誇りと生きがいを持ったスタッフが集う舞台をつくる!『奇跡の職場』(矢部輝夫著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2013年12月12日

誇りと生きがいを持ったスタッフが集う舞台をつくる!『奇跡の職場』(矢部輝夫著)



ニュースにもなった東京駅での東北新幹線や上越新幹線のお掃除。株式会社JR東日本テクノハートTESSEI(以下、テッセイ)が行なっている。わずか7分の間で北に向かうお客様を迎えるために素早い動きで綺麗に新幹線をお掃除する。そして、掃除が終わったら整列して一礼する。この様なテッセイのスタッフの姿に多くの方が感動した。

礼 に始まり、礼に終わる。これはテッセイがこだわっていることの一つである。そして、礼を行うのは駅のホームだけではない。車両全体を清掃する田端や小山のサービスセンターのような「お客様が見えないところ」でも行われている。テッセイの仕事は「おもてなし」「旅の思い出づくり」という哲学が現れた光景である。

テッセイも初めからこのようなスタイルで清掃を行なっていたわけではない。現在の姿に至るまでには紆余曲折があった。いわゆる3Kの職場であるお掃除会社が、なぜやる気にあふれ、ハーバード・ビジネススクールから「教材として取り上げさせてほしい」と言われるようになったのか?そこに至る道のりと、テッセイの経営の考え方を表した本が本書奇跡の職場 新幹線清掃チームの働く誇りである。

本書を読んで行く中で気がついたことがあった。それは、著者であるテッセイ・おもてなし創造部長の矢部輝夫さんの気持がマネジメントに現れ、現在のテッセイの姿と結びついていることである。

矢部さんがテッセイへの異動を言い渡されたのは平成17年7月1日。異動当初は「何でこんなところに」という気持ちが強かった。なぜなら、当時のテッセイは評判のよくない会社で会社であったからだ。しかし、入ってみて気がついたことは「現場スタッフの能力は高くまじめで、仕事にも真剣に取り組んでいた」(本書より P43より)ことだ。そして頑張りがきちんと評価されていないことも。会社のマネジメントが悪いのであれば変えようと取り組みはじめた。そのマネジメントスタイルは「地道にコツコツ…」である。

その一つが「エンジェルリポート」である。これは同社でコツコツと頑張っている人たちを紹介する仕組みだ。そして、これは「ほめる」を仕組み化した制度である。そしてそれを制度化した根底にはマネジャーとしての以下の考え方があると思う。

  ほめるということは、言い換えると1人ひとりの努力の成果をきちんと把握し、それを的確に評価することではないのか。それはマネジャーとしての根本的な役割であると思う。そうしたことをいい加減に考えないほうがいいと思う。(本書より P93〜P94)


これは一つの例に過ぎないが、本書に書かれているテッセイのマネジメントの根源は「みんなで力を合わせて誇りと生きがいを育てている」ところにある。それは本書に書かれている一人のスタッフの言葉にも表れている。

「私は、誇りを捨てて清掃員としてテッセイに入りました。でも今私はテッセイで新しい誇りを得ることができました」(本書より P193)


仕事に誇りと生きがいを持った人は輝いている。そしてその輝きが磁力となり、人を寄せ集める。「新幹線劇場」と呼ばれているのは、そんな輝きを持った人々が集っているからではなかろうか?

著者の温かさを感じるとともに、現場の声と歓喜の声が聞こえてくる本である。


【本書のポイント】

 礼に始まり、礼に終わる(本書より P29)

 『旅の思い出』これこそが私たちの商品だ!(本書より P53)

 私たちがご提供しているものは少し違って、それは掃除を通じた「旅の素晴らしさ」です。お客様に旅行の満足をお持ち帰りいただくことなのです(本書より P81)

「世間一般の一流の会社にはなれないかもしれない。戦略や戦術も二流、三流かもしれない。でも、その代わりに実行力では一流になろう」(本書より P161)

 テッセイで働いている人の多くは、紆余曲折を経てここにたどり着いている。ここに来るまでに、さまざまな状況のなかで打ちのめされ、誇りを失ってしまった人も少なくありません。
 でも、そんな人たちに生き生きと働いてもらうためには、誇りを取り戻してもらうことがとても重要なのです。そしてそのためには、認められることが欠かせません。仕事を通じて認められ、評価され、充実感が積み上げられていけば、やがてそれが誇りと生きがいにつながっていくからです。
 ただし組織内においては、たった1人の人間が「よし、誇りと生きがいを持つぞ」と意気込んでみたとしても、あまり意味がありません。それでは、周囲に煙たがられて終わるだけです。つまり言い方を変えれば、誇りと生きがいとは、1人で持つことはできない。みんなが力を合わせてこそ育まれるものだと思います。(本書より P192〜P193)


【関連書籍】



奇跡の職場 新幹線清掃チームの働く誇り

1)本書の内容
 
 プロローグ
 第1章 なぜ「3K」の仕事が奇跡の職場になったのか?
 第2章 成功の種は現場に隠れていた!
 第3章 現場を会社が強くバックアップする!
 第4章 すべてはリーダーで決まる
 第5章 会社は二流でも、実行だけは一流を
 第6章 誇り、生きがいが働く人を輝かせる
 エピローグ

2)本書から学んだこと
 ・成果をきちん把握し評価することで「ほめること」ができる!
 ・みんなで育てるからこそ、仕事に対する誇りと生きがいを実感できる!
 ・誇りと生きがいを持つことができた瞬間に、人生は幕を開く!



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posted by まなたけ(@manatake_o) at 23:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 企業論/組織論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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