雑談は自分の生きる力になると同時に他人を生かす力になる!『雑談力が上がる話し方』(齋藤孝著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2013年09月06日

雑談は自分の生きる力になると同時に他人を生かす力になる!『雑談力が上がる話し方』(齋藤孝著)




「雑談」と聞いたとき、どんな印象をお持ちであろうか?ムダ話?いやいや、雑談には大きな力を持っている。本書『雑談力が上がる話し方―30秒でうちとける会話のルール』は、そんな雑談の力を分かりやすく表すとともに、雑談力の磨くコツを表した本である。

雑談力といってもピンとこない方もいるかもしれない。本書で言う雑談力とは「雑談する力。相手との距離を縮め、場の空気をつかむこと」(本書より P4)である。このように書くと「雑談上手=話し上手」と思われるかもしれない。しかし本書では「話し上手と雑談上手は違う」(本書より P4)と言っている。では、雑談上手とはどのような人かというと、以下のような人である。

 雑談とは、会話を利用して場の空気を生み出す技術のことです。だから雑談上手といわれるのは、話術が巧みな人よりも“間が持てる人”や“話を聞いてほしくなる人”。
 要するに会話というよりも“人間同士のお付き合い”に近い
のです。
 必要なのは、自分の人間性や個性を言葉にして、それを相手とうまく触れ合わせること。そうすることで、沈黙や手持ち無沙汰、居場所のなさといった気詰まりをほぐし、居合わせた人たちに馴染みやすい雰囲気を作ることです。
(本書より P33〜P34)


考えてみると、確かに話しはそんなに上手くはないかもしれないが、適度な間合いを取りながら居心地のよい空気をつくる人はいる。そう考えると、本書で言う“雑談力の向上”というのは“会話力の向上”というよりは“コミュニケーション力の向上”と捉えることができる。

ところで、本書を読んで一番印象に残っている箇所がある。「なぜ雑談力を身につける必要があるのか?」を端的に表した表現と思っている箇所である。以下に記載したい。

 これからの時代、雑談力を身につけることは、強く生き抜く力を身につけることそのもののように感じてなりません。
 そして、自分が強く生き抜くための力でありながら、同時にその力は、周囲の人々を生かす力にもなる。
 話すことで人は救われ、聞いてもらうことで人は癒される。
 雑談とは、言葉を持つ私たち人間だけが持っている、生きるための力なのではないか、と私は思っています。
(本書より P181)


例えば、仕事で苦しい立場に追い込まれたことは何度もあるであろう。そして、普段の雑談を通じて自分と近い距離感となった上司や同僚、部下に助けられたことはなかろうか?いざ自分が苦しい立場に追い込まれたとき、雑談を通じて距離感の近い仲間が、あなたのSOSに気づいてくれる。

また、自分の友人が怒りや悲しみに満ちたとき、あなたとの何気ない会話によって、相手の気持ちが和んだり癒されたりした経験はなかろうか?あなたとの雑談によって、相手に「話を聞いてくれる」という安心感とともに、雑談が相手の気持ちを楽にさせてくれる。

本書にかかれている「自分が強く生き抜くための力でありながら、同時にその力は、周囲の人々を生かす力にもなる。」とは、このようなことを指すのではないかと想像する。

残念ながら人は一人では生きてはいけない。いろいろな人が支えあいながら社会を作り、生きていく動物である。そして、生きていく上で必要とされる力がコミュニケーション力である。雑談とはコミュニケーションの基盤となる重要な要素となる。

本書を読み終えたとき、そんな雑談の重要性を再認識するとともに、雑談力を磨くことの意味を再認識する。そんな気づきを与えてくれる本である。


【本書のポイント】


■雑談は「中身がない」ことに意味がある

 「雑談=中身のないムダ話」は正解ですが、「雑談=必要のない話」というのは大きな間違い。雑談には「中身がない」からこそ、する意味があるのです。
 極論すれば、私たちの会話には「要件を伝える会話」と「それ以外の会話」の2種類しかありません。そして「雑談」とは「要件以外の話」です。
 たとえばビジネスの現場では、交渉事や契約、確認といった中身のある「商談」と、「最近、調子はどう?」「ゴルフ行ってくる?」といったビジネスとは無関係の中身のない雑談で成り立っています。
 では、中身のない、ビジネスに関係のない雑談が持つ意味とは何か。
 たとえばそれは、以降の商談をスムーズに運ぶための“地ならし”的役割です。
 雑談というのは人間関係やコミュニケーションにおける“水回り”的な役割を持っています。わかりやすく言えば、若い人たちやお笑い芸人たちがよく言う「空気を読めよ!」の“空気”、それを作るのも雑談です。その場にいる人たちと同じ空気を共有するため、場の空気を作るために雑談があるのです。
(本書より P19〜P20)



■目の前の相手の、「見えているところ」をほめる

 いきなり何を話せばいいのか・・・・・・。
 悩んだら、まず「ほめる」。どんな些細なことでもいいので、ほめることが雑談の基本です。それも真剣にではなく、「とりとめのないことをほめる」「なんとなくほめる」
のです。
 理由は簡単。雑談とは、お互いの場の空気を温め、距離を近づけるものだから。相手に一歩近づくには、ほめることが近道なのです。
(本書より P38)



