「特別な一冊」と出会うキッカケを与えてくれる本!『スミスの本棚 新しい自分が見つかる読書』(テレビ東京報道局編著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2013年04月14日

「特別な一冊」と出会うキッカケを与えてくれる本!『スミスの本棚 新しい自分が見つかる読書』(テレビ東京報道局編著)



テレビ東京で人気情報番組である「ワールドビジネスサテライト」!同番組のコーナーの一つに「スミスの本棚」がある。このコーナーは、第1回目のゲストである見城徹さんからリレー形式で次のゲストを紹介ながら著名人が愛読書を紹介している。今や同番組において押しも押されぬ人気コーナーとなった「スミスの本棚」!その人気が書籍化につながり、昨年に『スミスの本棚 私の人生を変えたこの一冊』が出版された。そして、その第2弾として出版されたのが今回紹介する『スミスの本棚 新しい自分が見つかる読書』である。

本書を読むと、「自分に大きなインパクトを与える一冊とはなにか?そして、なぜその本に興味を持ったのか?あるいはどんなインパクトを与えてくれたのか?」が書かれている。著者の語り言葉を読むと「著者にとってどのような想いで同書を推薦したのか?」を言葉を噛みしめることができる。それは映像とは違った味わいである。

そんな同書の中で私が特に印象に残ったのが、小林武史さんの言葉である。

小林武史さんは『日本の文脈』を推薦している。小林さんが挙げている本書のキーワードは「贈与」!「「誰かに何かをしたい、届けたい」という思いが日本の社会を変え始めている」(本書より P24)と述べているように、震災以降の社会の変化を感じていることが分かる。そして、「自分が一番やるべきことは、サスティナブルな社会をつくるために、閉塞感を打ち破ろうとする人たちが活躍できる場をつくること」と語っている。小林さんの文章を読むと、『日本の文脈』との出会いは震災以降にご自身が感じていたことと相通ずるものがあったことがよく分かる。そして、「贈与」というキーワードによって、小林さんの強い関心があるもの、また、やりたいと思っていることを表す言葉に強いエネルギーを感じる。それだけ小林さんにとって『日本の文脈』は強い影響を与えた一冊だったということが本書の文章から読みとることができる。

著名人がどのような本に関心を示しているのか、そしてどのような事柄に関心を示しているかを本書から読むことにより、読書の世界を広げることができるのではなかろうか?本書の「はじめに」の中で森本智子アナが「本は出会い」と語っている。

 「本は出会い」
 人生の中でどんな本と、どんなタイミングで出会うのか。
 自分の置かれた状況と本のメッセージがピタッと合えば、その本は自分にとって特別な一冊になります。
 本から得た莫大な情報の中から、自分にとって意味のある要素を抽出し、実生活につなげていく能力を身につけることができれば、人生の味わい方は大きく変わっていくということを、「スミスの本棚」のコーナーを通して実感しています。
(本書より P3)


