ビジョナリーカンパニー3(ジェームズ・C・コリンズ著)(その2): ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2011年03月09日

ビジョナリーカンパニー3(ジェームズ・C・コリンズ著)(その2)




今回も前回に引き続き『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』を取り上げます。


今回は”衰退の五段階”のうち、第一段階〜第三段階について、事例を交えて見てみたいと思います。


【衰退の5段階】※本書より抜粋
 第一段階 成功から生まれる傲慢
・傲慢になり、成功を続けるのは自分達の当然の権利かのように考える
・成功をもたらした基礎的要因を見失う

 第二段階 規律なき拡大路線
・規律ある想像性から逸脱し、偉大な業績をあげられない分野に規律なき形で進出する
・卓越性を維持しながら達成できる以上のペースで成長する
・この両者を同時に行う

 第三段階 リスクと問題の否認
  ・悪いデータを小さく見せ、良いデータを強調し、曖昧なデータは良く解釈する
  ・議論は低調になるか、まったく見られなくなる
  ・リスクを取ったときの結果を考えずに行動する

 
 本書にあがっている例として、”サーキット・シティ”を取り上げます。

 サーキット・シティは大型家電量販店として成功し、1995年頃には年20%以上の成長を続けるのです。しかし、どの市場においても永続的な成長というのはあり得ず、いずれ市場は成熟状態になります。このため、新たな成長のため、「新しい市場の開拓」を行うことになります。

 サーキット・シティも例外ではありません。しかし、CEOの「じっとしていて、自分の事業が競争に圧倒されるのを待つつもりはない」と、自動車販売、金融分野進出など異業種に進出し、多角化を行っていきます。

 そして、1998年にウォール・ストリート・トランスクリプトのインタビューのとき、インタビュアーは「投資家がサーキット・シティについて心配すべき点は何か」と質問したとき、CEOはこう答えております。

 「投資家は当社の経営能力にまったく安心していられる」(本書より)と...

 しかし、多角化は失敗。そして、ライバルのベスト・バイに2001年に売上を抜かれ、その後はジリ貧状態となります。

 そして2008年11月にサーキット・シティは破産法の適用を受けることになります。


 この教訓は何を教えてくれるのか?

 本書では、以下の2点を指摘しております。

 ・1990年代後半にはベスト・バイの脅威をきちんと認識していない
 ・創造力を新規事業に振り向けるようになり、本業を改善する努力を怠るようになる



 本書を読んで思ったことは「新規事業に進出している方が見栄えがよく見えるが実際は逆で、原点を忘れず、本業を絶えず改善している企業が成長している」という事実です。また、「小さな実験を繰り返さず、いきなり新規事業を開始させるのは企業の体力を奪い、いずれ転落する」ということも感じました。


 本書を読むと「なぜ、この会社は失敗したのか?そして、成功した企業はなぜ成功したのか?」という点が見えてきます。そのため、『ビジョナリーカンパニーシリーズは名著』といわれる所以なのでしょう。

次回は、第四段階、第五段階、そして再生と回復を、もう少し詳細に見ていきたいと思います。

最後に、本書に書かれていた以下の言葉で締めたいと思います。

「衰退の各段階をみていく旅のなかでは、さあまざまな形の傲慢にぶつかることになる。世界一になれない分野への規律なき進出という形の傲慢さにぶつかる。卓越性を維持しながら達成できる以上の成長を追及するという形の傲慢さにぶつかる。矛盾しあったデータやみずからの誤りを示す事実を無視して大胆で高リスクの決定を行うという形の傲慢さにぶつかる。外部からの脅威や内部の堕落のために企業が危険な状態になりうる可能性すら否定するという形の傲慢さにぶつかる。そして
、とりわけ危険な形の傲慢さとして、傲慢な無視にぶつかる」

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』より


ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階

1)本の内容
・第一章:静かに忍び寄る危機
・第二章:衰退の五段階
・第三章:第一段階 成功から生まれる傲慢
・第四章:第二段階 規律なき拡大路線
・第五章:第三段階 リスクと問題の否認
・第六章:第四段階 一発逆転の要求
・第七章:第五段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅
・第八章:充分に根拠のある希望

2)この本から学んだこと
・最初の危機は”成功ゆえの傲慢”から生まれる
・企業の卓越性を維持する以上の成長を求め始めたとき、衰退への道が始まる
・とりわけ危険な傲慢は”傲慢さの無視”という傲慢である



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posted by まなたけ(@manatake_o) at 22:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ビジョナリー・カンパニー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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