【マインドマップ付き】我々が一番得意とするのは、優れたエクスペリエンスを提供することだ!『アップル驚異のエクスペリエンス』(カーマイン・ガロ著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2013年03月20日

【マインドマップ付き】我々が一番得意とするのは、優れたエクスペリエンスを提供することだ!『アップル驚異のエクスペリエンス』(カーマイン・ガロ著)



我々が一番得意とするのは、優れたエクスペリエンスを提供することだ

本記事のタイトルに掲載したこの言葉は「アップルの経営理念」である。そして、その言葉を体現した場所の一つに「アップルストア」がある。

まずは以下の動画を見てもらいたい。



これはコメディアンのマーク・マルコフがアップルストアにてアップルの店員やマネージャーがどこまで我慢強いのかを試そうとしたものだ。マークはアップルストアにピザを届けてもらったり、ダース・ベイダーの格好をしてiPhoneを修理させたり、ヤギを連れて行ったり....普通のお店なら“出入り禁止”になるであろう。でもアップルストアの店員やマネージャーは彼を追い出したりしなかった!それどころか、アップルストアの店員は丁寧に応対している。この動画の最後に「Apple Store Way too Nice」と言ってアップルストアの応対を称賛している。マークにとっても「驚異のエクスペリエンス」であったに違いない。

また、アップルストアでは顧客は自分を自由に表現できる。このため、アップルストアで自分を表現し、YouTubeなどに投稿している人も多い。



このようにアップルストアは顧客にとっては”驚異のエクスペリエンス”が生まれる場所なのだ!

なぜアップルストアでは”驚異のエクスペリエンス”が生まれるのか?
その秘密に迫った本がアップル 驚異のエクスペリエンス ―顧客を大ファンに変える「アップルストア」の法則である。

本書を読むと「アップルはいかに顧客体験に重点を置いてきた企業か?」ということが分かる。以下の文章にはそれが端的に表れている。

 アップルの顧客体験には、おろそかにしていいことなどない。ひとつもないのだ。アップル・エクスペリエンスでは細かなことを大事にするし、アップルは、接客についてあらゆる側面から検討し、学んで磨きをかける。ただし、「紙は細部に宿る」といても、はるかなる目標なしに革新的な顧客体験が実現されることはない。エバンジェリストを惹きつけるビジョン、関係者から創造性と可能性を余すところなく引き出すビジョンがなければダメだ。スティーブ・ジョブズとロン・ジョンソンにはビジョンがあった−「暮らしを豊かにする」というビジョンが。
(本書より P37〜P38)


そのためにどのような方策を行ってきたのかについては本書を参照していただきたい。

ところで、本書を読んで最も興味深かったのが、本書の著者であるカーマイン・ガロが自らアップルストアの顧客体験を楽しみにしながら本書を書いているように思えたことだ。そのことが表れた記述の一つが以下の文章である。

 私の義母、パティ・クックは、クリスマスのプレゼントとしてiPadを義父のケンに贈ろうと考え、私にアドバイスを求めてきた。いい機会なので、私は、アップルストアを訪れてスペシャリストにアドバイスを求めるべきだと提案した。いろいろと観察できそうだと考えたのだ。だから、義母とアップルストアを訪れるまで情報をまったく提供せず、店内でも黙って聞くことにした。店員とのやりとりから義母がなにを感じ、どうするのかを観察したかったからだ。
(本書より P214)


もちろん、上記の文章は著者が本書を書くために行なった行動であろう。だが、本書に登場する従業員と顧客のやり取りの記述を見ると、著者自らもアップルストアでの体験を楽しんでいるように見える。そのため、著者のワクワク感が本書から伝わってくるように感じるのだ。著者のワクワク感が伝わってくる本にお目にかかれる機会もそうめったにない。このような本は読んでいて楽しい。

