「100歳の現役サラリーマン」から学ぶ”人生の妙”!『100歳、ずっと必要とされる人』(福井福太郎/広野彩子著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2013年05月26日

「100歳の現役サラリーマン」から学ぶ”人生の妙”!『100歳、ずっと必要とされる人』(福井福太郎/広野彩子著)



本書100歳、ずっと必要とされる人 ――現役100歳サラリーマンの幸せな生き方は、100歳の現役サラリーマンである福井福太郎さんの人生をまとめられた本である。本書は他書にありがちな、いわゆる「成功本」ではない。「無名(といっては失礼だが)のサラリーマンが自然体の言葉で綴られた人生本」である。それにしても、「なぜ100歳になってもサラリーマンとして働くのだろう?」と思ったのは私だけではないであろう。100歳である現在も辻堂の自宅から職場がある神田まで片道1時間をかけて通勤する現役サラリーマンである著者の福井福太郎さんが働く理由は「必要としてくれる方や社会のために働きたい」という「利他の精神」から発している。そして「働くことは人間の本能」と言っている。この話を読んだ時、『利他のすすめ』に書かれていた以下の言葉を思い起こした。

「人間の幸せは、ものやお金ではありません。
 人間の究極の幸せは次の四つです。
 人に愛されること、
 人にほめられること、
 人の役に立つこと、
 そして、人から必要とされること。
 愛されること以外の三つの幸せは、働くことによって得られます。
 障害を持つ人たちが働こうとするのは、
 本当の幸せを求める人間の証なのです」

(『利他のすすめ』(大山泰弘著/WAVE出版刊)より P28)


福太郎さんは100歳になる現在も働き続けているが、そこには先に書いた「愛されることを含めた幸せ」を働くことによって感じとっているからこそ働き続けるのだろうと思う。そして福太郎さんも「働く場所」を得ていることに対し感謝の念を感じていることを本書から感じるのだ。

 ですから、96歳ぐらいの時に、いい加減にもう歳を取り過ぎたから、会社を辞めようと思ったこともあるんです。でも退職を申し出たら、親友の未亡人である今の会社のオーナーが
「ずっといてほしい。福井さんが会社に来てくれるだけでいい」
と言ってくださったので、その言葉に甘えて働かせていただいている、というわけなのです。働くのは、生きている者の務め、使命ですから、働く場所があるなんてありがたいですね。
(本書より P22)


話は変わるが、本から発せられる言葉にはそれぞれ“特徴”がある。例えば、勢いのあるベンチャー企業の経営者の言葉には勢いを感じるし、経済界の重鎮である経営者の言葉には迫力を感じることがある。それは著者が成し遂げた実績に裏付けされた“自信”が言葉として表れているように思う。

だが、本書から発せられる言葉は先に述べたような経営者が著者の言葉とは明らかに違う。一つひとつは柔らかい表現ながらも、“達観的”な言葉なのだ。例をあげると、以下の文章からそれを感じとることができる。

 昔えらかったとかえらくなかったとか、どうでもいいと思っているんです。会社のみなさんと一緒に働いて、会社のみなさんや社会の誰かの役に立てることが大事。えらいとかえらくないとか、本当にそんなことは関係ないんだよ。だから、えらい人がする仕事、えらくない人がする仕事なんてものはないのです。結局は運命に従って、お役に立てる働き方を自分で考えて、やれることを精一杯努力していくしか仕方がないと思っているんだ。
(本書より P28)


 そんなふうにね、家庭でもつらいことがあったし、就職でも色々とあったんですが、その時だって僕は、自分が幸せじゃないなんて考えたことがなかったんだ。不幸だって考えたことなんか、本当にないんです。軍隊に行く時だって、不幸だなんて思わなかった
(本書より P72〜P73)


本書を読むと、出自の影響で大学を出ても就職がかなわなかったり、やっと慶応義塾大学助手に就いたとしても翌年に軍隊に召集されたりと、福井さんは運命に翻弄されながら生きてきた印象がある。しかし、福太郎さんの言葉を読むと、そこには悲観的な言葉はない。むしろ運命を受け入れ、”人生の妙”を楽しんでいるかのように感じるのだ。先に”達観的な言葉”と書いたが、それは「”人生の妙”を楽しんでいる福太郎さんの心構え」から発せられているのではないかと思う。

「半世紀以上も年上の人生の先輩から学ぶことは多い」と感じながら読んだ本である。


【心に残ったメッセージ】


■やれることを精いっぱい努力しなきゃ

 僕はもともと、現役時代にえらかったとか、えらくなかったとか、どうでもいいと思っているんです。会社のみなさんと一緒に働いて、会社のみなさんや社会の誰かに役に立てることが大事。えらいとかえらくないとか、本当にそんなことは関係ないんだよ。だから、えらい人がする仕事、えらくない人がする仕事なんてものはないんです。結局は運命に従って、お役に立てる働き方を自分で考えて、やれることを精一杯努力していくしか仕方がないと思っているんだ。
(本書より P28)



