メディア/SNS (5): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2011年02月11日

USTREAMがメディアを変える(小寺信良著)(後編)




今回も前回に引き続き小寺信良さんの著書『USTREAMがメディアを変える (ちくま新書)』を取り上げます。

前回は、”1)USTREAMとは何か?”、”2)テレビとUSTREAMの製作の違い”という点を中心に本書に触れてまいりましたが、今回は”3)既存メディア(特にテレビ)への影響”、”4)USTREAMの課題”をいう点を中心に触れていきたいと思います。

著者はテレビの現状について「テレビシステムの緩やかな死」と表現しております。著者の分析は、テレビの製作現場にて長年働いていたためか鋭い内容が書かれております。その内容は「さすが、長年テレビ製作の現場にいた経験」と思わせるものでした。

”テレビがつまらなくなった”のはなぜなのか?その原因を本書からエッセンスを書き出してみたいと思います。

【テレビがつまらなくなったのはなぜなのか?】 
1)製作予算の低下
著者に言わせると最近の番組は「お安いなあ」ということです。それは以下に現れております。
 ・カット割りで『引き絵』がない
 ・左右のセットが足りず、スタジオの汚い壁が見える

また、バブル崩壊以降も長年お金を使って番組を制作してきたためか、低予算で番組を製作するノウハウがテレビ局側にないのも影響しています。

2)テレビ業界の高齢化と人材の流出
本書によるとテレビ業界は「30歳でアガリ」と言われているそうです。それは「徹夜徹夜でついていけなくなり、また若手が台頭してくるため、30歳で管理職に”アガル”」という意味です。

IT業界でも「SE35歳限界説」がまかり通っておりますが、それは「長時間の頭脳労働についていけなくなる」という同様の理由からです。長時間労働という意味でいうと、テレビ業界もIT業界もあまり変わらないのかな?と思います。

しかし、(IT業界も同様なのですが)テレビ業界でも「若手が入ってもすぐにやめてしまい続かない」という状況が続いているようです。したがって世代交代もままならないため、世代間のギャップが番組にも現れているということがあります。

また、テレビ業界からインターネットやゲームなどに活躍の場を移す若手が多くなっていることも「テレビがつまらなくなった」ことへ拍車をかけているようです。特に”才能のある人ほどその傾向が強い”ということです。

3)多階層化と土台を支える人間の疲弊
テレビの番組を本当に作っているのは誰なのか?テレビ局が大手の製作会社などに発注し、そしてそこから孫受け、ひ孫受けの会社に発注する、いわゆる”多階層化”の構造となっております。特に近年は制作費の低下により、どこも生き残りをかけ、安い金額で受注するという状況が続いているようです。その状況は底辺の会社に行けば行くほど厳しくなります。

こうした状況が人材の流出に拍車を掛けているようです。

この状況はIT業界も同じ問題を抱えているので、よく理解できます。


先のテレビ業界の課題は「ユーストリームがテレビを殺す」という章を参考にしてまとめましたが、同章では「ユーストリームが殺すのは何か?」というテーマで書かれいる箇所があります。ここには「視聴者は何を求めているのか?」ということが分かります。この記述は私にとって興味を持ちました。

「人は映像によって何を伝えたいのか。そして何を語り合いたいのか。ユーストリームが問いかけているのは、そこにある。何が見たいか、ではないのだ。」

あなたは、この文章を見て何を感じたでしょうか?


上記ではテレビ業界の課題をあげてまいりましたが、ユーストリームを運営するにも課題がないわけではありません。

本書であげているユーストリームの課題を簡単に見てみましょう。

【ユーストリームの課題】
1)肖像権
2)音楽使用における著作権
3)ユーストリーム放送自体の著作権

実際の製作においては上記の点を考慮しながら製作する必要があります。

このブログでは触れませんが、本書の中で、もう一つ注目したいのは「ユーストリーム製作のポイント」です。ここでは実際にユーストリームを製作するポイントが分かりやすく書かれております。


本書を読み、私が今まで気がつかなかったユーストリームの魅力や製作のポイント、そして課題というものが見えてまいりました。テレビの製作現場で、そしてフリーランスとしてメディアを長年見てきた著者の慧眼には”さすが”という思いが起きました。

ユーストリームをやってみたいと思う方、そしてユーストリームを理解したいという方にとっては読んで欲しい一冊です。


USTREAMがメディアを変える (ちくま新書)

1)本の内容
・第1章:ユーストリームという世界
・第2章:ユーストリームの可能性
・第3章:ユーストリームとツイッターの相乗効果
・第4章:ユーストリームがビジネスを変える
・第5章:ユーストリーム番組制作のポイント
・第6章:ユーストリームがテレビを殺す
・第7章:横たわるユーストリームの課題

2)この本から学んだこと
・テレビ業界の疲弊がテレビをつまらなくした
  1)製作予算の低下
  2)テレビ業界の高齢化と人材の流出
  3)多階層化と土台を支える人間の疲弊
・ユーストリームの製作の上で課題を考慮する必要がある
  1)肖像権
  2)音楽使用における著作権
  3)ユーストリーム放送自体の著作権


