「場の空気」が変わって「流れ」に乗ったとき、人の動きが格段に変わる!『「空気」で人を動かす』(横山信弘著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2014年06月08日

「場の空気」が変わって「流れ」に乗ったとき、人の動きが格段に変わる!『「空気」で人を動かす』(横山信弘著)



本書「空気」で人を動かすは、”場の空気”の存在に着目し、
 ・”場の空気”が現場の人間に与える影響
 ・”空気革命”によって、現場の人間がいかに変わるか?

を成功事例を交えながら述べた本である。

横山信弘さんというと、現場に入り込んで「絶対達成」を合言葉にNLP理論や行動科学などの手法を駆使しながら現場の方々とともに一緒に汗を流して実績を上げてきたコンサルタントである。しかし、本書の「はじめに」に書かれた内容は、自分のアプローチが通用しない、疑心暗鬼の心境とともに、「空気」の重要性を考えるキッカケが述べられている。

 そもそも、私に「空気」の重要性について考えるきっかけを与えてくれたのは、以前コンサルティングをした、ある営業系の会社でした。
 きっかけを与えてくれたー。今ならそんなふうに前向きに振り返ることができますが、当時の私はとてもそんなふうには思えず、必死にもがき続けていました。
「売上の落ちたわが社を立て直し、目標達成できる組織にしてほしい」
 オーナー経営者から依頼を受けた私は、その使命を果たすべく全力でサポートを行おうと、現場に乗り込みました。そして、私はこれまでに成果を上げてきた方法論を駆使し、その企業の従業員・スタッフとともに改善・改革を目指しました。 ところが、その企業の従業員の皆さんが、とにかく動かない。動きを変えようとしないのです。
 経営コンサルタントは、ある日突然、現場に入ってくる存在です。そんな私たちに対して、コンサルティングを開始した頃に違和感を抱く人は、一定の割合で必ず存在します。そんなことは経営コンサルタントとして想定の範囲内です。
 けれども、この会社の場合は違っていました。
 私の存在に違和感を抱く人が一定数いることが「彼ら全員が動かない理由」ではなかったのです。
 では、私が導入した方法論が間違っていたのでしょうか?
 決して間違っていませんでした。従業員の皆さんもその正しさをわかってくれていて、「このやり方に賛成・反対の意見のある人はおっしゃってください」と聞くと、誰もが「それは正しいと思う、いいと思う」と言ってくれる。けれども、彼らはまったく動こうとはしないのです。
 ならば、彼らに対するアプローチが間違っていたのでしょうか?
 そうではありませんでした。全体の中では1人ひとりの本音が話せない人もいるだろうと、会議室に従業員の皆さんを1人ずつ呼び、面談を行ったこともあります。なかには「自分の思いに気づけた。本当にありがとうございます、明日からやります!」と涙を流して部屋を出ていった人もいました。ところが、面談が終わって部署に戻った途端、見事に元の彼になってしまう・・・
 なぜ、従業員がこれほどまでに動かないのか?
 誰かが彼らの行動を邪魔しようとでもしているのか?
 私は疑心暗鬼になりました。
(本書より P2〜P4)


このあと、横山さんはこの会社の社長をはじめとしたあらゆる方と面談した。トップは軒並みやる気に満ちている。でも、「会社は変わるはずだ!」と思っても元の状態…さすがの横山さんも無力感でいっぱいだったであろう。

しかし、横山さんは”犯人”を捜しあてた。犯人は「場の空気」だったのだ。それ以来、横山さんは「人を変える前に、まず『空気』を変える」ことに専念した。すると、驚くような結果が出たのだ。

 あれほど動かなかった彼らが、ストレスを感じることなく、楽しく自然と目標達成を目指すようになりました。そして、私がコンサルティングに入らずとも、会社の現場改革はどんどん進むようになったのです。
(本書より P6〜P7)


「”空気”の力、恐るべし!」である。

そんな本書は、横山さん自らの体験と皮膚感覚をもとに”空気”の重要性に触れ、”「空気」を変えずに、人を変えようとしたところでなかなか効果はでない”という現場を変えるための本質的なことをテーマとして追求し、書かれた本である。

ここで「日本人と”空気”の関係」について少し考えてみたい。

日本人は「空気を読む」ということを大切にしてきた民族だと思う。それは、”空気”に関連する日本語を考えてみても、読み取ることができる。

「KY」という、数年前に女子高生を中心に流行った言葉がある。ご承知の方も多いと思うが、
 ・空気を読めない人
 ・場の状況を察することが出来ない人
という意味で、どちらかというと、人を蔑む時に使われる。

また、国語辞典を見てみると、
 ・水を差す
 ・話の腰を折る
など、「場の空気を壊してしまう」という、あまり良くないニュアンスで使われる言葉が日本語には多い。これらの言葉が示す通り、日本人は、”場の空気を大事にしてきた民族”と言える。

戦後、日本社会論において功績を残した山本七平氏の代表的な著書『「空気」の研究』の中で、「”空気”とは、一定の状況下で生じている精神的な空気・雰囲気であり、日本人は論理的思考や科学的データではなく”空気”に従って意思決定をしている」と述べている。

この”空気”という存在だが、厄介な面を持つ。”場の空気”が行動の阻害となる、あるいは、本来は自分が望んでいる気持ちとは逆の行動を取らせる要因となるからだ。そして、それはビジネスにおいても大きな影響を及ぼす。例えば、「会社に貢献出来るよう、もっと頑張ろう!」と思っても、”場の空気”が会社に対する不満・愚痴に包まれ、頑張ろうという気持ちが萎えてしまうように…

このように書くと、「空気を変えるなんてとてもできない!」と思うかもしれない。しかし、横山さんは言う。「空気は誰にでも変えられる」と!