■働き続けるのは、それが本能だからだよ

 「どうして100歳になっても働くんですか?」とよく聞かれます。団塊世代でもう現役を引退した僕の息子ですら、あきれたり感心するくらいだから、みなさんがそう思うのも仕方がないことだよね。でも、僕としては、普通だと思うことをただ続けてきただけなんだよ。
 もちろん、働きたくても辞めざるをえない人は多いと思う。会社勤めなら、定年で退職金をもらって引退してしまうのが普通だから、働いている高齢者が少ないのはそもそもしょうがないことだよ。僕のほうが珍しいんだろうね。
 ただ僕は、元気な間は、人間はずっと働かなきゃいけないと思ってるんです。だって、動物は、死ぬまで自分の力で食料を調達して生きていますよね。人間も動物の一種なんだから、死ぬまで働かなきゃいけないものなんじゃないかな。
(中略)
 そもそも、働くという字は、「人」が「動く」と書くでしょう。太古の原始人というのは、誰も自分で動いて、生きるために食べ物を採ったんだろうね。それは、今の人間にもずっと備わっている本能なんじゃないかな。
 だから、動物がそうであるように、人間というのは一生、生きるために働く存在だと思うんです。人間も動物なのだから。僕は生きのびることに対する本能が強いから、働いているんだと思う。
(本書より P49〜P50)



■命は自分のものじゃないんだよ

 孫の直子から以前、
「おじいちゃん、人間、死んだらどうなるの?」
と聞かれたことがあります。そういうことを聞かれた時、僕は必ず、こう答えるんだ。

 まずね、命ってものはね、自分のものじゃない。あくまで天から、宇宙から与えられたものなんだ。
 そして死ぬっていうものはね。人間が心をなくすことなんだ。心をなくして、体だけしかない「もの」になるんだよ。


 つまり人間は死んだら、無になる。存在しなくなる。魂なんか、ありゃしないよ。
(中略)
 人は死んでしまったらなくなってしまうけれども、でも「もの」として完全になくなることはないと思うんですよ。完全になくなって、完全な無になることはないだろうって。生命体というのはきっと、死んで体をなくしたって、何かの形で宇宙のどこかに残るんです。心がないだけの話でね。
 それに体はなくなってしまうけれども、心というものは子孫に伝わっていくと思うんです。だんだんとね。ただ、死んでしまえば、僕自身がまた復活するということはないんですよ。「もの」になっちゃうんだから。子孫が、僕の心をずっとつないでいくんですよ。
 だから、死んだ人を生きた人間がどう扱おうと、死んだ人にはもう、二度と会えない。人生をやり直すことなんてできない。天国や地獄?そんなもの、ないでしょう。「無」なんです。
 だからこそ、生きている間は、一所懸命生きていかなければいけないんだ。それにもし、もう一回やり直しがきくなんて思ったら、人間は一所懸命になれないでしょう?生きている間に、どれだけ人のために尽くして生きていくか、これが一番大切なんです。
(本書より P81〜P83)



■人間、人のために生きなきゃ

 人間、自分勝手はいけないよ。人のために何ができるかを考えて生きなきゃ、だめなんじゃないかな。
 僕は、そうした「利他」の考え方を人生の柱にして生きてきたんだ。
誰かに教えられたわけではないけれど、小さな頃から周りの人たちが、いつも助け合って生きてきたから、自然に「利他の心が、生きていくうえで大切なんだ」と思うようになったんじゃないかな。
(本書より P95)



■生きている間は一所懸命生きなきゃね

 僕が100歳まで元気に生きて、働いてこれたのは、本当にありがたいことだよ。でもね、100歳まで生きられたから、今まで働いてきたからえらいというものでもないよ。僕は時の流れに身を任せて、働くという本能に従って生きてきただけ。そしてこの本能が僕の中にちゃんとある間は、ずっと働き続けて行きたいと思います。生きている間はぼんやりとしないで働くのが当たり前。働くことが、天から与えられた使命だ、と思っているからね。
 生きている間は人間、一所懸命、生きなきゃいけないんです。
(本書より P197〜P199)



【関連書籍】



100歳、ずっと必要とされる人 ――現役100歳サラリーマンの幸せな生き方

1)本書の内容
 
 序 章 辻堂から神田まで、僕の毎日。
 第1章 昔えらかったとか、えらくなかったとか、どうでもいいことなんです。
 第2章 100歳まで働けるなんて、ありがたいよ。
 第3章 働き続けるのは、それが本能だからだよ。
 第4章 差別も軍隊生活も経験した。でも、不幸だなんて思ったことはないよ。
 第5章 死んだら宇宙の一部になれるんじゃないかな。
 第6章 人間、人のために生きなきゃ。
 第7章 日課は、新聞を読み、辞書を引くこと。長生きの秘訣? そんなものないよ。
 第8章 資本主義だって、永遠には続かないよ。
 第9章 もう死ぬことなんて、あまり考えなくなったよ。

2)本書から学んだこと
 ・働くのは、生きている者の務め、使命!
 ・いつも感謝を心に!
 ・”人生の妙”を楽しむ!



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posted by まなたけ(@manatake_o) at 10:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 人生/生き方/生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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