ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2014年07月17日

セオリーを逸脱しながらも愚直に顧客の期待に答え続けたスーパー!それが成城石井!『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』(上阪徹著)



※献本ありがとうございます

成城石井の店舗数は、2014年3月時点で112店。10年前の2004年は30店舗、1994年は4店舗しかなかったこと、そして、この20年が日本はデフレ不況に見舞われているを考えると、出店ペースだけみても驚異的な数字である。しかも店舗形態は多彩。サイズも20坪の小型店から190坪の大型店まである。なぜ成城石井は、こんなに多彩に展開することができたのであろうか?本書成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?は、首都圏を中心に展開している成城石井が、驚異的に成長を遂げることができた理由、顧客から支持されている理由が詳細に書かれている。

では、スーパーがこれほど出店か加速的に伸びていることから、他のスーパーと同じように「業務のマニュアル化、効率化を進めてまいり、成長してきた」かというと決してそんなことはない。むしろ真逆である。例えば、レジでは顧客自らが買った商品を袋に詰めるのが一般的なスーパーの光景であるが、成城石井ではこのような光景は見られない。なぜなら、袋を詰めるのはレジ係2人のうちの1人が行なうことになっているから。このような光景を見ると、「なんて非効率なことをやっているのだろう?セオリーを逸脱しているのではないか?」と思うかもしれない。しかし、そうではない。顧客のためになることだったら非効率でもやる!というのが成城石井のスタンスなのだ。時代とは逆行したスタンスだからこそ、顧客はそこを評価し、支持をしてきた。

  バブル崩壊以降の二〇数年、IT化なども手伝って、 日本企業は徹底的に効率化を推し進めてきた。規模の論理によるM&Aなども加速した。
 成城石井がやってきたのは、こうした流れとは、まさに逆行したものだったのではなかったか。社長の原氏はいう。
「成城石井の成長が現在加速していて、好業績をいただけているのは、むしろ逆行が評価されたんだと思っています」
 効率化が悪く、面倒なことばかりやってきた。大量生産品を売るのではなく、少量多品種にこだわってきた。きっとこういうものを求めている顧客がいるに違いない、と尖った品揃えをした。効率良く儲けようとするのではなく、不器用に、愚直に、とにかくひたすら顧客が求めているものに向き合ってきた……。
「ビジネスの常識からすれば、変わったことをやってきたと思うんです。でも、ベースにあったのは、本当においしいものをお客様に届けたい、という気持ちだけでした。その気持ちを、より多くの方に理解していただける時代になったんだと思っています」
 高級品が当たり前のように売れた好況期のバブル時代に大きな成長を遂げたのなら、話はわかりやすい。だが、むしろ逆なのだ。成城石井は、日本の不況期、デフレ期に入ってから、成長していったのだ。
(中略)
 たしかに成城石井には、高価格の高級品も少なくない。しかし、ただ高級なものが置かれている、と成城石井を捉えたら間違える。顧客が求めているものを追及し続けてきたのが、成城石井なのだ。
 その意味では、成城石井のスタンスは過去とまったく変わっていない。変わったのは、世の中のほうである。その価値に気づくことができる人が増えていったということだ。
 そして、周囲の小売業は簡単には追いつけないだろう。いいものは、簡単には仕入れられないからである。
(本書より P119〜P122)


成城石井が顧客の支持を集めている大きな理由は、バイヤーが日本各地、そして世界各地から集めた独自の食材が極めて多いなど、その独自の品揃えのユニークさ、「基本の四つ」の徹底によって保たれてきたクオリティの高さ、サービスへのこだわりと高いレベルにある。顧客は、このような成城石井のスタンスを評価し、繰り返して成城石井で買い物を行い、そしてファンが増えていった。成城石井で一度買い物をしたことがある方にとっては、あの独自の雰囲気、そしてクオリティの高さには満足してしまう。そして、他のスーパーには行きたくなくなってしまう。そんな魅力が成城石井にはあるのだ。

そして、成城石井で買い物をしたことがある方は、きっと本書に書いていることが分かるはずだ。そして、「なんと!こんなところまでこだわっていたのか?」と、逆に成城石井の素晴らしさを改めて認識し、そして本書を楽しみながら読むことであろう。ちなみに、私は本書を読み終えたあと、思わず成城石井に出かけてしまった。本書に書かれている成城石井の素晴らしさを改めて確認したいと思ったからだ。そして、行ってみて、「やはり成城石井のクオリティは高いなあ!」と思ってしまった。

成城石井の店舗が近くにない方も、本書を通じて成城石井の素晴らしさ知った方は、是非、オンラインショップを参照してほしい。きっと、オンラインショップを通じても、成城石井の素晴らしさを感じとることができるはずだ。

