カール・マルクスが示した”資本主義のルール”を読み説くことが、”ラットレース”から抜け出す鍵となる!『超入門資本論』(木暮太一著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2014年05月31日

カール・マルクスが示した”資本主義のルール”を読み説くことが、”ラットレース”から抜け出す鍵となる!『超入門資本論』(木暮太一著)



※献本ありがとうございます

本書超入門 資本論は、経済学者カール・マルクスの歴史的著書『資本論』を、経済ジャーナリストの木暮太一さんがマルクスの理論を現代の資本主義社会に当てはめながら、「資本主義のルール」を分かりやすく書いた内容の本である。

本書は以下の文章から始まる。

 先日、朝日新聞社が発行している「AERA」という雑誌で、年収1000万円の人たちの実態を取材した、「年収一千万円の研究」という特集が組まれていました。
 そこで語られていたのは、「この仕事内容で、この給料は割に合わない」「しんどい」という嘆きの声でした。激務すぎて、身体を壊してしまったという方もいました。
 「年収100万円」の時代もあり得るとささやかれる中で、年収1000万円は超高級取りです。年収1000万円に届いている人は、わずか3.8%しかいません。世間一般から考えれば、「目標」とされる金額です。
 それなのに、1000万円プレーヤーたちは、幸せそうではないのです。
 なぜでしょうか?
 しかも、自分たちで幸せでない理由を言える人は少ないです。「しんどい」という自覚はあっても、どうすればそこから抜け出せるかがわかっていません。
 一体なぜでしょうか?
 それは、ぼくらが生きている、この社会のルールに気づいていないからです。そのルールに気づいていないために、知らない間に”負け”ているのです。1000万円稼いでいても、”負け”てしまっているのです。
「1000万円プレーヤーが負け組だなんて、そんなことはあり得ない!」
 いえ、そんなことがあり得るのです。1000万円プレーヤーの全員が”負け”なわけではありません。このルールを知らない人が”負け”ているのです。
(本書より P3〜P4)


先の文章を読んで、どのように感じたであろうか?多くの方は「1000万円プレーヤーが”負け”ているなんて、信じられない」と思った方も多いと思う。でも、少し周りを見て欲しい。1000万円プレーヤーというと、大企業の中間管理職の方がそれに該当する。彼等は過度のプレッシャーの中で激務をこなしている。しかも、残業代は出ない。給料やボーナスは業績に連動している。それに加え、子供がいれば学費や塾代などの教育費が重くのしかかる年代だ。出費も多い。世間が思うほど”裕福ではない”というのが実態だろう。

先の文章で始まる本書が説いているのは、冒頭にも書いた通り、マルクスの『資本論』をもとに、現代の日本経済を明快に示した”資本主義のルール”であり、ルールを知った上で、労働者がしんどい状況から抜け出すための方法である。マルクスの『資本論』というと”共産主義”を連想させる。しかし、著者によると、「『資本論』は、共産主義の経済学ではなく、資本主義経済の本質を研究している本です」(本書より P7)とのことだ。とはいえ、マルクスの『資本論』に限らず、古典経済学の本を読み解くのはかなり難しい。そのため、本書では現代社会を生き抜く上で必要なことを以下の3つのポイントに集約して書かれている。

・ポイント1
「価値」と「剰余価値」の意味を理解し、その区別をすること
・ポイント2
「剰余価値」の意味を理解し、それが生まれるプロセスを知ること
・ポイント3
「剰余価値」が、やがて減っていくことを理解すること
(本書より P9)


この3つの中で最も重要なポイントは
・ポイント3
「剰余価値」が、やがて減っていくことを理解すること
であろう。

本書の言う”「剰余価値」が減っていく”と、どのようなことが起こるのだろうか?
簡単に言うと
・労働者の給料が下がる
・労働者が休めなくなる
・資本家の立場が強くなる
・機械化やテクノロジーの進化に伴い、職が奪われる

