ビジネス書のエッセンス(ビジネス書 書評ブログ)

2013年12月30日

一度は読むべし!著者に代わって本を作る「ブックライター」という職業の本を!『職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法』(上阪徹著)



ビジネス書の多くは著者の代わりにライターが書いている。出版業界では一般的であるこのスタイルも、世間一般にはあまり知られていない。「著者=本を書いている人」という認識が一般的であろう。その認識が強いことも影響し、著者に代わって文章を書いているライターは「ゴーストライター」という、ありがたくない名前を頂戴している。だが、それに代わる職種の定義がないのもまた事実である。このような状況の中、著者の代わりに本を書くライターに対して明確な職種名を定義し、どのような仕事をしているのかを書き表した本が、本書職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法である。

本書では「著者の代わりに本を書く人」を「ブックライター」と定義している。では、ブックライターとはどんな仕事か?本書の以下の文章を読むと、それが分かると思う。

 本を書いているのは私で、著者は別の人の名前で刊行される、ということに違和感を持つ人もいるかもしれませんが、もとより私が勝手に”作文”しているわけではありません。
 文章の素材になっているのは、あくまで著者自身の経験であったり、知見であったり、ノウハウであったりします。それを十数時間の取材で引き出し、本の形にまとめるのが、私の仕事
です。言ってみれば、内容を構成する力や文章を書く力を、著者に代わって提供している、というわけです。(本書より P21)


なぜ出版業界ではブックライターが著者の代わりに本を構成し、文章を書いているのか?それは、ブックライターが書いた方が、著者にとっても、出版社にとっても、ひいては読者にとってもメリットが大きいからだ。

1冊の本を書くのに10万字書かなければならない。著者が自分で原稿を書くとなったら、原稿を書き上げるのに相当なパワーが必要なことは想像に難くない。だが、10万字の文章を書きあげる時間的余裕があり、書きあげることができる者しか本を出すことができないとなったら、多くの素晴らしいノウハウやコンテンツを享受できないという状況が生まれてしまう。それは世の中にとって、かなりもったいなのではないか?

世の中の多くの方は、素晴らしい経営者の考え方などを本を通じて知りたいと思うはずだ。だが、多くの経営者は忙しい。10万字の文章を書き上げる余裕はほとんどない。そんな忙しい著者の代わりに、本を書くプロであるブックライターが、プロの技量をもって、著者の伝えたいノウハウや意図をくみながら1冊の本を書きあげる。ブックライターとは「素晴らしいコンテンツを持っている著者と読者をつなぐ役割を担っている存在」なのだ。

本書では凄腕ライターとして認識されている上阪さんのブックライターとしての仕事を惜しげもなく披露している。例えば、以下のように。

 そこにない切り口の本を出すには、今どんな切り口の本がそこにあるのか、理解できていないといけません。まずは、そのテーマをめぐる”相場”を理解することが重要です。(本書より P83)

 そしてもうひとつが、”読者”について考えをめぐらすことです。どんな人が読者になりうるのか。どんな人に読んでほしいのか。どんな人の役に立てる本なのか。(本書より P83)

 ブックライターとしての仕事も、素材を集める段階でクオリティの七割は決まってしまうと思っています。書くことの重要性は、三割に満たない。それくらい言い切ってもいいと考えています。(本書より P94)

 その上で、企画のテーマについて、しっかり素材を引き出すためには、どんな取材が必要なのか。「取材のための目次」を作り上げるのです。(本書より P97)

 つまり、250枚の一冊の本は、込みだしのついた50の塊からなっている、ということです。5枚といえば、2000文字。2000文字程度の構成要素が、50揃って、本はできているのです。(本書より P131)


なぜ、このように自分のノウハウを惜しげもなく披露しているかというと、それは上阪さんの「優秀なブックライターが足りない」という危機意識、そして「ブックライターという仕事は素晴らしい誇りある仕事であることを多くの人に知ってほしい」という思いからにほかならない。

人間として成長させてくれる著名人との出会い。著者の持っているコンテンツや思いを1冊の本に書き表すために、構成を考え、10万字を文章として書き起こす高度なスキルの提供。そして、本書に書かれている上阪さんのうらやましいいライフスタイル。これを読むとブックライターの仕事とはなんて魅力ある仕事であろうか。

