私たちに待ち受けているのは「漠然と迎える未来」か?それとも「主体的に築く未来」か?『ワーク・シフト』(リンダ・グラッドン著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2013年10月19日

私たちに待ち受けているのは「漠然と迎える未来」か?それとも「主体的に築く未来」か?『ワーク・シフト』(リンダ・グラッドン著)



昨年話題となり、今年の「ビジネス書大賞」を受賞した本書ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉!実は、今までこの本をきちんと読んだことがなかったのだが、一度はこの本をきちんと読んでみたいと思っていた。そして天狼院書店の店主・三浦さんの「絶対読むべき!」という一言がキッカケでこの本を手に取った!

実際に読んでみると「凄い本!」の一言!400ページのボリュームがある本なのだが、そんなボリュームなんて関係ない!と思えるほと吸い込まれるように読んでしまった!それほど内容の濃い本なのだ!そんな中で、ロンドンビジネススクールの教授でもあり、本書の著者であるリンダ・グラットン教授が立ち上げた「働き方の未来コンソーシアム」の分析・そして立てた仮説は非常に興味深い!恐らく多くの方が感じている不安を、この本は的確に代弁している!

そもそもグラットン教授が示した未来とはどんなものなのか?象徴的な言葉がカバーに示されている!

2025年、私たちはどんなふうに働いているだろうか?
「漠然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ちうけ、
「主体的に築く未来」には自由で刺激的な人生がある。


これはかなりインパクトのある言葉である。その言葉の意味を理解するには目次を見ると分かりやすい!

第2部 「漠然と迎える未来」の暗い現実
 第2章 いつも時間に追われ続ける未来―三分刻みの世界がやって来る
 第3章 孤独にさいなまれる未来―人とのつながりが断ち切られる
 第4章 繁栄から締め出される未来―新しい貧困層が生まれる

第3部 「主体的に築く未来」の明るい日々
  第5章 コ・クリエーションの未来―みんなの力で大きな仕事をやり遂げる
  第6章 積極的に社会と関わる未来―共感とバランスのある人生を送る
  第7章 ミニ起業家が活躍する未来―創造的な人生を切り開く

このタイトルを見ると、現在でも通ずるものがある。

例えば、「いつも時間に追われ続ける未来」は現代の多くのビジネスパーソンがそのように感じているのではなかろうか?特に忙しく感じるようになったのは「電子メール」が普及した頃だろうか?仕事をしている最中にメールが到着する。そして「早く返信しなければ」と思い、メールの対応をする。そのたびに仕事が中断する。時間の細切れだ!打ち合わせも同様。テレビ会議システム、そしてインターネットの普及で遠距離でも簡単に会議ができるようになった。その結果、昼間は打ち合わせやメールの処理、自分の仕事は夕方からというビジネスパーソンも多いのではないか?そして、それはグローバル化が進むにつれ、24時間で対応しなければならない時代がやってくると予測している。ますます時間に追われるようになる。「時代が進むにつれ、ますます時間に追われるようになる」と感じているのは私だけではないはずだ。

「孤独にさいなまれる未来」というのは意外に思う方も多いかもしれない。しかし、クラウドソーシングがより普及すると仕事とのやりとりは全てインターネット上で完結してしまう。SNSも同様である。つながっているといっても、それはインターネット上でしかすぎない。もちろん、リアルで会うこともあるであろう。しかし、常時、リアルで会うわけではない。そのため、時代が進むにつれ、人間関係が希薄になる可能性もある。

本書では「漠然と迎える未来」には暗い未来が待っていると言っているが、それは漠然と流されるままに生きた場合である。それは逆に言うと「主体的に選択していかないと明るい未来を築くことはできない」と言っている。

そのために必要なのが「3つのシフト」である。

 第一のシフト―ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
 第二のシフト―孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
 第三のシフト―大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ


実は、このことは多くの書籍で言われていることではあるが、実際に行なおうとすると厳しい現実を突きつけられる。

「連続スペシャリスト」と一言でいっても、なるためには大変な努力を要する。例えば、今もてはやされているWordPressの技術を習得し、「スペシャリスト」になったとしても、それはもしかしたら数年のうちに「使えない技術」になっているかもしれない。そのため、生きていくためには「次のスペシャリスト」になる必要がある。この繰り返しが「連続スペシャリスト」ということであろう。これをやり続けるためには相当の覚悟が必要である。「主体的に築く未来」とは「覚悟を持って選択する未来」と私は読みかえる。

しかし、「覚悟を持って選択した未来」には、明るい未来が待っているものと想像する。例えば、現代の社会の課題も、アイデアを持った普通の市民がそれぞれのアイデアを持ち寄ることによって解決に向かうかもしれない。人によっては、そんなワクワクするような未来を迎えることができる可能性を持っている。要はその人の選択次第なのだろう。


