奥野宣之: ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2014年02月16日

一見関係のない情報が「化学反応を起こす」ネタとなる!『情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』(奥野宣之著)



※献本ありがとうございます

本書情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]は、2008年に刊行されたベストセラー『情報は1冊のノートにまとめなさい』の全面改定・増補版である。

旧版との違いを述べると、旧版は「情報整理」に主眼が置かれていることに対し、本書は「知的生産」に主眼が置かれているところである。

知的生産術については今まで多くの方法が提案されてきた。例えば、システム手帳を活用した方法、パソコンを活用した方法、近年はスマートフォンやタブレット端末を活用した方法など。新しい方法が提案されるたびに我々は大きな期待を抱き、学び、使いこなそうと努力してきた。だが、努力むなしく破綻してしまうことが多い。その理由として、「高度すぎるから」(本書より P15)と著者は言う。

 多くの分類・整理を基本にしたシステムは複雑すぎます。
 古くは、図書館のようにメモや資料を何十、何百という項目に分類して棚やキャビネットに整理するやり方が提唱されていました。最近の、デジタルツールを使った知的生産術でも、端末やアプリケーションを細かく設定して、同期設定やタグ付けの設定をしたりと、非常にややこしいものになっています。
 こういったやり方は一部の人にとっては良くても、ほとんどの人にとっては難しすぎます。また、はじめのうちはできそうでも、情報がたまるほど気軽に扱えないようになり、ますます複雑なものになっていくのは目に見えています。
 「分類・整理」自体は有意義なことだし、学者やジャーナリストにとっては必要な作業でしょう。しかし、普通の人にはおすすめできません。とてもじゃないけど、続けられないからです。
 結果的に、これまでの知的生産術は、「絵に描いた餅」になってしまっていました。
 理論としては「分類・整理で情報が活用できる」のかもしれませんが、多くの人にとっては「分類・整理のせいで情報が活用できない」ということになっていたのです。
(本書より P15〜P16)


では、著者が薦める方法とは?それはタイトルにある通り「情報をひとつのノートにまとめる」という方法である。本書に書かれているメリットをまとめると、以下の通りとなる。
 @「簡単」だからストレスなく続けられる
 A自由にアレンジしながら、自分のスタイルに最適化される


著者はスケジュール管理・アイデア・新聞記事・読書メモなど全て一冊のノートにまとめているとのこと。その根底にあるのは「アイデアとは既存の要素の新しい要素の組み合わせである」(本書より P160)という考え方である。

もし、情報が分類別に別々のノートにあったとする。このとき、それぞれのノートに書かれた要素は分類ごとに分けられているから、つながりが生まれにくい。しかし、「アイデアというものは、一見関係のない要素が有機的に結びついたときに生まれる」ことが多い。それが一冊のノートに集まっていると、ノートを見かえすことで、「お?これとこれを組み合わせることで、何か面白いことができるんじゃないか?」という”ひらめき”が起きやすくなる。

とはいえ、全てなんでもかんでも一冊のノートにまとめることは、人によっては”使いづらさ”を感じることもあるであろう。実際、私の場合も、スケジュール関連は、一つのノートではなく、デイリータイプの手帳で管理した方がやりやすい。ただ、「これは?」と思った情報について集めている「情報ノート」については、本書のやり方と同じように一つの手帳にまとめて書いたり貼ったりしている。個人的には、「その方が化学反応が起きやすい」と思うからだ。

本書の目的は、あくまで「知的生産」にある。そのために「一冊のノートにまとめること」を方法論として提案している。だが、その根底には「自分の感性でつくったノートだからこそ信じることができる」という著者の思いがある。自分の感性で自由にノートをつくるに当たり、ネタのストック方法としての本書の提案は大きな参考になるのではないかと思う。


【本書のポイント】

■ノートに集めるから素材になる

 ノートに記録した段階で記憶に刻まれているから、原稿を書いているときに「アレが使えるのでは??????」と思い出すことができるのです。
 つまり、ノートにあるから「アレを参照したい」と思うのであって、ノートにないものは、そう思うことすらほぼないわけです。
 これが、参照したいものが、ほぼ100%ノートから見つけ出せる理由です。
 デジタルツールでは、こううまくはいきません。
 情報をストックするとき、書いたり貼ったりという手間がかからないので、印象も薄くなってしまうのです。結果、「何かで読んだ」「どこかで見た気がする」と思い出したり、引っかかりを感じたりすることも少なくなってしまいます。
 ちょっとややこしいかもしれませんが、こういうことです。
 「知的生産の素材をノートに集める」のではなく、「ノートに(ピンときた情報を)集めると知的生産の素材になる」と。
 このような仕組みになっているから、本書のやり方でノートを使えば、何かの仕事をしているとき、
 ・考えを進めるための足がかりになる
 ・新たな視点、切り口が生まれる
 ・アイデアや発想を思いつく
 ・思いついたことを成果物に活かす
といった効果が得られるのです。
(本書より P33〜P34)


