【マインドマップ付き】我々は「新たな価値観を生み出す準備の時代」の中にいる!『優しい会社』(神田昌典監修/安達元一原案): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2012年01月07日

【マインドマップ付き】我々は「新たな価値観を生み出す準備の時代」の中にいる!『優しい会社』(神田昌典監修/安達元一原案)


優しい会社
  • 神田昌典_::_安達元一原案
  • アスコム
  • 1680円
Amazonで購入


以前から読みたいと思っていた優しい会社!積ん読状態でしたが、この正月休みの間に、やっと読むことができました。物語形式で書かれた本書は、「それぞれの時代背景、そして、時代の流れ」について考察をさせる内容が書かれておりました。

本書のご紹介に当たって、今回は、【本書のポイント】【感想】【マインドマップ】【関連書籍】の構成で書いていきたいと思います。


【本書のポイント】

今回のポイントと記載いたします。

■70年サイクル

「70年サイクル」とは、本書の監修を務めている神田正典さんが提唱する歴史サイクルです。本書の監修の中で、神田さんは以下のように述べております。

 私たちがいいる歴史サイクルは、1945年の終戦後から始まったことは疑いがないだろう。サイクルの各段階をわかりやすく把握するため、季節で喩えてみることにする。1年をそれぞれが17〜18年続く四つの季節に分けて考えてみる。すると日本の冬の時期は、1945年から1962年。春は1963年から1979年。夏は1980年から1997年。そして秋は1998年から2015年となる。
 なぜ1サイクルは70年かと疑問に思うだろうが、必ずしもこの年数にこだわらなくてもいい。歴史家にとっては設備投資や技術革新の観点から60年や84年を1サイクルと考えることもあるが、重要なのは、自分にとっての行動指針を≪歴史という出来事の連続≫から引き出せるかどうかである。現代日本について、私はいろいろなサイクルを当てはめてみるのだが、その結果、最もわかりやすく、過去から未来へとつながる流れを説明するものとして、70年間サイクル説をとっている。
(本書より)

本書は、神田正典さんの歴史サイクル論を日本に当てはめ、安達元一さんが組み立てた物語です。


■主な登場人物

・秋元 譲:42歳 花菱商事・コンテンツ事業部課長
・春山 昇:76歳 花菱商事・社長
・夏目慶彦:57歳 花菱商事・コンテンツ事業部部長
・冬木タク:26歳 花菱商事・コンテンツ事業部主任
(本書より)

本書の主な登場人物は「春の時代」「夏の時代」「秋の時代」「冬の時代」を象徴するように、登場人物にそれぞれの時代の人物の名字に季節の文字を入れております。
「秋の時代」である現代を生きる主人公・秋元譲が各時代をタイムスリップし、そこで経験したこと、そしてその時代の意味を伝える物語となっています。


■冬の時代

冬の時代は戦後復興の時代!物語は1946年12月を描いています。ご承知の通り、この時代は今までの価値観が崩壊し、新しいモノを創り上げる途についた時代でした。
この時代の意味は何だったのか?監修では以下のように述べられております。

 周りには何もないのだから、新しいものを生み出せる人びとが、社会から求められることになる。1945年時点、ソニー創業者の井深大は37歳、そしてホンダの創業者の本田宗一郎は39歳。彼らにとってみれば、今までになかった、新しい物を創りだすことが、生きている重要な証だったに違いない。このように歴史サイクルの始めの季節、冬の時代を牽引するのは、「創る人」
(本書より)

この物語の登場人物である冬木タクは、上の世代から見ると理解に苦しむ若者だが、今という変革期において、新しい価値を創造し、提供する人として描かれております。


■春の時代

春の時代は高度成長時代!時は1964年10月、そう、東京オリンピックが開催された時です。そして、若き春山が活躍した時代です。
この時代の意味は何だったのか?物語は以下のように述べられております。

