ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2013年12月21日

「面倒なバックオフィス業務から解放されたい」と願うフリーランスや個人事業主の期待に応える本!『世界一ラクにできる確定申告』(原尚美/山田案稜著)



フリーランスにとって恐怖の3月15日...この日は確定申告の締切日である。私はフリーランスではないから、その大変さを実感したことはないが、簿記を知っている人間にとって、「この勘定科目で合っているんだっけ?」と膨大な領収書を前に会計ソフトに入力することを考えると気が滅入るのは必然である。

だが、2013年に誕生した「freee」というクラウド型会計ソフトを使うと、かなりラクに入力することができる。「freee」の最大の特徴は記帳作業の大部分が「自動的に」行われる点にある。例えば、銀行の記帳明細はもちろんのこと、クレジットカードの明細、そしてSuicaなどの交通系ICカードの明細まで自動的に取り込んでくれる。また、ガス代・水道代・電気代などの光熱費などの家事按分を決めたルールで自動的に行ってくれる。読み込んだデータの内容から、該当する勘定科目を予測して候補を表示してくれる(ただし、間違っている可能性もあるので、補正は必要)。このような優れモノの会計ソフトなのだ。

そんな優れモノ会計ソフト「freee」を使いながら、フリーランスや個人事業主が確定申告を行うための実用書が本書世界一ラクにできる確定申告である。

先にも述べたが、本書は、フリーランスや個人事業主のために書かれている本だ。そのため、彼らの状況を考慮した上で、彼等に役立つ内容が盛り込まれている。

一般的にフリーランスや個人事業主の方は経理等のバックオフィス業務に時間を割いている余裕がない。「バックオフィスに費やす時間を本業に充てることができたら」というのが本音であろう。また、税理や簿記の専門家ではないから領収書の金額を会計ソフトに入力するにしても、選んだ勘定科目が妥当かどうかが分からない。また、相談したくても相談できる相手がなかなかいない。本を読んで勉強するにしても、巷に出回っている本は難しすぎるし、本当に知りたいことが書いていない....

だが、本書にはフリーランスや個人事業主が迷いそうな事項(特に経費の扱い)について事例を踏まえて書かれているのが特徴だ。例えば、
 ・家族旅行だが、視察を兼ねているから経費にできないか?
 ・セミナーやレッスン代は経費にできるのか?
 ・オフィスを借りるときの敷金や保証金の計上の仕方は?
など。正解は本書をご覧いただくとして、このような迷いそうな事項はもちろん、領収書を簡単にまとめる方法、確定申告を行うに当たって覚えておいた方がよい事項、青色申告のメリットなどが分かりやすく書かれている。

「はじめに」の最後に書かれている言葉が、この本が意図することを最も的確に表していると思う。

 皆さんが本書の知識を活用して、煩わしい確定申告にとらわれる時間と、ストレスを大きく減らして、売上を上げるために使う時間や、自分や家族のために楽しく過ごせる時間を少しでも増やせるよう、心より願っています。(本書より P4)


時間は有限である。そして、どこに時間を費やすかによって今後が大きく変わる。生活がかかっているフリーランスや個人事業主にとってはバックオフィス業務に時間をかけるのではなく、本業に時間をかけたいに決まっている。「freee」というソフトや本書は、「面倒なバックオフィス業務から少しでも解放されたい」と希望するフリーランスや個人事業主はもちろん、中小企業事業主の期待に応えると思う。

○全自動のクラウド会計ソフト「freee (フリー)」リンク
http://www.freee.co.jp/


【本書のポイント】

 「経費で落とすには、すべて”領収書”と書かれているものをもらわなくてはいけない」
 そう思っていないでしょうか?
 じつは、それはよくある誤解の1つ。いちいち買い物をするたびに「領収書お願いします」「宛名はこちらで」とやっている方がいますが、じつはそんな手間はまったく必要ありません。今すぐやめましょう。
 なぜかといえば、スーパー、コンビニ、その他お店で一般的に発行されるレシートは、そのまま領収書として機能するからです。(本書より P22)

 freeeの最大のポイントは、記帳作業の大部分が「自動的に」処理される点です。freeeのおかげで、決算書作成までの作業は、筆者(山田)の体感で50倍くらい速くなっています。取引の数がたいしてない個人事業主であれば、1ヶ月分の記帳はものの3分から5分くらいで完了してしまうでしょう。(本書より P35)

