表現/プレゼンテーション: ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2014年06月02日

「ベタの”見えるひと言”」が相手を動かす力となる!『企画は、ひと言。』(石田章洋著)



※献本ありがとうございます

「凝縮された”ひと言”が、相手に刺さった!」という経験はなかろうか?例えば、好きな相手に告白するとき、プロポーズするとき、あるいは是が非でも取りたい商談や企画でのプレゼンのときなど…勝負を決めるのは、「相手に伝えるために自分の思いを凝縮した”見えるひと言”」なのだ。

本書企画は、ひと言。は、著者の石田章洋さんが「相手に伝えるために自分の思いを凝縮した”見えるひと言”」を表す、そして伝えるために必要な技術を記した本だ。25年間もの長きに渡って放送作家として活躍している石田さんは、本書の中で、その理由を「”ひと言”で見える企画をつくるコツを掴んだから」と述べている。

それにしても、本書に登場する石田さんが手掛けた番組は
・めざましテレビ
・世界ふしぎ発見!
・TVチャンピオン
など、長きに渡って親しまれた番組が多い。

だが、そんなヒット番組の放送作家として活躍している石田さんも、放送作家として駆け出しの頃は、企画を出しても出しても通らない状態が続いたそうだ。そんな状態が続くと企画を考えること自体が嫌にやる…しかし、それでも企画会議はやってくる…石田さんは’’企画恐怖症”になったそうだ。

しかし、石田さんは”企画恐怖症”を克服する道を選んだ。そして、”企画恐怖症”を克服するキッカケとなる企画会議に参加する。

 そんなある日、曙橋にある番組制作会社からフジテレビの新しい深夜番組の企画会議に参加するよう声をかけられました。
 企画がまた箸にも棒にもかからなかったら・・・・・・私はそんな恐怖心を抱きながら、分厚い5本の企画書をバッグに詰め込み、曙橋の駅を降りました。
 会議の開始までまだ20分ほどあったので公園のベンチに座っていた時のことです。スケートボードで遊ぶ子どもたちの様子を眺めていたら、突然、あるアイデアがひらめいたのです。
「これだ!」と思い、近くのドトールコーヒーに駆け込み、サインペンでA4用紙にそのアイデアを書きました。
 すると、そのアイデアが企画会議で採用され、晴れて番組化されることになったのです。
(本書より P10〜P11)


その番組が、1992年春からフジテレビ系で放送された『英会話体操 ZUIIKIN' ENGLISH』だ!この番組はその名の通り英会話と体操を融合させた画期的な教育番組「英会話体操」!知る人ぞ知る番組だ。



そして、先の企画会議で提案した”ひと言”がこれ!

「筋肉に英語を覚えさせる〜英会話体操」

この”ひと言”、まさに番組の内容を表しているではないか!!仮に先の動画を見ずとも、”ひと言”がどんな番組かを想像させてしまい、また、想像できるからこそ笑いを誘ってしまう。まさに「見える”ひと言”」だ。

言われてみると、確かにヒットしている商品には”ひと言”で言えるものが多い。
例えば、
・プリウス
「地球にやさしいエコカー」
・AKB48
「会いに行けるアイドル」
・LINE
「無料で仲間とつながることができるアプリ」
など!この”ひと言”により、商品のイメージできる!

ところで、「”ひと言”で言う技術」と言うと、「カッコいいキャッチコピーを作らなければならない!」と想像するかもしれない。だが、本書で言っている”ひと言”は、「カッコいいキャッチコピーを作る!」ことではない。むしろ逆で、「ベタでもいいから内容が想像できる”見えるひと言”を作る!」ことを意味している。「カッコいいキャッチコピーを作ろう!」となると高いハードルを感じるかもしれないが、「ベタでいいから内容が想像できる”見えるひと言”を作ろう!」となるとハードルもさほど高く感じることはない。むしろ、”ベタ”の方が分かりやすいだけに、内容が相手に伝わることが多い。著者が本書で伝えたい技術は「ベタでいいから内容が想像できる”見えるひと言”を作る、そして伝える技術!」なのだ。

難しいことを長々と言われるよりは、シンプルで分かりやすい”ひと言”を言われた方が、誰もがインパクトに残る!伝えたいことを”ひと言”に凝縮して伝える技術を本書で手に入れたとき、相手に伝える技術も向上し、面白い企画がいくつも実現できるようになるはずだ。