【本書のポイント】


■未来を形づくる5つの要因

本書では「未来を形づくる5つの要因」として、以下の5つをあげている。

・要因1 テクノロジーの進化
・要因2 グローバル化の進展
・要因3 人口構成の変化と長寿化
・要因4 社会の変化
・要因5 エネルギー・環境問題の深刻化



■未来にいたる複数の道

 未来にいたる道はいく通りもある。たとえば、五つの要因の悲劇的な側面をことさらに強調したシナリオを描くこともできる。それは、人々が孤独にさいなまれ、慌ただしく仕事に追われ、疎外感を味わい、自己中心主義に毒される未来だ。私たちの行動が後手に回り、五つの要因の負の力猛威を振るう場合に実現するシナリオである。このような未来を「漠然と迎える未来」と呼ぶことにする。
 「漠然と迎える未来」は、人々が人生のある側面で大きな成功を収めても、別の重要な側面で好ましい行動を取らなかったり、安易な行動しか取らなかったりする場合に訪れる。人々が力を合わせて行動したり、現場を変えようとしたりせず、目の前の問題に行き当たりばったりで対処することに終始し、ことごとく対応が後手に回るのである。
 対照的に、五つの要因の好ましい側面を味方につけて、主体的に未来を切り開くこともできる。このような未来では、コラボレーションが重要な役割を担い、人々は知恵を働かせて未来を選択し、バランスの取れた働き方を実践する。これは、「主体的に築く未来」である。人々がさまざまな働き方を試し、お互いから学習して、優れたアイデアを素早く取り入れていく。五つの要因が明るい未来の可能性を開くーことによると、明るい未来を約束するーのだ。
 これは、人々が主体的に決断をくだし、賢い選択をおこない、その決断と選択の結果を受け止める覚悟がある場合に実現する未来だ。このような未来では、人々がこれまでより協調して仕事をおこない、十分な敬意を払われ、高度な専門技術を身につけ、職業生活のすべての要素が調和する。
 改めて断っておくが、本書で紹介するストーリーは固定的で画一的な未来予測ではない。一人ひとりが信念に従って選択を行うことにより、未来は選べるのだ。
(本書より P24〜P25)



■いつも時間に追われ続ける未来

 ようこそ、いつも時間に追われ続ける未来へ!この未来では、すべての活動が細切れになり、私たちは世界中の同僚や取引先とやり取りしながら仕事をし、世界中のライバルと競い合うようになる。
 いつまでも、せわしなく仕事に追われていると感じている人もいるかもしれない。三分以上腰を据えて一つの活動に専念することさえできない人もいるだろう。テクノロジーに振り回されていると感じている人も多いはずだ。しかし、2025年には、そんな程度ではすまなくなる。ますますグローバル化が進み、しかもインターネットを介して世界中の50億人がつながり合うようになって、1日24時間・週7日休みなしで仕事に追われるのが当たり前になる。そんな時代を想像してほしい。平穏な時間、静かな時間、じっくりものを考える時間などあるわけがない。私たちは常時、オンラインでつながって過ごすようになるのだ。
(本書より P73)



■孤独にさいなまれる未来を生む要因

 一見すると、ローハンとアモンは、楽しく、やりがいのある職業生活を送っているように思える。実際、そういう面も多い。しかし、一皮めくって、私生活全般に目をやると、二人の生活には明らかに抜け落ちている要素がある。ローハンとアモンだけではない。2025年の世界では、何十億人もの人々が孤独な職業生活を送るようになる。どうして、そんなことが起きるのか。
 手がかりの一端は二人の未来ストーリーの中にある。ローハンとアモンは、2025年の世界に多く出現するメガシティ(巨大都市)で暮らす。世界の多くの人がそうであるように、この一世紀の間に二人の一家は農村から都市に移り住んだ。コミュニティの結びつきの弱い都会に住む人が増える結果として、孤独が生み出される面もある。
 もう一つ注目すべき点は、二人とも家族の誰かが遠くに移住していることだ。アモンの父親はカナダに、ローハンの兄はブラジルに移り住んでいる。国境を越えた移住が盛んになれば、家族の結びつきが弱まり、孤独を和らげるうえで重要な要素が失われる。
(中略)
 第1章で挙げた五つの要因に則して言えば、「グローバル化」では、都市化と国際移住の活発化が家族の結びつきを弱める。「エネルギーと環境問題」では、エネルギー化かっくの上昇より、交通手段の利用を減らすためのバーチャル勤務が一般化して、同僚との接点が減る。「人口構成の変化と長寿化」では、家族のあり方が変わり、孤独を和らげる役に立つはずの自然な絆の多くが弱まる。「社会の変化」では、大企業や政府への信頼の低下、幸福感の減退、受動的なテレビ視聴の増加が人の孤独を深める。これらの要素が合わさり、きわめて孤独が深まりやすい状況が出現するのだ。
(本書より P108〜P110)



