「無関心ではいられない問題!」、渡邉社長の執念のメッセージ!『雇用創造革命』(渡邉幸義著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2012年04月18日

「無関心ではいられない問題!」、渡邉社長の執念のメッセージ!『雇用創造革命』(渡邉幸義著)


雇用創造革命
  • 渡邉幸義
  • ダイヤモンド社
  • 1575円
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雇用創造革命を読んでみました。

アイエスエフネットグループは「20大雇用」を宣言しているように、社会的弱者を積極的に採用し、活用している会社として有名です。それは同社が創業まもない頃、戦力として活躍していた同社の社員が「実はひきこもりだった」と自ら打ち明けてくれたことがキッカケで同社社長であり、本書の著者である渡邉幸義さんが「自らの使命」と感じるようになり、積極活用してまいりました。本書には、渡邉幸義さんの「雇用に対する考え方」が詳しく述べられております。

本書のご紹介に当たって、今回は、【本書のポイント】【感想】【関連書籍】の構成で書いていきたいと思います。


【本書のポイント】

本書のポイントを以下に記述します。


■「20大雇用」宣言

アイエスエフネットの雇用の特徴は、「20大雇用」の宣言にも表れているとおり、「社会的弱者を雇用し、戦力として活用する」というところにあります。

同社が言っている「20大雇用」というのは、以下の方々を採用していくということです。

1:ニート・フリーター
2:FDM(障がい者)
3:ワーキングプア(働く時間に制約のある方)
4:引きこもり
5:シニア
6:ボーダーライン(軽度な障がいで障がい者手帳を不所持の方)
7:DV被害者
8:難民
9:ホームレス
10:小児がん経験者
11:ユニークフェイス(見た目がユニークな方)
12:感染症
13:麻薬・アルコール等中毒経験者
14:性同一性障害
15:養護施設等出身の方
16:犯罪歴のある方
17:三大疾病
18:若年性認知症
19:内臓疾患
20:その他就労困難な方(失語症)


■「社会的弱者」が戦力として活躍したことがキッカケ!

アイエスエフネットの採用には大きな特徴があります。それは「履歴書をほとんど見ず、面談時の人物評価で採用を決める」というものです。

経験者でなくとも、技術力はいずれ経験を積めばついてくる。しかし、人間性やコミュニケーション能力はそうはいかない。しかも、それらが備わっているということは、いずれ大きな付加価値となってくる。渡邉社長は経験の中で、そのことに気づいていきました。

そんなある日、自分が採用した社員の中で、こんなことを打ち明けた方がいたのでした。

「実は、この会社に入る前、何年も引きこもっていました」、「精神疾患で前職を辞め、その後何年も定職についてませんでした」と。(本書より)

大抵の企業は、書類選考の段階で落ちてしまいます。しかし、彼らのような社員が会社に対して忠誠心を尽くして戦力となり、派遣先での評判がすこぶる よかった事実を目の当たりにして、渡邉社長は思うのでした。

 
 書類審査の段階で再チャレンジの機会を失ってしまう人たちが、社会にあふれているということに気づいた。何らかの原因で一度はつまずいても、やり直したいという意欲がある人は多いだろう。つまづいたからこそ、今度こそ頑張るしかないと決意を新たにしている人もいるだろう。そんな彼らに世間は冷たい。働きたいのに、一般社会の無理解のために働く機会を得ることができない人が大勢いることに気がついた。
 そのとき、経営トップとしての私の目指すべきビジネスの道を、目の前にいる面接で人間性を見つけ出し採用した社員たちが示してくれているような気がした。
(中略)
 無知識・未経験者ばかりではなく、社会では戦力にならないという先入観で見られてしまう引きこもり経験者や精神疾患だった人が、教育や仕事への取り組み方次第でいくらでも変わっていった。戦力にならないどころか、大きな可能性を秘めた最強の戦力になっていた。
 私のスイッチもオンになった。

 このときの気づきが、「20大雇用」に取り組むきっかけになった。
(本書より)



■無関心ではいられないはず!

渡邉社長社長は日本社会の厳しい現実に対し、「読者は“自分には関係ない”と無関心でいられるのか?」という疑問を呈しております。


 読者の中には安定した企業に勤務しているから、心身ともに健康だから、自分はこうした就労弱者は遠い存在だと思っている人がいるかもしれない。
 でも、ちょっと考えてほしい。あなたが勤務している会社がこれから10年先20年先も安定しているのか、会社が安定しているからといって、それであなた自身の生涯が安定していると言い切れるのか。
 業績が悪くなれば費用削減のためにりすとらをする企業は多い。大学新卒者の60パーセントしか内定を得られない時代。あなたやあなたの家族がリストラの対象になり、学校を卒業しても就職できない状況に陥る可能性だってある。
 ストレスによるうつなどの精神疾患がある人は100万人を超えている。あなたがその一人にならない保証はどこにもない。癌などの病や事故によるケガで休職を余儀なくされたとき、あなたの会社は復職後のあなたを温かく迎えてくれるだろうか、復職後のあなたに仕事は用意されているのだろうか。
 そう、誰にとっても「明日は我が身」。無関心ではいられない問題だろう。
(本書より)