■「ごちゃまぜ」だからヒントになる

 プライベートで集めた情報が仕事のヒントになる。
 こう言い切ってしまうと、疑問に思う人もいるかもしれません。
 もちろん「ピンときた」「おもしろい」と思った雑誌の記事が、すべて企画になるわけではありません。「何かに使えるのでは」と思ったものの、そのまま遠い過去の情報になってしまうことも多いでしょう。
(中略)
 では、どんな情報が知的生産に使えるのでしょうか?
 10年以上ノートを使ってきた経験から言えることは、「使えそうなものほど使えず、使えなさそうなものほど使える」ということです。特に「仕事には何の関係もないが、おもしろい」という切り抜きや考えごとのメモほどアイデアの芽になることが多い。
 過去のノートを見てみると、まったく仕事に関係のない情報がたくさんあります。しかし、じっくり見てみると、直接的には活かされていなくても、仕事で突き詰めていくテーマや問題意識を孕んでいたり、考える手がかりになるようなものがたくさんありました。だから、「使えるか、使えないか」は、ほとんど考えなくて大丈夫です。
 自分の感性信じて、「おもしろい」「かっこいい」「きれい」「かわいい」「ほしい」「やってみたい」「便利だ」「行きたい」というものを、どんどん書き、貼るようにしましょう。
 大事なのは、「幅広い情報」の中から「ピンときたもの」を集めることです。
 すべてはそこから始まります。
(本書より P44〜P46)


■ピンときたものから「良さの本質」を考える

 ノートに入れていくのは、自筆のメモや新聞記事の切り抜き、本のコピーといった「読める情報」とは限りません。
 たとえば、僕が今使っているノートには、よく動物や風景の写真が貼ってあります。貼った理由は、「美しい」「かっこいい」「好きだ」と思ったから。それだけです。好きな写真を貼っても、ノートを見たときにいい気持ちになるだけで、知的生産には何の役にも立たなそうに思える。
 ところが、そうとも限らないのが、このノートを使った方法のおもしろいところです。
 ピンときた写真を貼ること。その最大のメリットは、「良さ」の本質を考えられる点です。
(中略)
 他にも、かっこいいなと思った広告デザインを貼っておけば、商品を魅力的に見せる方法や、キャッチコピーが与える印象などについて、じわじわ考えが深まっていくことが期待できるでしょう。
 このように「@収集」の過程では、「これは素材になるから」と意識的に取っておきたいと思う情報だけでなく、「なんとなくいい」「なぜか気になる」というものも取っておくことが大切です。無意識が「これは使える」と言っている可能性が高いからです。
(本書より P179〜P180)


■自分の感性でつくったノートを信じる

 知的生産のために、ノートに情報を入れ、読み返したり、カードに書き出したりする。その作業は無駄だらけかもしれません。しかし、それでもやらないと成果物はできない。「何気なく歩いていたら富士山の山頂を登っていた」ということは絶対にないのです。
 ちょっとした発想は不意に得られることがあっても、アイデアや成果物は意思なくして得られません。
 このことについて書かれたちょうどいい文章があります。

 「ひらめきというのは、ひらめこうと思って生まれるものじゃない。計算機を使う作業からはひらめきは得られない。とはいえ計算作業も、いつかひらめきを得るためには絶対必要な作業である。
 だから、たとえばある社会学者が、いい年をして、何万問もの、まったく些末な計算問題に頭を使っていたとしても、彼にとって損はありません。だたし、彼が計算を機械に任せようとしたら、彼は罰を受ける。何か大した結果を出したいと思っても、結果は出ません。出るとしてもつまらないものでしょう」(『現代訳 職業としての学問』マックス・ウェーバー著・三浦展訳/プレジデント社)

 ひらめきにおいて「こうすれば確実に起こる」という理論はありません。しかし、それでも起こると信じて作業を続けるしかない。まるで「信じるものは救われる」という魔法のようですね。
 知的生産の素材として、他人が書いた本や資料に100%の信頼を置くのは難しいかもしれません。それでも、自分が「おもしろい」と思った情報だけを入れたノートなら、信じるに値するものになっているはずです。
 自分のつくったノートを信じて手を動かし続けましょう。
(本書より P208〜P211)