 春山たちの世代は、何も考えずに闇雲に働いただけのように思われがちだが、実は彼らは、「豊かな社会」という日本の未来像をしっかりと見据えていたのかもしれない。
 春山の親たちにあたる世代が、モノ作りという種まきを行った戦後復興の立役者であるとするなら、春山たちは、その種を圧倒的な労働力で育てあげるという重要な役割を担っていたのではないだろうか。
 その力は、各々の会社の経営体制を整え、流通の仕組みを発展させたとも考えられる。いわば彼らは、優秀な「実務家」であったとも言えるだろう。
 前の時代が作ったテレビや自動車、オートバイ、そしてトイレットロールという便利で新しい商品を、春山たちのような昭和ひと桁生まれの世代が、猛烈に働きながら広く一般家庭に普及させていったのだ。
(本書より)

本書では、春の時代の人として「イトーヨーカドー・伊藤雅彦さん」「ダイエー・中内功さん」の名をあげています。


■夏の時代

夏の時代はバブル時代!時は1988年3月、夏目がバブル中心選手として活躍した時代です。この時代は「六本木のJ-TRIP BAR」「デッド・オア・アライブに代表されるディスコミュージック」「コム・デ・ギャルソンといったDCブランド」「財テク」が流行しておりました。ただ、その一方で、1986年に発売された「リンス・イン・シャンプー」は爆発的なヒットとなりました。シャンプーもリンスも当たり前のこの時代、それを組み合わせることで「新しい価値」を生み出したのです。
この時代の意味は何だったのか?物語は以下のように述べられております。

 飽食の時代と言われ、巷にモノが溢れ返っていたこの時代。ただ浮ついているだけに見える夏目のような人間が、日本を活性化させたのではないか。夏目のようなキレる男の知恵や、ひねりを利かせた考え方が、世の中を元気にしてくれたのではないか。(中略)あの手この手の斬新な切り口で「既存の商品の包装紙」を変えることで、新たな豊かさを提案する。実はこれこそが、この時代の本質ではなかっただろうか。
(本書より)

本書では、春の時代の人として「経営コンサルタント・大前研一さん」「コピーライター・糸井重里さん」の名をあげています。


■秋の時代

秋の時代は、本書では、バブル崩壊に苦しむ1998年から2015年を指します。そして今はまさに秋の時代なのです。
この時代の意味は何なのか?監修では以下のように述べられております。

 そして最後の歴史サイクルは、1998年から始まる秋に入る。そのとき迎えたビジネスパーソンたちは、世の中に自分の価値を証明していかなければならない。しかし、このときにはすべてが整っている。物は溢れ、至るところに商品は置かれ、さらに会社経営は高度になっている。つまり・・・秋の時代には何もやることが残されていない。どうすればいい?
 答えは、すでにできた体制を壊すしかない。そこで「壊す人」が英雄となる。1998年当時42歳だった孫正義、33歳だった楽天創業者の三木谷浩史が表舞台に登場した。既存のビジネス体制を壊しながら、インターネット革命を推進した。
(本書より)

しかし、壊すだけでは後に何も残りません。次の時代を創るための”種まき”が必要となります。本書では以下のように述べております。
 ピューリッツアー賞を受賞している進化生物学者のジャレット・ダイヤモンドは、人類1万3000年の歴史上に存在した文明を調査し、崩壊する文明と、存続する文明の違いとは何が違うのかを分析した。その結果、文明が存続できるかどうかの分水嶺は、戦争でも、疫病でもなく、時代が変わる中で、≪捨てるべき価値観を捨て、引き継ぐべき価値観を引き継ぎ、新しい価値観を生み出せるかどうか≫であるとの結論に至った。
 つまり・・・、必要とないものを壊しながら、新たな価値観を生み出す準備をしなければ、文明は崩壊してしまう。まさにその時期に、私たちは生きているのだ。
(本書より)



【感想】

70年歴史サイクルに基づいて書かれた本書を読んだとき、「時代には、それぞれ意味があるのだな」と思いました。

私は、この物語の主人公である秋元譲と同じ世代です。我々の世代は、社会人になった頃は「新人類」と呼ばれ、上の世代の方から見ると、「何を考えているのかわからん!」と言われたものです。その我々も会社の中核を担う世代となり、若者を「草食系」と呼ぶようになっている!時代は違うものだな?と思うことがあります。

