自らの経験をもとに「ちょっとした気づかいある言い回し」をまとめた本『部下のやる気を引き出す 上司のちょっとした言い回し 』(吉田幸弘著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2013年10月27日

自らの経験をもとに「ちょっとした気づかいある言い回し」をまとめた本『部下のやる気を引き出す 上司のちょっとした言い回し 』(吉田幸弘著)



上司のちょっとした言い回しが部下のやる気を引き出したり、損ねたりする。これは上司の立場に立った者に限らず、部下の立場の者でも、多くの方が相手のちょっとした言い回しによって「よし、頑張ろう!」と思ったり、「やってられない」と思った経験したことがあるのではなかろうか?本書部下のやる気を引き出す 上司のちょっとした言い回しは、上司がどんな言い回しをすれば部下とのコミュニケーションが円滑になるのかを場面ごとに応じて書かれた本である。

本書の「はじめに」に書かれた以下の言い回しを皆さんはどのようにお感じになられるであろうか?

 あなたが、取引上で大きなミスをしてしまったとします。上司に報告をしたとき、次のように叱責を受けました。あなたは部下として、どちらの言葉に良い反応をしますか。

1.「大変だったな。報告ありがとう。詳しく聞かせてくれないか」
2.「何をやっているんだ!なんで、そうなったのか教えてくれよ」


 たいていの方は、1を選ぶのではないでしょうか。1は報告をしてきたことをねぎらっているのに対して、2は部下を詰める言い方をしていますね。
 1と2では、部下の反応は大きく変わります。伝わり方がまるで違います。でも、実は言っている内容は同じなのです。
(本書より P@)


 ただ、2の言い方をした方が良い場面もある。ミスをするたびに1の言い方をしながら改善策を一緒に検討してきたが、本人が意識をしないがために効果が表れず、その結果、大きなミスをしてしまった場合などである。だが、あまり問い詰める言い方を続けてしまうと、今度は部下が叱られることを恐れ、ミスを隠すようになるかもしれない。それが起因で仕事に大きな被害を及ぼすかもしれない。著者は上記の文章で「同じ内容のことを伝えるにしても、言い方、いわゆる「言い回し」を変えるだけで、部下への伝わり方は大きく変わってしまうのです」(本書より P7〜P8)と書いているが、その通りだと思う。

実は著者もかつては部下への言い回しのまずさから苦い経験をしている。以下のようにである。

 でも、かつての私は、下手な言い方ばかりしていていました。次のような言葉を使って、部下との人間関係に支障を来していたのです。

●ミスを繰り返した部下が報告に来たとき、「いい加減にしろよ!社会人として失格だな。辞表を持ってこい」と言ってしまった
●二晩徹夜で企画書をつくってきた部下に「こんなくだらない企画を残業してつくったのか。残業代と紙代のムダだ
と言った
●報告に来たが、要領を得ない部下に「何、言っているのかわからない。君は、日本語をきちんと勉強したことがあるのか?」と言った
●ミスして落ち込む部下に「みんな、笑っていたよ」とさらに追い打ちをかけた


(中略)

その閣下、次のような事態が起こりました。
●1か月で、部下が4人同時に退職
●降格人事を3回経験
●年収の大幅ダウンを3回経験
●報連相(報告・連絡・相談)があがらず、浦島太郎状態になり、重要取引先の離脱
●部下によるミスの隠ぺい


このような状態が続き、悩みに悩んで胃腸炎で入院してしまいました。
(本書より PB〜PC)


その結果、著者は奮起しコミュニケーションについて徹底的に勉強した。本書は自らの失敗を経験をもとに奮起し、「言葉の言い回しが部下を変える」「言葉の言い回しは社会を変える!」と思い、日々コンサルティング活動を行っている著者の経験をまとめた本である。

本書にある「×」の例と「○」の例を比較しながら読むことによって、相手はどんな印象を受けるのだろうか?立場を変えて読んでみることで、「言い回しのエッセンス」が習得できる本ではないかと思う。


【本書のポイント】


■話が要領を得ないとき

×「要するに、何が言いたいんだ」
×「何が言いたいのか、まったくわからない」
○「話してくれて、ありがとう。話を整理したいので、もう一度話してもらえるかな」
○「なるほどね。この部分がわからないので、もう少し詳しく教えてもらえるかな」
○「結論から教えてくれるかな」