【本書のポイント】

■「見えるひと言」とはおしゃれなキャッチコピーではない

 企画とは、頭に浮かんだアイデアを言語化したもの。
 頭の中でモヤモヤとしていたアイデアを、端的な言葉で表したのが企画を実現するための「ひと言」です。
 つまり、企画を採用する人や企画にかかわる人が「見えること」、これが企画の第一条件。
 その「ひと言」をさらにブラッシュアップし、視聴者や消費者に向けられるのがコンセプトをズバリ鋭く伝える「キャッチコピー」です。
 ふつう、私たち消費者が目にする「ひと言」は、キャッチコピーのほうです。
 「見えるひと言」は、アイデアが世に出る前、私たちが知らないところでひそかに新しい何かを世に送り出すために活躍している言葉です。
 「ひと言」は企画が実現していると姿を消してしまうので、その存在は、企画でごはんを食べている人以外は、ほとんど知られることはありません。
 でも、そもそもその企画が実現するかどうかを決めるのは、多くはキャッチコピー以前の「ひと言」。
 「ひと言」からすべてが始まるのです。
(本書より P44〜P46)


■センスはいらない、むしろベタがいい

 「おいしい生活」は確かに名コピーです。
 ただし企画を通すためには、その実現にかかわる人たちの心を「この企画をやってみたい」と駆り立て、実際に動かさなければなりません。
 そのためにはどんな企画なのか、かかわる人がしっかりイメージできることが大事。
 だからこそ「ベタ」でかまわない。むしろ「ベタ」なほうがいいのです。
(本書より P47〜P48)


■理想は「エスカレーター・ピッチ」

 「エレベーター・ピッチ」という言葉があります。
 この言葉は、ITの本拠地、アメリカ・シリコンバレーで生まれたもの。
 シリコン・バレーでは、次のGoogleを目指す多くの起業家たちが、毎日たくさんの案件を目にするプロの投資家たちに、自分のビジネスプランをアピールしているそうです。
 「起業家は、エレベータの中で投資家に会ったら、降りるまでの30病で自分のビジネスプランを的確に伝えなければ未来はない」といわれてきました。これが「エレベータ・ピッチ」です。
 ただし、この本でいう「ひと言」は30秒もかかってはダメ。
 もっとシンプルに表現しないと、あなた以外の人が企画を説明することはできないでしょう。
 エレベーターではなく、上りのエスカレーターに乗ったあなたが、下りのエスカレーターに乗った人に、すれ違いざまにアイデアを伝えられる「エスカレーター・ピッチ」くらいのシンプルさが理想です。
(本書より P60〜P61)


【関連書籍】



企画は、ひと言。

1)本書の内容
 
 はじめに    
 第1章 ウケる企画はみんな「ひと言」
 第2章 ウケるアイデアの5原則
 第3章 ひと言で発想する技術@アイデアを生み出す
 第4章 ひと言で発想する技術A アイデアをひと言にまとめる技術
 第5章 「ひと言」を強く、確実に伝えるために
 おわりに    

2)本書から学んだこと
 ・「見えるひと言」が相手を動かす!
 ・理想は「エスカレーター・ピッチ」!
 ・多くの意味を短くいい切るからこそ、言葉は強くなる!



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2014年03月08日

ビジネスモデル構築・パーソナルブランディングにも役立つ「プレゼンの本質」!『これだけ!プレゼンの本質』(野村尚義著)



本書これだけ! プレゼンの本質は、今までのプレゼンの本とは一味違ったプレゼンの本だ!

プレゼンの本というと、"見せ方"あるいは"話し方"という実際のプレゼンの場での対応に重きを置いた本が多い。しかし、本書は違う。本書は「相手に自分が伝えたいメッセージを受け取ってもらい、成果に結びつける」というプレゼンの本質を起点とし、成果に結びつけるために必要なプレゼンの"戦略"を書いた本だ。

本書は「受け手の前に立ったときにはすでに勝負は決まっている」(本書より P4)と言う。どういうことか?これは自分が消費者の立場に立って考えると分かりやすい。

例えば、今あなたはiPadを欲しいと思って家電売場に行ったとする。そこで売場の店員が素晴らしいプレゼンでAndroid端末やWindows端末の商品説明をしたところで、あなたは説明された商品を買うであろうか?大方の答えは"NO"であろう。なぜなら「買い手が求めているものと、売場の店員が説明しているプレゼンの内容が一致していないから」である。これは分かりやすく示すために書いた例ではあるが、実際のビジネスシーンではもう少し複雑だ。"意識決定者"にメッセージを受け取ってもらう必要があるが、
 ・意思決定者は誰なのか?
 ・その意思決定者は心の奥底では何を求めているのか?