ワクワクする体験は心地が良い!それはお店であろうと本であろうと同じである。本書は読者をワクワクさせてくれる!そんな本だと思う。


【本書のポイント】


■アップルストアを成功に導いたひとつの問い

 2011年5月19日、アップルストアが10周年を迎えたとき、メディアは、来店者累計10億人、325店舗、売上100億ドルなど、その「成長ストーリー」に焦点をあてた。この数字はすごいし、今後もすごい数字が続くことだろう。典型的な店舗では、四半期売上が60億ドル、1平方フィートあたりの売上は4700ドル、週あたりの来客数は2万2000人となっている。だが、このような数字だけではなにもわからない。ワクワクする体験を生み出し、顧客にブランドを大好きになってもらう−そのような事業にする方法が学べるのは数字の背景にあるストーリーなのだ。
 アップル・エクスペリエンスのストーリーが始まったのは、バージニア州のタイソンズコーナーにアップルストア1号店が開店した2001年ではない。そこからさかのぼること40年、顧客体験を一新したと言われるブランド、フォーシーズンズが生まれたときだ。小売事業への進出を決めたときにスティーブ・ジョブズは、大手小売店、ターゲットの役員だったロン・ジョンソンを引き抜いた。そのジョンソンに「世界最高の顧客サービス体験を提供しているのはどこだと思うか」とたずねたところ、返ってきたのはコンピューターの販売店どころか小売業者でさえもなかった。フォーシーズンズホテルである。ガース・ブルックスがカントリーミュージックを発明したわけではないように、スティーブ・ジョブズがずば抜けた顧客サービスを発明したわけではない。どちらのアーティストも、誰かのすごいアイデアをまねし、磨きをかけてさらなる高みへと持ち上げたのだ。
(本書より P26〜P27)



■フィードバックループを育む

 スティーブ・ジョブズは、これだと見せてあげるまで消費者はなにが欲しいのかわからないと言って、フォーカスグループを使わなかった。これが正しい場合もある。インターネットからタダで音楽をダウンロードできた2003年に、1曲99銭とだと言われて「はいそうですか」とあなたは同意しただろうか。ジョブズは、多くの人が気づかなかったことに気づいていた−シームレスで優れており、しかも合法な顧客体験を提供すれば、音楽ファンは料金を払ってくれる、と。また、2010年1月、携帯電話とノートパソコンに加え、電子機器をもうひとつ持ち歩きたいなどとジョブズに言う人はいただろうか。ジョブズは、電子メールの送受信やインターネットの閲覧が簡単にできて、写真や動画、電子書籍が楽しめるウルトラポータブルな危機を消費者は心の底で望んでいるとわかっていた。結局、そういう機器をつくってくれと頼んだ人はいないのに、iPadは飛ぶように売れた。大きなイノベーションについて、ジョブズは、自分の直感と想像力を頼みとした。だが、これをもってアップルは顧客の声を聞かないと考えるのはまちがいだ。真実は逆だ。アップルは、常に顧客の声に耳を傾ける。それどころか、社内の顧客(従業員)に対しても社外の顧客に対しても、フィードバックを積極的に求める。
(中略)
 フィードバックがなければ、アップル・エクスペリエンスは生まれない。スティーブ・ジョブズも、社内・社外、両方のフィードバックをとても大事にしており、カスタマーセンターの電話を自分で取ることもあったという。顧客がどういう点にいらついているのか、その声を直接聞きたいと思ったのだ。もちろん、顧客が常に正しいと考えていたわけではない。一言、二言で顧客をやり込めることもできたわけだが、ジョブズは、フィードバックを求めることが多かった。顧客の声に耳を傾け、優れたリーダーなら誰でもするように、そのフィードバックを改善につなげたのだ。ジョブズは、フィードバックを贈り物と見ていた。
(本書より P94〜P97)



■サービスの5ステップ

 アップルストアに入ると、すぐに、あたたかく親しげで快活なあいさつを受ける。観客をあたたかく歓迎すること−ここから始まる5ステップで、アップルストアの従業員は、忘れられないリッチな体験を顧客に提供する。この5ステップは頭文字をとってAPPLEと呼ばれていいる。

A(Approach)
−顧客一人ひとりを、あたたかいあいさつで出迎える
P(Probe)
−顧客のニーズを丁寧に聞き出して理解する
P(Present)
−顧客に解決策を提示する
L(Listen)
−課題や懸念などをしっかりと聞いて解決する
E(End)
−あたたかい別れのあいさつと次回の来店をうながす言葉で別れる

 この5つのステップは、アップルストアの従業員全員にたたき込まれている。ほかの業界でも、すばらしい体験を提供する基礎として、同じステップを利用しているブランドがいくつもある。AT&Tのショップのように、スティーブ・ジョブズに意見を求めて5ステップを修正したところもある。若干の修正のみで5ステップをコピーしたブランドもある。「優れた芸術家はまねる。偉大な芸術家は盗む」とスティーブ・ジョブズも言っているように、5ステップのアプローチは実績ある方法なのだ。
(本書より P164〜P165)