●【成城石井】公式オンラインストア




【本書のポイント】

■店が重視する四つのこと

 そしてもうひとつ、印象的だったのが、社長の原氏が強調していたことだ。それは「基本の四つ」の徹底挨拶、クリンリネス、欠品防止、鮮度管理である。
 この四つは、顧客との接点の基本中の基本。これこそが、最大の経営方針であり、成長戦略であるかのようだった。取材でこのことについて質問すると、原氏はこう語った。
「基本こそが大事なんです。これができて初めて次のアクションだと思っていますから。どんなにいい商品を仕入れても、お客様にきちんとした気持ちのいい挨拶ができていなければ決して良い評価を得ることはできません。成城石井にしかない商品も多いですから、それは他の店にないから成城石井に来てくださっているわけです。なのに、気持ち良く買い物が出来ない、などという状況を絶対に作ってはならない」
 成城石井が顧客から高い支持を得ている、もうひとつの理由。それが接客をはじめとしたサービスへのこだわりとレベルの高さだ。
(本書より P47〜P48)


■時代が成城石井に追いついてきた

 バブル崩壊以降の二〇数年、IT化なども手伝って、 日本企業は徹底的に効率化を推し進めてきた。規模の論理によるM&Aなども加速した。
 成城石井がやってきたのは、こうした流れとは、まさに逆行したものだったのではなかったか。社長の原氏はいう。
「成城石井の成長が現在加速していて、好業績をいただけているのは、むしろ逆行が評価されたんだと思っています」
 効率化が悪く、面倒なことばかりやってきた。大量生産品を売るのではなく、少量多品種にこだわってきた。きっとこういうものを求めている顧客がいるに違いない、と尖った品揃えをした。効率良く儲けようとするのではなく、不器用に、愚直に、とにかくひたすら顧客が求めているものに向き合ってきた……。
「ビジネスの常識からすれば、変わったことをやってきたと思うんです。でも、ベースにあったのは、本当においしいものをお客様に届けたい、という気持ちだけでした。その気持ちを、より多くの方に理解していただける時代になったんだと思っています」
 高級品が当たり前のように売れた好況期のバブル時代に大きな成長を遂げたのなら、話はわかりやすい。だが、むしろ逆なのだ。成城石井は、日本の不況期、デフレ期に入ってから、成長していったのだ。
(中略)
 たしかに成城石井には、高価格の高級品も少なくない。しかし、ただ高級なものが置かれている、と成城石井を捉えたら間違える。顧客が求めているものを追及し続けてきたのが、成城石井なのだ。
 その意味では、成城石井のスタンスは過去とまったく変わっていない。変わったのは、世の中のほうである。その価値に気づくことができる人が増えていったということだ。
 そして、周囲の小売業は簡単には追いつけないだろう。いいものは、簡単には仕入れられないからである。
(本書より P119〜P122)


■”高級スーパー”とは呼ばれたくない

 取材中、実は興味深い言葉に何度も出会っていた。それは高級スーパーとは呼ばれたくない」だ。近年、”高級スーパー”と呼ばれている、いくつかのスーパーとひとまとめに、成城石井はカテゴライズされることがある。
 一般の消費者も、置かれている商品の価格帯を考えると成城石井を”高級スーパー”と思っている人も多いかもしれない。また、そう呼ばれることは決して悪くないのではないか、と。
 ところが、成城石井はそうではないというのである。
「ライバルはどこですか、という質問をよく受けるんですが、ライバルのお店はないんです。あるとすれば、お客様のトレンドであり、お客様のニーズです」
 成城石井が扱っているのは、顧客が求めているもの。いいものであり、おいしいもの。それがたまたま高級品であったり、一流品であったりするに過ぎない。最初から高級品や一流品を扱おうとしてきたわけではない。また、だからこそバランスの良い価格での販売を目指してきた。高級なものが高値で売られている店ではない、ということだ。目指している土俵がそもそも違うのである。
(本書より P205〜P206)


【関連書籍】



成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?

1)本書の内容
 
 はじめに
 第1章 熱狂的に支持されるスーパー-「商品へのこだわり」
 第2章 お客様主義で「基本」を大切にする-「サービスへのこだわり」
 第3章 なぜ、独自の品揃えができるのか-「強い購買とセントラルキッチン」
 第4章 どんな場所にも出店できるスーパー-「経営と店舗開発」
 第5章 転機となった買収-「事業への思いと誇り」
 第6章 人が店を作っている自覚-「人材教育へのこだわり」
 第7章 “高級スーパー”と呼ばれたくない-「成功の本質と挑戦」
 おわりに

2)本書から学んだこと
 ・不器用に、そして愚直に「顧客が何を求めているか?」を追求することが、成長につながる!


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posted by まなたけ(@manatake_o) at 20:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経済/ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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