【関連書籍】





情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]

1)本書の内容
 
 完全版の刊行にあたって
 はじめに
 第1章 ノートで「読書体験」をマネジメントする
 第2章 必要な本を指名買いする「探書リスト」のつくり方
 第3章 読んだ内容を財産にする「読書ノート」のつくり方
 第4章 自分をつくるノートの「読み返し方」
 第5章 読書体験をより充実させる20のアイデア
 付録 ノートづくりに役立つ文房具26
 おわりに

2)本書から学んだこと
 ・量が質をつくる!
 ・「ごちゃまぜ」だからこそヒントになる!
 ・自分の感性でつくったノートだからこそ、信じることができる!



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2011年04月08日

知的生産ワークアウト(奥野宣之著)



すべてのビジネスパーソンにとって常に求められているのは”アウトプット”です。特にホワイトカラーにとっては「読む」「考える」「整理する」「表現する」という”知的生産”は仕事をする上で常に求められる事項です。

ところが、この”知的生産”というものはやってみると意外と難しい。この経験はだれしも持っている経験だと思います。そして「ホワイトカラーの生産性が低いのは知的生産の難しさに原因ある」と私は感じております。

では、「”わずかな工夫”で知的生産を高めていくにはどうすればよいか?」というテーマにフォーカスを当てた本が、今回取り上げたこれは奥野宣之さんの著書『仕事の成果が激変する 知的生産ワークアウト―あなたが逆転するための73のメニュー』です。


本書を読んで私が注目したのは「なぜ奥野さんが知的生産を高めるための努力をしたのか」という点です。本書のまえがきに、その理由が書かれております。


奥野さんは大学卒業後、中小の新聞社や出版社で記者として働いておりました。「世間を賑わせるような大きなニュースを扱いたい!」(本書より)という希望をもっていたものの、普通の人が目を通さないような専門誌で、しかも地方担当として働いていたので、必然的に扱う記事は地方のイベントや中小企業ばかりとなります。このときの奥野さんの気持ちに大きな葛藤が生まれたのは、想像に難くないと思います。普通であれば転職を考えるでしょう。しかし、奥野さんは「自分を売り込めるほど器用でなかった」(本書より)とあり、別の方法を探すしかなかったのです。

そこで奥野さんが出した結論は「自分の力を頼りにするしかない」(本書より)、そして「知的生産力」をテコ入れしようと決心し、行動したのでした。


本書には知的生産ワークアウトのための73もの方法が掲載されております。その内容のカテゴリは大きく分けて以下の通りです。

【知的生産ワークアウト術 カテゴリ】※以下、本書より抜粋
1.発想からアウトプットをつくる
集めた情報から、自分だけの考えや発想を深めて、人に伝わるかたちにする

2.生きた時間をつくる
モチベーションを上げたり、知的生産の作業に集中して確実に能力を発揮するための自己コントロール

3.創造的な環境をつくる
情報やモノの整理、ワークスペースの環境づくりなどを通じて、知的生産を助ける「場」をつくる


私も、本書の中に書かれている方法の中で参考にあるものもありました。その中の一つに”「〆切タイマー」で数日後の〆切をカウントダウンしろ”というものがあります。


【「〆切タイマー」で数日後の〆切をカウントダウンしろ】※本書を参考に記述

「igoogle」をカスタムして、常に、〆切までの日数や時間数を表示させておく。これにより〆切を意識せざるを得ない環境をつくって「自分をそう仕向ける」ようにする。


igoogleを使って「〆切を表示させる」ことは正直言って思いもつきませんでした。しかし、画面に常に表示させることによって期限を意識せざるを得ません。自己管理が下手な私にとっては、うってつけの方法です。


他にも”十五分刻みのタイムカードに「何をしたか」を記入していこう”など、”時間管理”、”発想からアウトプットの方法”、”集中するための環境をつくる方法”など、参考になる方法がたくさんあります。

中には「これは自分には合わないな」というものもありますが、そこは取捨選択しながら自分にあった形で利用できれば良いと思います。

大事なのはそこにあるアイディアから利用できそうなものはカスタマイズしながら利用すること。カスタマイズすることによって自分なりの視点が発見できますし、少しずつ実践することで成果につなげることができるはずです。


