ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2013年12月30日

一度は読むべし!著者に代わって本を作る「ブックライター」という職業の本を!『職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法』(上阪徹著)



ビジネス書の多くは著者の代わりにライターが書いている。出版業界では一般的であるこのスタイルも、世間一般にはあまり知られていない。「著者=本を書いている人」という認識が一般的であろう。その認識が強いことも影響し、著者に代わって文章を書いているライターは「ゴーストライター」という、ありがたくない名前を頂戴している。だが、それに代わる職種の定義がないのもまた事実である。このような状況の中、著者の代わりに本を書くライターに対して明確な職種名を定義し、どのような仕事をしているのかを書き表した本が、本書職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法である。

本書では「著者の代わりに本を書く人」を「ブックライター」と定義している。では、ブックライターとはどんな仕事か?本書の以下の文章を読むと、それが分かると思う。

 本を書いているのは私で、著者は別の人の名前で刊行される、ということに違和感を持つ人もいるかもしれませんが、もとより私が勝手に”作文”しているわけではありません。
 文章の素材になっているのは、あくまで著者自身の経験であったり、知見であったり、ノウハウであったりします。それを十数時間の取材で引き出し、本の形にまとめるのが、私の仕事
です。言ってみれば、内容を構成する力や文章を書く力を、著者に代わって提供している、というわけです。(本書より P21)


なぜ出版業界ではブックライターが著者の代わりに本を構成し、文章を書いているのか?それは、ブックライターが書いた方が、著者にとっても、出版社にとっても、ひいては読者にとってもメリットが大きいからだ。

1冊の本を書くのに10万字書かなければならない。著者が自分で原稿を書くとなったら、原稿を書き上げるのに相当なパワーが必要なことは想像に難くない。だが、10万字の文章を書きあげる時間的余裕があり、書きあげることができる者しか本を出すことができないとなったら、多くの素晴らしいノウハウやコンテンツを享受できないという状況が生まれてしまう。それは世の中にとって、かなりもったいなのではないか?

世の中の多くの方は、素晴らしい経営者の考え方などを本を通じて知りたいと思うはずだ。だが、多くの経営者は忙しい。10万字の文章を書き上げる余裕はほとんどない。そんな忙しい著者の代わりに、本を書くプロであるブックライターが、プロの技量をもって、著者の伝えたいノウハウや意図をくみながら1冊の本を書きあげる。ブックライターとは「素晴らしいコンテンツを持っている著者と読者をつなぐ役割を担っている存在」なのだ。

本書では凄腕ライターとして認識されている上阪さんのブックライターとしての仕事を惜しげもなく披露している。例えば、以下のように。

 そこにない切り口の本を出すには、今どんな切り口の本がそこにあるのか、理解できていないといけません。まずは、そのテーマをめぐる”相場”を理解することが重要です。(本書より P83)

 そしてもうひとつが、”読者”について考えをめぐらすことです。どんな人が読者になりうるのか。どんな人に読んでほしいのか。どんな人の役に立てる本なのか。(本書より P83)

 ブックライターとしての仕事も、素材を集める段階でクオリティの七割は決まってしまうと思っています。書くことの重要性は、三割に満たない。それくらい言い切ってもいいと考えています。(本書より P94)

 その上で、企画のテーマについて、しっかり素材を引き出すためには、どんな取材が必要なのか。「取材のための目次」を作り上げるのです。(本書より P97)

 つまり、250枚の一冊の本は、込みだしのついた50の塊からなっている、ということです。5枚といえば、2000文字。2000文字程度の構成要素が、50揃って、本はできているのです。(本書より P131)


なぜ、このように自分のノウハウを惜しげもなく披露しているかというと、それは上阪さんの「優秀なブックライターが足りない」という危機意識、そして「ブックライターという仕事は素晴らしい誇りある仕事であることを多くの人に知ってほしい」という思いからにほかならない。

