ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2014年01月29日

書くことを通じて自分と対話ながら前に進む!『寝る前10分 人生を変える ココロノート』(河合薫著)



「5年後に必要とされる人材であることに、自信がありますか?」と聞かれ、どれだけの方が胸を張って「自信がある!」と答えられるであろうか?

本書寝る前10分 人生を変える ココロノートは、この問いかけから始まる。著者の河合薫さんは600名近くの方とのインタビューを通じて感じたことは「30代や40代の人たちが、喘いでいる」ということだ。多くの方が喘いでいる....そんな中で、振り切って新たな光に向かって歩き始める人も著者はたくさんみてきた。そのキッカケは”語る”ということ。”語る”ことで自分のことを振り返りながら整理することで光が見えたのである。本書のテーマは、「”語る”を”書く”に変えて自分と向きあい、潜在意識の奥にある”光”を見出し、一歩踏み出すキッカケをつくること」にある。

「書くこと」の効果については多くの本にて語られているが、ここでは赤羽雄二さんの著書『ゼロ秒思考』を紹介したい。

 メモに書くことで、もやもやした思い、懸案事項、考えも整理される。頭がすっきりする。もやっとした思いを言葉に直し、手書きし、目で確認することで、メモが外部メモリになる。そうすると、驚くほど頭の働きがよくなる。そう、人間の頭はそれほどキャパがあるわけではないので、何かに気を取られるとうまく動かないのだ。
 頭がうまく動くようになるだけではなく、なんとなく考えていたこと、なんとなくできていたこと、すなわち「暗黙知」がはっきりと形になる。つまり「形式知」化する。そうか、こうやって自分はやっていたのか、ということを初めて認識する。
(赤羽雄二著『ゼロ秒思考』 P65より)


書くことによって、潜在意識にあった「もやもや」が「はっきりとした形」に見えることができる。本書に書かれているワークは「過去の、そして、なりたい自分との対話」を意識した内容となっている。

そんな「書くことを通じて自分と対話を行う」ことをテーマとした本書の中で、私が特に印象に残った個所がある。それは「未来記憶」に関する記述である。

「未来記憶」と書いて、「なんのこっちゃ?」と思う方も多いであろう。「未来記憶」という概念は、スウェーデンの生物学者であるデービッド・イングバール博士が明らかにした概念である。

「人間の脳には絶えず未来を予知する力があり、人間は本能的に未来への行動計画を想像し、作り上げ、それは前頭葉に記憶されていく。その未来への記憶に合致する行動を意味あるモノとして受け止め、積極的に取り組んだり、努力する。未来と現在の間を行き来しながら、自分の行動を最適化する」
(本書より P19)


心の奥底に作られた「未来への行動計画」。しかし、心の奥底にある意識というものは光を感じているものの、揺らぎ、ぼんやりとした状態のままだ。だが、書くことによって「心の奥底にあるぼんやりとしたもの」が「明確な輪郭」が見えたとき、「自分の価値観」というものに気づく。

最後に本書の文章を読んで感じたことを書きたい。本書の文章を読むと、著者が「一寸先は闇かもしれないが、自分の価値観に気づき、光に向かって進むための助けとなりたい」と願っていることを文脈から感じるのだ。以下の文のように。

 不安の反対は安心ではなく、前に進むことです。前を向いて歩けば、進化した「自分」になれる。
 不安がないと人は変わらないし、不安があるから人は動ける。不安がないと、将来を見通すことすらできない・・・・・・。
 その最初の一歩を踏み出す勇気を、この本を読み終えたときに持てると信じて・・・・・・。
(本書より P2〜P3)