 リーダーが最初の一歩を踏み出す直前は、きっと孤独感でいっぱいだと思います。
 けれども、チームの「空気」は必ず変えられると信じ、仲間はきっとついてくると信じて行動を起こしてください。
 本書でも詳しく触れますが、「空気」を「流れ」に変えてしまえば、あとは流れに身を任せるだけです。
(本書より P8)


職場で働いていく中で、ちょっとしたキッカケで「空気」が変わったと感じる瞬間はなかろうか?そして、最初はとまどいながらも知らないうちに「流れ」に乗り、それが「当たり前」のようになった経験はないだろうか?本書でいう「空気革命」とは、「空気」をちょっとしたキッカケで「流れ」に変えることなのかもしれない。だが、その「当たり前」は、以前に比べて、仕事のやり方や生産性、そして人の動きは格段に上がっているはずだ。、


【本書のポイント】

■空気次第で、人のパフォーマンスが変わる

 「場の空気」が、チームの構成員のすばらしいパフォーマンスを引き出す−。
 特にスポーツを通じて、そのことを感じている人は多いのではないでしょうか。
 例えば、プロ野球の「伝統の一戦」やサッカー・スペインリーグの「クラシコ」と呼ばれる対戦では、スタジアムが異様な「空気」に包まれます。
 絶対に負けてはならないという「空気」。
 勝利に貢献すれば一躍スターになれるという「空気」。
 そんな「空気」が、今でも伝統として語り継がれるような数々のビッグプレーを生んできました。
(中略)
 私たちも「空気」によって自分のポテンシャル以上の力を引き出されたことがあるはずです。逆に、「空気」によって実力が発揮できなかったこともあるでしょう。
「スタッフの積極的な働きかけでお店の売上が急激にアップした」
「趣味でテニス大会に出場し、仲間の応援で試合に勝てた」
などは、その一例です。
 ビジネスやスポーツだけではありません。
「受検会場の空気に飲まれて、あまりいい点が取れなかった」といったように、勝敗がはっきりわかりやすく出る領域では、「空気」の重要性や影響力についてよく語られています。
「空気」は、私たちが本来持っているポテンシャル以上の力を引き出すカギを握っています。「空気」を味方につけるかどうかが、勝敗を大きく左右するのです。
(本書より P18〜P19)


■目に見えない「空気」の恐怖

 チーム内に新しい価値観がもたらされ、定着した場合に「場の空気」は変化します。これまで誰も疑わなかった「当たり前」「普通」「そういうもの」が変わっていくのです。
「空気」が恐ろしいと感じるのは、とにかくその存在が「曖昧」だからです。実体がないゆえに、多くの人が意識することがありません。にもかかわらず、第1章でもお伝えしたとおり、「空気」は人々を規制する大きな力を持っています。
 日本人は、経済合理性に基づいた意思決定よりも「空気」によって判断する傾向が強いと言われております。
 このことが書いてあるのは、山本七平氏の名著『「空気」の研究』です。山本七平氏は同著で「論理・データよりも『空気』が勝つ場合は、『空気』は絶対的拘束・絶対の権威として驚くべき力を持っている」と述べております。
 まさにそのとおりで、「はじめに」で触れたとおり、私もコンサルティング現場で「空気」の絶対的権威に何度も辛酸をなめた経験があります。
 「空気」というものは、その場にいる人間に恐ろしいほどの強い影響を与えている。そのことを私たちは認識すべきなのです。
(本書より P50〜P51)


■なぜ「空気」が悪いと問題なのか

 なぜ「空気」が悪いと問題なのか−。
 それは、まじめに頑張っている人が報われないからです。その一点につきます。
「真剣にやるのがバカバカしい」
「やってもやらなくても同じ」
「メリットがないのにやるはずがない」
「やらされ感を覚えるのでできない」
 こういった後ろ向きな物言いは、すべて「場の空気」が言わせていることです。
 そのような発言をする人が、他チームの一員になっても同じことが言えるかというと、ほとんどの場合、言えません。
 ならば「場の空気」を変えるしかないのです。
「メリットがないからやらない」と言う人にメリットを与えようとしても結局変わりませんし、「納得できない限りやらない」と言う人を納得させようとしても同じように変わりません。
 いろいろな理由をつけて動かない人がいます。その理由が「作話」であるなら、その「やらない理由」を見つけようとしても見つかりません。答えのない旅を続けるはめになるのです。
 そのチームにとって、何が「当たり前」で、何が「そういうもの」なのか。
 それを形成していくための働きかけがリーダーには必要なのです。
(本書より P207〜P208)


【関連書籍】



「空気」で人を動かす

1)本書の内容
 
 第1章 チームの「空気」を現状分析せよ
 第2章 「悪い空気」の元凶を解明せよ
 第3章 チームの「空気革命」を遂行せよ
 第4章 「空気」を「流れ」に変えよ
 第5章 「空気革命」の成功者から学べ

2)本書から学んだこと
 ・日本人は「空気」に感化されやすい!
 ・人を動かす前に「場の空気」を変えよ!
 ・「空気」が「流れ」に変わったら、あとは身を任せるだけで動いていく!



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posted by まなたけ(@manatake_o) at 19:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | コミュニケーション/ダイアログ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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