本書に書かれた著名人が薦める「この一冊」が自分にとって「特別な本」となるかもしれない?そんな「特別な一冊」と出会うキッカケを本書は与えてくれると思う。


【本書で印象に残ったメッセージ】


■池上彰さん 『もうすぐ絶滅するという紙の書物について

 私がお薦めする本は、海外の「書物マニア」である二人が 、本について歴史から未来まで熱く語り合った対談集です。その二人とは、イタリアの小説家ウンベルト・エーコと、フランスの劇作家ジャン=クロード・カリエール。 話が脱線しまくりでとても楽しい。
 まず装丁(デザイン)に魅かれました。紙の本というのはまさに、装丁の美しさを楽しむことができる。電子書籍だとなかなかそうはいかない。そして、この本は横から見ると、ページの断面が青く塗られていることがわかります。ここは「小口」というのですが、昔はこんなふうに色を付けることが多かったんです。
 そして題名が衝撃的でしょう。『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』。電子書籍に取って代わられて、紙の本は絶滅する―かのようなタイトル。この二人がそんなことを言うはずがない、と思って買ったんです。実際には、電子書籍についての議論は最初のほうに少しあるだけ。二人が古書店を巡って収集した15世紀の稀少本についてなど、面白い話が満載。自分の人生でどんな本を読めばいいのかを考えるヒントになります。
(中略)
 電子書籍については、現状ではフォーマットの国際標準が確定していませんよね。そうしますと、今、日本で販売されている電子書籍をとりあえず買って読んでも、実はそれが国際標準になっていなかったり、それこそ日本独自のものだったりすると、5年後、10年後に読めなくなってしまうかもしれない。今、パソコンではフロッピーディスクを読めないのと同じように。電子書籍や電子データには、そういう危険性があるんです。
 でも紙はボロボロになっても残りますよね。長い時間が経ってもよむことができるというのは、やっぱりいいなと思います。
 本には信頼性もあります。ネットだと書いたことがすぐに画面で読めるようになる一方で、本人は真面目に書いていても、思い込みだったり、間違いだったりすることも多い。本というのは、著者が書いた後、編集者がチェックをし、さらに校閲という、誤字・脱字だけでなく、事実関係の間違いまでを全部チェックする人がいる。二重、三重のチェック体制なんです。でも、丸ごと信じちゃだめですよ。それでも間違いはありますから。他の本と照らし合わせることで、本当のところはこのあたりだろう、と自分で判断することが重要なんです。
(本書より P12〜P14)



■小林武史さん 『日本の文脈

 この本は、日本がこれからどうなっていくのかについて、思想家である内田樹さんと中沢新一さんが対談しているものです。著者のひとりである中沢さんご本人からいただいたんですよ。
 まえがきで中沢さんが告白しているように、当初の企画では『日本の王道』というタイトルだった。それが東日本大震災によって、文字通り文脈が変わった。だから、これからどうやって生きるべきかを探る本になったんです。政治や経済だけでなく、エネルギー問題や、高齢化社会などに話が広がっている。
 日本人は戦後、自分たちを責めるような生き方をしてきたんじゃないかと思う。自虐的といったら言い過ぎかもしれませんけど。だから、日本の素晴らしいところをもっと誇っていいんじゃないか、という考えにはとても共感できる。未来をどういうふうに心でとらえていくのか、ということに僕もすごく興味がある。この本は、そういうことについてヒントがたくさんあるような気がするんですよね。
 この本のキーワードは「贈与」。震災後、「誰かに何かをしたい、届けたい」という思いが日本の社会を変え始めている。
これまでの経済は、ギブ・アンド・テイクで成り立っていた。そういう「等価物の交換」だったら、「これだけの努力したから、これだけ報酬をください」という話になる。そうじゃなくて、僕たちはいくら返しても返しきれないほどすでに受け取っている。だからお返しをしなくちゃいけない、っていう発想なんだ。
(中略)
 震災後、この国の人たちは、「伝えたい、届けたい、贈りたい」という思いが強くなった。楽しんでもらう。満足してもらう。農業だったら、おいしいって言ってもらう。それが生きていくことにつながっていく。こうした流れを作るという意味では、僕が日ごろやっているのは、音楽でも農業でも全部同じなんだ。
 これから何をするのかをみんなでちゃんと考えるチームになることが面白い。社会のいろんな閉塞感を愚痴ったりすることでできる人間関係よりも、後で振り返ってみたらちゃんとやってきたなと思える人間関係を作ろうよ、というのは常々言っている。
 この先、10年後、20年後の未来を「やっていけるかも」と思える人が増え、それを自分の仕事に反映させていこうとする人が増えていくことが、サスティナブルな社会を作っていくことだと思っている。だから、そんな人たちが活躍できる場を作ることが、僕がプロデューサーとして一番やるべきこと。
 場を作ることから逃げないようにしようと思っています。めんどくさいなあと感じることもあるんですけど(笑)
(本書より P24〜P26)



