この本は、インターネット関連の本の中でも歴史に残る名著である!『フェイスブック 若き天才の野望』(デビッド・カークパトリック著): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2012年03月31日

この本は、インターネット関連の本の中でも歴史に残る名著である!『フェイスブック 若き天才の野望』(デビッド・カークパトリック著)


フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
  • デビッド・カークパトリック
  • 日経BP社
  • 1890円
Amazonで購入


フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)を読んでみました。

ず〜っと「読みたい!」とは思っていたものの、今のいままで読まずにおりました。フェイスブック社のIPO申請のニュースを機会に読んでみましたが、想像以上に面白い本でした。それと同時に、「これは貴重な本だ!」と思ったのでした。

今回は、シンプルに【感想】【関連書籍】の構成で書いていきたいと思います。(といっても、かなりの長文ですが....)

【感想】

読みごたえがありました!

本書の素晴らしさは、単に「フェイスブックがどのようにでき、発展してきたのか?」ということを述べているにとどまらず、以下の点も考察された内容となっているからです。

 1)フェイスブックがインターネットの歴史において、どのような役割を果たしてきたのか?
 2)フェイスブックは世の中にどのような影響を与えてきたのか?また、どのような可能性を与えるのか?


本書の素晴らしさを、解説の小林弘人さんが以下のように述べております。

 本書の魅力は、2種類の要素が高次に組み合わさっている点にある。ひとつめは急成長を遂げつつあり、全米のみならず全世界が注目すべき新興企業の生い立ちとその成長に関する内幕を迫った筆致。ふたつめは、ソーシャルネットワーク、ひいては過去・現在、そしてこれからのインターネットの在り方について示唆に富んでいる点である。著者のデビッド・カークパトリック氏はフォーチュン誌のシニア・エディタとして長い間テクノロジーを追いかけてきたベテランである。彼の取材量とストーリーテリングもさることながら、インターネットの歴史の中でフェイスブックがどういう文脈に位置するのかといった優れた考察が融合し、本書を成功に導いている。
(本書より)


小林弘人さんの述べている1点目の「フェイスブックの生い立ちとその成長の筆致」について、私は最初に、映画『ソーシャルネットワーク』を思い起こしました。



「失うもの失くして5億人の友達は創れない」という映画のキャッチコピーに表れている通り、この映画では「マーク・ザッカーバーグとエドゥアルド・サベリンとの友情、そしてマークの裏切り」、「マーク・ザッカーバーグとウィンクルボス兄弟の法廷闘争」を中心に描かれております。そして、マーク・ザッカーバーグは映画の中で、「金のためなら仲間を裏切る男」というヒールな人物として登場します。

しかしながら、本書のマークの言葉を読むと、「われわれの会社はガスや水道と同じ公益事業なんです」(本書より)と言っているように、お金儲けのことを考えない実直な青年の姿がうかがえます。そして、そんなマークを支えたのが、映画ではあまり目立った存在ではなかったダスティン・モスコヴィッツであり、ヒール役で描かれたショーン・パーカーでした。特に、ショーン・パーカーはベンチャーキャピタル(VC)の裏側も知り、煮え湯を飲まされてきた経験を生かしてVCとの交渉をまとめあげました。VCより引き出した巨額な投資は、しばらくの間、収益がほとんどあがらなかったフェイスブックの運営に欠かせないものとなってまいります。ショーン・パーカー自身は自らのスキャンダルによってフェイスブックの社長を退くことになりますが、恐らく、ショーン・パーカーの存在がなければ、フェイスブックは「資金が湯水のごとく消えていった巨大な運営費」に押しつぶされ、現在は存在していなかったかもしれません。

映画や、映画の原作となった『facebook』(ベン・メズリック著)では描かれなかった創業時から2010年頃までのフェイスブックの成長の経緯が、本書には詳しく掲載されております。フェイスブック社について、関係者のインタビューを交えながら、これほど詳しく書かれた本は、恐らく他にはないと思われます。このため、小学生、中学生、高校生が成長し、数年~10年後に「フェイスブックの成長の歴史を知りたい」と思ったとき、代表的な本として名前があがる本だと思っております。