 部下の要領を得ない報告にイライラした経験は、上司であれば誰しもあるのではないでしょうか。そんなとき、「要するに、何が言いたいんだ」「何が言いたいのか、まったくわからない」などという言い方で、部下を全否定してはいませんか。
 このような全否定は、上司にとって大きなマイナスになります。部下から報連相があがってこなくなります。
 そもそも全否定の言葉を怖い顔つきで言う上司になんか、部下は近寄りたくありません。しっかり報告してくる部下もいるかもしれませんが、こんな上司に対しては必要最低限の報告しか上げてこなくなるでしょう。いい報告ばかりで、悪い報告を上げてこない部下も出てくるかもしれません。
(中略)
 要領を得ない部下の中には自分の考えをまとめている部下もいます。しかし、威圧感のある上司を恐れ、緊張してしゃべれなくなってしまうのです。
 初めて部下を持った頃の私がそうであったように、上司の中には威圧感が大切だと思っている方もいらっしゃるでしょう。「なめられないようにしなくては」ということでしょうが、上司に無意味な威圧感は不要です。
 そもそも上司の役割は、モチベーションを上げ、適切な行動を取らせ、最大の成果を生み出すことです。そのためには、上司は部下が相談しやすい雰囲気をつくっておくべきです。
(本書より P16〜P19)



■ミスをして落ち込む部下に

○「人間は完璧じゃいんだから、ミスをして進歩するんだよ」
○「つらいかもしれないけど、これを乗り越えたら、これまで以上に自信が持てるよ」

 前の週に、桁を一つ間違えてしまい、予定通りのプランを実行できず、取引を打ち切られてしまった青木さんという部下がいました。その取引先は社内でも3本の指に入る大口顧客なので、ミスをした青木さんはひどく落ち込んでいます。
 青木さんの話は社内中に知れわたり、彼は常に誰かが自分のことを噂しているのではと気になっていました。
 週明けの月曜日になっても、青木さんはまだ落ち込んでいます。こういうケースで、さらに青木さんを責めてしまう上司がいますが、これはよくありません。
 人が凹んでいるときに、上司が追い打ちをかけて腐らせるのはもってのほかです。部下がどんどん落ち込むだけで、何の意味もありません。もちろん、ミスをした部下には大いに責任があります。ただし叱責するだけでは、部下は疲弊するばかりです。下手をすると、メンタルヘルスの問題につながったり、退職してしまうかもしれません。
 また、ミスを隠ぺいし、報告してこなくなるという問題にもつながります。ミスはわざとするものではありません。また、ゼロにするのも難しいものです。「なぜだ」と過去のミスを合わせて責めても、何も変わりません。むしろ、落ち込んでいるということは反省しているということです。ならば、落ち込みから解放してあげることがいちばんです。
(本書より P88〜P89)



■落ち込みやすく、打たれ弱い部下に

○「昨日出してくれた四半期報告書、8月分の売上げ金額だけ直しといて。あとは大丈夫だから」
×「昨日出してくれた四半期報告書、8月分の売上げ合計金額が間違っていたよ」
○「このミスでどんな影響があるのだろう」
×「だから、いつも言っているだろ」

 上司としてはそんなに厳しく叱っているわけではないのに、打たれ弱くひどく落ち込んでしまう部下がいます。
 このタイプの部下は小さなことでも気にしすぎるうえ、物事を深刻に考えすぎてしまう傾向があります。
 このタイプの人を叱る際、次の3点を心がけるとよいでしょう。

@1回叱るにあたり、1つの指摘に留める
 このタイプの人に限らず、一度にいろいろなことを言われると、本人が嫌になってしまいます。また、どこから直したらいいのかの優先順位付けも難しくなっててしまいます。

Aアメとムシ理論を使う
 褒める「アメ」と重要性の低いものは叱らないという「無視」の「アメとムシ」理論のことです。小さなことは叱らずにスルーです。
 そもそも、一過性のミスであればスルーしてもいいのです。原因が把握できているのなら、再発は防げるからです。
 本来もっと重要なことを叱るべきなのに、あまり重要でない細かいことを必要以上に叱ると、直すべきことの優先順位を間違えてしまいます。また、部下によっては、叱られ続けていくうちに、「叱られないように無難なことだけやっておけばいいや」というようになってしまいます。

B叱る基準を明確にしておく
 このタイプの人は特に、叱られるのを恐れています。そういった意味でも、上司はどんなときに、どんなことが起こったら叱るのかを明確にしておく必要があります。
(本書より P200〜P202)



【関連書籍】



部下のやる気を引き出す 上司のちょっとした言い回し

1)本書の内容
 
 はじめに
 序 章 まずは、ポジティブ思考から始めよう
 第1章 部下が話しやすくなる相槌の打ち方
 第2章 部下の言いたいことを上手に引き出す聞き方
 第3章 部下のプライドをくすぐる上手な褒め方
 第4章 部下が気持ちよく動いてくれる頼み方
 第5章 部下を立ち直らせる励まし方
 第6章 部下にやる気と気づきを与える伝え方
 第7章 部下が行動を改善してくれる効果的な叱り方
 おわりに

2)本書から学んだこと
 ・ちょっとした「言い回し」により部下のやる気が大きく変わる!
 ・マイナスばかりに目を向けるとマイナスの反応が返ってくる!
 ・物事を多面的に捉えると、言い方も変わってくる!



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posted by まなたけ(@manatake_o) at 18:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | コミュニケーション/ダイアログ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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