を考慮しながらプレゼンの準備を行わなければならない。逆に言うと、それを怠ると、選ばれることはない。本書で「戦略が勝敗の90%を握る」と言っているのは、このためである。

本書が重きを置いている思考は以下の3点である。

「あなたは聴き手にどういう価値を提供できるのか?」
「そもそも聴き手が求める価値とは何なのか?」
「その価値を最大化するにはどうしたらよいのか?」


そして、この考え方を”選ばれるための価値創造戦略”として本書で提示しているのが”ダイヤモンド・プレゼンテーション戦略”である。”ダイヤモンド・プレゼンテーション戦略”の詳細は本書に譲るとして、この戦略は3つのステップから構成される。


■ダイヤモンド・プレゼンテーション戦略の3ステップ
@コンセプト設計−価値を深堀りする
 受け手が得られる価値が最大化するように提案内容を考える。

Aシナリオ設計−価値を深堀りする
 @の提案の価値が、受け手にきちんと伝わるようなシナリオをつくる

Bスタイル設計−メッセージを届ける
 Aのシナリオを魅力的に語ってきかせる
(本書より P36〜P37)


上記の”ダイヤモンド・プレゼンテーション戦略の3ステップ”は、”ビジネスモデルの構築”や”パーソナルブランディング”にも相通ずるものがある。以下は、”ビジネスモデル構築”や”パーソナルブランディング”で使われる「ビジネスモデル・キャンバス」に上記の3つのステップを組み合わせてみた結果である(組み合わせはあくまでも私の独断と偏見で行なっております)。

Business Model Canvas Sheet.png

例えば”@コンセプト設計”のダイヤモンドの原石に相当するのは、「ビジネスモデル・キャンバス」の”キーアクティビティ”(自分達の活動)や”キーリソース”(自分達の資源・能力)である。そしてそれを価値としての最大化に相当するのが「ビジネスモデル・キャンバス」の”与える価値”である。また、”ターゲティング”は「ビジネスモデル・キャンバス」の”顧客”に相当する。そして、”Aシナリオ設計”は”キーリソース”・”キーアクティビティ”・”顧客”をインプットとし、”与える価値”でコンセプトフレーズに導いた結果を更に”与える価値”として分かりやすいメッセージシナリオをつくる。そして”スタイル設計”では「ビジネスモデル・キャンバス」の”チャネル”で顧客へのメッセージの届け方を定義する。

逆の言い方をすれば、本書の内容は”ビジネスモデル構築”や”パーソナルブランディング”にも役立つことができる。いや、”選ばれるために必要なプレゼン戦略”ということを考えると、”ビジネスモデル構築”や”パーソナルブランディング”に帰結する内容と言える。

本書を”プレゼンだけの本”と捉えるのはもったいない。”ビジネスモデル構築”や”パーソナルブランディング”にも活用の幅を広げることで、本書のテーマである”選ばれる人”になるための戦略を更に役立てることができるのではないかと思う。


【本書のポイント】

■ビジネスとはオーディションの連続

 ビジネスでは、私たちはいつも選別の目にさらされます。
 そもそも、ビジネスそのものが競合他社との、選ばれるかどうかの戦い。「競合他社ではなく、御社に決めました」と、そう言ってもらえた数がビジネスを大きくしていきます。だから、企業は自社がお客さんに選んでもらいやすいように、あらゆる手立てを打ちます。
(中略)
 まさに、ビジネスは選別というオーディションの連続です。大きなものから、小さなものまで、様々なオーディションに囲まれ、そこで選ばれることが求められる。あなたも、ここ数日を振り返れば自分がたくさんのオーディションにかけられていたことに気づくでしょう。
 そして、私はこの大小様々なオーディション場面すべてがプレゼンであると考えています。あらためて、この書籍におけるプレゼンテーションの定義を明確にしておきましょう。

【プレゼンテーションとは、受け手から選ばれるために、価値を提供すること】

 商談だって、プレゼンテーション。部下をその気にさせる働きかけだってプレゼンテーション。社内の企画提案もプレゼンテーション。
 そして、それらの場面を成功に導く”選ばれる力”がプレゼンテーション力です。
 そして、このプレゼンテーションの場面では、いつも選ばれる人が存在します。選ばれる力を持った人だけが圧倒的高確率で選ばれる。一方で選ばれない人は、生き残れるギリギリの勝率の中で苦しいビジネスを強いられます。
(本書より P13〜P15)