■玄侑宗久さん 『茶の本

 岡倉天心は明治時代に日本の伝統美術を西洋に広めました。当時、西洋化していく社会の中で、初めて東洋の独自の文化の素晴らしさを主張した方だと思います。現在の日本は、鯨を獲る文化にしても、外国にきちんと説明できずにいますよね。外国から責められて沈黙しているというか。だから、今こそ日本人にこの本をよんでもらいたいですね。
 お茶をテーマに選んだというのがすごいですね。結局、東洋で生まれながら西洋を完全に席巻してしまったものっていうのは、お茶しかないんですよね。そして、「茶道」とは、芸術ではあるんですけれども、日常生活の中のごく普通の行いに美を見出そうとするものでもある。それが東洋の価値観なんだ、ということが書かれてあります。
 でも、今の日本では、お茶の文化が消えつつある。朝に起きてまずお茶を飲む。仏様にお茶を差し上げる。そういう習慣がなくなりつつあるんだけど、それすら気づかれていない。そうしていつのまにか身の回りから培われてきた日本の価値観が消えていくかもしれないということが怖いですよね。
 本の中で岡倉天心は、「あなた」と西洋人に向かって呼びかけています。でも、今こうして読むと、まるで現代の日本人に向かって呼びかけているようにも感じます。
 東日本大震災後の日本人の生き方を考える上でもヒントになると思います。日本はこれまで、海外の文物から学んで、自国風にアレンジして取り入れてきたという歴史がある。初めは中国、それからポルトガルやオランダ、そしてイギリス、アメリカ。西洋のものを取り入れる場合も、「和魂洋才」という考え方でやってきたわけですが、最近は違う。もう、心を売り渡しているようです。今一度、日本の良さを見直す必要があるのではないでしょうか。
(本書より P120〜P121)



【関連書籍】





スミスの本棚 新しい自分が見つかる読書

1)本書の内容
 
 はじめに テレビ東京アナウンサー森本智子
 01 池上彰『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』
 02 遠藤保仁『グアルディオラのサッカー哲学』
 03 小林武史『日本の文脈』
 04 ジェームス三木『病気の日本近代史 幕末から平成まで』
 05 佐々木則夫『人生生涯小僧のこころ』
 06 山田五郎『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
 07 みうらじゅん『現代語 地獄めぐり』
 08 山口隆『ラジカセのデザイン! 』
 09 角田光代『清兵衛と瓢箪・網走まで』
 10 内澤旬子『ブタとおっちゃん』
 11 瀬々敬久『春と修羅』
 12 北川悦吏子『私の猫たち許してほしい』
 13 山田太一『短編小説礼賛』
 14 宮藤官九郎『たましいの場所』
 15 岩松了『かもめ』
 16 島田雅彦『コレラの時代の愛』
 17 本谷有希子『幸福について 人生論』
 18 穂村弘『綿の国星』
 19 名久井直子『ネジマキ草と銅の城』
 20 宇野亜喜良『藤田嗣治『異邦人』の生涯』
 21 高泉淳子『禅的生活』
 22 玄侑宗久『茶の本』
 23 立川志の輔『バールのようなもの』
 24 佐渡裕『こころの処方箋』
 25 ピーコ『楽園のカンヴァス』
 26 吉行和子『深沢七郎外伝 淋しいって痛快なんだ』
 27 ねじめ正一『ゴムあたまポンたろう』
 28 内田春菊『迷惑な進化』
 29 鈴木砂羽『[魂の目的]ソウルナビゲーション』
 30 倉持裕『幽霊たち』
 31 満島ひかり『絵本ジョン・レノンセンス』
 32 吉田大八『落語の国からのぞいてみれば』
 33 土佐信道『ルーカス帝国の興亡『スター・ウォーズ』知られざる真実』
 34 石黒浩『わたしを離さないで』
 35 吉原毅『君を幸せにする会社』
 36 石井正『竜馬がゆく』


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タグ:読書
posted by まなたけ(@manatake_o) at 11:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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