フィロソフィあってこそのアメーバ経営!『全員で稼ぐ組織』(森田直行著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2014年06月19日

フィロソフィあってこそのアメーバ経営!『全員で稼ぐ組織』(森田直行著)



※献本ありがとうございます

本書全員で稼ぐ組織 JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書は、ひと言で言うと、「アメーバ経営の教科書」

では、アメーバ経営とは何かと言うと、京セラの創業者である稲盛和夫名誉会長が編み出した経営管理手法である。だが、その根底には「京セラフィロソフィ」という京セラの哲学がある。実は、「京セラフィロソフィ」という哲学が、京セラのアメーバ経営を支えている。そのため、本書にも単に「アメーバ経営」の手法のみに言及しているのではなく、「アメーバ経営」の言及と同じくらい、「京セラフィロソフィ」についても言及している。

JALの再生で一躍注目を集めた「アメーバ経営」ではあるが、本書によると、最初は社員の「フィロソフィによる意識改革」からスタートをしている。この根底には「人生と仕事の結果は、考え方と熱意と能力のかけ算で決まる」という考え方がある。この考え方が面白いので以下に紹介したい。

 人生と仕事の結果は、考え方(マイナス100〜プラス100)と熱意(0〜100)と能力(0〜100)のかけ算で決まると1章で解説しました。この三つの中で最も重要な要素は考え方です。なぜなら考え方だけは変数がマイナスの場合があり得るからです。
 能力が高く熱意もある人材がそろっているJALがなぜ経営破綻したのか。それは考え方がマイナスだったからです。能力と熱意がいかに高くても、考え方がマイナスであれば、結果はマイナスです。フィロソフィは、考え方の部分を根本から変える処方箋で、ここがプラスになれば、もともと能力と熱意はあるので、劇的にすばらしい結果が出るはずだと確信していました。
(本書より P88)


詳しくは本書を見ていただきたいが、著者の森田さんは、当初、JALの考え方はマイナスと考えていた。そのため、フィロソフィ教育による意識改革が第一と見ていた。そして京セラ流の社内コンパや勉強会などで稲盛さんと議論しながらフィロソフィ教育を進めていった。その結果、生まれたのが「JALフィロソフィ」だ。

 やがてメンバーの間から、「JALの企業理念を作り直そう」という声があがりはじめました。そこで当時の大西賢社長(現会長)が中心となり、幹部社員を選出して、JALの企業理念とJALフィロソフィの策定に取りかかりました。 現在のJALグループの企業理念は
  JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
  一、お客様に最高のサービスを提供します。
  一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。
となっています
(本書より P90〜P91)


この哲学が基盤とした上で「アメーバ経営」を導入している。

「アメーバ経営」は社員全員がコスト意識を持ち、「全員で稼ぐ」ための手法と言える。だが、手法だけではなかなか上手くいくことはなく、そこには「哲学」というものが必要だ。第3章以降では「アメーバ経営」の導入事例を中心に「アメーバ経営」に着目した形で書かれているが、著者の森田直行さんは「フィロソフィがあってこそのアメーバ経営」ということを本書を通じて伝えたかったのではないかと思う。


【本書のポイント】

■社員全員が経営に携わるために

 アメーバ経営とは、京セラの創業者である稲盛和夫名誉会長が企業経営の実体験から編み出した経営手法で、「経営は一部の経営トップのみが行うのではなく、全社員が関わって行うべきだ」という考え方が貫かれています。
 この経営手法の最大の特徴は、採算部門の組織を5?10人という小さな単位(アメーバ)に細分化し、それぞれがまるで一つの会社であるかのように独立採算で運営することです。各アメーバの売上、利益、経費などの収支は、月が終わると直ちに集計され、全社員にオープンにされます。これにより、経営者はどの部署がどのくらい儲けているか一目瞭然でわかるようになり、社員も自分がどれだけ利益に貢献できたかを知ります。その結果、社員一人ひとりが利益を意識し、それを生み出す意欲と責任を感じるようになるのです。
 各アメーバにはリーダーがいます。その人物がメンバーの知恵を結集しながら経営者のごとく収支の舵を取り、「売上を最大、経費を最小に」を合言葉にメンバー全員で経営目標を達成するー。これが、アメーバ経営が目指す全員参加の経営の姿です。
(本書より P14)