■「コンセプト設計」を構成する4つの鍵

@バリュー
 価値そのものに注目し、提案そのものを変えずにいながら、その価値を最大化する
  ・機能レベル
  ・効用レベル
  ・未来レベル

Aターゲティング
 誰にメッセージを届けるかを見極め、相手が求めていることにチューニングを合わせる

Bポジショニング
 自分の優位性をアピールできるように独自の強みを見つける

Cコンセプトフレーズ
 価値を受け手に届けるために、シンプルなコンセプトフレーズにまとめる


■「シナリオ設計」を行なう3つの武器

@構造化
 伝えたいメッセージを整える
  ・捨てる
  ・分ける
  ・配置する

Aイメージ化
 受け手の頭の中に絵を描くほど具体的に語る
  ・COP(クローズアップワンパーソン)
  ・対比
  ・たとえ話

B感情のデザイン
 人を動かす原動力となる感情にアンテナを向ける


■「スタイル設計」でメッセージを届ける

自分のスタイルをPPMに落とし込む
 PPM(プレゼンテーション・パーソナリティタイプ・マトリクス)
  ・縦軸:ライト(Light)⇔ヘビー(Heavy)
  ・横軸:カーム(Calm)⇔インテンス(Intense)


【関連書籍】







これだけ! プレゼンの本質

1)本書の内容
 
 序章 選ばれるプレゼンターへの道
 第1章 ダイヤモンド・プレゼンテーション戦略とは
 第2章 選ばれないプレゼン 4つの間違い
 第3章 ステップ1 コンセプト設計−ダイヤモンド級の価値ある提案を掘りあてろ
 第4章 ステップ2 シナリオ設計−ダイヤモンドを輝かせるように価値を磨く
 第5章 ステップ3 スタイル設計−ダイヤの指輪を渡すようにメッセージを届ける

2)本書から学んだこと
 ・ビジネスとはオーディションの連続!
 ・ビジネスに必要なのは”選ばれる力”である!
 ・「ダイヤモンド・プレゼンテーション戦略」は幅広い分野で活用できる!



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2013年12月30日

一度は読むべし!著者に代わって本を作る「ブックライター」という職業の本を!『職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法』(上阪徹著)



ビジネス書の多くは著者の代わりにライターが書いている。出版業界では一般的であるこのスタイルも、世間一般にはあまり知られていない。「著者=本を書いている人」という認識が一般的であろう。その認識が強いことも影響し、著者に代わって文章を書いているライターは「ゴーストライター」という、ありがたくない名前を頂戴している。だが、それに代わる職種の定義がないのもまた事実である。このような状況の中、著者の代わりに本を書くライターに対して明確な職種名を定義し、どのような仕事をしているのかを書き表した本が、本書職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法である。

本書では「著者の代わりに本を書く人」を「ブックライター」と定義している。では、ブックライターとはどんな仕事か?本書の以下の文章を読むと、それが分かると思う。

 本を書いているのは私で、著者は別の人の名前で刊行される、ということに違和感を持つ人もいるかもしれませんが、もとより私が勝手に”作文”しているわけではありません。
 文章の素材になっているのは、あくまで著者自身の経験であったり、知見であったり、ノウハウであったりします。それを十数時間の取材で引き出し、本の形にまとめるのが、私の仕事
です。言ってみれば、内容を構成する力や文章を書く力を、著者に代わって提供している、というわけです。(本書より P21)


なぜ出版業界ではブックライターが著者の代わりに本を構成し、文章を書いているのか?それは、ブックライターが書いた方が、著者にとっても、出版社にとっても、ひいては読者にとってもメリットが大きいからだ。

1冊の本を書くのに10万字書かなければならない。著者が自分で原稿を書くとなったら、原稿を書き上げるのに相当なパワーが必要なことは想像に難くない。だが、10万字の文章を書きあげる時間的余裕があり、書きあげることができる者しか本を出すことができないとなったら、多くの素晴らしいノウハウやコンテンツを享受できないという状況が生まれてしまう。それは世の中にとって、かなりもったいなのではないか?

