『リブセンス<生きる意味> 25歳の最年少上場社長 村上太一の人を幸せにする仕事
本書のご紹介に当たって、今回は、【本書のポイント】【感想】【関連書籍】の構成で書いていきたいと思います。
※マインドマップはありません。
【本書のポイント】
本書のポイントを以下に掲載いたします。
■「これで儲かるんですか?」といわれるアルバイト情報サイト
2011年12月7日、株式会社リブセンスは東証マザーズに上場いたしました。株式会社リブセンスを率いる村上太一社長は当時25歳。上場した企業の社長としては最年少です。現在、リブセンスはアルバイト情報サイト『ジョブセンス』、派遣求人サイト『ジョブセンス派遣』、不動産仲介サイト『DOOR賃貸』、中古車情報サイト『Motors-net』を運営しております。そのうち、主力となっているのがアルバイト情報サイト『ジョブセンス』の運営です。この『ジョブセンス』ですが、テレビで紹介された際、アナウンサーが「これで儲かるんですか?」とたずねたほど、今までの常識を覆したビジネスモデルなのです。
アルバイトを採用したい企業は、ジョブセンスのサイトになんと「無料」で募集広告を出すことができる。広告を出す際に料金を払う必要は一切ない。
その広告を見て応募してきた人を採用したときに、初めて企業はお金を払う。
このようなシステムを、「成功報酬型」という。業界の常識をくつがえすやり方である。
ところが、話はこれで終わりではない。
応募者は、採用が決まると、リブセンスから最大2万円の「採用祝い金」がもらえるのだ。
この祝い金は数あるアルバイト情報サイトの中からジョブセンスを使おうというインセンティブになる。だが、もちろん、その分リブセンスの利益は減ってしまう。
募集広告を無料で掲載し、採用が決まった利用者には祝い金を出す。これでは男性アナウンサーが「儲かるんですか?」と思わず聞いてしまうのも無理はない。
実際、そのように感じた人はほかにもいる。創業間もなくのころ、学生だった彼らが営業に行った先で
「そんなビジネスモデル、本当に成り立つの?学生が考えそうな浅はかなアイデアだよね」といわれてしまったのだそうだ。
だが、成り立ってしまうどころではない。創業5年で上場してしまったのだから。
(本書より P19〜P20)
■「生きる意味」を自らに問いかける
自分の会社に「リブセンス」と名付けた村上さん。「リブセンス」を訳すと「生きる意味」となります。高校2年生のころ、「生きる意味」について考えた村上さん。答えは見つかりませんでしたが、この体験は、その後の人生を大きく変えていくことになります。
村上から話を聴いて、創業する決意が芽生えたにはこのときではないか、と思い浮かぶのは高校2年生のときの「自分はどうして生きているんだろう」と自問自答した経験だ。
生きる意味と、死んだらどうなるのかを高校生がひたすら自分で考えた。答えは出るはずもなかった。だが、考えたことで自分の中で何か変わったのだ。
「結論は出ませんでした。ただ、なんとなくわかったのは、死ぬのは怖いし、生き続けるしかない、ということです」
(本書より P49〜P50)
■両親のサポート
高校の図書館で借りたビジネスのプロジェクトストーリーを読んでワクワクした村上はやがて自分でもやってみようと思うようになっていく。村上にとって幸運だったのは、夢中になることを積極的にやらせてくれる家庭環境だったことだ。そのおかげで、「何だって自分にもできるんだ」という自信を持つことができたという。
(中略)
村上の関心がビジネスや経営に向かっていることを両親はよくわかっていた。そのため、後にも詳しく書くが、両親は彼を支援し続けてくれた。
驚くべきは、そのサポートの内容が普通ではなかったことだ。ビジネス雑誌を渡すくらいなら想像がつくが、両親の提案は村上すらびっくりするものだった。
株式取引を勧めたのである。
(本書より P51〜P52)
しかし、村上さんは結局、株取引に夢中にはなれなかったのです。そして、起業への思いを強くしていくのです。
自分が株取引をしていても、世の中で誰かが喜んでくれているのか、まるで実感できなかったことだ。どう役にたっているのか、イメージできなかったのである。
「それまで商品開発などのプロジェクトストーリーをたくさん見たり読んだりしてきて思ったのは、ビジネスの一番の魅力は世の中の課題を解決できることではないか、ということでした。不便だと思うものを解決するのがビジネスの基本だと。そこには”納得感”があったんです。でも、株式取引には、それがなかったんですよね。だから、自分が”納得感”を持てるものは何だろう、と探すようになったんです」