そして、渡邉社長は、企業の責務と、それを果たしていない現実に対し、以下のように述べております。

 休職イコール退職、それが暗黙の了解となっている企業は未だに多い。一度、職場を離れると戻れないことを誰もがわかっている。
 私自身、ストレスで眠れない日もあった。ストレスによるメンタル不全や退職、リストラなどの脅威に常にさらされているような状況だった。一度メンタル不全になると、完治や再就職は難しい。それが原因で、引きこもってしまう人もいる。それを見過ごしていいのだろうか。
(中略)
 「明日は我が身」だと感じられる人は、就労弱者の雇用を何とかしたいという気になるだろう。何とかしなくてはと思うだろう。社会全体でその解決に向けて取り組むべき課題だと思うようになるだろう。
 社員の雇用を守り、職を失った人や就労できない人に雇用の機会を与え、誰もがいつでもチャレンジできる雇用環境を創出していくことが、社会の公器といわれている企業の責務だろう。
 それなのに、その責務を果たしていない企業が多いのも、また現実だ。

(本書より)



■雇用はすべてを救う

本書の最後に、渡邉社長の信念が述べられております。それは、アイエスエフネットの取り組みを表すものであり、企業や国に対する提起ととらえることだできます。

 少子高齢化による就労人口の減少、構造的に税収の減少が進んでいく日本において、障がい者だけでなく、ニート、引きこもり、メンタル不全、シニアなどの不就労者を就労者に変えていく取り組み、納税者に変えていく仕組みづくりは、官民を挙げて取り組むべき社会課題だろう。
彼らはみな、社会の理解さえあれば働けるのだから。

(中略)
 誰もが雇用を通じて社会参加をし、社会の中での役割を見つけ、共に働く人に敬意を表することができる社会。多様な背景を持った人が共生できる社会。共に生きるすべてが明日を信じることができる社会。どんな人も社会の中で将来の夢を描ける当たり前の社会をつくっていきたい。
 「雇用はすべてを救う」。私の信念がゆらぐことはない。
(本書より)



【感想】

「2020年までに1000人の障がい者を雇用し、25万の給料を支払う!」。私が渡邉社長からこの言葉を聞いたのは、昨年行われた丸善丸の内本店にて行われた『会社は家族、社長は親』(阪本光司/渡邉幸義共著・PHP研究所刊)の出版記念講演会でした。渡邉社長の本は何冊も読んでいることもあり、同社の障がい者雇用に対する積極的な取り組みは知ってはおりましたが、さすがにこの宣言を初めて聞いたときは驚きました。しかし、今までの取り組みや実績から「同社なら本当にやってしまうのではないか?」と思ったのも事実です。

雇用創造革命』というタイトルがついておりますが、他の日本の一般的な企業とは全く違う視点で雇用を創出しているところに「革命」というインパクトのあるタイトルを付けたのだと思います。確かに「社会的弱者を戦力として活用しよう」という発想は、他の日本の一般的な企業から見ると「革命的」なことだと思います。

しかし、別の視点で本書を読むと、同社は「当たり前のことを実践しているに過ぎない」ことが分かります。

本書を読むと、同社が力を入れているのは、「人を活かす環境つくり」ということがわかります。そして「人を活かす環境つくり」とは「どの企業の述べている」ことにすぎません。

とはいえ、一言に「人を活かす環境つくり」を述べても実践するのが難しい。単に仕事の枠に当てはめることのみを考るだけでは、そのような環境を作ることができません。そしてそような環境では、いくら優秀な人財を集めても優秀な人財を殺すことになってしまいます。逆に同社は、たとえ最初は「歩」 の人財であったとしても、それを「金」変えていこうとしています。そのための環境作りに渡邉社長の注力がいかに注がれているのかが本書からうかがえます。

 優秀な人財ばかりではなく、能力も個性も経験もさまざまな多様な人財による科学反応を起こせる組織が成功をつかむことができるのかもしれない。
 私は、実践で日々そんなことを実感している。
 企業にとって重要なことは、優秀な人財を採用することではない。採用した人財を活用し、仕事を通じて彼らに何をもたらすかである。
 企業が社員にもたらすべきものは、共に仕事をする人たちに受け入れられ、認められ、尊重され、自分の能力や可能性を十分に発揮していることを実感できる環境だろう。
 マズローの「五段階欲求」を満たすことだ。

(本書より)


「匠カフェ」にみられるように、障がい者雇用も「障がい者を活用するにあたり、どんな仕事なら活用できるか?」という発想から仕事を創出してきたことがわかります。冒頭に「2020年までに1000人の障がい者の雇用と、25万の給料を支払う!」と宣言したことに「同社なら本当にやってしまうのではないか?」と思ったのは、「はじめに仕事ありき」ではなく「人にあった仕事を作り出す」と考えているからです。


「『愛』の反対は『憎しみ』ではなく『無関心』です」とはマザー・テレサの言葉ですが、日本社会の社会的弱者に対する「無関心さ」(「自分には関係ない」、「いつまでも今の状態が続く」と無意識のうちに思い込んでいる風潮)に対し、渡邉社長は「そんな日本社会に対し何か発信したい」という想いが強かったのでしょう。本書に書かれた強い言葉から、その想いが伝わってまいります。


【関連書籍】


会社は家族、社長は親
  • 坂本光司_::_渡邉幸義
  • PHP研究所
  • 1470円
Amazonで購入
書評


雇用創造革命

1)本書の内容
 第1章 すべては、障がい者雇用から始まった
 第2章 障がい者雇用への共感から生まれた可能性
 第3章 引きこもりと就労弱者の再出発
 第4章 雇用を通して人も社会も変えていく
 第5章 「歩」が「金将」に変わる組織
 第6章 「選択と集中」から、「多様化と創出」へ

2)本書から学んだこと
 ・いつ弱者になるとは限らない!「今が当たり前」と思わず、社会的弱者にも目を向ける!
 ・その人の過去を見るのではなく、ポテンシャルを見ること!
 ・「愛」の反対語は「無関心」!



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タグ:渡邉幸義
posted by まなたけ(@manatake_o) at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 渡邉幸義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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