 プライベートとビジネス生活を切り離せないのが、個人事業主の特徴。
(中略)
 そんな実情をふまえて、確定申告では支払った金額のうち、「事業用に使った割合」をかけて、経費にすることができます。この割合のことを「家事按分割合」といいます。(本書より P105)


【関連書籍】



世界一ラクにできる確定申告 ~全自動クラウド会計ソフト「freee」で仕訳なし・入力ストレス最小限!

1)本書の内容
 
 第1章 確定申告でラクするための準備と考え方
 第2章 世界一ラクできる会計ソフト、発見!
 第3章 確定申告の準備をしよう
 第4章 お金が入ってくるときの処理をマスターしよう
 第5章 お金が出ていくときの処理
 第6章 税金がトクになること、トクにならないけどやらなければいけないこと
 第7章 年に一度だけの決算処理を乗り切ろう
 第8章 ホント?ウソ?確定申告の都市伝説
 第9章 インターネットでラクラク申告

2)本書から学んだこと
 ・「freee」を使えば面倒な会計入力は圧倒的に簡易になる!
 ・ラクにするために必要な知識や手法を活用することが必要!



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2013年12月17日

今いる場所に集まっているのは「友だち」か「仲間」か?『君に友だちはいらない』(瀧本哲史著)



君に友だちはいらない....タイトルだけを見ると「友だち不要、独りで生きることを提唱しているのか?」と思ってしまう。しかし、この本の本当のタイトルは副題にある「The Best Team Appproach to Change the World」であり「武器としてのチームづくり」なのだ!

なぜ著者は「武器としてのチームづくり」を提唱するのか?それは現在の我々を取り巻く「グローバル資本主義の進展」「コモディティ化」が大きなキーワードとなっている。

「グローバル資本主義の進展」は我々が「良いものをより安く」という我々の欲望が作り上げた結果である。製造業もコスト削減のもと、よりコストが安い国で工場を建て、現地の人間を雇い、モノを製造してきた。そしてその結果、進出した国は技術を習得し、自分達でモノを製造できるようになった。パソコンを例に取ると、今や世界を席巻しているのは中国のlenovoや台湾のASUSといった新興国のメーカーである。家電も韓国企業が圧倒している。今や家電やパソコンは、どのメーカーを買おうがたいした差のない「コモディティ」となってしまった。

コモディティ化は人材の世界にも訪れている。企業の仕事はどんどんとコンピュータに置き換えられた。また、コールセンター業務やプログラミング業務に代表されるように、海外をはじめとした人件費が安い所にアウトソーシングされるようになった。その結果、何が起っているのか?人件費の抑制である。そのことについて本書では以下のように述べている。

 働いても働いても、暮らしが楽にならない。企業の業績はよいのに、働く人々の生活は変わらない。昨今大きな社会問題となっている「ブラック企業」が増え続ける本質的な原因も、人間のコモディティ化にある。ブラック企業では、商品同様、コモディティとなった人材はたとえ正社員であっても安く買い叩かれる。(本書より P5)


そんな状況下において、人材のコモディティ化を乗り越えるための方法として本書で提唱しているのが「武器としてのチームを自ら創り出すこと」である。本書は、「プロメテウスの罠」取材チームや「オトバンク」などを具体的な事例を用いながら「武器としてのチームづくり」の方法を教示している。

そして、「理想のチーム」の象徴として表しているのが本書の表紙に掲載している『七人の侍』である。『七人の侍』は黒澤明監督の代表作。スティーブン・スピルバーグやジョージ・ルーカスが自らの映画を作る時にも『7人の侍』をお手本にしたというのは有名な話である。しかし、『七人の侍』のシナリオが黒澤明、橋本忍、小国英雄といった日本を代表する脚本家のチームによってつくられたことはあまり知られていない。そんな少数精鋭のチームで創られたからこそ圧倒的完成度を誇り、世界を驚かすような作品に仕上がった。