世の中の多くの方は、素晴らしい経営者の考え方などを本を通じて知りたいと思うはずだ。だが、多くの経営者は忙しい。10万字の文章を書き上げる余裕はほとんどない。そんな忙しい著者の代わりに、本を書くプロであるブックライターが、プロの技量をもって、著者の伝えたいノウハウや意図をくみながら1冊の本を書きあげる。ブックライターとは「素晴らしいコンテンツを持っている著者と読者をつなぐ役割を担っている存在」なのだ。

本書では凄腕ライターとして認識されている上阪さんのブックライターとしての仕事を惜しげもなく披露している。例えば、以下のように。

 そこにない切り口の本を出すには、今どんな切り口の本がそこにあるのか、理解できていないといけません。まずは、そのテーマをめぐる”相場”を理解することが重要です。(本書より P83)

 そしてもうひとつが、”読者”について考えをめぐらすことです。どんな人が読者になりうるのか。どんな人に読んでほしいのか。どんな人の役に立てる本なのか。(本書より P83)

 ブックライターとしての仕事も、素材を集める段階でクオリティの七割は決まってしまうと思っています。書くことの重要性は、三割に満たない。それくらい言い切ってもいいと考えています。(本書より P94)

 その上で、企画のテーマについて、しっかり素材を引き出すためには、どんな取材が必要なのか。「取材のための目次」を作り上げるのです。(本書より P97)

 つまり、250枚の一冊の本は、込みだしのついた50の塊からなっている、ということです。5枚といえば、2000文字。2000文字程度の構成要素が、50揃って、本はできているのです。(本書より P131)


なぜ、このように自分のノウハウを惜しげもなく披露しているかというと、それは上阪さんの「優秀なブックライターが足りない」という危機意識、そして「ブックライターという仕事は素晴らしい誇りある仕事であることを多くの人に知ってほしい」という思いからにほかならない。

人間として成長させてくれる著名人との出会い。著者の持っているコンテンツや思いを1冊の本に書き表すために、構成を考え、10万字を文章として書き起こす高度なスキルの提供。そして、本書に書かれている上阪さんのうらやましいいライフスタイル。これを読むとブックライターの仕事とはなんて魅力ある仕事であろうか。

ブックライターとしてのスキルを惜しみなく披露している本書。読み終えたとき、その素晴らしい内容とともに、上阪さんの「ブックライターとしての誇り」に尊敬の念がこみあげた。ブロガー、ライター志望者に限らず、文章を書く必要のある方は、必ず読んでおくべき本だと思う。


【本書のポイント】

■「ゴーストライター」ではなく「ブックライター」です

 私の仕事を端的に表現しようとしたなら、「フリーライター」ということになると思います。しかし、どうにもこの職種名にピンとこない自分がずっといます。世の中的な「フリーライター」のイメージと、私自身の状況がいまひとつマッチしなかったからです。
 フリーライターという職種名を聞くと、「そんな仕事で食べていけるのですか」と単刀直入に聞かれることもあります。どうやら、社会的な信用度は今なお決して高くないようです。
(中略)
 一方、フリーライターという呼び名と並んで、もうひとつ、本を代行して書く仕事にはあまりありがたくない呼び名があります。それが、「ゴーストライター」です。仕事の説明をするときに、わかりやすいからと、私自身もこの呼び名を使ってしまうこともあります。そうすると、すぐに「なるほど」という顔をされますが、正直あまり使いたくない言葉でもあります。
(中略)
 私は構成力や文章力という技術を提供しています。もとより自分の本を毎月、作ることなど、私にはとてもできません。しかし、コンテンツを持つ人とのコラボレーションによって、毎月のように本の出版に関わることが可能になっているのです。
 そこで本書では、この仕事について新しい名前を付けてしまってはどうか、と編集の唐沢さんと話をしたのでした。そこで出てきたのが、本のタイトルにもなっている「ブックライター」です。
 フリーライター、ゴーストライターのイメージが少しでも変わる、新しい名前を世に訴えてみてはどうか。それが「ブックライター」という呼び名、というわけです。(本書より P5〜P7)


■ブックライターという仕事がなぜあるのか

 実はビジネス書に限らず、多くの本でこのスタイルの書籍制作が行なわれています。理由は極めてシンプルです。ブックライターが書いた方が、著者にも出版社にも大きなメリットがあるからです。
 多くのケースで、著者は文章を書くことや本を書くことを専業にしているわけではありません。文章を書きなれていない、そんな彼らに本作りを委ねては、相当な時間がかかってしまいます。
 しかも、原稿を書くには大きなパワーが必要です。本を書くことに時間を取られ、本業に差し障りが出てしまっては、本末転倒です。本業で優れた成果を出したり、世の中に大きな価値を生み出している人には、それはあまりにもったいない話。そんなことよりも本業に邁進してもらったほうが、ご本人にも社会にもプラスです。
 さらに出版社とすれば、著者にベストのタイミングで本を出してもらうことが、最も価値を生み出します。ブックライターがすばやく著者に代わって書くことで、タイミング良く本を世の中に出していける、というわけです。
 ブックライターという他人に書いてもらって本を出す必要はないのではないか、と思われる人もいるかもしれませんが、自分で書く人にしか本が出せない、ということになれば、多くの本は世に出ないと思います。さまざまな学びが得られる本を、読むことができなくなるということ。果たして、世の中にとって本当にそれでいいのかどうか。これもまた、あまりにもったいない話だと思うのです。(本書より P21〜P22)


