実のあるワークショップを開催するための「ファシリテーションの教科書」!『チームのアイデア力。』(博報堂ブランドデザイン著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2013年06月06日

実のあるワークショップを開催するための「ファシリテーションの教科書」!『チームのアイデア力。』(博報堂ブランドデザイン著)



本書チームのアイデア力。 アイデアが出るチームになるための5つのステップは「チームによるアイデアの創出方法」を解説した本である。著者は東大教養学部にて「共創」をテーマにしたゼミ型授業『ブランドデザインスタジオ』を行っている。本書には、そこで得た知見を客観的に捉え、体系化した内容が詰まっている。「ファシリテーションの教科書」と言っても差しつかえないほど、ファシリテーションを行う上での基本事項が体系化されてまとめられていると思う。

実際にワークショップを開催し、ワークショップにてファシリテーションを行ったとき、「ファシリテーションは難しい」と感じている方は多いと思う。本書でも書かれているように「ファシリテーターとしてのちょっとした言葉の使い方や、身振り手振り、時間配分などで、チームで出すアイデアの質と量がまったく変わってきてしまう」(本書より P5)からだ。また、ファシリテーターが思っていた通りにいかないことも多々ある。

本書の内容を「奇をてらったテクニック」ではなく「ファシリテーションの基本事項」中心にまとめたのも、「うまくいかなかったとき、原因はどこにあるのか?をチェックするために活用してほしい」、そして「基本事項を繰り返し行うことでワークショップにて成果が出るようになる。その成果は自分一人では思いもよらないものであり、ワークショップのパワーを感じるようになる」という著者の意図があると推察する。

私もワークショップ形式の勉強会を開催しているが、「どのようにワークショップを進めていくか?」については悩みが多かった。特に「ゴールに向かって、どのように“発散”と“収束”を行うか?」は常につきまとう悩みである。そのようなとき、本書は「ゴールに向かって、どのように“発散”と“収束”を行うか?」というプロセスを考える上での参考にするのはもちろん、うまくいかなかったときの「原点に立ち返る拠り所」として活用できるのではないかと思う。


【本書のポイント】


■アイデア出しにはチームリーダーの舵取りが欠かせない

 「アイデアを出せるチーム」といっても、そもそもチームとは何なのでしょうか。
 チームに似た言葉に「グループ」がありますが、グループとチームを比べると、両者の意味は少し違うものだと考えています。「グループ」とは、単なる人の集合を意味する言葉でプロジェクトなどで人が集められただけの状態であれば、グループであるとはいえるでしょう。
 一方、「チーム」とは、何らかの目的のために集められた人達が、お互いに持っている知恵を出しあいながら一つのゴールを目指していくような集団を指します。つまり、人が集まって互いの力を活用し、総和以上の力を発揮するのが「チーム」です。
 もちろん、ただ人が集まっただけではグループがチームになることはできません。メンバーそれぞれが持つ視点や考えの良い部分を、どんどん引き出す役割を持った人がチームには必要となります。その引き出し役こそがチームリーダーです。
 実際、アイデアを出す際には、チームリーダーが明確になっていない場合もあるかもしれません。その際は、なんとなくうやむやに役割分担が決まっていくこともあるかもしれませんが、いずれにせよ、チームリーダーがどれだけ機能するかが重要になってきます。
 チームリーダーは単に議論をまとめていけばよいというわけではなく、集まった人たちに『相互作用』を起こさせ、単純な足し算以上の力を発揮できるように誘導していく必要があるのです。
(本書より P16〜P17)



■アイデアの質を左右する3つのスキル

 それでは、チームでアイデアを出せるリーダーには、具体的にどんな力が求められるでしょうか。
私たちが考えるスキルは次の3つです。

@メンバーの意見を引き出す「質問」のスキル
A体全体で相手に理解・共感を示す「傾聴」のスキル
B意見の衝突を健全に解決する「対立を支える」スキル


 この3つのスキルはいわゆるファシリテーションスキルのことでもあります。
 ファシリテーションというと、「会議の司会進行」というイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。 日本ファシリテーション協会のホームページでは、ファシリテーションのことを「人々の活動が容易にできるように支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習など、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働き」と定義しています。つまり、ファシリテーションとはチームメンバーが集まる会議の場はもちろん、日常のあらゆる場面で活用できるスキルといえます。
 チームでアイデアを考える場合は、「アイデアを考える各プロセスがうまく進むように支援し、より良いアイデアを創造できるように導く」こととも言い換えられます。
(本書より P22〜P23)