【本書のポイント】

■誰にとっても一寸先は闇

 あなたは「5年後に必要とされる人材である」ことに、自信がありますか?
 この質問にいったいいかほどの人たちが、 「あるある!私は大丈夫!5年後だろうと、10年後だろうと、どんな状況になっても大丈夫」と、胸を張って答えることができるでしょうか。
(中略)
 ホワイトカラー、ゼネラリスト、大企業、部長職、正社員。かつては存在した安定の拠り所が賞味期限を迎えています。企業の寿命と自分のサラリーマン人生の寿命の、どちらかが先に終わるかさえもわからない混沌とした世の中です。
 冷静に社内を見渡せば、ラインを外れた50代には仕事がない。早期退職という名のリストラに遭う可能性は非常に高い。たとえ雇用延長できたとしても、「え?そんな仕事をやらされてしまうのか?」とショックを受けるような"自分"にはなりたくない。
 グローバル化という名の名の下で、それまで中流層が手がけていた仕事は低コストで雇えるアジアなどの外国人の市場になりました。労働のダンピングは日々加速し、自社の得意とする事業分野に経営資源を集中的に投下する戦略、「選択と集中」が横行し、いつなんどき自分の部署がなくなるかもわかりません。
 今の時代は、誰にとっても、一寸先は闇ー。
 それは"できる人だけ"というよりも、"必要とされている人だけ"しか生き残れない時代が到来していることを意味します。
(本書より P15〜P18)


■「未来の記憶」を作る

 この本は"あなたのココロ"をノートに書き出すことで、「5年後の未来」を記憶することを目的にしています。
 「未来の記憶」なんて、意味がわからないと思うかもしれませんが、あなたが必要とされる人材になるためには、未来の記憶を作ることが肝心です。
(中略)
 5年後に必要な人材になるには、会社や社会が押しつける「キャリア」ではなく、自分の意志で描く「キャリア」を作らなくてはなりません。
 「どんな働き方をしたいのか?」、「どんな生き方をしたいのか?」。何度でも自問する。そこで得た答えが、"光"です。光を見つけるのは決して難しい作業ではありません。自分の心と対話すればいい。たったそれだけです。
 「5年後に必要とされる人材になる」ためには、自分の生き方を、大切なものを見極めることが必要です。そして自分を信じ、一歩踏み出す勇気を持つ。それは、納得できる人生を作り上げることでもあります。
 その未来の光を、ココロノートに記憶するのです。
(本書より P18〜P21)


■ライティングメソッドの効用

 この「書く」という行為が、古くから認知行動療法などに用いられたライティングメソッドと似ていると知ったのは、大学院でストレス研究を始めてからでした。ライティングメソッドは心理療法の一つで、自分の気持ちを言葉にして書き出すことで、人間前向きな力を引き出す方法です。
 書くことには、カタルシス効果があるため、「書く」だけですっきりします。また、自分について書くには、自己を客観的に見るまなざしが必要となるため、本当の自分の気持ちや状態を知ることができます。気持ちが言葉に変換されると、自分が言いたかったこと、すなわち「自分の言い分」がきちんと整理されます。
 さらに、書いたものを何度でも読み返すと、思考回路が刺激を受け、それまで見えていなかったことが見えてくる。そんないくつもの効果が、「書く」という行為には存在するのです。
(中略)
ココロノートは、あなたの潜在意識を言葉に換えるノートです。心の中にあるものを吐き出し、自分と対話し、前に進むエネルギーを引き出してください。
(本書より P53〜P54)


■あきらめたくない

 バブルが崩壊して以降、私たちはいろいろなことを、あきらめなければならなくなりました。それまで当然だったことが当然でなくなり、当たり前だったことが当たり前ではなくなりました。
 そして、これから先も、あきらめなければならないことは増えていくかもしれません。
 私が社会人になった頃、今のような時代がくるとは、これっぽっちも想像していませんでした。キラキラ光り輝く未来が待っている。そう信じていました。
 しかしながら、時代は変わり、そんな未来はこないことがわかりました。その一方で、あの時代には気付かなかったころに、価値を見いだすようにもなりました。
 働き方、キャリア意識も変わりました。いや、変わりつつある、といったほうが正確かもしれません。あるいは、その変化を無意識に否定している自分が心の底にいる。
 だから不安なのです。取り巻く環境と、自分の気持ちと、その気持ちの奥に潜む潜在意識が、あべこべなのです。
 おまけに、社会が未知の時代に突入したことで、自分の力ではどうすることもできない、予期せぬ雨に降られて、途方にくれるような事態に遭遇するかもしれないという不安もある。
 その不安から逃れるために、思考停止に陥っているように思います。
 だからこそ、自分の心と向き合い、自分の足で立つ努力が必要なのです。
(本書より P151〜P152)


【関連書籍】





寝る前10分 人生を変える ココロノート: 5年後、必要とされる人材になる!