こうして村上は、起業への思いを強くしていくのだ。
(本書より P54)
そして大学進学後、村上さんはベンチャーコンテストで優勝し、会社設立を行います。このとき、両親は多大なる支援を村上さんに行ったのです。
創業時の資本金は300万円、村上が200万円、他のメンバーが100万円を出した。
村上は200万円もの大金をどう捻出したのか。50万円はアルバイトなどで貯めた。残りの150万円は、両親に借りたという。
「残念ながら頑張ってアルバイトして貯めたお金では足りなかった。正直に、貸してほしいと親に頼みました」
返答は「いくらなのか」という一言だけだった。数日後、村上は親に呼ばれた。目の前に封筒が差し出され、頑張れよ、とだけいわれた。中には現金150万円が入っていた。
高校を卒業してからまだ1年も経っていない19歳の学生に、ポンと150万を渡せるだろうか。両親はよほど自分の子どもを信頼していたのだろう。
もちろんベンチャーコンテストで優勝し、オフィスを無償で借りることも決まっていた。だが、それ以前に、小さいころから息子が何をやっていたのか、見守っていたからこそ、だろう。
(本書より P88〜P89)
■重要なのは自分の役割を見つけること
村上さんは誰にでも起業をすすめているわけではありません。しかし、その一方で現在の就職人気ランキングに対し疑問を投げかけております。
大企業や公務員が、学生の人気の就職先であるのは村上はおかしいと考えている。
「みんな、目の前の選択肢の中から選ばないといけないと思いこんでいるのではないでしょうか」
就職人気ランキングは、学生たちの本心から出ているものではなく、妥協の産物ではないのかと感じている。
(中略)
日本には「平等でなければならない」という考え方が根強い。だが、人によって得意なことが違う。リーダーシップを発揮できる人もいれば、サポートする側で優れた能力を発揮する人もいる。どのポジションが偉いというのではない。人にはそれぞれ役割があるのだ。その役割に気づき、全力を尽くすからこそ、成果と達成感が得られる。
重要なのは自分の役割を見つけることだ。これをうまく見つけられないと、成果もあげられないし、幸せにはなれない。
自分の役割を見るけるということは、自分の生きる意味を見つけるということだ。
「生まれたからには、自分の役割を果たしたいと思っています。生まれてきた理由が何かあるはずですから」
(本書より P211〜P212)
村上さんは「人生とは何かを突き詰めないと先に進めない」(本書より P200)と感じ、生きる意味を見つけようとしていたときにヒントとなったのが、過去を振り返るということでした。
「私の場合は、過去を振り返って、自分がどんなときに楽しかったのか、どんなときにうれしかったのかをひたすら考えました。そこに、ヒントがあると思っていたんです」
村上は、後にアップルの創業者スティーブ・ジョブズの言葉を聞いて、まさにそうだと納得したという。
「ジョブズは、やりたいことを見つけなさい。そのためのヒントはあなたが歩んできた道を掘り起こせば絶対にある、といっていました」
(本書より P201)
■”幸せから生まれる幸せ”という理念を掲げて戦う
メディアでは、日本起業の疲弊が伝えられている。グローバル市場でも苦戦している。村上は、これ以上、豊かさを求めようとすることに無理があると語る。
「物質的な豊かさではなく、精神的な豊かさこそ求めて戦うべきです。そろそろ考え方をシフトしなければならないと思うんです」
インターネットの進化により、さまざまなものが無料になっている。これはもはや止められない流れである。既存のビジネスモデルでは、なかなか収益を上げられられなくなる日が来る。すると何が生き残りのカギとなるのだろうか。
「どんなマインドで仕事に向かっているか。本当に相手のためを思っているか。それが問われてくるんだと思うんです」
(中略)
何が本当に正しいことなのか。
豊かさであることが当たり前で育った若い世代が、こんなふうに激しく、厳しく、それを問いかけているような気がするのだ。
もちろん、答えは簡単には出てこない。だが、本来ならあってしかるべき理想が、いつの間にか隅に追いやられてはいないだろうか。
だからこそ、村上は、”幸せから生まれる幸せ”という理想を掲げて戦うのである。
(本書より P212〜P214)
【感想】
2011年12月7日、日本で最年少の上場企業社長が誕生いたしました。株式会社リブセンスの村上太一社長です。
学生ベンチャーでリブセンスを立ち上げ、起業してから5年で上場を果たしました。
「起業家」というとどのようなイメージをお持ちでしょうか?