2点目の「ソーシャルネットワーク、ひいては過去・現在、そしてこれからのインターネットの在り方について示唆に富んでいる点」について、「透明性と、それによって引き起こされたプライバシーの問題」、「贈与経済」のことなど、「フェイスブックの成長とともに明らかになってきたこと」が本書の中で書かれております。フェイスブックの成長の歴史をつづった本と思っていた私は「贈与経済への示唆など、まさか、そこまで書いているとは思わなかった」というのが正直な思いでした。本書に書かれている以下のマークの言葉を読むと、「本書は、新興企業の単なる成長物語ではない!」ということが分かります。

 ザッカーバーグは、今やフェイスブックやインターネット上のほかの勢力は、贈与経済が大規模で機能していくのに十分な透明性を生み出していると言う。
 「もっとオープンになって誰もがすぐに自分の意見を言えるようになれば、経済はもっと贈与経済のように機能し始めるだろう。贈与経済は、企業や団体に対してもっと善良にもっと信頼されるようになれ、という責任を押しつける」
 この透明性、共有、寄付のいずれにも社会に深く浸透する含蓄がある。
 「本当に政府の仕組みが変わっていく。より透明な世界は、より良く統治された世界やより公正な世界をつくる」
 これは彼の核心をなす信念である。
(本書より)


 透明性をいっそう高めることを必然とする信念の一方で、ザッカーバーグは当然そこから導かれる問題を懸念していた−誰がユーザーの情報を制御するのか。彼は言う。
 「世界がますます透明な方向へ動いていくことは、次の10年、20年に起きる変革のほとんどを後押しするトレンドになるだろう。ただし大規模な暴力行為や政治崩壊がないことが前提だ。しかし、どうやってそれが起きるかという大きな疑問が残る。誰かに透明性についてどう思うかを聞くと、頭の中にマイナスイメージを浮かべる人もいる−監視社会の光景だ。本当に陰惨な未来を描くことだってできる。果たして透明性は、集中した権力を分散化するために使われるのだろうか。ぼくは、透明性が高まっていくトレンドは不可避だと信じている。もっとも、この側面〔われわれが常に監視される社会になる〕かどうかは、正直なところぼくにはわからない」
(本書より)


このように、本書のマークの言葉には、インターネットやSNSのあり方について示唆する言葉がたくさん登場してまいります。

様々な示唆を与えてくれる内容となっているのは、「マスコミ嫌い」で有名なマーク・ザッカーバーグ、そして、フェイスブックの運営に携わったダスティン・モスコヴィッツ、ショーン・パーカー、ピーター・シール、ジム・ブライヤー、シェリル・サンドバーグなどが一度ならず何度もインタビューに応じ、自ら語ってくれた言葉が本書の中でちりばめられ、それが本書を構成する重要な要素となっているからだと思います。

「インターネットの歴史に残る企業の成長の過程の詳細な内幕と、果たしてきた役割、そして未来への示唆」が描かれている本書は、「インターネットに関連する本の中でも歴史に残る名著」だと思いました。

最後に、著者のデビッド・カークパトリックさん、本書の翻訳を手掛けた滑川海彦さん、高橋信夫さん、解説の小林弘人さん、そして本書の編集を担当された中川ヒロミさんに、「このような素晴らしい本を世の中に出していただきありがとう!」と申し上げます。

そして、4月5日に発売される小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密』(ピーター・シムズ著)も、翻訳を滑川海彦さん、高橋信夫さんが、そして編集を中川ヒロミさんが担当しております。こちらの本にも期待したいと思います。


【関連書籍】


facebook
  • ベン・メズリック
  • 青志社
  • 1680円
Amazonで購入


フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)

1)本書の内容
 プロローグ
 第 1章 すべての始まり
 第 2章 パロアルト
 第 3章 フェイスブック以前
 第 4章 2004年、以前
 第 5章 投資家
 第 6章 本物の企業へ
 第 7章 2005年、秋
 第 8章 CEOの試練
 第 9章 2006年
 第10章 プライバシー
 第11章 プラットフォーム
 第12章 150億ドル
 第13章 金を稼ぐ
 第14章 フェイスブックと世界
 第15章 世界の仕組みを変える
 第16章 フェイスブックの進化
 第17章 未来へ
 あとがき


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posted by まなたけ(@manatake_o) at 13:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア/SNS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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