■アイデアを生む、2つの思考プロセス

 良質なアイデアを出す過程をかなり大ざっぱに言うと、「テーマに関する情報をできるだけたくさん収集する」「集めた情報と、自らの主観を統合してコンセプトを導き出す」「コンセプトをもとにアイデアをたくさん出し、絞りこむ」という流れになります。
 集められてくる情報や、生まれてくるアイデアの量が、作業過程においてちょうどリボンの形のように増減するため、私たちはこれを「リボンフレーム」と呼んでいます。
 このリボンフレームに沿ったアイデア出しは、個人のアイデア出しでも有効ですが、複数のメンバーで作業を行うと情報収集やアイデアの絞り込みによりダイナミックに行うことができ、効果を実感できるでしょう。
 チームとしてアイデアを出していくには、この「リボンフレーム」の中で、チームリーダーが今、自分たちがどの段階の作業を行っているのかを把握することが大原則です。たくさんの情報を収集していく場合と、たくさん出たアイデアを絞り込んでいく場合では、頭の使い方(思考プロセス)も、チームの中でのメンバーの動き方も全く違ったものになるからです。
 「リボンフレーム」に沿ったワークショップでは、参加メンバーは、次の2つの思考プロセスを使って、アイデアを生み出していきます。

@発散プロセス
アイデアを考えるための視点を広げていくプロセスのことです。テーマについての情報を広く集めたり、ある特定のキーワード(コンセプト)から自由に発想を広げさまざまなアイデアを生み出していく過程を指します。
発散プロセスで用いる手法の代表的なものには次のものがあります。
・「自由連想法」:ブレインストーミング法、ブレインライティング法
・「強制連想法」:マトリックス法、チェックリスト法
・「類似連想法」:NM法


A収束プロセス
バラバラな情報やアイデアを、まとまりのあるものに集約していく思考プロセスで、集めた情報やアイデアを絞り込む作業をする過程を指します。
収束プロセスで用いる手法の代表的なものには次のものがあります。
・「空間型法」:KJ法
・「系列型法」:因果分析法、ストーリー法


 チームリーダーは、アイデアを出す際に、リボンフレームのどの段階にいるかを把握したうえで、必要な思考法を指示しながら、アイデア出しのサポートを行うことが大切です。
(本書より P92〜P94)



■プロジェクトを成功させる5つのステップ

 2つの思考プロセスを使い分けながら、実際の会議で「リボンフレーム」を使う場合は、5つのステップを経ることになります。

ステップ1:アイスブレイクする
ステップ2;情報収集する
ステップ3:コンセプトを考える
ステップ4:アイデアをどんどん出す
ステップ5:アイデアを精査する


 この5つのステップを踏むことによって、アイデアを出しやすい環境をつくることができます。また、そのうえでテーマに合った情報を集め、整理・統合し、豊富なアイデアを出し、良いアイデアを選び決定するという一連の作業が可能となります。
(本書より P95)



【関連書籍】





チームのアイデア力。 アイデアが出るチームになるための5つのステップ

1)本書の内容
 
 1章 アイデアを出す前にチームリーダーが知っておきたいこと
 2章 アイデアが出る会議をしよう
 3章 5つのステップでアイデアを出そう
 4章 5ステップ別 アイデア出しのテクニック集

2)本書から学んだこと
 ・アイデアを出せるチームにするには「リーダーの振る舞い」が重要!
 ・「ワークショップ型会議」でメンバー全員が「参加」「体験」「相互作用」できる会議を行う!
 ・「5つのステップ」で「発散」と「収束」を繰り返しながらアイデアを出していく!



ブログランキングに参加しております。よろしかったらクリックをお願いいたします。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
そして「よい記事!」と思ってくださった方は、下の【Twitterでつぶやく】【facebook いいね!】【はてなブックマーク】等のボタンのクリックをお願いいたします!
posted by まなたけ(@manatake_o) at 21:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | コミュニケーション/ダイアログ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/365450820
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。