1)本書の内容
 
 プロローグ 5年後、必要とされていますか?
 レクチャー1 ココロノートとは。 
 レクチャー2 自分史を作る  
 レクチャー3 サクセスストーリーを作る
 レクチャー4 マイ・キャリアを作る
 エピローグ

2)本書から学んだこと
 ・不安があるからこそ人は変われる!
 ・書くことを通じて自己との対話を行う!
 ・未来の光をココロノートに記憶する!



ブログランキングに参加しております。よろしかったらクリックをお願いいたします。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
そして「よい記事!」と思ってくださった方は、下の【Twitterでつぶやく】【facebook いいね!】【はてなブックマーク】等のボタンのクリックをお願いいたします!
タグ:自己啓発
posted by まなたけ(@manatake_o) at 23:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 自己啓発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月24日

謎多き企業”アマゾン・ドット・コム”ついて書かれた初の「半公式」の本!『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』(ブラッド・ストーン著)



アマゾン・ドット・コム......言わずと知れた世界最大級のオンラインショッピングサイトである。同社はオンライン書店としてスタートを切ったのち、音楽・映画・家電と取り扱い商品を拡大していった。そして近年は電子書籍と電子書籍リーダーであるKindle、クラウドサービスのアマゾンウェブサービス(AWS)の提供など、テクノロジー企業としての側面も見せている。

だが、世界最大級のオンラインショッピングサイトにも関わらず、アマゾン・ドット・コムという企業、そして創業者のジェフ・ベゾスについて書かれた本は、他の有名なスタートアップ起業家のそれと比べると圧倒的に少ない。それゆえにアマゾン・ドット・コムは「謎多き企業」として有名だ。ジェフ・ベゾスのマスコミ嫌いも影響しているのだろう。しかし、今回、初のアマゾン・ドット・コムの企業史とも言える内容の本が登場した。それが本書ジェフ・ベゾス 果てなき野望である。

謎多き企業「アマゾン・ドット・コム」のついて書かれた本書の価値は、解説の滑川海彦さんの以下の言葉からも推しはかることができる。

 謎の鍵はアマゾンの創業者、大株主、CEOとして20年間にわたって絶対的に君臨するジェフ・ベゾスにある。これまでジャーナリストやアナリストが、アマゾンとジェフ・ベゾスについて、さまざまな分析を試みてきた。しかし、ベゾスの秘密主義に阻まれて、本人はもちろん、社員、関係者からも証言をほとんど得られなかった。
 ところがそのベゾスが、本書の著者、ブラッド・ストーンには「本書の支援を約束し、経営幹部、家族や友だちへの取材も許可してくれた」という。ほかのジャーナリストには与えられたことがない破格の扱いだ。本書は、アマゾンとベゾスについての初の「半公式」な伝記と言えるだろう。
(本書より P481より)


新興ヘッジファンドのD・E・ショー勤務時代に思いついたアマゾンのアイデア、シアトルでの起業、1995年のサイトオープン、ワンクリックのアイデア、異常とも思える「利益なき」急成長路線、ジャーナリストそして金融アナリストとの対立、ドットコムバブルの崩壊に伴う会社の窮地と社内の対立、宇宙への思いとブルーオリジン、クラウドサービスAWS、電子書籍とKindle、ザッポスの買収など、今までアマゾンに関する大きな話題が、アマゾン関係者の証言やエピソードが多々織り交ぜられながら書かれている。1998年のホリデーシーズンに設けた「やってみよう賞」の賞品が「ぼろいスニーカー」というようなエピソードは、他書ではお目にかかることはないだろう。