人間として成長させてくれる著名人との出会い。著者の持っているコンテンツや思いを1冊の本に書き表すために、構成を考え、10万字を文章として書き起こす高度なスキルの提供。そして、本書に書かれている上阪さんのうらやましいいライフスタイル。これを読むとブックライターの仕事とはなんて魅力ある仕事であろうか。

ブックライターとしてのスキルを惜しみなく披露している本書。読み終えたとき、その素晴らしい内容とともに、上阪さんの「ブックライターとしての誇り」に尊敬の念がこみあげた。ブロガー、ライター志望者に限らず、文章を書く必要のある方は、必ず読んでおくべき本だと思う。


【本書のポイント】

■「ゴーストライター」ではなく「ブックライター」です

 私の仕事を端的に表現しようとしたなら、「フリーライター」ということになると思います。しかし、どうにもこの職種名にピンとこない自分がずっといます。世の中的な「フリーライター」のイメージと、私自身の状況がいまひとつマッチしなかったからです。
 フリーライターという職種名を聞くと、「そんな仕事で食べていけるのですか」と単刀直入に聞かれることもあります。どうやら、社会的な信用度は今なお決して高くないようです。
(中略)
 一方、フリーライターという呼び名と並んで、もうひとつ、本を代行して書く仕事にはあまりありがたくない呼び名があります。それが、「ゴーストライター」です。仕事の説明をするときに、わかりやすいからと、私自身もこの呼び名を使ってしまうこともあります。そうすると、すぐに「なるほど」という顔をされますが、正直あまり使いたくない言葉でもあります。
(中略)
 私は構成力や文章力という技術を提供しています。もとより自分の本を毎月、作ることなど、私にはとてもできません。しかし、コンテンツを持つ人とのコラボレーションによって、毎月のように本の出版に関わることが可能になっているのです。
 そこで本書では、この仕事について新しい名前を付けてしまってはどうか、と編集の唐沢さんと話をしたのでした。そこで出てきたのが、本のタイトルにもなっている「ブックライター」です。
 フリーライター、ゴーストライターのイメージが少しでも変わる、新しい名前を世に訴えてみてはどうか。それが「ブックライター」という呼び名、というわけです。(本書より P5〜P7)


■ブックライターという仕事がなぜあるのか

 実はビジネス書に限らず、多くの本でこのスタイルの書籍制作が行なわれています。理由は極めてシンプルです。ブックライターが書いた方が、著者にも出版社にも大きなメリットがあるからです。
 多くのケースで、著者は文章を書くことや本を書くことを専業にしているわけではありません。文章を書きなれていない、そんな彼らに本作りを委ねては、相当な時間がかかってしまいます。
 しかも、原稿を書くには大きなパワーが必要です。本を書くことに時間を取られ、本業に差し障りが出てしまっては、本末転倒です。本業で優れた成果を出したり、世の中に大きな価値を生み出している人には、それはあまりにもったいない話。そんなことよりも本業に邁進してもらったほうが、ご本人にも社会にもプラスです。
 さらに出版社とすれば、著者にベストのタイミングで本を出してもらうことが、最も価値を生み出します。ブックライターがすばやく著者に代わって書くことで、タイミング良く本を世の中に出していける、というわけです。
 ブックライターという他人に書いてもらって本を出す必要はないのではないか、と思われる人もいるかもしれませんが、自分で書く人にしか本が出せない、ということになれば、多くの本は世に出ないと思います。さまざまな学びが得られる本を、読むことができなくなるということ。果たして、世の中にとって本当にそれでいいのかどうか。これもまた、あまりにもったいない話だと思うのです。(本書より P21〜P22)


■「売れそうな本」ではなく、あくまで「いい本」

 本が売れるかとうかは、結果だと思っています。大事なことは、そんなことより、「いい本」を作ることだと私は考えています。
 まだ世の中にないと思えるような、読者の本当に役に立つ本が作れるかどうか。
 世の中に新しいメッセージを、新しい価値を発信していくことができるかどうか。
 著者が持っている貴重な情報やメッセージを、すべてうまく伝えきれるかどうか。
 著者やブックライター、さらには編集者の思いが詰まった本にできるか。