だが、小数精鋭のチームによるプロダクトやサービスの創造はシリコンバレーにお株を奪われた。著者は「今こそ再び小数精鋭のチームによる変革を!」と主張する。

本書のタイトルにある「友だち」と、本書のキーワードである「仲間」という2つの言葉。この2つの言葉は、本書では「友だち」は馴れ合い、「仲間」は「課題を解決することをコミットメントするためにために集まったメンバー」という「似ているが、全くかけ離れた存在の象徴」として使われている。あなたが今いる場に集まっているのは「友だち」なのか?それとも「仲間」なのか?本書のタイトルを君に友だちはいらないとしたのも、本書から読者に対する先の問いかけの意味が含まれているように思う。


【本書のポイント】

 コモディティ化がすすむふつうの個人が個人の力だけで立ち向かうのは無謀すぎる。弱者こそチームの力を利用せよ。(本書より P96)

 圧倒的な成果がひとりの天才によってなされたと考えるのは後世の人が作った幻想。実際にはチームの力であり、『七人の侍』はその内容も、成り立ちもチームの重要性を象徴している(本書より P97〜P98)

 SNSで、友だちの数を競ったり、ライン(メッセンジャーサービス)の既読に一喜一憂したり、居酒屋やシェアハウスで、愚痴を言い合ったり、そんな、「友だち」ごっこは、やめにしないか、人生の無駄遣いである。(本書より P171)

 自分のネットワークが弱い多様性を確保しているか常にチェックせよ(本書より P175)

 強いチームをつくるには、冒険者となって、ビジョンとストーリーを語れ。ビジョンを作るうえでもっとも大切なことは、「でかすぎる絵を描くこと」。勇気を持って、ぶちあげろ。(本書より P208〜P209)

 他人の作った、作り物の物語を消費するのではなく、自分自身の人生という物語の脚本を書き、演じろ。(本書より P321)


【関連書籍】



君に友だちはいらない

1)本書の内容
 
 第1章 秘密結社をつくれ
 第2章 本当の「よいチーム」とはなにか
 第3章 ビジョンをぶちあげろ、ストーリーを語れ
 第4章 よき仲間との出会いのために
 第5章 チームアプローチはあなたと世界をどう変えるか

2)本書から学んだこと
 ・「人材のコモディティ化」を乗り越えるには「武器としてのチーム」が必要!
 ・緩やかな組織に身を置きながら課題解決のために仲間とともに立ち向かう!
 ・「友だち」と「仲間」は似て非なるものである!



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タグ:働き方
posted by まなたけ(@manatake_o) at 21:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 働き方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月12日

誇りと生きがいを持ったスタッフが集う舞台をつくる!『奇跡の職場』(矢部輝夫著)



ニュースにもなった東京駅での東北新幹線や上越新幹線のお掃除。株式会社JR東日本テクノハートTESSEI(以下、テッセイ)が行なっている。わずか7分の間で北に向かうお客様を迎えるために素早い動きで綺麗に新幹線をお掃除する。そして、掃除が終わったら整列して一礼する。この様なテッセイのスタッフの姿に多くの方が感動した。

礼 に始まり、礼に終わる。これはテッセイがこだわっていることの一つである。そして、礼を行うのは駅のホームだけではない。車両全体を清掃する田端や小山のサービスセンターのような「お客様が見えないところ」でも行われている。テッセイの仕事は「おもてなし」「旅の思い出づくり」という哲学が現れた光景である。

テッセイも初めからこのようなスタイルで清掃を行なっていたわけではない。現在の姿に至るまでには紆余曲折があった。いわゆる3Kの職場であるお掃除会社が、なぜやる気にあふれ、ハーバード・ビジネススクールから「教材として取り上げさせてほしい」と言われるようになったのか?そこに至る道のりと、テッセイの経営の考え方を表した本が本書奇跡の職場 新幹線清掃チームの働く誇りである。