本書のキーワードをFreeMindでマインドマップにまとめました。
USTREAMがメディアを変える.png
USTREAMがメディアを変える.pdf


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USTREAMがメディアを変える(小寺信良著)(前編)




今回は小寺信良さんの著書『USTREAMがメディアを変える (ちくま新書)』を取り上げます。

個人的な興味もあり、TwitterやFacebookなどのソーシャル・メディアの本を取り上げてまいりました。今回はUSTREAMを取り上げます。

著者の小寺信良さんはNHKにてバラエティ・報道などの製作スタッフとして番組制作を手がけた後に、独立。現在はテクニカルライター/コラムニストとして活躍されております。著書には『メディア進化社会 (Yosensha Paperbacks 28)』や『Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)』の著者である津田大介さんとの共著『CONTENT'S FUTURE ポストYouTube時代のクリエイティビティ (NT2X)』などがあります。

本書は主に
 1)USTREAMとは何か?
 2)テレビとUSTREAMの製作の違い
 3)既存メディア(特にテレビ)への影響
 4)USTREAMの課題
といった観点で書かれております。

前編では”1)USTREAMとは何か”そして”2)テレビとUSTREAMの製作の違い”について本書を見てみたいと思います。

まず、USTREAMとは何か?
似たようなサービスとしてはYouTubeがあります。両者の違いは何でしょうか?
既に多くの方がご存知だと思いますが、YouTubeは「録画した動画をサーバーにアップして配信するサービス」に対し、USTREAMは「インターネットで生中継を配信できるサービス」という違いがあります。

USTREAMが注目を集めた出来事として、昨年12月に歌手の宇多田ヒカルさんがUSTREAMを使って自身のライブを生中継で配信しました。以前であれば、「チケットを買わなければ見ることができない」「DVDを買わなければ見ることができない」といったしがらみがあったのですが、アーティストがその気になれば、無料で配信できるのです。このことは音楽業界に少なからずインパクトを与えたと思います。

ここで著者は生放送の意義について触れております。以下に本書から「生の力」について述べた文を引用させていだだきます。

「ユーストリームの放送の魅力を、個人が手軽にブロードキャストできるから、捉えているだけでは、まだ半分しかわかったことにならない。そこにもう一つ、生放送でなければできない要素、すなわち「生の力」を加えるべきだ。
 生放送であるkとの意味とは、自分たちではどうやっても動かしがたい「時間」という流れに相乗りしていくことだ。これは逆に考えればすぐにわかる。逆とはすなわち、録画でもすむような番組だったら、生の力は発揮できないということである。
 象徴的な話で、生放送の意義をまとめよう。今この原稿をかいている瞬間、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還制御を行うJAXA管制塔からの生放送が、ユーストリームで放送されている。一時期あまりのアクセス数に公式放送がダウンしたが、サブの回線が生き残り、中継を続けている。現時点でサブ回線が一万5千人強、メインの本線は三万一千人強のビューワーが、肉眼では見えぬはやぶさの姿に思いを馳せつつ、管制塔の模様に見入っているわけである。(中略)すなわちユーストリームは、少人数ではあっても世紀の瞬間に立ち会いたい、今起こっていることと同期したいという人の、強い思いに応えることができるメディアである、ということだ」
(本書より)

これを見たとき、私は「USTREAMの魅力を半分しかわかってなかった。。。」と思いました。「誰もが手軽に発信できるメディア」と思っていなかったからです。

著者自身がテレビの製作スタッフという立場で仕事をされていた経験のためか、”テレビとの比較”に多く触れております。テレビの製作のことなど全くしらない私にとって、本書に書かれているテレビ製作のことなどは非常に新鮮に感じました。

ちなみに、テレビではこのときワールドカップの中継をしておりました。どちらも”生”といえば生なのですが、テレビの場合、番組”枠”があるため、サッカー中継はある程度時間が計算でき、かつ、視聴率も期待できるのに対し、「はやぶさ」の中継は”いつクライマックスなのか?そしていつ終わるのか分からない”ため、テレビの生中継には向かないコンテンツと言えます。

それは製作の面からも分かります。

本書にはテレビとラジオの製作プロセスの図が載っているので、それを見るとよく分かるのですが、テレビの場合、構成作家やプロデューサー、ディレクター、出演者など、分業体制が敷かれており、ゲストの数やテーマ、構成などによって複雑になっていくようです。よく、放送中に「ここカットでお願いね!」というコメントが出演者から出ますが、綿密な打ち合わせの上に長時間に渡って撮影し、そして必要な部分のみを編集して放送するというのが一般的です。そういう意味では”緻密な作業の上に成り立っている”といえます。

一方、ラジオの場合は生放送が多いです。台本はあるものの、基本的には”パーソナリティの力に依存している”からです。本書でも「USTREAMの製作はラジオの手法の方が親和性が高い」と指摘しております。