そんなアマゾンに関するエピソードが満載の本書で興味を引いたのが「エブリシング・ストア」というビジョンである。これはインターネット上にあらゆる商品を取り扱うことができる空間を作るというビジョンである。「なぜ、アマゾンは”負の経営循環”とも言える経営手法を取りながら、貪欲なまでに成長路線を続けるのか?」「なぜ、えげつないとも言える手法で他社を買収するのか?」「なぜ、ベゾスは例え世界を敵に回しても、自分の信念を貫き続けるのか?」アマゾン創業から20年間変わっていないこのビジョン、そしてビジョン実現に対するブレないスタンスを本書で知ったとき、その理由が垣間見えた気がする。

本書では、多くの混乱を招きながらも、単なるオンライン書店企業からプラットホーム企業に変貌した様子が描かれている。しかし、ベゾスからみるとまだまだ道半ばであろう。今後アマゾンがどのような姿に変貌するのか?そのとき、小売業はどのように変化しているのか?本書に書かれたアマゾンの20年の歴史を知るとこで、今後も目が離せない企業であることを改めて再認することは間違いない。


【関連書籍】



ジェフ・ベゾス 果てなき野望

1)本書の内容
 
 プロローグ 優秀な技術系創業者の物語/けたたましい声で笑う男
 第I部 信念を貫く
  第1章 アマゾンは金融工学の会社から生まれた
  第2章 冷たい目を持つ聡明な男
  第3章 ベゾスの白昼夢と社内の混乱
  第4章 宿敵アナリストに打ち勝つ
 第II部 書店サイトだけでは終わらない
  第5章 ロケット少年
  第6章 混乱続きの物流システム
  第7章 テクノロジー企業であって小売企業ではない
  第8章 キンドル誕生
 第III部 伝道師か、金の亡者か
  第9章 グーグル、アップルと並ぶ会社になる
  第10章 ご都合主義
  第11章 疑問符の王国



ブログランキングに参加しております。よろしかったらクリックをお願いいたします。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
そして「よい記事!」と思ってくださった方は、下の【Twitterでつぶやく】【facebook いいね!】【はてなブックマーク】等のボタンのクリックをお願いいたします!
タグ:IT/Web
posted by まなたけ(@manatake_o) at 23:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | IT/Web | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月20日

「他者の評価」から「他者への貢献」に意識を切り替え、主体的に生きる!『嫌われる勇気』(岸見 一郎/古賀 史健著)



アルフレッド・アドラー。フロント、ユングと並び「心理学の三大巨頭」の一人であり、世界的名著『人を動かす 新装版』の著者であるD・カーネギーや『7つの習慣―成功には原則があった!』の著者であるフランクリン・コヴィーに大きな影響を与えた人物として世界的に知られているらしい。「らしい」と書いたのは、本書嫌われる勇気を読むまで、私はアルフレッド・アドラーを全く聞いたことがなかったからだ。

本書『嫌われる勇気』には、アルフレッド・アドラーの思想をもとに、「どうしたら幸せになれるか?」について書かれている。その考え方は、「縦社会」「村社会」で生きている日本人にとっては衝撃を受ける思想のように思う。通常の本のように文章を羅列して書いてもしアドラーの思想を理解するのは恐らく難しいかもしれない。そのため、読者がアドラーの思想を理解しやすくするための工夫として、本書は「哲人と青年の対談」よいう形で展開している。青年は、言うまでもなくアドラーの思想を知らない我々読者である。

本書のポイントとなる論旨をピックアップすると、以下のようになる。

・過去の「原因」ではなく、今の「目的」を考える
・人間の悩みは、全て人間関係の悩みである
・他者の課題には介入せず、自分の課題には誰ひとりとして介入させない(課題の分離)
・自分の主観によって「わたしは他者に貢献できている」と思えること(横の関係)
・「いま、ここ」を生きる


このように書くと、いたって自己啓発書で「ごく一般的に言われている内容」のように思うかもしれない。

では、本書の次の文章を読んだとき、どのように感じるだろうか?