本書を読んで行く中で気がついたことがあった。それは、著者であるテッセイ・おもてなし創造部長の矢部輝夫さんの気持がマネジメントに現れ、現在のテッセイの姿と結びついていることである。

矢部さんがテッセイへの異動を言い渡されたのは平成17年7月1日。異動当初は「何でこんなところに」という気持ちが強かった。なぜなら、当時のテッセイは評判のよくない会社で会社であったからだ。しかし、入ってみて気がついたことは「現場スタッフの能力は高くまじめで、仕事にも真剣に取り組んでいた」(本書より P43より)ことだ。そして頑張りがきちんと評価されていないことも。会社のマネジメントが悪いのであれば変えようと取り組みはじめた。そのマネジメントスタイルは「地道にコツコツ…」である。

その一つが「エンジェルリポート」である。これは同社でコツコツと頑張っている人たちを紹介する仕組みだ。そして、これは「ほめる」を仕組み化した制度である。そしてそれを制度化した根底にはマネジャーとしての以下の考え方があると思う。

  ほめるということは、言い換えると1人ひとりの努力の成果をきちんと把握し、それを的確に評価することではないのか。それはマネジャーとしての根本的な役割であると思う。そうしたことをいい加減に考えないほうがいいと思う。(本書より P93〜P94)


これは一つの例に過ぎないが、本書に書かれているテッセイのマネジメントの根源は「みんなで力を合わせて誇りと生きがいを育てている」ところにある。それは本書に書かれている一人のスタッフの言葉にも表れている。

「私は、誇りを捨てて清掃員としてテッセイに入りました。でも今私はテッセイで新しい誇りを得ることができました」(本書より P193)


仕事に誇りと生きがいを持った人は輝いている。そしてその輝きが磁力となり、人を寄せ集める。「新幹線劇場」と呼ばれているのは、そんな輝きを持った人々が集っているからではなかろうか?

著者の温かさを感じるとともに、現場の声と歓喜の声が聞こえてくる本である。


【本書のポイント】

 礼に始まり、礼に終わる(本書より P29)

 『旅の思い出』これこそが私たちの商品だ!(本書より P53)

 私たちがご提供しているものは少し違って、それは掃除を通じた「旅の素晴らしさ」です。お客様に旅行の満足をお持ち帰りいただくことなのです(本書より P81)

「世間一般の一流の会社にはなれないかもしれない。戦略や戦術も二流、三流かもしれない。でも、その代わりに実行力では一流になろう」(本書より P161)

 テッセイで働いている人の多くは、紆余曲折を経てここにたどり着いている。ここに来るまでに、さまざまな状況のなかで打ちのめされ、誇りを失ってしまった人も少なくありません。
 でも、そんな人たちに生き生きと働いてもらうためには、誇りを取り戻してもらうことがとても重要なのです。そしてそのためには、認められることが欠かせません。仕事を通じて認められ、評価され、充実感が積み上げられていけば、やがてそれが誇りと生きがいにつながっていくからです。
 ただし組織内においては、たった1人の人間が「よし、誇りと生きがいを持つぞ」と意気込んでみたとしても、あまり意味がありません。それでは、周囲に煙たがられて終わるだけです。つまり言い方を変えれば、誇りと生きがいとは、1人で持つことはできない。みんなが力を合わせてこそ育まれるものだと思います。(本書より P192〜P193)


【関連書籍】



奇跡の職場 新幹線清掃チームの働く誇り

1)本書の内容
 
 プロローグ
 第1章 なぜ「3K」の仕事が奇跡の職場になったのか?
 第2章 成功の種は現場に隠れていた!
 第3章 現場を会社が強くバックアップする!
 第4章 すべてはリーダーで決まる
 第5章 会社は二流でも、実行だけは一流を
 第6章 誇り、生きがいが働く人を輝かせる
 エピローグ

2)本書から学んだこと
 ・成果をきちん把握し評価することで「ほめること」ができる!
 ・みんなで育てるからこそ、仕事に対する誇りと生きがいを実感できる!
 ・誇りと生きがいを持つことができた瞬間に、人生は幕を開く!



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posted by まなたけ(@manatake_o) at 23:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 企業論/組織論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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