「壁を突破するにはどうするべきか?」を考えるところから全てが始まる!『突破論』(平井伯昌著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2013年07月14日

「壁を突破するにはどうするべきか?」を考えるところから全てが始まる!『突破論』(平井伯昌著)



北島康介選手、中村礼子さん、寺川綾選手、加藤ゆか選手、上田春佳選手.....オリンピックでメダリストとなったこれらの選手を輩出した平井伯昌コーチは、日本競泳界のトップコーチと言っても過言ではない。その平井伯昌コーチが情報誌・日経ビジネスアソシエで連載している「平井伯昌の“金メダリスト”育成塾」を基に加筆・編集された本が本書突破論である。

本書は「コーチとしての視点」で書かれている。一般企業でいうと管理職に相当する。「部下を育てるためにはどうすればいいのか?」「部下が一皮むけて戦力として活躍できるようになるにはどうすればいいのか?」と悩むことが多い。本書は平井コーチの指導に対する考え方が書かれている。そんな平井コーチの指導の要諦は「心を育てること」である。それは本書の「はじめに」にも以下の文章を読むとよく分かる。

 私は技術面の指導で記録だけを伸ばしても、世界で勝てる選手になるとは思っていません。「心・技・体」という言葉があるように、技術や体力だけでなく心や人間性といった面も鍛えなければ、世界の大舞台でベストパフォーマンスを発揮することは難しい。記録のスゴイ選手が一流だとしたら、世界で勝つという大きな目標を達成するのは超一流。一流と超一流の差は“心”だと思っています。心と脳、そして身体はつながっています。
(本書より P4)


コーチとして世界に勝てる選手を育てるにはどうすればよいのか?平井コーチは「具体的なイメージと確信をもって、それを実行すること以外に道はない!」と語っている。

 「うまくいったら勝てるかもしれない」という願望的な思考や取り組みでは、とても太刀打ちできません。「こうすれば勝てる」という具体的なイメージと確信を持ち、それを実行する。それしか道はありません。この2年間は、それに邁進する日々でした。その記録からぜひ、皆さんにとっての「壁を破る」ための方法論を見出してください。
 「壁を突破できたらいいな」と考えているだけでは壁は破れません。「この壁をどう突破すればいいのか」と考えるところからすべては始まります。
(本書より P9)


身近なことに置き換えるとよく分かる。具体的なイメージが頭にあるとき、そこに進む道が見えてくる。その道をどのように描くか?もちろん、その道を描くところに苦労があるのだが、本書には「突破するための道を描く」ヒントが書かれている。例えば以下のように。

 「自分が全力で指導して、選手たちが力を発揮できれば」と仮定して、選手の特性別に様々な状況と先を読みつつ、アプローチ法を妄想する。それが習慣づければ、「あ、これは全くダメだ」「こっちだとうまくいきそうだな」などとぼやっとしたイメージがだんだんはっきりしてくる。
(本書より P224〜P225)


具体的なイメージと確信を持ち、それを実行する!それ以外に壁を突破する道はない!壁を突破するには「どう突破するか?」と考えるところから全てが始まる!本書に書かれた言葉が壁を突破するための道を考えるキッカケになるのではないか?先に書いた本書の言葉のように、考えるヒントに溢れた本である。


【心に残ったメッセージ】


■伸びる選手は伸ばしたいと思わせる選手

 どんなに能力が高くても、選手1人の努力だけではトップになれません。コーチ、トレーナー、施設管理者、両親、マスコミ、ファンなどたくさんの人の協力があってこそ、最良の環境で練習することができ、成績につながる。だからこそ、自分が伸びるためには、「この人を教えたい」「この人に協力したい」と思わせ、周囲を味方につけるような魅力的な人間になることが大事。選手本人の人間性に惹かれて支援する人は、窮地に立たされた時に必ず助けてくれます。
(中略)
 上司やコーチは、言ってみれば義務の範囲で指導していれば、文句を言われる筋合いはないのです。義務以上の指導をしなければいけないというルールはなく、義務以上の指導をするかどうかは、上司やコーチの自由です。しかし、義務レベルの指導で限界を超えさせることは難しい。上司やコーチに、この部下や選手をとことん指導したいと思わせることは大事であり、お互いの信頼関係が成り立ってこそ、義務以上のレベルの高い指導につながると思います。
(本書より P48〜P50)