ブックライターとしてのスキルを惜しみなく披露している本書。読み終えたとき、その素晴らしい内容とともに、上阪さんの「ブックライターとしての誇り」に尊敬の念がこみあげた。ブロガー、ライター志望者に限らず、文章を書く必要のある方は、必ず読んでおくべき本だと思う。


【本書のポイント】

■「ゴーストライター」ではなく「ブックライター」です

 私の仕事を端的に表現しようとしたなら、「フリーライター」ということになると思います。しかし、どうにもこの職種名にピンとこない自分がずっといます。世の中的な「フリーライター」のイメージと、私自身の状況がいまひとつマッチしなかったからです。
 フリーライターという職種名を聞くと、「そんな仕事で食べていけるのですか」と単刀直入に聞かれることもあります。どうやら、社会的な信用度は今なお決して高くないようです。
(中略)
 一方、フリーライターという呼び名と並んで、もうひとつ、本を代行して書く仕事にはあまりありがたくない呼び名があります。それが、「ゴーストライター」です。仕事の説明をするときに、わかりやすいからと、私自身もこの呼び名を使ってしまうこともあります。そうすると、すぐに「なるほど」という顔をされますが、正直あまり使いたくない言葉でもあります。
(中略)
 私は構成力や文章力という技術を提供しています。もとより自分の本を毎月、作ることなど、私にはとてもできません。しかし、コンテンツを持つ人とのコラボレーションによって、毎月のように本の出版に関わることが可能になっているのです。
 そこで本書では、この仕事について新しい名前を付けてしまってはどうか、と編集の唐沢さんと話をしたのでした。そこで出てきたのが、本のタイトルにもなっている「ブックライター」です。
 フリーライター、ゴーストライターのイメージが少しでも変わる、新しい名前を世に訴えてみてはどうか。それが「ブックライター」という呼び名、というわけです。(本書より P5〜P7)


■ブックライターという仕事がなぜあるのか

 実はビジネス書に限らず、多くの本でこのスタイルの書籍制作が行なわれています。理由は極めてシンプルです。ブックライターが書いた方が、著者にも出版社にも大きなメリットがあるからです。
 多くのケースで、著者は文章を書くことや本を書くことを専業にしているわけではありません。文章を書きなれていない、そんな彼らに本作りを委ねては、相当な時間がかかってしまいます。
 しかも、原稿を書くには大きなパワーが必要です。本を書くことに時間を取られ、本業に差し障りが出てしまっては、本末転倒です。本業で優れた成果を出したり、世の中に大きな価値を生み出している人には、それはあまりにもったいない話。そんなことよりも本業に邁進してもらったほうが、ご本人にも社会にもプラスです。
 さらに出版社とすれば、著者にベストのタイミングで本を出してもらうことが、最も価値を生み出します。ブックライターがすばやく著者に代わって書くことで、タイミング良く本を世の中に出していける、というわけです。
 ブックライターという他人に書いてもらって本を出す必要はないのではないか、と思われる人もいるかもしれませんが、自分で書く人にしか本が出せない、ということになれば、多くの本は世に出ないと思います。さまざまな学びが得られる本を、読むことができなくなるということ。果たして、世の中にとって本当にそれでいいのかどうか。これもまた、あまりにもったいない話だと思うのです。(本書より P21〜P22)


■「売れそうな本」ではなく、あくまで「いい本」

 本が売れるかとうかは、結果だと思っています。大事なことは、そんなことより、「いい本」を作ることだと私は考えています。
 まだ世の中にないと思えるような、読者の本当に役に立つ本が作れるかどうか。
 世の中に新しいメッセージを、新しい価値を発信していくことができるかどうか。
 著者が持っている貴重な情報やメッセージを、すべてうまく伝えきれるかどうか。
 著者やブックライター、さらには編集者の思いが詰まった本にできるか。

 私がいつも考えているのは、そのことです。
 だから、結果に一喜一憂したりはしません。いい本だったのにうれなかた、という考え方もしない。それは自分ではコントロールできないことだから。売れるかどうかは、運や縁やタイミングも大きいのです。私にできることは「いい本」を作るということだけです。(本書より P89)


