ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2013年12月17日

今いる場所に集まっているのは「友だち」か「仲間」か?『君に友だちはいらない』(瀧本哲史著)



君に友だちはいらない....タイトルだけを見ると「友だち不要、独りで生きることを提唱しているのか?」と思ってしまう。しかし、この本の本当のタイトルは副題にある「The Best Team Appproach to Change the World」であり「武器としてのチームづくり」なのだ!

なぜ著者は「武器としてのチームづくり」を提唱するのか?それは現在の我々を取り巻く「グローバル資本主義の進展」「コモディティ化」が大きなキーワードとなっている。

「グローバル資本主義の進展」は我々が「良いものをより安く」という我々の欲望が作り上げた結果である。製造業もコスト削減のもと、よりコストが安い国で工場を建て、現地の人間を雇い、モノを製造してきた。そしてその結果、進出した国は技術を習得し、自分達でモノを製造できるようになった。パソコンを例に取ると、今や世界を席巻しているのは中国のlenovoや台湾のASUSといった新興国のメーカーである。家電も韓国企業が圧倒している。今や家電やパソコンは、どのメーカーを買おうがたいした差のない「コモディティ」となってしまった。

コモディティ化は人材の世界にも訪れている。企業の仕事はどんどんとコンピュータに置き換えられた。また、コールセンター業務やプログラミング業務に代表されるように、海外をはじめとした人件費が安い所にアウトソーシングされるようになった。その結果、何が起っているのか?人件費の抑制である。そのことについて本書では以下のように述べている。

 働いても働いても、暮らしが楽にならない。企業の業績はよいのに、働く人々の生活は変わらない。昨今大きな社会問題となっている「ブラック企業」が増え続ける本質的な原因も、人間のコモディティ化にある。ブラック企業では、商品同様、コモディティとなった人材はたとえ正社員であっても安く買い叩かれる。(本書より P5)


そんな状況下において、人材のコモディティ化を乗り越えるための方法として本書で提唱しているのが「武器としてのチームを自ら創り出すこと」である。本書は、「プロメテウスの罠」取材チームや「オトバンク」などを具体的な事例を用いながら「武器としてのチームづくり」の方法を教示している。

そして、「理想のチーム」の象徴として表しているのが本書の表紙に掲載している『七人の侍』である。『七人の侍』は黒澤明監督の代表作。スティーブン・スピルバーグやジョージ・ルーカスが自らの映画を作る時にも『7人の侍』をお手本にしたというのは有名な話である。しかし、『七人の侍』のシナリオが黒澤明、橋本忍、小国英雄といった日本を代表する脚本家のチームによってつくられたことはあまり知られていない。そんな少数精鋭のチームで創られたからこそ圧倒的完成度を誇り、世界を驚かすような作品に仕上がった。

だが、小数精鋭のチームによるプロダクトやサービスの創造はシリコンバレーにお株を奪われた。著者は「今こそ再び小数精鋭のチームによる変革を!」と主張する。

本書のタイトルにある「友だち」と、本書のキーワードである「仲間」という2つの言葉。この2つの言葉は、本書では「友だち」は馴れ合い、「仲間」は「課題を解決することをコミットメントするためにために集まったメンバー」という「似ているが、全くかけ離れた存在の象徴」として使われている。あなたが今いる場に集まっているのは「友だち」なのか?それとも「仲間」なのか?本書のタイトルを君に友だちはいらないとしたのも、本書から読者に対する先の問いかけの意味が含まれているように思う。


【本書のポイント】

 コモディティ化がすすむふつうの個人が個人の力だけで立ち向かうのは無謀すぎる。弱者こそチームの力を利用せよ。(本書より P96)

 圧倒的な成果がひとりの天才によってなされたと考えるのは後世の人が作った幻想。実際にはチームの力であり、『七人の侍』はその内容も、成り立ちもチームの重要性を象徴している(本書より P97〜P98)

 SNSで、友だちの数を競ったり、ライン(メッセンジャーサービス)の既読に一喜一憂したり、居酒屋やシェアハウスで、愚痴を言い合ったり、そんな、「友だち」ごっこは、やめにしないか、人生の無駄遣いである。(本書より P171)

 自分のネットワークが弱い多様性を確保しているか常にチェックせよ(本書より P175)

 強いチームをつくるには、冒険者となって、ビジョンとストーリーを語れ。ビジョンを作るうえでもっとも大切なことは、「でかすぎる絵を描くこと」。勇気を持って、ぶちあげろ。(本書より P208〜P209)

 他人の作った、作り物の物語を消費するのではなく、自分自身の人生という物語の脚本を書き、演じろ。(本書より P321)


【関連書籍】



君に友だちはいらない

1)本書の内容
 
 第1章 秘密結社をつくれ
 第2章 本当の「よいチーム」とはなにか
 第3章 ビジョンをぶちあげろ、ストーリーを語れ
 第4章 よき仲間との出会いのために
 第5章 チームアプローチはあなたと世界をどう変えるか

2)本書から学んだこと
 ・「人材のコモディティ化」を乗り越えるには「武器としてのチーム」が必要!
 ・緩やかな組織に身を置きながら課題解決のために仲間とともに立ち向かう!
 ・「友だち」と「仲間」は似て非なるものである!



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タグ:働き方
posted by まなたけ(@manatake_o) at 21:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 働き方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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