■コ・クリエーションの未来

 この2025年の一日、世界のいたるところで、ミゲルやホセやイェンスやアプルナのような人たちが互いに協力しながら問題解決に取り組んでいる。そういう状況は、どうして生まれるのか。
 一つには、本書でこれまで触れてきた五つの要因が生み出す数々の課題を解決するために、昔との難易度だけではない。イノベーションの正確も変わる。イノベーションは、特定のグループなり、企業なり、政府なりが単独でおこなうものではなく、コラボレーション的・ソーシャル(社交)的性格がきわめて強くなり、多く御人の努力が積み重なって実現するものになる。異なる専門技術や世界観、意見をもつ人たちがアイデアを共有し、それを発展させていくケースが増えるのである。
 1950年代、第4章に登場したブリアナの祖父がデトロイトで勤めていたような工場が大量生産(マス・プロダクション)を実現し、それが大量消費(マス・コンサンプション)社会の到来に道を開いた。2025年の世界では、インターネットなどのテクノロジーの力により、イノベーションと創造が「マス(大量)」型の活動に代わる。大勢の人がそのプロセスに参加するようになるのだ。「思考の余剰」を手にした世界中の人々が毎日何十億時間もの時間を捧げ、互いの専門技能とアイデアを持ち寄って、大きな課題を成し遂げる時代がやって来るのである。
(本書より P171)



■働き方をシフトする

 未来の職業生活に向けて準備するのは、刺激に満ちた経験だ。今後数十年の間に、仕事の世界で多くの変化が起き、キャリアや働き方に関する古い常識が次々と葬り去られる。世界中の企業でピラミッド型の組織構造が崩れ、全員が毎日九時から午後五時まで働くという勤務形態が揺らぐ。昔であれば不利な状況に置かれていた国に生まれた人たちも、グローバルな人材市場に加わるチャンスを手にする。
 こうした変化は、私たち全員にとって好ましいものである半面、マイナスの部分がないわけではない。キャリアや働き方に関する古い常識は窮屈だったかもしれないが、安心を与えてくれていたことも事実だ。九時から五時という勤務形態は融通が利かないと言えばそのとおりだが、少なくとも生活にメリハリがあり、24時間切れ目なく働き続けることはあまりなかった。世界のさまざまな地域の人々にチャンスが開けるのは好ましいことだが、もともと有利な状況にあった国の人々は過酷な試練を突きつけられる。
 世界は、めまぐるしいペースで変化している。「仕事とはこうあるべし」「仕事はこのようにおこなうべし」という固定観念の多くが過去のものとなり、新たな選択肢とチャンスが拡大する。お仕着せのキャリアの道筋ではなく、充足感とやりがいといだけるキャリアを切り開けるようになる。
 ただし、自分に合わせたオーダーメードのキャリアを実践するためには、主体的に選択を重ね、その選択の結果を受け入れる覚悟が必要だ。ときには、ある選択をすれば、必然的になんらかの代償を受け入れなくてはならない場合もあるだろう。これまでの企業と社員の関係には、親子の関係のような安心感があった。私たちは、自分の職業生活に関する重要な決定を会社任せにしておけばよかった。それに対して、新たに生まれつつあるのは、大人と大人の関係だ。このほうが健全だし、仕事にやりがいも感じやすいが、私たちはこれまでより熟慮して、強い決意と情熱をもって自分の働き方を選択しなくてはならなくなる。そのために必要なのは、どのような人生を送りたいかを深く考え決断する能力だ。
(本書より P230〜P231)



【関連書籍】



ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

1)本書の内容
 
 プロローグ 働き方の未来は今日始まる
 序章 働き方の未来を予測する
 第1部 なにが働き方の未来を変えるのか?
  第1章 未来を形づくる五つの要因

 第2部 「漫然と迎える未来」の暗い現実
  第2章 いつも時間に追われ続ける未来―三分刻みの世界がやって来る
  第3章 孤独にさいなまれる未来―人とのつながりが断ち切られる
  第4章 繁栄から締め出される未来―新しい貧困層が生まれる

 第3部 「主体的に築く未来」の明るい日々
  第5章 コ・クリエーションの未来―みんなの力で大きな仕事をやり遂げる
  第6章 積極的に社会と関わる未来―共感とバランスのある人生を送る
  第7章 ミニ起業家が活躍する未来―創造的な人生を切り開く

 第4部 働き方を<シフト>する
  第8章 第一のシフト―ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
  第9章 第二のシフト―孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
  第10章 第三のシフト―大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
 エピローグ 未来のために知っておくべきこと

2)本書から学んだこと
 ・明るい未来を築くには「主体的に動く」ことが必要!
 ・選択には「メリット」と「デメリット」を理解することが必要!



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タグ:働き方
posted by まなたけ(@manatake_o) at 22:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 働き方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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