これは、テレビの製作現場に長年携わってきた著者ならではの視点でしょう。

後編では、”3)既存メディア(特にテレビ)への影響”そして”4)USTREAMの課題”についてレビューをしていきたいと思います。



USTREAMがメディアを変える (ちくま新書)

1)本の内容
・第1章:ユーストリームという世界
・第2章:ユーストリームの可能性
・第3章:ユーストリームとツイッターの相乗効果
・第4章:ユーストリームがビジネスを変える
・第5章:ユーストリーム番組制作のポイント
・第6章:ユーストリームがテレビを殺す
・第7章:横たわるユーストリームの課題

2)この本から学んだこと
・USTREAMの放送の魅力は”手軽さ”以外にも”生の力”がある
・テレビの製作には”緻密さ”の上に成り立っている
・ユーストリームの番組の制作にはラジオの手法の方が親和性が高い



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2011年01月23日

あなたのビジネスを10倍加速させる!twitterマーケティング(野口洋一/廣野一誠/小林佑輔著)


1)本の内容
・第1章:今なぜ、ツイッターマーケ
     ティングなのか
・第2章:ツイッターで見込み客を
     集めよう
・第3章:ツイッターでブランディング
     しよう
・第4章:ツイッターで集客・販売
     しよう
・第5章:ビデオストリーミング・
     マーケティング
・第6章:ツイッターを活用してビジネスを
     加速させている3名の先駆者たち

2)この本から学んだこと
・ツイッターマーケティング3つのステップ
  1)見込み客を集める
  2)ブランディング(見込客の新規顧客化)
  3)アクションしてもらう(見込客の新規顧客化)
・Google×ツイッターでの検索など実用的な方法

今回は『あなたのビジネスを10倍加速させる!『実践twitterマーケティング』―ツイッターを売上げにつなげる教科書』を取り上げます。

本書は「ツイッターを活用していかにマーケティング及び商品の購買に結びつけるか?」ということを、より実践的に書いている本です。

本書では、まず第1章にて
 ・顧客の種類
について述べております。

顧客の種類としては以下の4種類があります。

【顧客の種類】※本書より抜粋
1)潜在客
 まだ見ぬあなたの商品やサービスを買ってくれる可能性のあるお客さん。
2)見込客
 まだあなたの商品やサービスを買ってくれていない、コンタクトの取れるお客さん。
3)新規顧客
 一度でもあなたの商品やサービスを買ってくれたことのあるお客さん。
4)常連顧客
 あなたの商品やサービスなどに満足し、2回以上あなたの商品やサービスを買ってくれるお客さん。

そして、マーケティングとはそれぞれの顧客を上位レベルに押し上げる活動を言います。マーケティングの活動としては以下の3つの活動があります。

【マーケティングの活動】※本書より抜粋
1)アクイジション(顧客発見)
 潜在顧客の中から見込客を見つけるマーケティング。
2)コンバージョン(顧客獲得)
 見込客に商品やサービスを買ってもらうためのマーケティング。
 見込客に対して、情報提供、信頼獲得、販売などの営業活動など。
3)リテンション(顧客維持)
 新規顧客を維持し、さらに常連顧客へと導いていくマーケティング


本書ではツイッターを用いたマーケティング活動として以下の3つの流れを提示しております。

【ツイッターを活用したマーケティングの活動】※本書より抜粋
1)見込み客を集める
  ・プロフィールで心をつかむ
  ・フォロワーを見つける
  ・フォロワーを増やして管理する
2)ブランディング(見込客の新規顧客化)
  ・フォロワーとコミュニケーションを取る
  ・フォロワーとの関係を強化する
    プレイス(褒める)
    サンクス(感謝する)
    ラポール(親近感を与える)
    etc...
3)アクションしてもらう(見込客の新規顧客化)
  ・追加情報を提供する(ブログ、メルマガ)
  ・商品やサービスを販売する(ネットショップや申し込みページなど)

具体的な内容は本書を読んでもらいたいのですが、本書の特徴としてはツイッターでマーケティングを行うためのツールを紹介しながら説明しているということです。中には私も知らないツールや方法(Google×ツイッターで検索する方法など)があり、これは非常に参考になりました。

本書は「マーケティング活動の中でどのような方法で、どのようなツールを使うことができるのか?」という観点で教示されており、本書を読んでいく中で、色々なアイディアが沸いてくると思います。

「マーケティング活動にツイッターを使いたい」という方にとって、非常に参考になる本です。

あなたのビジネスを10倍加速させる!『実践twitterマーケティング』―ツイッターを売上げにつなげる教科書

本書のキーワードをFreeMindでマインドマップにまとめました。
あなたのビジネスを10倍加速させる!twitterマーケティング.png
あなたのビジネスを10倍加速させる!twitterマーケティング.pdf

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posted by まなたけ(@manatake_o) at 00:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア/SNS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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