■JAL再建を打診される

 私は2010年1月から、JALの管財人代理、そして副社長として2年間、稲盛さんとともに経営に携わりました。JALという会社に入ってみての率直な感想は、素直で優秀な社員が多いな、というものでした。と同時に、「どうして優秀な社員がたくさんいるのにこんなことになってしまったんだろう」という思いがよぎりました。
 2009年12月初旬ごろ、稲盛さんは政府と企業再生支援機構から、「JALの再生を引き受けてほしい」と要請されていたようです。再生支援機構は、再建を担う経営者として、運輸関係ではなく異業種の経営者で、内外に知名度が高く創業経験があり、なおかつ大企業の経営経験があるという3条件を満たす人が適任と考えていました。そして、その三つを兼ね備えている人物といえば、稲盛さん以外には考えられなかったといいます。
 しかし、当初、稲盛さんは「航空業に関しては素人であり、私の任ではない」と断りつづけていました。12月中旬、京セラ本社で会議があり、私も出席していました。会議のあと、稲盛さんに呼び出され、「JALの再建を頼まれている。もし引き受けたらついてきてくれるか?1週間後に返事をくれ」と突然言われ仰天しました。
 京セラの業務とはまったく関係のない異業種の会社の再建など引き受けないほうがいいのではないか。私は正直そう思いました。しかし、稲盛さんが行くなら、答えは決まっています。12月下旬、私は返事をするために、京セラの東京の事務所に行き、稲盛さんと会い、こう言いました。
「名誉会長がいらっしゃるなら、お供させてください」
(中略)
 1月初旬から、再生支援機構などといろんな打ち合わせがあり、最終的に2010年1月13日、稲盛さんは「自分の力は及ばないかもしれないが、全身全霊で再建に当たりたい」と決断されました。そして、2月1日に、稲盛さんと私と、稲盛さんの秘書として長年勤めていた大田嘉仁さんの3人がJALに初めて出社し、経営再建がスタートしました。
(本書より P78〜P79)


■アメーバ経営で生きている会社になった

 航空事業というのは、季節によって売上の変動が大きく、7?9月の旅行シーズンで大きく稼ぎます。逆に底となるのが2月です。JALでも創業以来、2月は黒字になったことがない。そこで私は、「2011年の2月は黒字にできないかもしれないけれども、2012年の2月は黒字にしよう」と言ったのです。それを聞いたある部長は、「森田さん、そんなことができたら奇跡ですよ」と言いました。ところが、アメーバ経営で組織改革を実施した直後の2011年2月に、黒字を達成することができました。奇跡が起こったのです。
(中略)
 JALにおけるアメーバ経営の導入で何が変わったのかということについて、JALの大西会長が2013年2月22日の日本経済新聞のインタビューに次のように答えています。
 会長の大西賢はアメーバを「収支管理を徹底させるための仕組み」と見ていたが、導入してみてその威力に驚いた。
 「キミたち実は勝っていたよ、と2カ月後に試合結果を教えられても、ちっとも燃えない。3万人の団体戦では自分が貢献できたかどうかもわからない。しかし10人のチームで毎月、勝敗がわかると、『やったあ』『残念だった』と社員が一喜一憂する。かつてJALは泣きも笑いもしない組織だったが、アメーバ経営で生きている会社になった。」
 JALの経営改革の成功は、フィロソフィとアメーバ経営の実践によりもたらされました。稲盛さんを筆頭にJALの全社員が経営に関心を持ち、利益とサービスの向上を目指し、それぞれの持ち場で改善・改革に取り組んだ小さな結果の積み重ねが大きな成果として結実しました。まさに全員参加の経営が、JALを大きく変革したのです。
(本書より P114〜P116)


【関連書籍】



全員で稼ぐ組織 JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書

1)本書の内容
 
 はじめに
 第1章 アメーバ経営とはどんな経営手法なのか
 第2章 JAL再生
 第3章 導入事例に学ぶアメーバ経営
 第4章 アメーバ経営は業界の枠を超える
 第5章 世界に広がるアメーバ経営
 おわりに
 アメーバ経営用語集

2)本書から学んだこと
 ・「見えるひと言」が相手を動かす!
 ・理想は「エスカレーター・ピッチ」!
 ・多くの意味を短くいい切るからこそ、言葉は強くなる!



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posted by まなたけ(@manatake_o) at 14:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経済/ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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