学生ベンチャーで有名な起業家というと元ライブドア社長の堀江貴文さんがおります。堀江さんは東大在学中にオン・ザ・エッジという会社を立ち上げ、その後、ライブドアに名称を変更したのち、プロ野球の買収に名乗りを上げたり、郵政解散選挙時には立候補したりと「時代の寵児」として注目されるようになります。しかしその後、ライブドア事件で堀江貴文さんは逮捕される。それ以降、世間の起業家に対する視線は厳しいものがあるように感じます。
その一方で、近年、大企業に勤めていても安心できない中で「起業」を一つの選択肢として捉え、道を切り開こうとする人たちも増えております。特に「スタートアップ」という言葉が多く聞かれるようになり、「スタートアップ」に関する本が増えているのも、そのような背景があるものと思われます。しかし、そんな状況にありながらも、最近の起業家の素顔は、意外なほど知られておりません。そのような中で、史上最年少の上場を果たした株式会社リブセンスの村上太一社長について書かれた本書が登場いたしました。
本書は2つの点を読者に語りかけているように思えます。
1つは史上最年少の上場企業社長である村上太一さんはどのような背景から生まれたのか?という点です。
本書を読むと、村上さんの実直さを感じます。
上場が決まった後、VIPが集まる六本木ではなく、それまでよりも狭い部屋の学生が住んでいる手頃なマンションに引っ越す。友達とお酒を飲みに行くときは安い居酒屋で飲む、ベンチャーキャピタルからの支援の申し出は全て断るなど、浮かれることがない。しかし、高校時代の部活で「挨拶しないと走らされる」という理不尽なことに対しての思いと対峙の仕方、文化祭の時に100人のスタッフを動かした経験、 また起業家への道に進むと決めたときベンチャーコンテストで優勝するためにアピールするなど、「これは!」と思ったことに対してはエネルギッシュに突き進む。本書を読むと「熱い想いを秘めた普通の青年」という印象が伺えます。
それと同時に村上さんの両親、身近の環境の存在の大きさも本書から伺い知ることができます。
村上さんがビジネスへ関心が向いたときに株式取引をさせてビジネスについて勉強させたり、起業時に「頑張れよ」と言って150万を差し出したりと、両親の行動は村上さんを信じ、受容したからこそ取った行動に他なりません。また、身近にいた2人の経営者であった祖父の存在など、起業に対するハードルが低く感じられた環境があったことも大きいものがあります。
そのような両親の支え、そして環境があったからこそ、史上最年少上場企業社長である村上太一が誕生したのです。
もう1つは村上太一さんを通じて「普通の人の幸せの意味」を問いかけている点です。
「リブセンス」を訳すと「生きる意味」となります。村上さんは自分自身の問いかけていることを会社の名前に名付けました。そして、著者の上阪徹さんは村上太一という若者を通じて、若い人の間で変わりつつある”幸せのモデルの変化”を取り上げながら読者に「普通の人の幸せの意味」をテーマとして問いかけています。
そのカギは、村上さんの『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
「この本には、普通の人の勝ち方が描かれていると思ったんです。なぜかというと、私自身も普通の人だから。特別な才能があったわけではありません。だから、長谷部選手の普通の人の勝ち方を目指して愚直にやっている姿勢に共感したんです」
逆にいえば、長谷部も村上も、普通であることを自覚しているがゆえに、強いのかもしれない。
「それはあるかもしれないです。普通だからこそ、自分を客観的に見て、何が得意で、何が苦手かを理解し、自分をどう生かすかを考えるようになる」
自分は普通であることを認識しそれを強みに変えている村上だが、一方で、自分は普通でなければならないと思っているという。
(中略)
「欲しいのは精神的な豊かさだと思うんです。それ以外は普通でいい。普通で十分なんです。実際、無理に普通を超えた成長を目指そうとして社会がおかしくなってきたのではないでしょうか」
(本書より P207〜P209)
曲がり角にかかった日本の社会の中で、本書は村上太一という青年を通じて「まだまだ日本には可能性があるんだ」ということを感じさせる一冊です。
【関連書籍】
リブセンス<生きる意味> 25歳の最年少上場社長 村上太一の人を幸せにする仕事 1)本書の内容 はじめに 25歳の最年少上場社長から学べること 第1章 人を幸せにするビジネスモデル 第2章 起業を決意した高校時代 第3章 ベンチャーキャピタルはすべて断る 第4章 器用じゃないから乗り越えられた 第5章 上場は当然の通過点 第6章 最年少上場社長はどう育ったか 第7章 人を幸せにするのは自分のため 2)本書から学んだこと ・重要なのは自分の役割を見つけること! ・自分の役割を見るけるということは、自分の生きる意味を見つけるということだ! ・やりたいことのヒントは自分が歩んできた道を掘り起こせば絶対にある! |
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タグ:人生/生き方/生活