 ほめるという行為には「能力のある人が、能力のない人に下す評価」という側面が含まれています。(本書 P197より)

 劣等感とは、縦の関係の中から生じる意識です。(本書 P199より)


ほめることの否定、これを聞いたとき驚いた方も多いのではないだろうか?日本人は褒める/褒められることを良しとしてきた。また、「評価する/評価される」ということにおいては常に我々の日々の生活の中で意識してきていることである。それを否定するということは多くの日本人にとって衝撃を受けるであろう。だが、これには続きがある。アドラーの思想では「縦の関係」を否定している。言い方を変えると「評価の否定」である。そのため、このようにも述べている。

 もしあなたが異を唱えることによって崩れてしまう程度の関係なら、そんな関係など最初から結ぶ必要などない。こちらから捨ててしまってかまわない。関係が壊れることだけを怖れて生きるのは、他者のために生きる、不自由な生き方です。(本書 P194より)


その一方で、アドラーの思想は「他者への貢献」を重視する。そのため、褒め言葉である「ありがとう」という言葉の捉え方もアドラーの思想では変わってくる。

 ほめられるということは、他者からの「よい」と評価を受けているわけです。そして、その行為が「よい」のか「悪い」のかを決めるのは、他者の物差しです。もしほめてもらうことを望むのなら、他者の物差しに合わせ、自らの自由にブレーキをかけるしかありません。一方、「ありがとう」は評価ではなく、もっと純粋な感謝の言葉です。人は感謝の言葉を聞いたとき、自らが他者に貢献できたことを知ります。(本書 P205より)


つまり「ありがとう」という言葉を「評価」の言葉ではなく「貢献」の言葉と捉える。その根源には「他者の評価で生きるのではなく、たとえ他者から嫌われようとも他者に貢献するという”主体的な生き方”が出来れば道に迷うことはない」という考え方がある。そしてそれは、「わたしが変われば、世界が変わる。わたし以外の誰も世界を変えてくれない」(本書より P281)という考え方につながっていく。

我々の多くが「他者の評価」を気にしなが日々を過ごしていると思う。その一方で、我々の多くが本書のキーワードとなっている「主体的な生き方」を望んでいる。そんな我々に対し、本書の哲人と青年のやり取りにおいて「主体的な生き方とは何か?」に気づくためのヒントが書かれている。

「他者に嫌われようとも”他者への貢献”という星を掲げて主体的に生きる」、このような考え方を知ったとき、人生をもっと気楽に生きることができるのではなかろうか?そんなキッカケを与えてくれる本である。


【本書のポイント】

■すべての悩みは「対人関係の悩み」である

哲人 孤独を感じるのは、あなたひとりだからではありません。あなたを取り巻く他者、社会、共同体があり、そこから疎外されていると実感するからこそ、孤独なのです。われわれは孤独を感じるのにも、他者を必要とします。すなわち人は、社会的な文脈においてのみ、「個人」になるのです。

青年 ほんとうにひとりなら、つまり宇宙のなかにひとりで存在していれば「個人」でもないし孤独を感じない?

哲人 おそらくは、孤独という概念すら出てこないでしょう。言葉も必要ありませんし、論理も、コモンセンス(共通感覚)も必要なくなります。ですが、そんなことはありえません。たとえ無人島に暮らしていたとしても、遠い海の向こうにいる「誰か」を考える。ひとりきりの夜であっても、誰かの寝息に耳を澄ます。どこかに誰かがいるかぎり、孤独は襲ってくるはずです。

青年 しかしですよ、先ほどの言葉は、言い換えるなら「宇宙のなかにただひとりで生きることができれば、悩みはなくなる」となるわけですよね?

哲人 理屈上ではそうなります。なにしろアドラーは「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」とまで断言しているのですから。

青年 いま、なんとおっしゃいました!?
(本書より P70〜P71)


■「課題の分離」とはなにか

哲人 勉強することは子どもの課題です。そこに対して親が「勉強しなさい」と命じるのは、他者の課題に対して、いわば土足で踏み込むような行為です。これでは衝突を避けることはできないでしょう。われわれは「これは誰の課題なのか?」という視点から、自分の課題と他者の課題を分離していく必要があるのです。

青年 分離して、どうするのです?

哲人 他者の課題には踏み込まない。それだけでs。

青年 ・・・・・・それだけ、ですか?