■文章に自信がないから、いい素材集めに全力傾注

 もうひとつ、ブックライターとして本作りに携わるときに、大事にしていること。それは、「素材」にこだわることです。経験であったり、事実であったり、独自の意見であったり。
 だから、他の著者の本をブックライターとしてお手伝いするときに、書くことよりもはるかにパワーをかけるのが、取材です。ブックライターなのだから、書くことに一番力を入れるのではないか、と創造されると思いますが、実はそうではありません。
 ブックライターは著者に代わって”作文”をするわけではないのです。あくまmで著者の持っているコンテンツを編集して文章化するのが、仕事です。
 にもかかわらず、取材で素材がうまく拾えなかったら、どうなるか。それこそ、文字通り”作文”をしなければならなくなります。しかし、本は著者のものなのです。著者が語っていないことを書くことは、許されないことです。(本書より P92)


■人間としての大きな成長をもたらしてくれる仕事

 ところがフリーになり、たくさんの「成功者」たちに取材をさせてもらったことで、私は大きく変わりました。つねに物事に謙虚であること。起きていることを受け入れること。ご縁や偶然を大切にすること。自分のためでなく誰かのために働くこと。自分の幸せは自分で定義すること・・・・・・。たくさんの学びを、私は得ることになりました。
(中略)
 そして今も、たくさんの取材で新たな考え方を学び続けています。単に仕事人としてのスキルだけでなく、人間としてどう生きていくべきか、人生をどう送るか、その作法が学べている気がします。おそらくこの仕事をしていなければ、こんなにも人間として鍛えられたかどうか。
 実際、著名な人たち、成功している人たちの多くが、謙虚で、サービス精神旺盛で、いい人が少なくありませんでした。人間的に優れていました。「その程度で満足していてどうする」とう無言のプレッシャーをいつも、私はもらっていました。
 逆に言えば、ブックライターとして生きる、ということは、そうした著名人と接することで、日常的に自分に負荷をかけられたことは間違いないと思います。もっといえば、才能ある著名人と同等レベルにまで自分を引き上げなければ、信頼をもらうことができないこともある。人間としての大きな成長も、求められてくるのが、この仕事だと思っています。
 なんと幸運な仕事なのか。こうして本書を書き上げようとしている今も、それを改めて感じています。(本書より P227〜P228)


【関連書籍】



職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法

1)本書の内容
 
 第1章 ブックライターの仕事はこんなに楽しい 仕事のスタイル
 第2章 ブックライターの仕事のパートナー 出版社・編集者との関係作り
 第3章 素材が七割、書くのが三割 企画と取材
 第4章 「二五〇枚を一本」ではなく「五枚を五〇本」 目次を作る
 第5章 毎月一冊すらすら書く技術 書き方と時間管理
 第6章 ブックライターとして生きていくには 仕事に向かう心構え

2)本書から学んだこと
 ・素材が7割、書くのが3割!
 ・やはりコミュニケーションが大事!
 ・「ブックライター」とは人間としての成長をもたらす仕事!



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2013年12月28日

「計画力×習慣力」は人生を変える原動力となる!『仕事が早くなる! 計画力&習慣力』(日本能率協会マネジメントセンター編)



物事を成し遂げるには計画が必要だ。なぜなら、「計画のない中で物事を成し遂げることは、ジャングルを歩くようなもの」だからである。我々の日々の生活を見てみると、無意識のうちに「計画」を立てながら行動している。例えば「遅刻をしないように会社に到着するには何時の電車に乗る必要がある」というように。「計画を立て、実行する」ということは、目標を達成するために必要なことである。

ところが、いざ仕事で計画を立て、実行しようとなると難しく感じることが多い。さまざまな原因があると思うが、失敗の要因の多くは、以下あると思う。

 ・この計画によって成し遂げるゴールの姿が明確になっていない
 ・ゴールまでのプロセスが明確になっていない
 ・計画の遂行に当事者意識がない

その一方で、どんなに素晴らしい計画を立てても、計画に対して取り組む力が弱いと物事を成し遂げることは難しい。計画を遂行するためには物事に対して継続的に取り組む力も必要である。つまり、「ゴールまでの道筋を明らかにする力=計画力」「物事を継続的に取り組む力=習慣力」の2つが必要となる。この2つの要素を身につけるために必要なことを書いた本が、本書仕事が早くなる! 計画力&習慣力である。

「計画力」と「習慣力」。この2つが身につき、かみ合ったとき、仕事において大きな成果を得ることができることは明らかだ。だが、それは仕事だけではない。本書では「計画力×習慣力は万能のスキル」と言っている。