が発生する。

なぜそんなことが起こるのかということについての詳細は本書に譲るとして、資本主義の成熟化が我々にもたらす影響が本書には書かれている。しかも、読めば読むほど現実として起こっていることばかりである。そして、「企業に雇われる生き方」というのは資本主義の構造上、豊かになれる生き方とは思えない。仮に、営業パーソンが昨年の2倍の売上を上げたとしても、給料が2倍になることはないだろう。しかも、給料は「労働力の価値」で決まる。テクノロジーの進化に伴って作業が単純化されるということは、それだけ「労働力の価値」も下がる。つまり、「給料が減る」ことを意味している。

では、どうすればよいのか?本書の回答は「雇われ労働者から抜け出すこと」、つまり「フリーランス・マインドで働くこと」と述べている。

本書でも述べている通り、恐らく今後はフリーランス・非正規雇用が主流になっていくだろう。そのとき。「自分達の給料はどのように決まっているのか?」など、本書に書かれている「資本主義のルール」を知っているのと知らないのでは、今後はますます大きな差が生まれるだろう。しかし、資本主義の成熟化が進んだとしても、「資本主義のルール」を知っていれば、「ラットレース」から抜け出す方法を見出すことができるはずだ!

そういう意味において、今後の時代を生き抜く上で、読んでおくべき本である。


【本書のポイント】

■給料は、あなたを働かせ続けるために「必要なコスト」で決まる

 ここで、注意してみると、企業の利益になる「余剰価値」は、
「労働者が商品を生産する過程で生み出した付加価値」
だということに気がつきます。労働者は自分の労働力の価値よりも多くの価値を生産し、そしてこの差分が余剰価値とされるのです。
 これが、企業が利益を生み出せる理由なのです。
 労働者が自分の給料以上に働き、価値を生み出し、それが企業の利益になっているのです。
 企業は、原材料を仕入れ、機械設備を使い、労働者を雇って生産活動を行っています。それだけ考えると、企業はそれらすべてを使って利益を出しているように思えます。つまり原材料や機械設備も利益を生み出しているように感じます。
 しかし、それは違うのです。
(中略)
 仕入れ以上に価値を増やせるのは、労働だけなのです。
 原材料が加工されて、形が変わっても、価値が増える訳ではありません。そこに労働者が手を加えるから、価値が上がるのです。高い材料だから、利益をたくさん稼げる訳ではないのです。
 原材料(綿花)や機械設備なとは、いくらいいものを仕入れたり導入したりしても、形が変わって商品の中に移るだけで、その価値の大きさは加工後もまったく変化しません。これを『資本論』の用語で「不変資本」といいます。
 一方、労働力という「原料」は少し違います。先ほどの例で言えば4000円で買っても、結果的に8000円の価値を生み出しています。
 このように価値が増えるのは、「労働」だけです。
 労働を、不変資本に対して「可変資本」といいます。
 つまり、企業は、労働者を働かせることによって、支払った価値以上を生み出せる、利益を上げることができるのです。 じつは、この事実こそが現代の企業が苦しんでいる理由であり、これからの資本主義経済を表す本質なのです。
(本書より P89〜P93)


■労働者が、給料以上に働き、それが企業の利益になる

 本質的な論点を見極めたら、次のステップは解決策の「仮説」を作ることだ。この「仮説」とは、文字どおりの仮の説で、正解ではない。
 受験勉強と違って、ビジネスの問題には唯一の正解はない。方程式も暗記も役に立たない。”コレだ”と思う解決策を考え出しても、実際に試してみるまでは、それが役に立つかどうか、本当にはわからない。
 だから、あくまでここで作る解決策とは、仮の説だ。解決策を「仮説」として作り、実際に試してみて、効果を確かめる(「検証する」)のだ。
 検証した結果、期待どおりの効果があれば、その仮説を採用する。そうでなければもとの仮説を直して、よくしていくのだ。
(中略)
 一見、周り道にも見えるが、正解がない以上、仮説を作って検証を進めることが、現実的には一番の近道であり、また解決策を作る唯一の方法なのだ。
(本書より P25〜P26)