本書を読んで思ったことは、「本書には大きなメッセージが2つあるのかな?」と思いました。

1つ目のメッセージは「それぞれの世代の生きた時代背景を知ることで、我々は”断絶された”と思っている世代の方々を少しでも理解することができ、優しくなれる」ということです。そのため、それぞれの世代が一緒に働いている会社という組織を舞台にしたのでしょう。

戦後復興期の「冬の時代」、高度成長期の「春の時代」、バブル期の「夏の時代」、そして混沌とした現在の「秋の時代」と、それぞれの時代は季節が流れるがごとくサイクルを形成しております。そして、どの時代を生きてきたかによって、形成される価値観も違ってくる。その結果として生まれる「世代間ギャップ」!それはある意味、当然のことかもしれません。

しかし、それぞれが生きてきた時代背景を、そして価値観を少しでも理解することによって、相手の価値観を知る手掛かりをえることができる!そして、それぞれの価値観を主張し合うのではなく、時代、そして役割を認識し、次の世代にバトンを渡していく!本書に描かれた「春の時代」「夏の時代」「冬の時代」には、そんな意味があるのではないかと思いました。


2つ目のメッセージは「現在は、必要とないものを壊しながら、新たな価値観を生み出す準備の時代!」ということです。大きく影響したのは、やはり「インターネット」でしょう。

元々軍事目的で開発されたインターネットも民間に開放され、それ以降、様々な形態が時代とともに登場してまいりました。サーバーとブラウザのみの時代、検索エンジンの登場、そして現在のSNS時代の到来!この時代の若者として生きる冬木タクは、本書ではその先を見つめた時代の先駆者として描かれています。

会社では上司から「何を考えているか分からん!」と揶揄される冬木タクが、2011年3月に発生した東日本大震災においてSNSを使うことで世界中のNPOより迅速な支援を取り付けることによって、”救世主”として描かれております。冬木タクは本書の中で以下のように述べています。
 僕らの目標は、ネット社会のその先を見つけることでした。それは、人と人とのリアルなつながりを前提とする社会のことなんです。
(本書より)

我々の世代の役割は、混沌とする価値観の中で、次の世代につながる価値観を準備し引き継ぐこと!そのために個々に求められる必要な技術が「キュレーション」だと思います。

「キュレーション」とは、情報を収集し、選別し、編集し、新しい価値をつけて発信し、そして共有していく技術。それは、SNS時代を生きるうえで必須の技術とされております。そして、「キュレーション」によって発信され、共有して行った結果、小さなコミュニティが生まれてきます。小さなコミュニティは、やがて大きなうねりを形成していき、新たな価値観となっていきます。現在は、新時代につなげていくためのターゲットを見つけ、つなげていく「種まきの時代」と言えるでしょう。


時代の流れをみていくことで自分たちの役割を考察することができる!本書には、そんな役割があるのではないかと思いました。


【マインドマップ】

image.png
拡大表示は以下のリンクをクリック!
なお、スマホでは綺麗に表示できないかもしれませんが、ご勘弁を(^^;)
優しい会社.html

そして、スマホの方は以下のリンクをクリック!マインドマップの内容を階層構造で表しました。
優しい会社.mm.html


【関連書籍】


キュレーション 収集し、選別し、編集し、共有する技術
  • スティーブン・ローゼンバウム
  • プレジデント社
  • 1890円
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「新しい働き方」ができる人の時代
  • セス・ゴーディン
  • 三笠書房
  • 1470円
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書評


優しい会社

1)本書の内容
 第1章:春の時代
 第2章:夏の時代
 第3章:冬の時代

2)本書から学んだこと
 ・長期サイクルで時代を見た時、それぞれの時代の意味が見えてくる!
 ・現在は時代が変わる境目の時代である!
 ・そして現在は、価値観の取捨選択を行いながら新しい時代の準備を行う「キュレーションの時代」である!



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タグ:神田昌典
posted by まなたけ(@manatake_o) at 22:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 神田昌典 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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