 私たちの生活は、いくらでも細分化できる「計画」の積み重ねであり、その中で、あまり意識せず、負担も感じずに継続できていることが「習慣」なのである。
 だからこそ「計画力」と「習慣力」は、ビジネスにはもちろん、毎日のあらゆるシーンで活用できる、万能のスキルなのだ。(本書より P164)


「計画力」と「習慣力」という一見違ったように見える両者。しかし、習得するための基本構造は同じである。

@今の状態に問題がある
Aもっとよくなりたい
Bどうすればなれるか
Cこうすればできる
D実践
E目標達成
Fラクにできる・継続できる
(本書より P207)


そして、基本構造が同じ「計画力×習慣力」を身につけることは、今までたどり着けなかったゴールへたどり着くことがことができる力を手に入れることを意味する。なぜなら、「計画力というゴールまでの道のりを示すコンパスと、習慣力というゴールまで走る効率のよいエンジンの両方を手に入れる」ということだからだ。そして、「計画力×習慣力」を身につけるということは「ポシティブな習慣を身につける」ことにつながり、ひいては「人生を変える原動力」になるであろう。


【本書のポイント】

■「計画力」=段取り力×実行力

 夏休みあけの子どもの定番の言い訳に「夏休みの計画を立てるのに1日かかったので、計画がずれて宿題が終わりませんでした」という類のものがある。
 これは計画を立てる際に欠かせない前提条件であるスタート日の設定を誤ったことが原因であり、段取りを考える能力の低さが表れている。
 また一方で、計画通りにやったけど終わらなかった、という言い訳もあり、これは計画を「実行する能力の低さ」によるものだ。
 要するに「計画力」には「正しい条件のもとに段取りを立て」「着実に行う」という2つの要素が含まれている。(本書より P10〜P11)


■全体計画は、いくつもの部分計画からなる

 ここまで「目標は明確に」と書いておきながら恐縮だが、実際には関わる人の多い、ビッグプロジェクトであればあるほど、目標は抽象的な表現になりがちなものだ。しかし人は、あいまいな目標に向かっては本気で走り出すことはできない。では、どうするか。
 この困った問題の解決には、「全体計画」を実行を、実行しやすい「部分計画」へと細分化するのが効果的だ。
 その手法として、最も一般的なのが「WBS(ワーク ブレイクダウン ストラクチャー:作業分解図)」である。
 WBSは、全体目標を達成する要素を細分化した、ツリー型の図で表される。
 「全体計画」をレベル1とすれば、「部分計画」はレベル2、レベル3以下は「部分計画を達成するために必要な作業」にあたる。
 WBSを書くことによって、実際に取り組むべき作業の種類や量が具体的にわかるというわけだ。(本書より P66〜P67)


■「習慣力」がつけば、人生が変わる

 石の上にも3年ということわざがあるように、たゆまずに物事を続けることの大切さは誰もが知っているであろう。
 そして同時に、心のどこかで「でもやっぱり大変だよなあ」とゲンナリしてはいないだろうか。
 確かに、以前は「継続しろ」とは言われても「こうすれば継続できる」と教えてくれることは少なかった。根性がないとか、やり遂げられないのは飽きっぽい性格や能力の不足のせいだ、で片付けられていたのである。
 だが最近では、継続できない理由が分析され、行動を習慣化するためのロジカルな手法もいろいろと編み出されつつある。
 これまでなにかと計画倒れに終わってきた人も、諦めるのはまだ早い。無理せず継続するコツ・・・「習慣力」を身につければ、仕事のやり方や毎日の生活は大きく変わるのだ。(本書より P94〜P95)


■毎日は「計画」と「習慣」の積み重ね

 「遅刻せずに出社する=計画である」というたとえが、本書には何度か登場している。
 定時出社を目標とし、そこから逆算して何時に起き、何をして外出の準備を整え、出発するのかを無意識にやっているが、これも一連の計画である、という話だ。
 これをさらに細分化していくと、朝一番に顔を洗うという行為にも「すっきり目を覚ます」とか「人前に出て恥ずかしくないようにする」という目的があることになる。
 要するに、私たちの生活上の行為はすべて計画にのっとっているといえるのだ。
 こう書くと、「そんなことはない、休日などは何もせずにダラダラしている」とおっしゃる人もいるだろう。
 だが、実はそれすらも「今日はダラダラ過ごそう」という計画を、忠実に実行している、ということだ。
 私たちの生活は、いくらでも細分化できる「計画」の積み重ねであり、その中で、あまり意識せず、負担も感じずに継続できていることが「習慣」なのである。
 だからこそ「計画力」と「習慣力」は、ビジネスはもちろん、毎日のあらゆるシーンで活用できる、万能のスキルなのだ。(本書より P164)