哲人 およそあらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと−あるいは自分の課題に土足で踏み込まれること−によって引き起こされます。課題の分離ができるだけで、対人関係は激変するでしょう。
(本書より P140〜P141)


■対人関係のゴールは「共同体感覚」

青年 では伺います。ここはシンプルに、結論だけお答えください。先生は、課題の分離は対人関係の出発点だとおっしゃいました。じゃあ、対人関係の「ゴール」はどこにあるのです?

哲人 結論だけを答えよというなら、「共同体感覚」です。

青年 ・・・・・・共同体感覚?

哲人 ええ。これはアドラー心理学の鍵概念であり、その評価についても議論の分かれるところでもあります。事実、アドラーが共同体感覚の概念を提唱したとき、多くの人々が彼のもとを去っていきました。
(中略)
哲人 そして共同体感覚とは、幸福なる対人関係のあり方を考える、もっとも重要な指標なのです。

青年 じっくり聞かせていただきましょう。

哲人 共同体感覚のことを英語では「social interest」といいます。つまり、「社会への関心」ですね。そこで質問ですが、社会学が語るところの社会の最小単位は何だかご存じですか?

青年 社会の最小単位?さあ、家族でしょうか。

哲人 いえ、「わたしとあなた」です。ふたりの人間がいたら、そこに社会が生まれ、共同体が生まれる。アドラーの共同体感覚を理解するには、まずは「わたしとあなた」を起点にするといいでしょう。

青年 そこを起点にどうするのです?

哲人 自己への執着(self interest)を、他者への関心(social interest)に切り替えていくのです。

青年 自己への執着?他者への関心?なんの話ですかすれは?
(本書より P178〜P181)


■人生最大の嘘

哲人 目標など、なくていいのです。「いま、ここ」を真剣に生きること、それ自体がダンスなのです。深刻になってはいけません。真剣であることと、深刻であることを取りちがえないでください。

青年 真剣だけど、深刻ではない。

哲人 ええ、人生はいつもシンプルであり、深刻になるようなものではない。それぞれの刹那を真剣に生きていれは、深刻になる必要などない。
 そしてもうひとつ覚えておいてください。エネルゲイア的な視点に立ったとき、人生はつねに完結しているおです。

青年 完結している?
(中略)
哲人 そのとおりです。ここまでわたしは、何度となく人生の嘘という言葉を使ってきました。そして最後に、人生における最大の嘘とはなにかをお話しましょう。

青年 ぜひ教えてください。

哲人 人生における最大の嘘、それは「いま、ここ」を生きないことです。過去を見て、未来を見て、人生全体にうすらぼんやりとした光を当てて、なにか見えたつもりになることです。あなたはこれまで、「いま、ここ」から目を背け、ありもしない過去と未来ばかりに光を当ててこられた。自分の人生に、かけがえのない刹那に、大いなる嘘をついてこられた。

青年 ・・・・・・ああ!

哲人 さあ、人生の嘘を振り払って、怖れることなく「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当てなさい。あなたには、それができます。

青年 わたしに、それができますか?人生の嘘に頼らず、この刹那を真剣に生き切る”勇気”が、このわたしにあると思われますか?

哲人 過去も未来も存在しないのですから、いまの話をしましょう。決めるのは昨日でも明日でもありません。「いま、ここ」です。
(本書より P274〜P276)


【関連書籍】





嫌われる勇気

1)本書の内容
 
 第1夜 トラウマを否定せよ
 第2夜 すべての悩みは対人関係
 第3夜 他者の課題を切り捨てる
 第4夜 世界の中心はどこにあるか
 第5夜 「いま、ここ」を真剣に生きる

2)本書から学んだこと
 ・「課題の分離」が重要!
 ・「共同体感覚」を持つことが必要!
 ・「他者貢献」を意識し、主体的に生きる!



ブログランキングに参加しております。よろしかったらクリックをお願いいたします。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
そして「よい記事!」と思ってくださった方は、下の【Twitterでつぶやく】【facebook いいね!】【はてなブックマーク】等のボタンのクリックをお願いいたします!
タグ:自己啓発
posted by まなたけ(@manatake_o) at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 自己啓発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。