■労働者は二極化する

 マルクスは、労働者の給料は活かさず殺さずの最低限の水準まで低下していくと考えました。なぜなら、機械化・テクノロジー化が進行するからです。労働現場が機械化・テクノロジー化すると、人間の労働が単純になり、体力も必要なくなります。必要な予備知識も減ります。
 ここで労働力の価値が圧倒的に下がるのです。
 だから、これまでと同じように「労働力の価値」を基準にして給料を受け取っていた人は、どんどん給料が低下していくのです。
(中略)
 ぼくら人間の労働者が考えなければいけないのは、テクノロジーを生み出し使う側にいくか、テクノロジーに使われる側になるか、、ということです。
 機械・テクノロジーがライバルになる仕事は給料が圧倒的に下がります。一方で、その機械・テクノロジーをつくり出し、管理・運営する側の人の給料はさがりません(むしろあがるかもしれません)。今後、使われる側にいくのと、使う側にまわるのでは大きな違いが生まれるでしょう。
 知らず知らずの間に、「テクノロジーに使われる側」にいってしまえば、あなたの給料は際限なく落ちていきます。
 何度もっ繰り返しますが、労働者の給料は「労働者の価値」に基づいて決まっています。そして、テクノロジーが進化した世の中では、労働力の価値は極端に低下します。生きていくためには最低限の収入で、もしくはそれ以下に引き下げられて暮らしていかなければいけなくなる可能性も十分あるのです。
 テクノロジーの進歩は目覚ましく、ますますスピードアップしています。こうなると、いつ「テクノロジーに使われる側」に堕ちるかもしれません。
 そこから抜け出すためには、雇われ労働者から抜け出すことです。
 それが現代の労働者が『資本論』から学び取れる教訓なのです。
(本書より P193〜P197)


■企業に依存しない「フリーランス・マインド」が必要な世の中

 資本主義が成熟すれば、商品が売れ残るリスクが高まります。そのリスクを減らすために、企業はいろいろな策を講じていくでしょう。
 その一環として、固定費を減らしていく動きは必然です。
 これから数十年したら、正社員や終身雇用という雇用形態の方がむしろ稀になっているでしょう。マルクスの言葉を借りると、ほぼすべての人が”半雇用者”となっていると思います。「期間雇用」になり、「非正規雇用」になります。そして、半ば強制的な流れで「フリーランス」「個人事業主」という労働形態に追いやられていくでしょう。
 非正規雇用というと、企業に虐げられている工場のライン労働者をイメージするかもしれませんが、これからは変わります。オフィスワーカーもプロジェクトごと、仕事案件ごと、もしくは数年間で仕事を変えるような社会がやってきます。
 そうだとしたら、労働者はそれに対して備えなけれはいけません。
 何を、どう備えればいいのか?なぜ備えなければいけないのか?
 フリーランスマインドで働くとは、文字通り「フリーランスのつもりで働く」ということです。それはつまり、サラリーマンの評価体制から抜け出すということです。
 そして、マルクスが説いた商品の原則に立ち返り、労働力を「商品」として見直すことです。
(中略)
 使用人としての労働者から抜け出すということは、労働者として保護されてきた場所からも抜け出すということです。「命がけの跳躍」というリスクを引き受けなければいけません。
 フリーランス・マインドで働くということは、実際にフリーランスになるということに限らず、「労働力の価値ではなく、労働力の使用価値を受けること。その覚悟を持つこと」です。
(本書より P208〜P210)


【関連書籍】





超入門 資本論

1)本書の内容
 
 第1章 なぜペットボトルのジュースは150円なのか?
 第2章 年収1000万円でも生活がカツカツになる本当の理由
 第3章 ぼくらは知らぬ間に給料以上働かされている
 第4章 なぜパソコンの値段は下がり続けるのか?
 第5章 合格しないと生き残れない「命がけのテスト」
 第6章 勝者だけが知っている生き残るための絶対ルール
 第7章 コモディティ化せずにこの世を生き抜く3つの方法

2)本書から学んだこと
 ・僕らが給料以上に働くことで、企業の利益が生まれる!
 ・しんどい生き方から脱出するためには、「昇給に依存しない働き方」が必要!
 ・コモディティに陥らないためには「マネされにくいウリ」をつくることが必要!



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タグ:働き方
posted by まなたけ(@manatake_o) at 20:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 働き方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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