女性の活用が、必ずやってくる大問題を克服するカギとなる!『女性を活用できる上司になる』(古川裕倫著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2013年05月17日

女性の活用が、必ずやってくる大問題を克服するカギとなる!『女性を活用できる上司になる』(古川裕倫著)



本書女性を活用できる上司になるは、男性の著者が「女性活躍推進のためになすべきこと」を主に男性管理職に向けて書かれた本である。

著者の古川裕倫さんは、女性活躍推進ための教育などを行っている(株)Woomaxのエクゼクティブ・アドバイザーを務められている。いわば、その道のプロである。その著者が
・「男性管理職の心理」
・「女性活躍推進が必要な社会的な要因」
・「女性活躍推進の現状」
・「女性活躍推進に必要なこと」
・「家庭で必要なこと」
など、女性を活用に必要な要素を幅広く取り上げて書かれている。

私の中では、これまでの女性活躍推進に関連する本というと女性の著者が、女性の読者をメインターゲットにしたアドバイスや激励の内容で書かれた本が多い印象がある。

だが、現実を見ると、男性管理職が「女性社員に仕事を振るのは難しい」と感じている方が多いように思う。そのため、「女性活躍推進を進めるためには、男性管理職をいかに巻き込むか」がポイントになる。本書はそのことを意識して書かれた本と推察する。

では、なぜ今、女性活躍推進が必要なのか?
本書では大きな理由として2点あげている。

1)労働人口の減少が進む中、働き手を支えるためには女性の活用が必要不可欠
2)優秀な女性が多い中、活躍する機会が少ないのは社会的損失


特に1)については急速な高齢化が進むなか、また、日本の社会が成熟期迎えて女性の目線がより必要とされるなか、企業の成長を支えるためには女性の活躍が必要不可欠の要素となりつつある。

だが、そのような現状においても女性活躍推進が進まない業種や企業も多い。そのような企業に対して著者は「ただ、意識が低いだけです。自分のこととして考えずに、今それに取り組む必要性を認識していないだけです。」と厳しい言葉を投げ掛けている。「問題が顕在化してからでは遅い!やるなら今でしょ!」ということだ。

その一方で、女性に対しては「一生仕事を辞めない覚悟を持つ」ことを強調している。そして「人生設計の意味」を説きながら「志を大きく持ち、幸せに働いて欲しい」と語っている。厳しい言葉が書かれている箇所もあるが、「女性活躍推進を他人事に捉えず、ご自分の娘さんが将来会社で活躍できるような文化を醸成することにご協力いただきたいと思います」という言葉に表れているように、その心境は「娘を持つ親」の気持ちではなかろうか?

先の繰り返しになるが、少子高齢化の影響で生産労働人口の激減は必ずやってくる。いつまでも今いる社員の献身的な残業でカバーをするだけでは支えきれなくなる。そのような状況において、会社は自社の成長のために優秀な女性を確保し、彼女たちが活躍できるような環境を整えることが大きな課題となるはずだ。

とはいえ、本書にも書かれている通り、現状は「総論賛成、各論“様子見”」「急がず遅れず」が多くの会社の姿勢であろう。重要性は分かっていても従来のやり方から脱却できない....本書の帯の裏に書かれているように「本当に読んでほしい“頭の固いオジサン”が本書を手に取らないのが、最大の問題点」なのかもしれない。


【本書のポイント】


■なぜ今ダイバーシティか

 なぜ今、ダイバーシティが必要か。それは、労働人口の如実な減少が大きな理由です。
 江戸末期には約3000万の人口であったのが、140年間で約4倍の1億2800万の人口に増加しました。これは「生めよ、増やせよ」という掛け声があったからではなく、実際にそれだけの人口を支えることができる経済成長をしたからです。
 ところが、現在1億2800万人(うち、生産労働人口8150万人)の人口はすでに減少を始め、2030年には1億1500万人(うち、生産労働人口6740万人)、2050年には8990万人(うち、生産労働人口4560万人)と見込まれています。
 65歳以上人口は、それぞれ2960万人、3670万人、3650万人と増加はすれども大きな減少はしません。しかし生産労働人口はほぼ半減してしまうのです。
 日本経済の衰退を少しでも支えるには、働き手が必要となります。これまで成人男性が主力であった労働人口は、近い将来、それ以外の多様な人材を活用しなければなりません。
 人数的にいうと、女性、シニア、外国人の労働力が期待できますが、私はそのうちシニアや外国人は現実的に厳しいと思っています。
 65歳をすぎて働く意欲があっても、職場は限られています。知恵や経験を継承できるといってもたくさんの職場がシニアを求めているわけではありません。現実は、40歳後半から50歳前半にセカンドキャリア研修が始まり、多くの企業は若返りを目指しています。
 給料を下げても、年を取ると多くの人は(私のように)わがままになるので使いにくい。社長より年上は使いにくい、というのが、本音ではないでしょうか。
 最近は外国人が増えたといっても、日本における移民や外国人労働者は、他国に比較して断然少ない。オーストラリアは労働人口のうち25%,
 アメリカは16%、ドイツは9%、イギリスは6%が外国人であるのに対して、日本の外国人労働者は、総労働人口の1%以下です(「世界の厚生労働2010」厚生労働省。オーストラリアは『90分解説TPP入門』日本経済新聞社。)
 今後、多少は緩和されていくでしょうが、日本は外国人になかなか労働ビザを発行せず、国内労働者を守ろうとする現状は、急激には変わらないと思います。実際、海外のナースを入れると、医療のクオリティが下がると露骨な発言をする医師会の人たちもいます。また、外国人の増加は、犯罪増加につながるという妄想があることも否めません。
 説明が長くなりましたが、だからこれから女性が職場で活躍するときがくるのです。
(本書より P36〜P38)