【関連書籍】



仕事が早くなる! 計画力&習慣力

1)本書の内容
 
 第1章 計画力を強くしよう!
 第2章 うまくいく計画のしくみのつくり方
 第3章 習慣力を強くしよう!
 第4章 習慣力を強くする9つのフェーズ(「残念な自分」を認める
 第5章 計画力×習慣力でワンランクアップをめざそう!

2)本書から学んだこと
 ・計画力=段取り力×実行力!
 ・習慣力=継続的に物事に取り組む力!
 ・計画力×習慣力は人生を変える!



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2013年12月23日

PDCAサイクルは計画の妥当性を検証するところから始まる!『仕事が早くなる!CからはじめるPDCA 』(日本能率協会マネジメントセンター編)



「PDCAサイクル」という言葉がある。「計画」「実行」「検証」「改善」を一つ一つのサイクルとし回し、業務を継続的に改善すること目的としている。ビジネスパーソンにとっては馴染みの言葉の一つである。ところが、いざ「PDCAサイクル」を回そうとすると、上手くいかないことが多い。私自身も「計画」「実行」まで行うが、「検証」をキチンと行わず、「やりっぱなし」で終わり、結局、失敗してしまうことが多い。

「PDCAをキチンと回し続け、成果を上げるためにはCからスタートすることが必要」と提唱している本が、本書仕事が早くなる! CからはじめるPDCAである。

なぜ本書はCから始めることを提唱しているのか?その理由は以下の通りである。

 PDCAサイクルは、「P」、すなわち計画を立てることが出発点だと考えられてきた。たしかに、何かを始めるためには、その何かを明確にしなければいけないし、業務の具体的な行動計画である「P」からスタートするのは極めて自然なことだ。しかし、もっともらしい計画を立てても、目標設定がその時々の状況を踏まえていなければ、計画は一気に妥当性を失う。また、従来と同じような方法・手段で目標にアプローチしても結果は同じ。いつまでたっても目標を達成することはできないだろう。(本書より P18)


つまり、本書で「Cから始める」を提唱しているのは、「単に思いつきや今までの延長で計画を立てるのではなく、現在の状況や目標の妥当性を考慮した上で計画を立て、PDCAサイクルを回していこう」と言っているのだ。そのメリットは何か?一番のメリットは計画の精度が高まることにある。もちろん、完璧な計画などは立てられない。しかし、「状況やリスクを考慮して立てた計画」と「単なる思いつきで立てた計画」では、計画の精度の差は歴然であることは明らかだ。

とはいえ、どんなに状況やリスクを考慮した計画であったとしても、PDCAサイクルを回していくためには
 ・課題や達成手段を細分化し、5W3Hで具体化する
 ・PDCAサイクルをそれぞれ回す
 ・「実行」途中でも「検証」するステップを設ける
 ・振り返りを行い、計画と現状の差異を把握する

などのコツを掴むことが必要だ。本書にはPDCAサイクルを回していくためのコツが、「計画」「実行」「検証」「改善」のそれぞれの局面において、ポイントが整理された形で書かれている。

小さなPDCAサイクル.jpg

振り返って自分に当てはめて考えみると、かなりできていないことが多い。特に強く感じたのは「時間管理」に関する部分である。本書には「時間管理 3つのポイント」として以下のポイントが掲載されている。

時間管理 3つのポイント
@業務を効率よく遂行する
 ・すぐやる業務と先送りする業務を区別する
 ・作業よりも意思決定のスピードをあげる
 ・1日の終わりに翌日の仕事をイメージする
 ・手帳、メモを徹底して活用する
 ・机とパソコンを整理する

Aムダな時間を排除する
 ・業務時間のレコーディングを実施する
 ・細切れ時間を発生させない工夫をする
 ・行動の単位時間を変えてみる
 ・移動時間を有効に活用する
 ・「ながら時間」を創造する