■小さな達成感を積み重ね自信を確信に変えさせる

 周囲の環境や状況の良し悪しで簡単に崩れない強い芯を作るには、まず、明確な目的意識を持つことが大事です。「何のために競泳を続けているのか」「自分の最終目標は何なのか」「自分とは何か」を自問し、その答え(=目指すべきもの)が明確になればなるほど、考えのぶれは少なくなります。ぶれないということは、不安要素が軽減することであり、実力を発揮しやすくなる。
 次に、結果を出し続けることが重要になります。小さいことで構わないので、スキルアップし続けることに重きを置きます。その成功体験を何度も体感できれば、それまで夢でしかなかったものが、だんだん現実味を帯びてくる。人前で「メダルを獲ります」と公言できるりあるな目標に変わります。自信が芽生えてくるのです。
 その際、コーチや他人に言われたからではなく、芽生えた自信に自分で気づくことが大事です。自ら「私はいける!」と自信を確信に変えられれば、自分の中の芯がさらに強くなり、どんな舞台でも精神的に大きく崩れることはなくなる。本番で結果が出せる確率が高くなります。
(本書より P106)



■勝ち続ける人は自分と戦える人

 「こうなりたい」と思うことは非常に大切です。なりたい、なろう、絶対になるんだ!と、目指すべきものになるために、自分も本当に信じられるかどうか。信じられるぐらい努力したかどうかが重要です。それは指導者も同じで、「メダルを獲らせたいな」ではなく、「絶対に獲らせるんだ!」と思えるかどうかで、最終的な到達点は変わってくる。
(本書より P115)



■ピンチの時ほどリカバリー能力を鍛える好機

 2010年のサッカーワールドカップでの日本代表チームの活躍は目覚ましいものでした。チーム競技と個人競技の違いはあれど、同じ指導者として、メディアを利用した前向きなコメントで選手を鼓舞し、有言実行を成した岡田武史監督の采配は、さすがと言わざるを得ません。カメルーン戦で勝利したおかげで、どん底だった状態が「自分たちでもいけるぞ!」という自信に変わりました。成長のターニングポイントがそこにあったように思います。
 どん底の状態に陥った時は、開き直りが大事です。それは投げやりとは違います。底辺にいる状態を事実として受け入れられた時、やるしかないというシンプルな思考に変わる。試合の日は待ってくれませんから本番に向かって準備するしかないのです。
 そんな切羽詰まった状況では、周囲の雑音が消え、這い上がるためには何をすべきかだけを考えるようになります。崖っぷちに立たされた時こそ、思わぬ力が発揮される。俗に言う「火事場のバカ力」を利用して、今すぐできることを精いっぱいやれば、短時間でのリカバリーは可能だと思います。
  それには、絶対に結果を残したいという選手の諦めない気持ちと集中力はもちろん、指導する側の原因を見抜く力と適切な指示が、重要になってきます。
(本書より P168〜P169)



■結果を他人事のように説明するな

 自信がない人は、自分のことを他人事のように話す傾向があります。例えば、一昨年までのゆかに調子を聞いても、「朝起きたら体が重かった」「泳いだら調子が悪かった」という返事が多かった。つまり、自分のことなのに自然現象を説明するかのように答えるわけです。そこには、自分の状態を「どうしたいのか」という意思がありません。「調子が悪かったから結果が出なくても仕方ない」という、逃げ道を作っているのです。結果を他人のせいにしたり、他人事のように捉えたりしては、克服しなければならない課題にすら気づくことができず、成長しません。
 そうした思考のクセをなくすにはどうすればいいか。私は「突き詰める力」が大事と考えます。「調子が悪かった」で終わらせるのではなく、「なぜ調子が悪かったのか」を突き詰め、自分なりの解決策を導き出す。
 「朝起きたら体が重かった」→(なぜ?)→「疲労がたまっていたのに、休養日に遊びに行き、体のケアを怠った」→(どうすればいい?)→「週末にトレーナーに体をほぐしてもらい、寝る前は必ずストレッチをやろう」
 このように、自ら招いた原因や解決策をとことん掘り下げる思考習慣を身につけることが大事です。
(中略)
 一流選手ほど「まだ何かできるんじゃないか」と貪欲に突き詰める力があります。北島康介や、陸上競技のハンマー投げの室伏広治もそうした傾向が見受けられます。彼らが長く世界の頂点で戦い続けられるのは、どんな状況でも探求心を持って「何か勝てる方法があるのではないか」と突き詰めているから。「年だからこの辺でいいや」と諦めた瞬間、人間の成長は確実に止まるのです。
(本書より P193〜P195)



【関連書籍】



突破論

1)本書の内容
 
 第1章 勝つために何が必要か
 第2章 選手の心に届く伝え方
 第3章 心を強くする
 第4章 チームで磨き、個で勝つ
 第5章 指導者に必要な思考
 第6章 ロンドン五輪へのロングスパート

2)本書から学んだこと
 ・一流と超一流の差は“心”にある!
 ・「具体的なイメージと確信を持ち、それを実行する」以外に壁を突破する道はない!
 ・「この壁をどう突破すればいいのか」を考えることからすべてが始まる!



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タグ:コーチング
posted by まなたけ(@manatake_o) at 17:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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