■相手との「具体的なフック」をひとつ見つける

 自分と相手、お互いに共通したフィールドにある話題は記憶に残りやすいんです。
相手の興味関心というフックに、「自分もそうなんです!」といった具合に話題を引っかけていくと、相手も反応を見せてくれる。共通の話題ゆえに話も盛り上がります。
 そして、そのは具体的であるほどいい
(中略)
 思いかけず顔を合わせて、共通の話題、接点となる話題ひとつで、数分間を話をして、また別れていく。
 雑談は一期一会、いや、『一点一会』のようなものです。
 その『一点一会』が何回か繰り返されると、「この人とはこの話」となる。自分も相手も「何を話したらいいか」というストレスとは無縁になります。つまりそれによって完全に人間関係が強化されるのです。
 まずはひとつだけ。相手との共通点を、具体的に探してみましょう。
(本書より P87〜P88)



■組織での評価も人望も、つまるところムダ話ができる人かどうか

 さて、組織の中で一目置かれている。それは言葉を換えれば「人望がある」ということ。前述したニュートラルなスタンスがもたらすのは、周囲からの「人望」だと私は思っています。
誰とでも上手に話ができて、全員と適度な距離感が保てる。だから偏りがなく公平で、客観的な判断ができる。そんな人からは、人間としての「器の大きさ」も感じられます。逆に、話術自体は巧みでも、話す相手を選ぶ人、苦手な人とは話せない人というのは、どこか器が小さいと感じてしまいます。
 雑談力によって、組織での評価も人望も大きく変わってくるのです。
 「人望」という観点から見れば、ネタや話題のおもしろさよりも、相手を選ばずに誰とでも話ができることのほうが評価されるのです。
 どこの職場でも、みんなが苦手としている人とも何気なく話せる人、変に神経を使わずに誰とでも自然に話のできる人がいるでしょう。そういう人は、おしなべて人望があります。おべんちゃらを言うわけではなく、八方美人な感じでもなく、フェアな感じでみんなとつながっている。
 上司とも同僚とも、取引先とも良好な関係が築けるので味方も多く、出世も早い。また、そういう人は上司になっても、部下に好かれ、部下がついてきます。
 つまり雑談が上手な人は、人間関係における間口が広いということ。ビジネスにおいて“ニュートラル雑談力”は最強の武器なのです。
(本書より P121〜P122)



■雑談で、つながりを確認する

 雑談を交わすことは、居場所のない、所在のない状況に置かれたとき、自分と周囲のつながりを確認できる手段でもあるわけです。
 クラスに来た転校生や会社の違う部署から異動してきた同僚など、みんなが雑談で盛り上がっているのに、ひとりだけがその輪に加われない。仲間はずれとかイジメというわけではないけれど、“蚊帳の外”になってしまう状態を経験した方も多いと思います。
 多数派が開放的ではなく、盛り上がっても他の人を受け付けない状態というのは、よく起こりうることなのです。
そういうとき、蚊帳の外に置かれた人は、ものすごく疲れを感じています。
 だからこそ、活性化している多数派のほうから、その人に意識的に話を振ってあげると、蚊帳の外状態だった人の緊張が解けて、気持ちの疲れもとれる。それがひいてはその場全体の空気をも和ませることになります。
 こうしたケースで場の雰囲気を和ませるか、硬くするかは、多数派の人たちのほうに責任があります。多数派から少数派やひとりの人に橋を架けてあげるべきなのです。
 そして、もっともポピュラーで、もっとも効果的な『架け橋』となるのが、あまり意味のないムダ話、つまり雑談です。
 同じように、所在のない状態のたとえでわかりやすいシチュエーションのひとつが、仕事の付き合いや義理で断れない立食パーティーです。こうしたケースでは、たいてい周囲は知らない人たちばかり。乾杯のグラスを持ったまま、誰かと話すでもなく立ち尽くすという経験をお持ちの人も多いのではないでしょうか。
(中略)
 そういう人は、話しかけられるのを待っている。あるいは、微妙な気まずさ、居づらさに耐えている。だからこそ、雑談を降られるとホッとする。その安堵感によって打ちとけて、相手との間に橋が架かります。
 つまり雑談相手が登場することで、孤独から解放されるということ。その際、雑談の内容は問題ではありません。話を振るという行為、雑談をするという行為が大事なのです。
 こうした場で、自分からさりげなく雑談できるか。居心地悪そうにしている人に橋を架けてあげられるか。
 雑談は、人を孤独から救うだけでなく、見ず知らずの人と人とを結びつける格好の糸口になるのです。
(本書より P156〜P158)



【関連書籍】



雑談力が上がる話し方―30秒でうちとける会話のルール

1)本書の内容
 
 第1章 トークや会話術とは違う、雑談の5つのルール
 第2章 これで気まずくならない!雑談の基本マナー
 第3章 すぐにできる、雑談の鍛え方&ネタの仕入れ方
 第4章 ビジネスに使える雑談力
 第5章 人、マンガ、テレビ。あらゆる達人からテクを学ぼう
 第6章 雑談力は雑草力。厳しい時代を「生きる力」そのもの

2)本書から学んだこと
 ・「雑談上手=話し上手」ではない!
 ・雑談力の向上は誰もができる!
 ・雑談力は強く生きる力であると同時に他人を生かす力である!



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posted by まなたけ(@manatake_o) at 22:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | コミュニケーション/ダイアログ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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