 私がいつも考えているのは、そのことです。
 だから、結果に一喜一憂したりはしません。いい本だったのにうれなかた、という考え方もしない。それは自分ではコントロールできないことだから。売れるかどうかは、運や縁やタイミングも大きいのです。私にできることは「いい本」を作るということだけです。(本書より P89)


■文章に自信がないから、いい素材集めに全力傾注

 もうひとつ、ブックライターとして本作りに携わるときに、大事にしていること。それは、「素材」にこだわることです。経験であったり、事実であったり、独自の意見であったり。
 だから、他の著者の本をブックライターとしてお手伝いするときに、書くことよりもはるかにパワーをかけるのが、取材です。ブックライターなのだから、書くことに一番力を入れるのではないか、と創造されると思いますが、実はそうではありません。
 ブックライターは著者に代わって”作文”をするわけではないのです。あくまmで著者の持っているコンテンツを編集して文章化するのが、仕事です。
 にもかかわらず、取材で素材がうまく拾えなかったら、どうなるか。それこそ、文字通り”作文”をしなければならなくなります。しかし、本は著者のものなのです。著者が語っていないことを書くことは、許されないことです。(本書より P92)


■人間としての大きな成長をもたらしてくれる仕事

 ところがフリーになり、たくさんの「成功者」たちに取材をさせてもらったことで、私は大きく変わりました。つねに物事に謙虚であること。起きていることを受け入れること。ご縁や偶然を大切にすること。自分のためでなく誰かのために働くこと。自分の幸せは自分で定義すること・・・・・・。たくさんの学びを、私は得ることになりました。
(中略)
 そして今も、たくさんの取材で新たな考え方を学び続けています。単に仕事人としてのスキルだけでなく、人間としてどう生きていくべきか、人生をどう送るか、その作法が学べている気がします。おそらくこの仕事をしていなければ、こんなにも人間として鍛えられたかどうか。
 実際、著名な人たち、成功している人たちの多くが、謙虚で、サービス精神旺盛で、いい人が少なくありませんでした。人間的に優れていました。「その程度で満足していてどうする」とう無言のプレッシャーをいつも、私はもらっていました。
 逆に言えば、ブックライターとして生きる、ということは、そうした著名人と接することで、日常的に自分に負荷をかけられたことは間違いないと思います。もっといえば、才能ある著名人と同等レベルにまで自分を引き上げなければ、信頼をもらうことができないこともある。人間としての大きな成長も、求められてくるのが、この仕事だと思っています。
 なんと幸運な仕事なのか。こうして本書を書き上げようとしている今も、それを改めて感じています。(本書より P227〜P228)


【関連書籍】



職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法

1)本書の内容
 
 第1章 ブックライターの仕事はこんなに楽しい 仕事のスタイル
 第2章 ブックライターの仕事のパートナー 出版社・編集者との関係作り
 第3章 素材が七割、書くのが三割 企画と取材
 第4章 「二五〇枚を一本」ではなく「五枚を五〇本」 目次を作る
 第5章 毎月一冊すらすら書く技術 書き方と時間管理
 第6章 ブックライターとして生きていくには 仕事に向かう心構え

2)本書から学んだこと
 ・素材が7割、書くのが3割!
 ・やはりコミュニケーションが大事!
 ・「ブックライター」とは人間としての成長をもたらす仕事!



ブログランキングに参加しております。よろしかったらクリックをお願いいたします。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
そして「よい記事!」と思ってくださった方は、下の【Twitterでつぶやく】【facebook いいね!】【はてなブックマーク】等のボタンのクリックをお願いいたします!
posted by まなたけ(@manatake_o) at 18:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 表現/プレゼンテーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。