
・オープンに話し、オープンに聴く−対話(ダイアログ)力を高める−
・ストーリーテリングで弾みと可能性を引き出す−背景情報を共有する−
・共有する価値や目的を発見する−違いを超えて共通するものに気づく−
・右脳を働かせて、ありたい姿をイメージする−未来が出現する−
・決めようとしなくても決まる−自己組織化のエネルギーを信じる−

2)この本から学んだこと
・会議には「決める会議」と「決めない会議」がある
・「決める会議」は従来の会議のやり方である
・「決めない会議」は”ホールシステムアプローチ”として注目を集めている
 新しい会議のやり方である
・”ホールシステムアプローチ”には以下のものがある
 @ワールド・カフェ
 AOST(オープン・スペース・テクノロジー)
 Bフューチャーサーチ
 CAI(アプリシエイティブ・インクワイアリ)
・「決めない会議」は決めようとしなくても決まってしまう特徴がある
・”ファシリテーション”も注目を集めたが、ファシリテーターがプロセスや
 参加者の発言をコントロールするあまり、うまくいかないケースが多々ある
・「決めない会議」はコーヒーブレイクの雰囲気で”ダイアログ”を行うため
 参加者の共有を図りやすい
・「決める会議」「決めない会議」は対立する関係ではなく、”相互補完”の
 関係にある


以前ご紹介した「ワールド・カフェをやろう!」の著者である香取一昭さん、大川恒さんのコンビがおくる”決めない会議”について書かれた本です。

”決めない会議”というと「会議なのに決めなくていいの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、この会議の特徴は
 ・場の共有
 ・意見を自由に出しやすいリラックスした雰囲気
 ・ダイアログ(対話)
だと考えており、それを踏まえて会議を実施することで「あえて決めようとしなくても、自然に決まってしまう」ところにあります。

「決める会議」(普通の会議)では”声の大きい人”の意見に左右されがちです。
また、ファシリテーションも注目されていますが、ファシリテーターがプロセスや発言をコントロールするあまり、意見の共有が図れず消化不良で終わるケースもあります。(念のためですが、ファシリテーションそのものがそうだと言っているわけではありません。一部のケースでそのような事例が見られるということです。)

そういう意味では「決めない会議」は
 ・参加者は対等の立場である
 ・コントロールするのではなく、参加者の”自主性”を尊重する
 ・お互いが理解し、共有を得るために”ダイアログ”を重視する
という点においては「決める会議とは対極にある」といえそうです。

しかしながら、筆者は決して「決める会議が不必要」と言っているわけではありません。
「決めない会議」は”ダイアログ”と”共有”を重視するため、物事が決まるのに時間がかかりがちです。
迅速な意思決定が必要な場面では「決めない会議」よりは「決める会議」の方が向いております。

先に「決める会議と決めない会議は補完関係にある」書きましたが、それぞれ向き・不向きがあるため、目的に応じて使い分けることが必要です。

例えば
 ・迅速な意思決定の場面には「決める会議」
 ・アイディアの出し合いや自由な議論で意見の共有を図りたい場面には「決めない会議」
を使うなど....

とはいえ、「決めない会議」は”ワールド・カフェ”をはじめとする”ホールシステム・アプローチ”と呼ばれる方法に注目が集まっております。
それはやはり「今までの会議にない、リラックスした雰囲気の中で、ダイアログを行いながら物事を決めていくことができる」という所に従来の会議にはない良さを感じている方が多いと思われるからです。

実際に本書を読んでいただければ「決めない会議」の良さを感じていただけるものと思います。

「決めない会議」に参加したことがない方!
ワールド・カフェなどに参加して「決めない会議」のよさを感じてみませんか?
きっと「その心地よさ」に惹かれると思いますよ。


ブログランキングに参加しております。よろしかったらクリックをお願いいたします。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

レビュープラスもどうぞ!!





タグ:ダイアログ
posted by まなたけ(@manatake_o) at 23:49 | Comment(0) | 表現/プレゼンテーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月29日

ワールド・カフェをやろう!(香取一昭/大川恒著)


ワールド・カフェをやろう

ワールド・カフェをやろう

  • 作者: 香取 一昭
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2009/11/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



1)本の内容
・ようこそ、ワールド・カフェへ
・カフェ的会話から生まれる魔法
 (ワールド・カフェとは何か)
・カフェ・ホストとして、ワールド・カフェをやってみよう
・ワールド・カフェの企画と事前準備
・ワールドカフェ さまざまな事例
・ワールド・カフェのバリエーション
・ワールド・カフェを成功させるための留意点
・ワールド・カフェが拓く新たな可能性

2)この本から学んだこと
・リラックスした雰囲気の中で行うためメンバーに親近感が生まれる
・リラックスした雰囲気のため、いろいろな意見をだしやすい
・ワールドカフェの7原則
 @コンテキストを設定する
 Aもてなしの空間を創造する
 B大切な問いを探求する
 C全員の貢献を促す
 D多様な視点をつなげる
 E洞察に耳を澄ます
 F集合的発見を収穫し、共有する
・ワールド・カフェにも目的によって”適している/適さない”がある
・「ホールスケール・チェンジ」の時代に適した会議の手法が
 ”ワールド・カフェ”である


皆さんは”ワールド・カフェ”に参加されたことがありますか?

ワールド・カフェは、近年注目を集めているコミュニケーション手法の1つです。
その特徴は何と言っても
 ・カフェのようなリラックスした雰囲気で意見を出し合い、
  物事を決めていくことができる
 ・プロセスよりもダイアログ(対話)を重視している
というところにあると思います。

近年は様々な企業や組織にも取り入れられており、
 ・チームビルディング
 ・戦略立案
 ・協働学習
 ・地域活性化
といったテーマでワールド・カフェを用いて意見の発散・共有に効果をあげております。

本書は「ワールド・カフェの紹介」というよりは「ワールド・カフェを知っているが、実際に開催するにはどういう手順で行えばよいのだろう?」という指南書的な位置づけで書かれております。

しかし、本書の初めに
 ・ワールド・カフェの歴史
 ・ワールド・カフェのメリットや魅力
などが書かれており、”ワールド・カフェ”という言葉を知らない方でも「ワールド・カフェとはどんなものか?」を知ることができます。また、ワールド・カフェを活用した事例もたくさん載っているので、その魅力を十分感じることができます。

しかし、ワールド・カフェの魅力を感じるには、何といっても実際に参加してみることです。

私も知人がカフェ・マスターを務めたワールド・カフェに参加したことがあります。参加して思ったのが、リラックスとした空間の中で知らない方とも簡単に打ち解けながら対話していき情報を共有していく感覚は、何とも言えない”心地よさ”を感じます。

参加して、”ワールド・カフェの魅力”を十分に感じた後に本書を読むと、”ワールド・カフェの良さ”が一層理解できると思います。


ブログランキングに参加しております。よろしかったらクリックをお願いいたします。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

レビュープラスもどうぞ!!





タグ:ダイアログ
posted by まなたけ(@manatake_o) at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 表現/プレゼンテーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。