大事なのはアイディアを参考にして自分流にアレンジしながら実践すること。一歩一歩の積み重ねが知的生産の向上につながるものと思っております。


仕事の成果が激変する 知的生産ワークアウト―あなたが逆転するための73のメニュー

1)本の内容
 Part1:発想からアウトプットをつくる
  ・インプット
  ・発想とアイディア
  ・アウトプット
 Part2:生きた時間をつくる
  ・目標と計画
  ・時間管理
  ・集中
 Part3:創造的な環境をつくる
  ・情報整理
  ・モノ整理
  ・空間の活用

2)この本から学んだこと
・すべてのビジネスパーソンにとって「知的生産力」が必要である
・仕事で成果を高めるためには「知的生産力を高めること」がよい
・「知的生産力」は工夫次第で自分流にカスタマイズできる



本書のキーワードをFreeMindでマインドマップにまとめました。
知的生産ワークアウト.png
また、以下のリンクをクリックすると、拡大表示されます。
知的生産ワークアウト.html

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2010年09月26日

読書は1冊のノートにまとめなさい(奥野宣之著)


読書は1冊のノートにまとめなさい 100円ノートで確実に頭に落とすインストール・リーディング

読書は1冊のノートにまとめなさい 100円ノートで確実に頭に落とすインストール・リーディング

  • 作者: 奥野宣之
  • 出版社/メーカー: ナナ・コーポレート・コミュニケーション
  • 発売日: 2008/12/05
  • メディア: 単行本



1)本の内容
・「ノート」で読書をマネジメント
・「探書リスト」で主体的・効率的に本を買う
・「読書ノート」で本と対話する
・ノートを活用して「アウトプット」
・生活を変化させる「応用読書」
・インストール「グッズ」
2)この本から学んだこと
・読みっぱなしは「読んでいない」のと一緒
 (頭に残ってこそ役にたつ!!)
・ノートで読書情報を手持ちのDB化することができる
・アウトプットするから頭にインストールができる
・無理なく続けるには”適当な”長さにまとめること
・心が動いた所を考察することで”オリジナル”が生まれる

奥野宣之さんの”読書は1冊のノートにまとめなさい”ですが、
  ・なぜ、ノートにまとめた方がよいのか?
  ・ノートにまとめるとどんなメリットがあるのか?
をまとめた本です。

本書では
  ・「読んでも頭に残らない残らないのは”読んでいない”のと同じ
  ・頭にインストールするためにノートを活用しよう
ということが中心のテーマとなっております。

しかし、タイトルと違って「なぜ1冊のノートにまとめた方が良いのか?」ということがあまり書かれておらず、どちらかというと「ノートを活用することによってこんなメリットがありますよ!!」ということに重点を置かれた書き方になっております。

「読んでも頭に残らないのは”読んでいない”のと同じ」という言葉は、ちょっと苦い思いがいたします。

私の場合は、現在は2回目の読書の読了の後、”白地の読書ノート”にマインドマップ(シンプルマッピング?)で情報をまとめるようにしております(私の場合、罫線が入っているノートだと罫線が思考する上で邪魔となるなるため白地のノートを使っております)。しかし、そこに至るまでは試行錯誤の繰り返しでした。

私もかなり前から通勤電車の中で読書をしていたのですが、読んでも頭に残らなかったのです。それで「頭に定着するようにはどうすればよいか?」と考えたことがありました。そこで、ノートの活用を思いつきました。

でも、読んだ本の要約やポイントを書こうとすると何ページにわたって書くことになる羽目に....苦痛でした。しかも読み返したときには分からない。結局、「これは駄目だ!!」ということでやめてしまいました。

そこで、いろいろな本を読んでいくなかで「マインドマップでまとめると頭に残るのでは??」ということで、章単位で1ページにマインドマップで書くようにしました。そうするとだいぶすっきりとし、頭にもの残るようになりました。

今では、マインドマップというよりはシンプルマッピングに近い形(無料のマインドマップソフトのFree Mindで描かれるイメージ)で、1冊の本を1ページにまとめることができるようになり、ポイントも分かり、全体も俯瞰できるようになりました。このレビューを書くときも、ノートにまとめた内容が役に立っております。

ノートに読書の結果をまとめることにより頭に残るようになります。でも、実際にやってみると頭に残すようにするためには工夫が必要です。本書では「頭に残るためにノートに書く工夫」という点にはあまり触れられておりません。そのあたりは読んでいて少し物足りない感はありました。

しかし、”ノートを活用して頭にインストールする”こと、それによって”アイディア創出など、いろいろな面で役に立つ”ことは事実だと思います。

タイトルから少しかけ離れた内容の感はありますが、「ノートに書くことによって頭にインストールする」というアウトプットの重要性を再認識させられた1冊でした。


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posted by まなたけ(@manatake_o) at 15:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 奥野宣之 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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