■メッセージマップ

 効果的な筋書きの例を挙げていけば、この章くらい簡単に終わってしまうが、読者の皆さんがテクニックを身につけ、できるようにならなければあまり意味がない。というわけで、とっておきのテクニックを披露しよう。チームや顧客と共有できる筋書きがつくれる、パワフルで効果的なコミュニケーションテクニックだ。名前はメッセージマップ。ストーリーを1ページでビジュアルに検討することができる。
 メッセージマップはとても効果的だ。私のクライアントに無線通信で世界展開している企業がいるが、そこは、完成したメッセージマップをラミネート加工し、見込み顧客との面談時に渡しているそうだ。これにはさすがの私も度肝を抜かれた。プレゼンテーションや広告、マーケティング資料などをつくるための社内資料として考えたものだったからだ。だが、そのクライアントは、渡してもいいのだと言う。
「大丈夫ですよ。実際、そのおかげで、何百万ドルという大きな商談がいくつも成立しているのですから」
(本書より P280)

メッセージマップのテンプレート.png


■アップルの魂

 アップルストアは製品を売るところではない。人々の暮らしを豊かにするところであり、その結果、世界一儲かるお店になっただけのことだ。アップルは記憶に残る魔法のような顧客体験を生み出そうと、スペシャリストにクリエイティブ、エキスパート、ジーニアスと呼ばれる従業員一人ひとりが努力するから、誰もがうらやむような顧客スコアとなる。ジョブズは昔、当時のアップルCEO、ジョン・スカリーに対し、「海軍に入るよりは海賊になるほうがいい」と語ったことがある。因習や常識は捨てたほうがいい、と。会社は製品を売るのが常識だ。対して、アップルストアを支えるビジョンは、人々の暮らしを豊かにする、だ。
(中略)
 アップルストアに行くと、なぜかいい気分になれる。その理由は、顧客体験を高めようとする人々がいるからだ。情熱とやる気に満ち、商取引を体験と昇華させるのに必要な各種資源を与えられ、コミュニケーションスキルを教えられた人々がいるからだ。アップルでは、「元気でおもしろく、ブランドへのアイと熱意に満ちている人を高く評価する。その職場環境は刺激に満ちており、生涯役に立つスキルを身につけ、キャリアアップしていくことができる。イノベーションを重視し、変化を歓迎し、従業員や顧客にフィードバックを求める。多様性も追求するし、従業員に対しても顧客に対しても、これ以上はないほどに自分を表現できるチャンスを提供する。アップルは、率直なコミュニケーションと顧客との関わりに日々専心するコミュニティを生み出す。従業員にとっては働いて楽しい場、顧客にとっては学んで楽しい場を生み出す。人々のやる気を引き出せば、不可能などなくなるのだ。
(本書より P364〜P365)



【マインドマップ】

image.png
拡大表示は以下のリンクをクリック!
なお、スマホでは綺麗に表示できないかもしれませんが、ご勘弁を(^^;)
アップル 驚異のエクスペリエンス.html

そして、スマホの方は以下のリンクをクリック!マインドマップの内容を階層構造で表しました。
アップル 驚異のエクスペリエンス.mm.html


【関連書籍】





アップル 驚異のエクスペリエンス ―顧客を大ファンに変える「アップルストア」の法則

1)本書の内容
 
 はじめに 暮らしを豊かにする
 第1部  社内の顧客を奮い立たせる
  第1章 夢は大きく
  第2章 笑顔を雇う
  第3章 勇敢な社員を育てる
  第4章 信頼を醸成する
  第5章 フィードバックループを育む
  第6章 マルチタスク能力を開発する
  第7章 従業員に権限を委譲する

 第2部  社外の顧客をもてなす
  第8章 アップルと同じサービスの5ステップを採用する
  第9章 顧客の体内時計をリセットする
  第10章 メリットを売り込む
  第11章 顧客の内に潜む才能を引き出す
  第12章 感動の瞬間をつくる
  第13章 筋書きとリハーサル
  第14章 一貫した体験を提供する

 第3部  舞台を整える
  第15章 すっきりさせる
  第16章 デザインの細部に気を配る
  第17章 五感に訴える体験をデザインする
 まとめ   アップルの魂

2)本書から学んだこと
 ・フィードバックループを育む!
 ・「メッセージマップ」でキーメッセージをシンプルに伝える!
 ・期待以上の体験を提供する!そのための舞台を整える!



ブログランキングに参加しております。よろしかったらクリックをお願いいたします。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
そして「よい記事!」と思ってくださった方は、下の【Twitterでつぶやく】【facebook いいね!】【はてなブックマーク】等のボタンのクリックをお願いいたします!
posted by まなたけ(@manatake_o) at 23:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | スティーブ・ジョブズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/348802289
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。