B他者との関わり方を効率化する
 ・他者に依頼するダンドリを考える
 ・会議の終了時間を決める、タイマーを活用する
 ・社内メールの送受信ルールを決める
 ・会話をシャットアウトする空間をつくる
 ・チームで情報を共有する仕組みをつくる
(本書より P207〜P209)


時間は誰しも1日24時間しか与えられていない。時間のムリ・ムダ・ムラを排除できれば、どんなにプラスになるであろう?そんなことも含めて、本書に書かれていることを少しでも自分のものに出来たらどんなに仕事を早く回すことができるであろうか?そんなことを感じさせる本書の内容である。


【本書のポイント】

■行動は「計画」に沿って起こされる

 因果関係という言葉があるように、発生した事態(結果)に対しては、それを生み出した理由(原因)が必ずある。「営業目標100%達成!」といった目標を立てながら、いつも結果が伴わない人やチームには、達成できない理由が必ずある。そして、その最大の理由は、計画立案のまずさにある。計画そのものが実態にマッチしていなければ、いくら頑張っても成果が出るはずはない。精神論や根性論だけでは結果はついてこないと肝に銘じ、行動する前に適切に計画を立案することが大切だ。(本書より P48)


■計画に基づいて実行するだけではNG

 PDCAサイクルの中で「D」(実行)の占める割合は大きい。業務のほとんどを「D」に費やしている人も少なくないし、「D」だけで「C」(検証)ができないために業務改善が進まないケースもある。中には、「P」(計画)が適切であれば、後は計画に沿ってきちんとやるだけと考える人もいるが、実態はそれほど甘くない。すべてが所期の計画どおりにいくことは考えにくいし、想定外のことは常に起こるもの。所期の目的を達成し、十分な成果を上げるためには、「D」を機能させる技術を身につける必要がある。(本書より P90)


■「振り返り」と「感想」の違いを知ろう

 検証とは言い換えれば「振り返り」のことである。PDCAサイクルの「P」に対して、どこまで「D」することができたかを振り返ること=検証作業である。
 ところが、検証作業を行っているように見えても、実態がともなわないことがある。「事実」の検証ではなく、関わった人の「感想」の述べ合いに陥ってしまうケースが多いのだ。「苦労した分、充実した日々だった」「大変だったが成長できた」等。これらの感想をいくら述べても、「次にどうするか」「どう改善していくか」の発想は出てこない。
 検証とは、業務終了時、あるいは、業務遂行の途中で、実行の中身を精査する作業である。大切なのは、「正しく現在の状況・事実を把握する」ことであり、「どうすれば改善できるのか」といった視点で分析を重ねていくことだ。(本書より P141)


■PDCAサイクルの目的は業務改善

 PDCAサイクルの中の「A」=「改善」とは何を意味しているのか。QCサークル等を通して品質管理に努めている人にとっては、「カイゼン」という言葉は最も親しみのある言葉の1つだし、国語辞典風の解釈であれば、誰でも正解にたどりつくことができる。しかし、日常的に取り組んでいる仕事が、どういう状態になると改善されたことになるのか、と質問すると、途端に言葉に詰まる人が多くなる。それこそ答えは千差万別で、同じチームで同じ仕事をしている人でも、各々別な回答が寄せられるのが実情だ。
 回答に詰まる理由。それは、何のための改善なのかが理解できていないこと。改善の定義について共通認識を持てないことに原因がある。改善は、PDCAサイクルを回す目的そのもの。改善=目的を達成するため、あるいは成果をあげるために、達成手段や方法を変更していくことだと認識したい。(本書より P184)


【関連書籍】



仕事が早くなる! CからはじめるPDCA

1)本書の内容
 
 第1章 PDCAはCからはじめよう!
 第2章 Plan(計画):課題を見つけて、計画をつくる
 第3章 Do(実行):実行しやすい環境をつくる
 第4章 Check(検証):振り返る習慣が次につながる
 第5章 Action(改善):今よりも良い状況をつくり出そう!

2)本書から学んだこと
 ・精度の高い計画を立てるためには「C」の視点が必要!
 ・小さなPDCAを回すことが基本!
 ・改善は、PDCAサイクルを回す目的そのもの!



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