■女性活躍推進のリスクはほぼない

 女性を登用することに、リスクはほとんどありません。
 少なくとも会社の生命線に触れることもない。女性活躍推進を目指したので倒産したということにはならないでしょう。大きな設備投資のようなリスクもない。
 そうはいってもIMFは何の保証もしてくれない、と言いますか?成果が保証されている投資などありえません。何ごとにも不確定要素があるなか、意思決定を行い、事業を進めていきます。
 それとも、男性は、心底日本女性を見下げていて、女性など仕事場に出てこなくていいと思っていますか?俺の目の黒いうちは、女性を一人も管理職につけないぞと固く誓っていますか?そんなバカげたことはないと思います。
 ただ、意識が低いだけです。自分のこととして考えずに、今それに取り組む必要性を認識していないだけです。
(中略)
 確かに、女性自身が腰掛け気分で働き、仕事や昇進に興味が涌かない人もいるのでしょう。前にも言いましたが、そうした女性には「専業主婦になれる人は少数派だ」と伝えてください。一生働く覚悟をしてくれれば、仕事ぶりも変わると思います。
 いずれにせよ、総合職をこなせる能力があるのに、事務職レベルの仕事にしかつけていなければ人材活用ができているとはいえないし、そのなかでも優秀な女性が幹部に抜擢されていないのなら、もったいない話です。そういう女性部下を育てて、登用していただきたいと思います。
(本書より P77〜P79)



■会社の強い意思表示と中間管理職の理解が大切

 先に日本企業がやろうと思えば、女性活躍推進はすぐにできると言いましたが、取るべき地道なステップは取らねばなりません。
 まず、トップの強いメッセージが必要です。
 次に、中間管理職の理解。繰り返しますが、制度はあっても、休みを取りにくい雰囲気であったり、時短などに積極的に協力する姿勢がなかったりでは、女性も大変です。精神的に参ってしまいます。
 女性に対しても、研修は必要でしょうが、その上の男性管理職に対する研修も必要です。会社での研修であれば、堂々と反論する人はまずいないでしょうが、なにせ文化や価値観を見直してもらう必要があるので、一部の面従腹背は避けがたいものです。
(中略)
 長くなりましたが、会社の何割か、特にトップ20%とミドル60%をまず変えるということが大切だと思います。
 そして、中間管理職と女性とでじっくり話をさせるなどの機会をつくることも必要です。前向きに仕事に取り組む重要性を理解させ、本書で説明してきた甘えに対する考え方も変えさせる必要があります。
 つまり、一朝一夕には文化や価値観を変えることができないので、中長期的な取り組みをしっかりやっていくことが必要だと思います。
(本書より P88〜P90)



■仕事を任されることが最大のモチベーション

 女性の成長を妨げている原因のひとつに男性が女性に仕事を振らないことがあります。
講演や研修のとき、「課長であるあなたは、新規案件がきたとき、男性部下と女性部下か、どちらに案件をふりますか?」という質問に、99%が男性社員に振ると答えます。
 会社に入るまでは優秀な女性が、勤めて何年もすると男性に抜かれている。よく聞く話です。それは、新しいことを覚える気も、やる気もなく「ハコに入っている女性」が女性の平均点を下げていることがひとつ。もう一つが、これです。チャンスがないことです。
 出来の悪い男性が新しい案件をどんどんこなしていき、地頭がいい女性が新しい案件に取り組む機会がなければ、数年たてばどうなるか。男性は育ち、女性は伸びないということになります。
 だから、男性上司は、新しい案件を男女の区別なく両方に振ることです。
(本書より P132)



■人生設計の意味

 一度しかない人生ゆえ、人生設計するのもいいかもしれません。
 元東京帝国大学教授で「日本の公園の父」と呼ばれた本多静六は、多くの書籍を残しましたが、なかに『人生計画の立て方』(実業之日本社)という本があります。
(中略)
 申し上げたい点は、今や人生80年であり、出産・育児に本当に手がかかる時期は、ほんのわずかな時期であるということです。
 そのために、女性は築き上げてきたキャリアや経験を放棄することはないということです。優秀な女性であれば、それなりの職場で、価値の高い仕事を続けるべきだと思います。いわゆるパートの仕事も社会には必要ですが、価値を生める人はそちらに貢献すべきだと思います。先にも述べましたが、ご自身の娘さん(やお孫さん)のこととして考えていただきたいと思います。
(本書より P156〜P157)



【関連書籍】



女性を活用できる上司になる

1)本書の内容
 
 第1章 女性活躍推進に対する男の「本音」を見つめ直そう
 第2章 女性活躍推進には、どのようなメリットがあるか
 第3章 なぜ日本で女性の登用推進が進まないのか
 第4章 女性を恐れず甘やかさず、活用できる会社に変える
 第5章 女性を活用できる上司になるために
 第6章 女性の長所、男性との差異を理解して伸ばす
 第7章 ビジネスパーソンの人生設計
 第8章 男親のなすべきこと

2)本書から学んだこと
 ・女性が生き生きと働く企業は利益率が高い!
・生産労働人口激減が見えるなか、女性の活躍が必要となる
・もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になる。



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posted by まなたけ(@manatake_o) at 20:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 人材育成 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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