■「売れそうな本」ではなく、あくまで「いい本」

 本が売れるかとうかは、結果だと思っています。大事なことは、そんなことより、「いい本」を作ることだと私は考えています。
 まだ世の中にないと思えるような、読者の本当に役に立つ本が作れるかどうか。
 世の中に新しいメッセージを、新しい価値を発信していくことができるかどうか。
 著者が持っている貴重な情報やメッセージを、すべてうまく伝えきれるかどうか。
 著者やブックライター、さらには編集者の思いが詰まった本にできるか。

 私がいつも考えているのは、そのことです。
 だから、結果に一喜一憂したりはしません。いい本だったのにうれなかた、という考え方もしない。それは自分ではコントロールできないことだから。売れるかどうかは、運や縁やタイミングも大きいのです。私にできることは「いい本」を作るということだけです。(本書より P89)


■文章に自信がないから、いい素材集めに全力傾注

 もうひとつ、ブックライターとして本作りに携わるときに、大事にしていること。それは、「素材」にこだわることです。経験であったり、事実であったり、独自の意見であったり。
 だから、他の著者の本をブックライターとしてお手伝いするときに、書くことよりもはるかにパワーをかけるのが、取材です。ブックライターなのだから、書くことに一番力を入れるのではないか、と創造されると思いますが、実はそうではありません。
 ブックライターは著者に代わって”作文”をするわけではないのです。あくまmで著者の持っているコンテンツを編集して文章化するのが、仕事です。
 にもかかわらず、取材で素材がうまく拾えなかったら、どうなるか。それこそ、文字通り”作文”をしなければならなくなります。しかし、本は著者のものなのです。著者が語っていないことを書くことは、許されないことです。(本書より P92)


■人間としての大きな成長をもたらしてくれる仕事

 ところがフリーになり、たくさんの「成功者」たちに取材をさせてもらったことで、私は大きく変わりました。つねに物事に謙虚であること。起きていることを受け入れること。ご縁や偶然を大切にすること。自分のためでなく誰かのために働くこと。自分の幸せは自分で定義すること・・・・・・。たくさんの学びを、私は得ることになりました。
(中略)
 そして今も、たくさんの取材で新たな考え方を学び続けています。単に仕事人としてのスキルだけでなく、人間としてどう生きていくべきか、人生をどう送るか、その作法が学べている気がします。おそらくこの仕事をしていなければ、こんなにも人間として鍛えられたかどうか。
 実際、著名な人たち、成功している人たちの多くが、謙虚で、サービス精神旺盛で、いい人が少なくありませんでした。人間的に優れていました。「その程度で満足していてどうする」とう無言のプレッシャーをいつも、私はもらっていました。
 逆に言えば、ブックライターとして生きる、ということは、そうした著名人と接することで、日常的に自分に負荷をかけられたことは間違いないと思います。もっといえば、才能ある著名人と同等レベルにまで自分を引き上げなければ、信頼をもらうことができないこともある。人間としての大きな成長も、求められてくるのが、この仕事だと思っています。
 なんと幸運な仕事なのか。こうして本書を書き上げようとしている今も、それを改めて感じています。(本書より P227〜P228)


【関連書籍】



職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法

1)本書の内容
 
 第1章 ブックライターの仕事はこんなに楽しい 仕事のスタイル
 第2章 ブックライターの仕事のパートナー 出版社・編集者との関係作り
 第3章 素材が七割、書くのが三割 企画と取材
 第4章 「二五〇枚を一本」ではなく「五枚を五〇本」 目次を作る
 第5章 毎月一冊すらすら書く技術 書き方と時間管理
 第6章 ブックライターとして生きていくには 仕事に向かう心構え

2)本書から学んだこと
 ・素材が7割、書くのが3割!
 ・やはりコミュニケーションが大事!
 ・「ブックライター」とは人間としての成長をもたらす仕事!



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